外務大臣の外交演説

【NHK 山本記者】昨日国会が召集されました。大臣は外交演説を行われまして,大臣として演説の中で特に強調したかった点とかがあったのかどうかということ,臨時国会では貿易協定という大きな条約があったのですが,今国会は外務省としてどのように臨むのか,姿勢をお聞かせください。

【茂木外務大臣】昨日の外交演説におきましては,六つの分野に焦点を当てて日本の外交を前に進めたい,こういうお話をさせていただきました。日米同盟を強化していく,そして自由で開かれたインド太平洋地域を実現していく,北朝鮮に対する諸懸案の解決の問題,近隣外交,これを進める。それぞれの課題が重要だと考えておりまして,しっかりとこれらの課題に外務省一丸となって,また関係国,関係省庁とも連携しながら取り組んでいきたい,そんなふうに思っております。
 そこの中で,最後の部分で,間違いなく,国際情勢が緊迫化する中で,各国からの日本への期待,そして日本への,日本の存在感というものが高まっている。この存在感というものを国際舞台における調整力に転換をして,日本の存在感を更に高めていきたい,こういう思いを持っておりまして,そういう方向で進めていきたいと思っております。
 この国会におきましては,今,海外との間で締結をした投資協定であったり社会保障協定,十数本のものがありますので,これをしっかりとご承認をいただく,こういうことに力を尽くしたいと思っております。

中国の新型コロナウィルス

【読売新聞 阿部記者】中国で拡大している新型コロナウィルスについて伺います。今朝,関係閣僚会議も開かれましたけれども,外務省では現地の邦人や渡航者の安全確保にどう対応していくかということと,現在スポット情報を出されていますが,今後,感染症危険情報の発出も検討されるかどうかお願いします。

【茂木外務大臣】今朝も関係閣僚会議,閣議前に開催したところでありますが,中国で発生しております新型コロナウィルスに関連した肺炎について,15日,我が国で初めて患者が確認された他,21日現在,我が国及び中国,タイそして韓国において,220例を超える症例が確認されているところであります。
 外務省としては,1月6日以降,海外安全ホームページであったりメールを通じて,感染症のスポット情報を随時発出して,現地在留邦人,そして海外の渡航者に対して,中国,タイ,及び韓国での発生状況であったりとか,検疫所からの情報を発信し,注意喚起を行ってきているところであります。引き続き現地政府および関係機関と連携して,情報収集を行い,適時適切な形で情報発信を続けていきたいと思っております。
 この機会に,在留邦人そして渡航者の皆さんにおかれては,最新情報の入手にお努めいただきたい,このようにお願いしたいと思います。

ゴーン被告人の出国

【ウォールストリート・ジャーナル ランダース記者】これまでレバノンに対して,ゴーンさんの強制送還を直接求めていないと理解していいんでしょうか。もしそうであるならば,どうしてでしょうか。

【茂木外務大臣】そういうふうに理解されては困ります。これは個別の刑事事件でありますから,個別の刑事手続きの具体的な内容に関わることについてお話することはできない,当然のことだと,そんなふうに思っております。お話できないからどちらだという話で捉えられては困るということです。

ミャンマー情勢(丸山駐ミャンマー大使の発言)

【テレビ朝日 大石記者】ミャンマーのイスラム系少数民族,ロヒンギャについてお伺いしたいと思います。ジェノサイドがあったとして,ミャンマー政府が国際司法裁判所に提訴されている件で,23日に仮処分について発表される見通しとなっています。そういった中で,ミャンマーに駐在する丸山大使が地元メディアに対してですが,「国際司法裁判所が,ミャンマー政府に仮保全措置を出さないように祈る」というふうに発言をいたしました。この発言,ミャンマー政府を支持する発言とも受け取れますが,日本政府としての公式な立場なのかということの確認と,日本政府としての見解を聞かせていただければと思います。

【茂木外務大臣】ミャンマー,そしてラカイン州の情勢につきましては,先日,東南アジア各国を訪問した時も様々な意見交換をしてまいりました。ミャンマーの民主化であったりとか,ラカイン州の情勢の安定,そして避難民の帰還支援であったりとか,様々な取組をしっかりと前に進めていくことが基本だと思っております。一方的に,どのやり方がいいということよりも,ミャンマーであったりとか,関係者が自ら,しっかりした取組ができるようにするためにはどうしたらいいのか,こういう観点から今後も取組を進めていきたい,また日本としてできる限りの支援をしていきたいと,こんなふうに思っております。

【テレビ朝日 大石記者】これもちょっと,地元メディアに対するインタビューの中での発言で恐縮なんですけれども,丸山大使が「ミャンマー軍によるジェノサイドはなかった」などの認識も示されているかと思います。こういった一連の発言というのが,ロヒンギャ迫害を否定して,国連調査を受け入れていないミャンマー政府の姿勢を助長するのではないかという指摘も,在日ロヒンギャの方などからありますが,この点について,大臣のお考えを聞かせていただければと思います。

【茂木外務大臣】丸山大使の細かい現地でのインタビューの内容を,ちょっと,私(大臣),確認しておりませんので,改めて確認をさせていただきたいと思います。