日時 令和2年1月31日(金曜日)9時00分~9時15分 於: 本省会見室
主な質疑事項
  • (大臣から)「家畜伝染病予防法の一部を改正する法律」の成立等について
  • 2019年の農林水産物・食品の輸出入実績について
  • 令和2年漁期のスルメイカのTAC(漁獲可能量)について
  • 今後の野菜価格の見通しについて
  • 英国のEU離脱による日本農業への影響について

 

大臣

  本日、私からは、通常国会に議員立法として起草されました「家畜伝染病予防法の一部を改正する法律案」、これについて1点御報告がございます。
  昨日の参議院本会議におきまして、ASFの侵入リスクの高まりを踏まえ、議員立法で緊急に整備を行う「家畜伝染病予防法の一部を改正する法律案」が、与野党の先生方の御協力をいただきまして、合意の下で、全会一致にて成立いたしました。本日の閣議において公布が決定されたところでございます。御報告いたします。これによりまして、万が一、ASFが我が国で発生した場合におきましても、感染拡大を確実に封じ込めるために予防的殺処分を行う仕組みが早期に整備されたことは大変ありがたいことだと思っております。短期間での成立に御尽力いただいた与野党の先生方に改めて御礼を申し上げたいと思っております。
  農林水産省といたしましても、本法律が公布される予定は来週の2月5日、水曜日でございますので、同日に施行できるよう、本日の閣議に「家畜伝染病予防法施行令の一部を改正する政令案」、これを付議しまして、決定をみたところでございます。また、省令や防疫指針も遅滞なく改正を行い、万全な執行体制を整えてまいる所存でございます。
  私からは以上でございます。

記者

  昨年12月分の貿易統計が昨日公表されました。詳しくは省内で精査中かと存じますが、2019年の農林水産物輸出額1兆円の目標達成は極めて困難な情勢となっております。大臣の認識と今年どのように輸出拡大に取り組んでいかれるか、見解をお願いします。

大臣

  最終的な数字はまだ積算途中でございますので、正確なところはもうちょっと待っていただきたいと思いますが、今御指摘いただいた1兆円の目標達成は極めて厳しい情勢となっております。様々な情勢がありますけれども、海外での政治情勢の不安定化も一つの要因でもありますし、国内の農林水産品につきましてはですね、かなり多くの国と地域が放射性物質に関する規制について緩和もしくは撤廃をしてくださいましたが、未だ多くの地区がまだ残っております。品目的に言いますとですね、ブドウであるとか、お茶であるとかがあまり振るわなかった。それから国内の需要で減ったということもありますし、不漁もありましてですね、サバなどは減りましたし、それからカツオ・マグロ、これも減っております。その一方ですね、甘しょとか、リンゴとか、それから特に牛肉はですね、20%以上の伸びを見せたわけでありますけれども、トータルとしては、なかなか目標達成は厳しいというのが現状でございます。
  いよいよ4月1日から、輸出の本部が発足するわけでありますので、コロナの問題が今大きくフィーチャーされててですね、なかなか海外へ売り込みを行うには厳しい環境に今なっておりますが、それでもまずは、放射能由来を、いわゆる科学的見地に基づく冷静な判断を各国に求めていく。それから輸出に関する様々な各国それぞれのレギュレーション、防疫指針、衛生管理基準、それらに対するアプローチを積極的に行っていく。そして4月以降はですね、縦割りを廃して、国内の施設整備も含めてですね、輸出に対する体制をもう一度整えていこうということで考えております。

記者

  先ほどの質問に関連しまして、去年の結果を踏まえて、今年の目標金額はどう設定するお考えでしょうか。

大臣

  それについてはまだ設定いたしておりませんが、しかし農林水産行政で常にやっておらなければならないのはですね、出口政策だと私は常々思っております。どんなにいいものを作ってもですね、それを正しく評価し、購買してくれる先がなければですね、農家の所得は上がりません。ですから海外に売ることは政策目標でもなんでもなくてですね、いい買い手を世界に広く目を広げて、探していくということで輸出を促進したいと思っておりますので、あくまでも国内農業の売り物を作らなければどうにもなりませんから、しっかりいいものを作れる体制を構築しながらですね、JICAであるとか、様々な機関にも御協力をいただいて、その地域でどのようなものが求められているのか、しっかりそのニーズを把握したいと思っております。
  リンゴなんかでいうとですね、今までは、とかく大玉がいいものだと、1個3,000円だと、随分一時、言われましたけれども、よく市場調査をしてみますと、ある業者なんかはですね、家庭で売る、量を売るのであれば、小玉の方がいいと、糖度もそんなに高すぎない方が実は売れるんだと。その国よりかは甘いけど、甘すぎてもいかがなものかと。いろんな研究結果をいただいておりますから、そういうマーケットインの考えも入れたですね、生産基盤の拡大とそれからマーケット、チャンネルの拡大、開拓をしていきたいと思います。

記者

  2点よろしくお願いします。同じく貿易統計の関係なんですけれども、2019年、通年が出たということで、TPPの発効から丁度1年が経過したという形だと思います。個別品目の動き、いろいろと見えてきた部分もあるかと思いますが、1年間の貿易の動向をどのように見てらっしゃるのか伺えればと思います。

大臣

  TPP11が発効し、日EUが発効しですね、一部の乳製品の輸入量は確実にエビデンスとして増えておりますし、それから豚肉、それから牛肉についてもですね、牛肉はそれほど多くありませんが、伸びているというのも事実だろうと思います。しかし、日本の国内ではですね、中食、外食での牛肉の引きが強い。そして例えば、豚肉なんかにしてみるとですね、カットされていることを強みとするメキシコなんかが伸びているのも一つの特徴だろうと思います。そして野菜なんかについて言えばですね、御家庭、それから中食の方々も、冷凍とかカットに対する御要望が非常に強くなっている傾向にありますので、我々国内の農業を預かるものとしてはですね、海外のそういったものに取られている市場をいかにして取り戻すかということを考えなければならないと思います。今回の異常な1年の気象の流れの中でもですね、結球ものは非常に価格が暴落した一方、ピーマンとかキュウリ、これは価格が4割以上、過去最高に近い値段で推移するようなことも起こっております。消費者の方々に安心してですね、安定的に食料を供給するという観点からもですね、食料の低温冷蔵施設であるとか、カット工場であるとか、冷凍工場であるとか、そういった関連施設の整備も合わせてやることが、国民の皆様方のためにも、それから国内の農業の生産基盤の強化のためにも、これから必要になってくるのではないかなというふうに思っております。
  しかし、関連対策もですね、やらせていただいたということもあって、牛肉の市場においてもですね、輸入量が増えているとはいっても、そんな大きな価格下落にはつながっておりませんし、しかし常に市場はウォッチしていかなければならないものであるというふうに認識いたしております。

記者

  もう一点、昨日、スルメイカなんですけれども、TACの方が量が示されまして、5万7千トンということで、過去最低になっています。非常に資源管理、資源量が減っている中で、中国、韓国、北朝鮮を含めて、どう国際的な資源管理をやっていくかというのが重要な課題になってくると思うんですが、これに向けての大臣の意気込みを伺えればと思っています。

大臣

  20年4月から開始されるですね、令和2年度のTAC案はですね、今仰ったように、水産庁からお示しをして意見交換を行ったところでございます、昨日。いろんな御意見が出るのは当然だろうと思います。大和堆の話もありますしですね、その上にTACということになれば。しかし、管理型の漁業をやるということは、持続可能な漁業をこれから推進していく上では、これは大変大事だという意識はですね、水産庁も、それから現場の漁業者の方々もですね、共通の認識として持っていただけているんだというふうに思っております。ですから、さらに丁寧な説明と根拠を提示することも必要になってくるんだろうと思います。ですから、この数字を見せられるとですね、この数字がどういうエビデンスに基づいてはじき出されたのかということは当然出てきますから、より今まで以上に資源評価をですね、この精度、これも上げる必要があるんじゃないかという御要望もいただきました。
  それから、この不漁と資源悪化への不満はですね、これはなかなか難しくて、例えば私の宮崎なんかだと、宮崎だけじゃありませんが、ずっと不漁にあえいでいたシラスがですね、非常に豊漁である、今のところはですよ。もうこのままいなくなるんじゃないかと、みんな言ってました。そしたら、今年になったら突然やってくる。東京湾で言うと、突然タコが大漁になったりですね、海のことはなかなか難しいけれども、それにしても、やはり管理型、資源を次世代につなぐ漁業の形というものは、意見交換を一生懸命やりながらですね、つかまえていかなければならないんだろうと思います。
  今後、数量と配分の案を作成しまして、パブリックコメントをしっかりやってですね、3月に予定されている水産政策審議会への諮問、答申を経てからTACのほうを決定するということになりますけれども、その間に丁寧な意見交換を重ねていきたいと考えています。

記者

  昨日の意見交換でもなんですけれども、日本が獲ってる量は、それはそれでなんですけれども、海外が獲っている量がかなりあるようなので、日本だけやってもなかなか限界があるんじゃないかと。サンマについては国際的な枠組みがあると思うんですが、現状スルメイカではないという状況の中で、今後どう対応していかれるお考えなのか。

大臣

  そうですね。他の魚種についてはしっかりとした国際間の約束事がある。しかし、それもなかなか守られているかどうか怪しい、疑問がある。しかし、約束事のないということであればですね、さらにハードルは高いということでありますから、昨年は大和堆では特にスルメがフィーチャーされた時期もありましたので、このことについてはですね、周辺各国とのお話し合いをできるものであればですね、早期に開始することが必要ではないかと考えております。

報道官

  ほかございませんでしょうか。

記者

  1月野菜の値下がりが続きました。農水省では消費を促すプロジェクトも始められたと思いますが、来月以降の見通しについてお聞かせください。

大臣

  来月以降の見込みにつきましてはですね、私も正確なところはちょっと存じ上げませんが、気象次第、日照次第というところが大変強くてですね、もうこれは最近意見交換した長野の農業者も言ってましたけれども、本当にリスクとの戦いだと。もしかしたら日がよく照ってくれるかもしれない、また雨ばかりで日照不足になるかもしれない。小泉大臣のところの大根みたいにですね、大きいことは決していいことではなくて、知らない人はですね、大きいんだったら、それ、みんな喜ぶから出せばいいじゃないかと言うけど、今度は規格内のものがですね、値段が暴落してしまうとなると、全体としての収入が落ちてしまうこともあります。
  我々はとかく農家の所得にばっかり目配りをしてしまいますが、しかし、消費者の方々がですね、安定的に野菜を手に入れられるということがですね、一番大事なもう一つの視点だと思っています。先ほどちょっと触れました海外からの輸入の野菜が増えている理由はですね、定数定量、安定的に入ってくるという流通がしっかりと契約上確保されている、それが彼らが市場をだんだん席巻してきた一番大きな理由ですから。ですから、野菜の出荷調整をするための施設とかですね、そういったものがやはり国がもうちょっとしっかりやらないと、農家にとっても消費者にとっても不利益が生じるんではないかというふうに考えております。
  そして、今後の見通しはですね、お天気を見なければなりませんから、なかなか分かりませんけれども、キュウリにしてもですね、価格は高いといっても日照不足でやせっぽちですからね。よく、4割高だといわれると農家は儲かっているんだろうと皆さん思われますが、決してその4割高が農家の所得に実は現実にはつながっていないということもですね、我々はしっかり自覚をして農政をやる必要があるだろうと思っております。

記者

  31日でイギリスがEUから離脱することになります。新たに貿易協定を結ぶ必要など出てくると思いますが、日本の農業にとってどんな影響があるのか大臣のお考えをお願いします。

大臣

  英国と速やかに交渉を開始をする方針だと、政府としてはですね、承知をしておりますけれども、その開始の時期などについてはまだ全く決まっておりませんのでですね、もっと詳細なことをもしお聞きになりたければ、外務省のほうに聞いていただきたいと思います。
  日EUが発効いたしました。そして、これは仮の話ですから、先々のことはわかりませんけれども、交渉が開始されてですね、合意するにしても、過去の経済連携の枠組みを決して超えることは許されない。これは日米のときもそうでしたけども、今後、経済連携協定をやる上でですね、あらゆる国にもこれは適用される大原則だと私は思っておりますので、やるのであればその線に沿って行われるというふうに承知いたしております。

報道官

  ほかよろしいでしょうか。では以上で終了します。ありがとうございました。

以上