冒頭発言

(1)北朝鮮による弾道ミサイル発射

【茂木外務大臣】私の方からまずニ点ご報告があります。一つは北朝鮮による弾道ミサイル発射についてでありますが,昨日,北朝鮮は2発の弾道ミサイルを発射いたしました。これは関連する安保理決議に違反するものでありまして,極めて遺憾であります。こうした発射は,我が国のみならず国際社会に対する深刻な挑戦であります。北朝鮮に対しては北京の「大使館」ルートを通じて直ちに厳重に抗議し,強く非難をしたところであります。外務省としては,発射直後から,米国及び韓国等と連絡をとり,緊密な連携を確認し,情報の収集・分析に全力を挙げているところであります。

(2)茂木大臣のインド訪問

【茂木外務大臣】もう一件,インド出張の件でありますが,今日29日から12月の1日までインドを訪問する予定であります。今回の訪問では,初めてとなります,日印の外務防衛関係閣僚会合,いわゆる「2+2」,および日印外相間の戦略対話を実施する予定であります。また,この機会に,モディ首相を表敬する予定です。日印両国から外務大臣及び防衛大臣が揃って出席し,四者で会談を行うことは,「自由で開かれたインド太平洋」の実現に向けた,日印間の緊密な協力を確認するとともに,具体的な協力の方向性を議論するよい機会だと,こんなふうに考えております。また,総理のインド訪問に向けまして,二国間の安全保障・防衛協力や,地域及び国際情勢について,率直な意見交換を行っていきたいと,このように思っております。私(大臣)からは以上です。

茂木大臣のインド訪問

【NHK 高野記者】先程発表のありました,インド訪問についてお伺いします。中国は豊富な経済力を背景にして,この地域のみならず,南アジア地域のみならず,各地で影響力を強めています。こうした文脈の中で見た場合に,今回インドと「2+2」を初めて開催できることは,どのような意義があると,大臣はお考えですか。

【茂木外務大臣】我々として,自由で開かれたインド太平洋の実現に向けて,日インド間のみならず,米国や豪州とも協力をした,多国間の枠組みを活用してですね,地域における協力,強化をしているところでありまして,ご案内のとおり,日中は今,ハイレベルの往来もありまして,完全な正常に戻っておりますが,東シナ海,そしてまた南シナ海におきましては,力を背景にした,また一方的な現状変更,こういった中国の動きも続いているわけでありまして,まさに航行の自由であったりとか,海洋安全保障,こういった問題について,日本とインド,これが協力関係を深めていくことは重要だと考えております。

日韓関係(日韓局長級政策対話,旧朝鮮半島出身労働者問題)

【NHK 渡辺記者】日韓関係でお伺いしたいんですけれども,経済産業省の話ではあるんですけれども,局長級の政策対話を12月に行うことで一致したということなんですが,日韓関係という文脈で外交にも関係してくるんで伺いしますが,そういった文脈で,大臣、これどう捉えていらっしゃるか。それから,現状の韓国における旧朝鮮半島出身労働者問題に関する法案ですね,その状況を含めて,現状,どういうふうに日本政府として把握していらっしゃるのか,そのプロセスどう見ていらっしゃるのかをお願いします。

【茂木外務大臣】前者についてはですね,当局間でしっかりした話し合いが進展すると,こういったことを期待したいと思っております。後者の問題,今,韓国において,基金の創設等国会において模索されているようでありますが,他国の立法府におけます議論については,政府としてはコメントをさし控えたいと,こんなふうに思っています。我が国として,韓国が国際法に違反している,こういった状況を一刻も早く是正をする,これが根本にある問題だと,この考えに変わりはありませんし,今,ボールが韓国側にある,ということについても変わりはありません。

G20次期議長国サウジアラビアへの期待

【パンオリエントニュース アズハリ記者】
(以下は英語にて発言)

私の質問は,先週名古屋で無事に開催されたG20についてです。次回の開催国は,イスラム圏で初めてとなるサウジアラビアです。サウジアラビアは中東に位置し,同地域では最近緊張が高まっています。日本はこの緊張緩和に向け引き続きイニシアティブを取っていく決意と承知しています。そこで私の質問は,日本はどのようなアドバイスをするものとお考えですか,そして中東サウジアラビアでの次回G20には何を期待しますか。

【茂木外務大臣】まず,お陰様でですね,先週のG20愛知・名古屋外相会談,今年の日本の議長国としての締めくくりの会合であリまして,お陰様で大変,成功裏に終わることができ,そして,各国からも非常に高い評価を得ることができたと思っております。12月1日をもって,日本からサウジアラビアにG20の議長国,引き継がれるわけでありまして,先週のG20外相会談の際にもサウジアラビアのファイサル外相と意見交換も行なったところであります。今後,G20大阪サミットの成果であったり,今回のG20外相会合の議論を行動に移していくための実行力と,これが問われることになると思っておりまして,日本としてはサウジと連携をしながら,引き続き,議論を深めていきたいと思っております。恐らく,これから,全体のどういう会議の持ち方をするかというかと,更にはそのテーマをどうするかと,これは正に議長国が決める問題であると,そのように考えておりまして,例えば,じゃあ,中東情勢をどう扱うのかとか,サウジを中心に決定が行われると思っておりますが,日本としてはG20のサウジでの成功と,これに向けて,トロイカの一員として協力していきたいと思っております。

茂木大臣の訪米に関する報道

【共同通信 高尾記者】一部報道で,茂木大臣が,来年1月中旬にワシントンを訪問するという報道があります。現状の調整状況を教えてください。

【茂木外務大臣】そのようなことは決まっておりません。ただ,ポンペオ長官との間では,出来るだけ早い機会を見つけて会談を持ちたい,こういう話をしております。

トランプ大統領による香港人権民主法案への署名

【朝日新聞 太田記者】米国で香港人権民主法が成立しました。米中関係の更なる悪化への懸念も指摘されていますが,大臣のご所感をお聞かせください。

【茂木外務大臣】他国の議会における様々な決定等については政府としては,コメントをしないということだと思っておりますが,その中で申し上げますと,我が国としてですね,昨今の香港情勢について大変憂慮していると,こういう状況に変わりはなくですね,同盟国であります米国とも緊密に意思疎通を行なってきているところであります。自制と平和的話し合いを通じた解決を改めて関係者に求めるとともに,事態が早急に収拾され,一国二制度の下で香港の安定と繁栄と,これが保たれることを強く期待したいと思っております。