令和元年9月11日(水)

 法務大臣に就任いたしました河井克行です。
 私は,平成19年8月から約1年間,鳩山邦夫法務大臣の下,法務副大臣を務めました。
 そして,この度,法務大臣として,法務行政をお預かりすることになりました。どうぞよろしくお願い申し上げます。
 国民の皆様の安全と安心を守るために全力で汗を流す,そのためにこそ法務省は存在をしていると,私は,そう確信をいたしています。そのための法的基盤の整備という大変重大な使命を帯びている,また同時に法務省の英文名は,「Ministry of Justice」,社会正義の実現という崇高な使命も持っていると考えます。
 そのために法務省は,民法や刑法を始めとする基本法制の維持・整備,法秩序の維持,国民の権利擁護,国の利害に関係のある争訟の統一的かつ適正な処理,出入国及び外国人の在留の公正な管理を図ることを任務としています。
 また,今年5月,新しい令和の時代を迎え,東京オリンピック・パラリンピック競技大会の開催まで1年を切りました。さらに来年の4月には,犯罪防止刑事司法分野における国際連合最大規模の会議である国連犯罪防止刑事司法会議が京都で開催されます。
 このように我が国にとり,大きな節目を迎えるこの時期に,法務大臣職を拝命し,今,大変身の引き締まる思いをいたしています。
 先程安倍総理大臣からは,法務行政の課題について,6点御指示をいただきました。
 1つ,国民に身近で頼りがいのある司法の実現に向けて,司法制度改革を推進する。
 2つ,差別や虐待のない社会の実現を目指し,個別法によるきめ細かな人権救済を推進する。
 3つ,関係大臣と協力し,「世界一安全な国,日本」をつくるため,犯罪被害者の支援,刑務所等出所者の再犯防止や社会復帰支援,組織犯罪対策など,社会を明るくするための施策を総合的に推進する。
 4つ,我が国の領土・領海・領空の警戒警備について,関係大臣と緊密に連携し,緊張感を持って,情報収集を行うとともに,事態に応じて我が国の法令に基づき適切に対処する。
 5つ,関係大臣と協力して,一定の専門性,技能を有する外国人材を円滑に受け入れるとともに,在留管理を徹底し,技能実習生の失踪などの不適切な事案を防止する。共生社会の実現に必要な環境整備を着実に進める。
 6つ,厚生労働大臣と協力し,外国人による医療保険の利用について,健康保険法の改正を踏まえた,適正な運用を確保する。
との御指示をいただきました。
 いずれも,国民生活にとり,大変重要かつ喫緊の課題であると認識しています。
 法務行政が直面する課題は,多方面にわたっていますが,私自身の問題意識としましては,まず,訪日外国人旅行者数も中長期在留者数も,過去最高を記録する中,引き続き厳格な入国管理と円滑な入国審査とを高度な次元で両立していく必要があると考えます。そして,増加する外国人に対する在留管理を的確に行うとともに,外国人の皆様との共生社会の実現に向けた受入環境整備を着実に進めていきたいと考えています。
 2つ目,子どもたちは,これからの時代を担う宝であり,昨今,相次いでいます大変痛ましい児童虐待,いじめ等の人権侵害への対処についても,政府を挙げて更なる取組が必要であり,関係大臣と協力して,必要な取組を進めていきたいと考えています。
 3つ目は,再犯の防止,更生保護の充実です。この点については,自分自身,自民党の議連の一員として様々な活動を行ってきました。それを十分に活用していきたいと考えています。
 4つ目は,国際社会における我が国の存在感と価値を高める意味でも,「司法外交」につき,これまで自分自身が培ってきました外交面での様々な知見を活かし,引き続き力強く推進していきたいと考えます。
 さらには,今,日本周辺を取り巻く国際情勢そして国内の情勢を踏まえ,公安調査庁の組織や機能の強化も重要な課題であると強く認識しています。
 山下貴司前大臣を始め,歴代の大臣においても,これらを含む法務行政が直面する様々な課題に,しっかりと取り組んでこられたものと承知をしています。
 私も,関係大臣等と十分に連携し,この重い職責を果たし,新しい時代にふさわしい法務行政の実現に全力を尽くしていく決意です。

外国人の受入れに関する質疑について

【記者】
 外国人材の受入れに関してお伺いします。新しい制度が始まってもうすぐ半年になります。大臣もおっしゃっていましたが,実習生の失踪及び留学生の行方不明などの問題や都市部への集中の懸念などがありますが,この新制度をどのように具体的に活用していくべきかお考えをお聞かせください。

【大臣】
 日本の経済社会の活性化そして国際化を図る観点から,外国人労働者の受入れはこれからも積極的に推進していくべきだと考え,幅広い観点から国民的な合意を踏まえつつ,政府全体で検討していく必要があると考えています。法務省として,今後,出入国在留管理行政を遂行し,外国人の受入れ,環境整備に関する総合調整を担う立場から,今,御指摘いただいた点についても適切に対応してまいりたいと考えています。

成年年齢引下げに関する質疑について

【記者】
 成人年齢の引下げについてお聞きします。民法の引下げに合わせて,少年法の適用年齢も引き下げるかどうかを,現在,法制審議会が議論していると思いますが,引下げに反対する声も上がっています。大臣として少年法の適用年齢引下げについては,いかがお考えでしょうか。

【大臣】
 少年法におけるいわゆる少年の上限年齢の検討は,若い人たちを成長過程にある中でどのように取り扱うか,そして,どのように改善更生,また再犯防止を図るかという問題に関わると考えています。現在,平成29年2月,法制審議会に対して,「少年」の年齢を18歳未満とすること,犯罪者処遇を充実させるための刑事法の整備の在り方について諮問をし,まさに部会において調査審議をしていただいているところであり,法務省としては,諮問をしている立場ですので,法制審議会における議論をしっかりと見守りたいと考えています。

恩赦に関する質疑について

【記者】
 10月の即位礼に伴う恩赦について,大臣のお考えをお聞きかせいただけますか。

【大臣】
 恩赦については,具体的には何も決まっていないと聞いています。一般論としては,内閣において,制度の趣旨,先例,社会情勢,国民感情等諸般の状況を総合的かつ慎重に勘案して判断するべきものだと考えています。

(以上)