令和元年10月31日(木)

 法務大臣に就任いたしました森まさこでございます。どうぞよろしくお願いいたします。
 法務省は,正に国民生活の安心・安全を守るための法的基盤の整備という重大な使命を負っております。
 法務大臣は,こうした使命を果たし,法の支配,人権の尊重といった基本的価値を守るため,重い責任を負っているものと承知しております。法務大臣を拝命し,身の引き締まる思いです。
 新しい令和の時代を迎え,法務行政も,多方面にわたって,様々な重要な課題に直面をしております。
 私は,法務分野との関わりという点においては,弁護士としての経験を踏まえ,参議院議員になってからは,自民党で法務部会長も務めました。
 また,内閣府特命担当大臣を務めたほか,自民党の女性活躍推進本部長,治安テロ対策調査会長などを経験させていただきましたので,そのような経験を法務行政にもしっかり活かしてまいりたいと考えております。
 また,近時,相次ぐ台風の襲来により,私の地元である福島県も含め,全国で数多くの皆様がお亡くなりになられるなど大きな被害がありました。そして,今も,河川の氾濫等の影響により,未だ交通手段や生活インフラが復旧しておらず,多くの皆様が困難な生活を強いられております。
 私は,東日本大震災発災以来,被災地の復旧・復興に力を尽くしてまいりました。こうした経験の上に立ち,総理からの全閣僚共通指示にもありましたとおり,災害からの復旧・生活支援にも取り組んでまいりたいと考えております。
 私としては,関係大臣等と十分に連携し,義家副大臣,宮﨑大臣政務官の御協力もいただきながら,法務省の皆様とともに,新たな時代にふさわしい法務行政の実現に粘り強く取り組んでまいりたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

大臣就任に当たっての意気込み等に関する質疑について

【記者】
 冒頭,大臣がおっしゃったことにも重なりますが,法務大臣に就任して,意気込みをお聞かせください。また,法務行政で今後力を入れたい分野がございましたら教えてください。

【大臣】
 先ほども申し上げましたけれども,法務省は国民生活の安心・安全を守るための法的基盤の整備という重大な使命を負っていると考えております。そのためには,まずもって国民の信頼をいただくことが重要であると考えておりますので,国民の皆様を守る,安心・安全を守る,適正な法の執行に努め,令和の新しい時代にふさわしい法務行政の実現に全力を尽くしていきたいと思っております。
 また,2番目の御質問の,特に取り組みたい分野については様々ございますが,私は,女性弁護士でございますし,また,女性国会議員として取り組んできた中で,児童虐待の問題でありますとか,それから養育費の不払等にも自民党の女性活躍推進本部長として,昨年1年間取り組んでまいりまして,海外視察も終えて,ちょうど2年目に入ったところでございました。法務大臣という立場でもしっかりと,そのような,女性の人権を守る,子供の人権を守るというところにも力を入れていきたいと思っております。

前大臣等の辞任に関する質疑について

【記者】
 河井前大臣が週刊誌報道で疑惑を受けて辞任をなさった経緯があると思いますが,河井前大臣の辞任の受け止めをお聞かせください。

【大臣】
 お尋ねの河井前大臣の問題でございますが,河井前大臣の御判断に関する事柄でありますので,私からは,コメントは差し控えさせていただきたいと思います。

【記者】
 今回大臣就任に当たりまして,河井大臣のことはコメント差し控えるということでしたが,一週間でお二人の閣僚が辞任されるという状況,与野党から様々な意見も出ていますが,そういった中で就任となったことについてはどのように受け止めていらっしゃいますか。

【大臣】
 これまで辞任をなさった各大臣については,それぞれの辞任の御判断,それぞれの皆様がなさったことでございますので,私の立場からは,コメントを差し控えさせていただきたいと思っておりますけれども,先ほど来申し上げておりますとおり,法務行政は特に,国民の信頼の上に立っているものであり,その法の適正な執行に対する国民の信頼,それらが守られないと国民の安全・安心を守る法務行政は成り立たないと思っております。法務行政を停滞させないためにも,しっかりと国民の信頼をいただく仕事を真摯に謙虚に進めて参りたいと思っております。安倍内閣の閣僚の一人としての自覚を持って,しっかりと努めてまいりたいと思います。

【記者】
 短い期間に閣僚が二人辞任されたということで,国民の政治家への信頼が揺らいでいるのではないかと思うのですが,政治家が説明責任を果たすことについてどのように取り組んでいくのかということをお尋ねしたいのと,もう一点,確認でお尋ねするのですが,政治と金の問題についてですけれども,森大臣は大臣の選挙区内では,疑われるようなことはないでしょうかということを改めてお聞かせください。

【大臣】
 この期間に辞任をした各大臣についてのお尋ねがございましたが,それにつきましては,先ほどからお答えをしておりますとおり,各大臣の御判断に関する事柄でございますので,私の立場からは,コメントを差し控えさせていただきたいということをまず申し上げた上で,政治家の説明責任についてのお尋ねでございましたけれども,政治家はしっかりと説明責任を果たし,そして,その上に国民からの信頼が成り立つものであると考えております。また,私自身の選挙区における有権者の方に対しての行動についてもお尋ねでしたけれども,私は,法令に基づいて選挙運動・政治活動を行っております。

弁護士経験に関する質疑について

【記者】
 大臣は,弁護士という仕事の経験者として,その経験を踏まえて法務行政にどのように活かしていきたいか教えてください。

【大臣】
 私は,弁護士の中でも消費者弁護士という非常に数少ない分野を担当しておりました。消費者被害という,国民の皆さまがお買い物やサービスを受ける消費行動を取られたときに,だまされたり被害を受けたりした際に弁護士として守る仕事です。そのような中で,この社会では正義が実現されているのだろうか,と不安に思う消費者の皆さまの姿も目にしてまいりました。そういったことがないように,法務大臣という立場でしっかりと適正な法の執行ということに目を行き届かせ,また,時代の流れに沿った法律の改正をしていくことで消費者を守る,そして法務行政を前に進めるということ,そこに弁護士としての経験を活かせたらなと思っております。

児童虐待に関する質疑について

【記者】
 先ほど,力を入れたい分野の中で,児童虐待のお話がありましたけれども,河井前法相の下で,省内横断で考える検討PTが立ち上がって,撲滅に向けた施策を検討中かと思うのですけれども,大臣から撲滅に向けてどのように取り組まれていきたいかということをお考えを教えていただければと思います。

【大臣】
 児童虐待の問題については,担当の各省庁において様々な取組が進められているものと承知しておりますが,そのような中で前大臣によって,PTが立ち上がったということでございますので,その中で様々な課題を検討していくことを見守りたいなというふうに思っております。
 特に弁護士時代の経験から申し上げますと,弁護士のところまでたどり着けない,上がってこない事案の中で尊い生命が奪われたり,非情な人権侵害が行われていた問題もございました。
 今,地方自治体によっては,弁護士と三者でチームを組んで,そういった通報があった場合には,駆けつけるというような取組もされており,効果が上がっておるというふうにも聞いておりますが,何分,マンパワーの不足ということも指摘をされております。
 私は,国会議員のときにITのシステムで児童虐待の取組を見守るという諸外国の制度を勉強した経験がございます。ITやAIなどは一つの例でございますけれど,こういった様々な工夫をして,児童虐待というものを少しでも減らしたい,泣いている子供の声をしっかりと拾っていきたいというふうに考えます。

死刑制度に関する質疑について

【記者】
 死刑制度に対する大臣のお考えを教えてください。

【大臣】
 死刑制度につきましては,申し上げるまでもなく死刑は人の生命を絶つ極めて重大な刑罰でありますことから,その執行に際しては慎重な態度で臨む必要があるものと考えております。
 またその上で,死刑制度についてお尋ねでしたけれども,死刑制度の存廃につきましては,我が国の刑事司法制度の根幹に関わる重要な問題でございまして,国民世論に十分に配慮しつつ,社会における正義の実現等の種々の観点から慎重に検討すべき問題であると考えております。

外国人材の受入れに関する質疑について

【記者】
 外国人材の受入れ拡大施策を推進しているところと思うのですけれども,これに対する大臣のお考え,今後,受入れ拡大をどのように進めていくかということはいかがでしょうか。

【大臣】
 出入国管理行政については,引き続き,厳格な入国管理,そして円滑な入国審査を高度な次元で両立していく必要があると思います。更に増加する外国人に対する在留管理,これを的確に行うとともに,外国人との共生社会の実現に向けた受入れ環境整備についても,各省の総合調整機能を担っていく必要があると思っております。

(以上)