1. 1 昨18日(日本時間19日),リマにおいて,土屋定之駐ペルー日本国大使とグスタボ・メサ=クアドラ・ペルー外務大臣との間で「所得に対する租税に関する二重課税の除去並びに脱税及び租税回避の防止のための日本国とペルー共和国との間の条約」(日・ペルー租税条約)和文(PDF)別ウィンドウで開く英文(PDF)別ウィンドウで開く)の署名が行われました。

    2 この条約は,両国間で生ずる二重課税を除去するため,両国において課税することができる所得の範囲を定める規定等を設けています。また,この条約の締結によって,両国の税務当局間において,この条約の規定に従っていない課税についての協議,租税に関する情報交換及び租税債権の徴収共助の実施が可能となります。これらにより,二重課税を除去し,国際的な脱税及び租税回避行為を防止しつつ,両国間の投資・経済交流を一層促進することが期待されます。

    3 条約の主な内容は以下のとおりです。

    (1)事業利得に対する課税
     事業利得については,企業が進出先国に支店等の恒久的施設(注)を設けて事業活動を行っている場合に,その恒久的施設に帰属する利得に対してのみ,進出先国において課税することができます。
     (注)企業が使用人等を通じて一定期間を超えて行う役務の提供(いわゆるサービスPE)等を含みます。

    (2)投資所得に対する課税
     投資所得(配当,利子及び使用料)については,以下のとおり,源泉地国(所得が生ずる国)における課税の上限(限度税率)が設けられ,又は課税が免除されます。;

    配当 10%
    利子 免税(政府受取等)
    10%(その他)
    使用料 15%

    (3)株式譲渡収益に対する課税
     法人の資本の20%以上に相当する株式を所有していた者がその法人の株式の譲渡によって取得する収益については,源泉地国において課税することができます。

    (4)条約の特典の濫用防止
     条約の特典の濫用を防止するため,条約の特典を受けることが取引等の主要な目的の一つであったと認められる場合,及び第三国に存在する恒久的施設に帰属する一定の所得については,条約の特典は認められません。

    (5)相互協議手続
     条約の規定に従っていない課税は,両国の税務当局間の協議による合意に基づき解決されます。

    (6)情報交換及び徴収共助
     国際的な脱税及び租税回避に効果的に対処するため,両国間における租税に関する情報交換及び租税債権の徴収に関する相互支援が導入されます。

    4 この条約は,両国においてそれぞれの国内手続(我が国においては国会の承認を得ることが必要)を経た後,外交上の経路を通じて,その国内手続の完了を確認する通告を相互に行い,遅い方の通告が受領された日の後30日目の日に効力を生じ,次のものについて適用されることとなります。

    (1)我が国においては

    • ア 課税年度に基づいて課される租税に関しては,本条約が効力を生ずる年の翌年の1月1日以後に開始する各課税年度の租税
    • イ 課税年度に基づかないで課される租税に関しては,本条約が効力を生ずる年の翌年の1月1日以後に課される租税

    (2)ペルーにおいては

    • この条約が効力を生ずる年の翌年の1月1日以後に取得される所得に対する租税及び同日以後に支払われ,貸記され,又は費用として計上される額

    (3)情報交換及び徴収共助に関する規定は,対象となる租税が課される日又はその課税年度にかかわらず,次の日から適用されます。

    • ア 情報交換に関する規定に関しては,この条約の効力発生の日
    • イ 徴収共助に関する規定に関しては,両国の政府が外交上の公文の交換によって合意する日