2020年1月17日(金曜日)
9時56分~10時09分
於:記者会見室

冒頭発言

おはようございます。
初めに、私から2点申し上げます。


原子力災害対策本部決定

まず1点目、本日、原子力災害対策本部会議を開催をし、福島県双葉町、大熊町、富岡町の一部地域について、双葉町は3月4日午前0時、大熊町は3月5日午前0時、富岡町は3月10日午前6時に避難指示を解除することを決定をいたしました。

 避難指示の解除はゴールではなく、復興に向けたスタートであります。解除後も引き続き町の御要望を真摯にお伺いしながら、帰還環境の整備等、双葉町、大熊町、富岡町の復興に全力で取り組んでまいりたいと考えております。

ゼロエミッション国際共同研究センター設立・吉野彰フェローのセンター長就任

2点目、気候変動問題に世界の英知を結集して取り組むため、ゼロエミッション国際共同研究センターを今年1月末に産業技術総合研究所に設立をいたします。
センター長には、昨年ノーベル化学賞を受賞した吉野彰フェローが就任をいたします。この後、安倍総理に吉野フェローとともに報告してまいります。
同センターは、現在政府内で検討中の革新的環境イノベーション戦略の実行のための中核的組織となります。戦略では、ゼロエミッションを超えるビヨンド・ゼロ、すなわち、排出以上の削減を可能にする革新的な技術確立を目指す方針です。
吉野センター長のリーダーシップの下、国内外の関係機関と連携しながら、革新的なイノベーションの創出を牽引していくことを期待をいたしております。
詳細につきましては、総理への報告、これ10時半に予定をしておりますけれども、その報告後に事務方から説明をさせたいと思っております。
私からは以上です。

質疑応答

米中貿易協議

Q:先日、米中両政府が貿易交渉の第1段階の合意で署名しました。日本経済への影響など、大臣の御所見をお願いします。

A:米国と中国が米中貿易協議の第1段階の合意文書の署名を行ったことは前向きに評価をしております。
今回の合意内容につきましては、日本経済への影響なども含めて、高い関心を持って注視をしてまいりたいと考えています。引き続き、米中両国が対話を通じて建設的に問題を解決していくことを強く期待をするところであります。

WTO改革

Q:先般のアメリカの御出張で米通商代表と欧州委員とそれぞれ会合され、WTO改革の重要性を確認されたと思うんですが、日米欧の財界からもWTO改革を進めなければという危機感が表明されています。今月下旬にはダボス会議がありまして、そこで非公式のWTO閣僚会合もあると思いますが、どのような議論、現状どのように議論が進んでいるのか、また今後改革を出して、6月の閣僚会議までに進めることができるのか、そのあたりをお伺いできないでしょうか。

A:今週、私は訪米いたしまして、ライトハイザー米国通商代表、そしてホーガン貿易担当欧州委員との間で日米欧の三極貿易大臣会合を開催をいたしました。
今回の三極会合の共同声明では、産業補助金についてWTOルールを強化するために新たな禁止補助金の追加や通報制度の改善など、具体的な内容に合意をしたところであります。強制技術移転についても新たなルールメイキング、他のWTO加盟国への働きかけ、ルール執行強化を進めることで合意をしたものであります。
引き続き三極会合の場も活用しながら、WTO改革を進めてまいりたいと思っております。
今月下旬に開催される、御指摘のダボスのWTO非公式閣僚会合においては、上級委員会問題、そして電子商取引交渉、また漁業補助金交渉等の進捗や今後の進め方について議論が行われる予定であります。6月の第12回WTO閣僚会議、MC12に向けて実質的な進捗が得られるように議論を主導してまいりたいと思っております。
ダボスは、残念ながら、私は国会開会中となりますので、どうするか今思案をしているところでありまして、諸般の事情が許せば牧原副大臣に出席いただく方向で調整をしてまいりたいと思っています。

柏崎刈羽原発

Q:東電の柏崎刈羽原発の関連なんですけれども、柏崎市長が東電に対して使用済核燃料に累進課税を要望しています。東電自体も難しいという認識はしていますけれども、経産省として、どういうふうな。

A:柏崎市から東京電力に対して御指摘の使用済核燃料税の経年累進課税導入も含めてさまざまな要請がなされていることは承知をしております。東京電力には、引き続き再稼働に向けて柏崎市長を始め、地元の御理解を得られるように努めてもらいたいと思っております。東電と柏崎市間でのやりとりだということであります。

台風15号の対応検証

Q:同じく東京電力についてなんですが、昨日、東電の台風15号の影響について報告書をまとめて、それに対して小早川社長の指示の下で復旧の見通しを出したという報告書をまとめました。その後、復旧の見通し、停電の復旧の見通しですね、いろいろ二転三転したわけですけれども、これについて改めて、小早川社長に厳重注意の処分が下ったわけですが、大臣の受け止めと今後の政府の対応についてお願いします。 

A:もとより、台風などの災害に対しては万全の対応を図っていくことが必要であることは言うまでもありませんが、今回の政府の検証チームの中間報告を受け、経済産業省としては制度改正を含めて万全の対応を図ってまいりたいと思っております。
東電においても同様の問題意識があったと思います。それらから社内の検証を行ったものと理解をしておりまして、この検証や政府の取組を受けて、きちんと対応していただきたいと思っております。
今御指摘のように、復旧の見通しが曖昧であったとか、あとは他の組織との連携とか、そういうことも非常に効率的ではなかったということも含めて対応がされたと思っておりますけれども、小早川社長の処分については会社の人事にかかわることでありますのでコメントは控えますが、結果として災害対応に万全を尽くしていただきたいと思っております。

原発の新設

Q:原子力発電所の新設について3点お伺いしたいと思います。
1点目、まず現在、新設やリプレースに関してはエネルギー基本計画には記載がないということで、原発の新設について梶山大臣のスタンスをお聞かせください。
2点目が、山口県の上関原発、こちらで準備工事の方が進んでいるということなんですが、こちらは新設という認識なのか、こちらも梶山大臣の認識を伺いたいです。
最後に、規制委員会は新設に関して安全基準の判断というところはしますが、今後経産省として、例えば全国の電力需給バランスだとか、今後のエネルギー政策を踏まえた、その観点から新設の是非ですとか可否に関してかじ取りを担っていく、また方針を出していくという考えはないのでしょうかというところをお聞かせください。

A:まず1点目と3点目についてですが、現時点において原発の新増設、リプレースは想定していないとのスタンスに変わりはありませんし、私自身もそういう考えのもとに行政を行っているということであります。
また、上関原子力発電所については、設置許可がおりていないために新設に当たるということになるんですけれども、御指摘のボーリングについては事業者として計画しているものでありまして、政府としての新増設、リプレースは想定していないとの方針は、これによって変わるものではないと考えております。

原発再稼働等の費用、伊方原発のMOX燃料取り出し

Q:原子力の関係で2点お願いします。
共同通信社が電力各社に調査をしたところ、原発の再稼働や維持費などに合計13兆円掛かっているという額が分かりました。これだけのお金が掛かっているということに関する受け止めと、今後、国としてこういう状況を把握したり説明したりするという考えはあるでしょうかというのが1点。
もう1点は、伊方原発3号機で使用済みのMOX燃料の取り出しがされました。現時点では使用済MOX燃料の再処理については具体的な計画がない状態で、地元でも行き場がないまま取り出してどうなるのかという不安も出ているんですが、今後国としてどう対応していくか。
2点お願いします。

A:まず、商用原発の再稼働や廃炉に必要となる費用の総額が13兆円という報道があったということであります。報道は承知しております。こうした試算の一つ一つにコメントすることは差し控えたいと思っております。原子力発電の経済性については、電力会社において安全対策費、維持費、廃炉費用といった費用のみならず、発電所の規模や残りの運転期間など、さまざまな要素を加味して評価されるものと理解をしております。
また、事業者において、そうした経済性に加えて環境負荷や電源構成など、さまざまな事情も含めた総合的な視点から適切な判断を行っているものと承知をしております。
2015年に行ったコスト検証では、キロワットアワー当たり10.1円以上という結果を得ており、安全対策費が増加した場合の感度分析を踏まえても、他の電源との比較において低廉な電源と政府としては考えているということであります。
もう一点、伊方原発のMOX燃料、使用済みのMOX燃料の取り出しの件でございます。
まず、使用済MOX燃料につきましては、これまでの研究開発により技術的課題や解決策についての検討は進んでおります。また、国内外で試験的に再処理を行った実績もあることから、再処理は技術的に十分可能であることが分かっております。
いずれにしましても、使用済MOX燃料を含め、全ての使用済燃料を再処理をし、回収したウラン、プルトニウムを再利用することが政府の方針でありまして、今後もエネルギー基本計画に基づいて、その具体的方策について検討を進めてまいりたいと思っております。
核燃料サイクルであって、とまっているものもあれば、停滞しているものもある。でも、しっかりやっぱり回すための努力もしていくということですし、現実に今お話ありましたように、MOX燃料に限らず使用済燃料が出てきている。それらをどうしていくかということをより具体的に議論をしながら進めてまいりたいと思っております。

Q:原発の費用に関しては15年に一旦減少もしていますけれども、やっぱり膨らんできているという状況があるんですけれども、改めて国としてコストを検証する必要ってないんでしょうか。

A:それは、報道との比較でということではなくて、報道はいろいろな費用が含んでいると思いますけれども、原子力発電所維持のためにどのくらい必要なのかということは15年にやっている。その上の増加分を加えても低廉だという判断を持っているということであります。

(以上)

 

最終更新日:2020年1月20日