2019年9月3日(火曜日)
11時06分~11時21分
於:記者会見室

冒頭発言

ロシア・タイ出張

まず私から1点申し上げます。
4日水曜日から9日月曜日まで、東方経済フォーラム、そして、日ASEAN経済大臣会合及びRCEP閣僚会合への出席のため、ウラジオストクとバンコクに出張をいたします。
まず、東方経済フォーラムでは、安倍総理とプーチン大統領との日露首脳会談への同席や、ロシア側の経済関係閣僚との会談を予定しております。
また、日ASEAN経済大臣会合では、昨年、提唱いたしました第4次産業革命イニシアチブを加速させるべく、急速に進んでいるデジタルイノベーションの社会実装に向けた環境整備について、議論する場の創設を提案したいというふうに思っています。
また、RCEP閣僚会合は、年内妥結に向けて交渉の大きな山場を迎えることになりますけれども、残された論点について、政治的なリーダーシップによって決着ができるよう、閣僚間の議論をリードしたいというふうに思っています。
私からは以上です。

質疑応答

米中貿易摩擦

Q: 米中の貿易摩擦の影響について伺いたいと思います。
今月1日に双方が追加関税を掛けまして、12月には更に引き上げると言っております。日本でも製造業の設備投資に影響が出ているという数字も出ていますが、現状の日本企業の影響について大臣の認識を教えてください。

A: 9月1日、アメリカ政府は追加関税第4弾の一部を発動して、それに応じて中国政府も対抗措置ということで、追加関税の一部を発動したわけであります。そういった中で企業の先行きの見通しを反映する設備投資について、昨日公表されました法人企業統計では、4月、6月の製造業が2年ぶりに前年割れとなりました。しかし一方で、非製造業も含めた設備投資は全産業で2%増ということで、11四半期連続の増加が続いているわけであります。
輸出も日本にとっては非常に重要ですけれども、日本は基本は内需を主軸にした経済になっておりますので、内需に支えられた堅調な推移が続いている、日本経済のファンダメンタルズはしっかりしているというふうに認識をしています。
ただ、いずれにしても世界第1、第2の経済大国である米中両国が安定的成長と発展につながる関係を構築することが、日本及び世界の経済にとって重要だというふうに思っています。引き続き、米中間の協議の動向や日本企業への影響などについて、注視をしていきたいと思います。

RCEP交渉

Q: 先ほどのRCEPの件について、先ほど大臣もおっしゃった年内妥結の決意ということを示されてきたわけですが、妥結には当然、韓国とのバイ交渉も進めなければいけないと思いますが、貿易管理を巡る日韓対立というのは影響しているのでしょうか、その点をお願いします。

A: これは影響させるべきものではないというふうに思っています。RCEPは16カ国による多国間の、まさにEPAであるわけでありますから、2国間のことが全体に影響を与えるというようなことはあってはならないというふうに思いますし、韓国側も同じ認識であってほしいというふうに思います。

Q: ということは、日本と韓国の間の交渉というのはきちんと順調に進んでいると理解してよろしいですか。

A: 2国間の交渉は、最終的に妥結をするまでは中身は発表できないわけでありますけれども、当然、我々としてはしっかり交渉を、これは日韓に限らず、まだ幾つか課題が残っている2国間がありますので、そういったところはしっかりと精力的にやっていきたいというふうに思っています。

韓国向け輸出管理措置

Q: 先日、開かれたチリのAPECの実務者会合の中で、韓国側が日本の輸出管理措置について、マルチの場で言及し、一方でチリの議長国の方から注意を受けたという旨の報道があるんですけれども、この事実関係と所感を。

A: 普通は、マルチの会合では自国の発言以外は紹介をしないというのが、これが本来のルールでありますが、今回、韓国外務省は報道発表、日本の発言も含めて報道発表されていますので、あえてお答えをさせていただきますと、チリで開催をされましたAPEC高級実務者会合においては、30日、韓国側から韓国に対する輸出管理の運用見直しがグローバルサプライチェーンに甚大な影響を与えるなどの発言があったところであります。
これに対して日本側の代表者からは、APECはこの件を議論する適切な場ではないということを強く指摘した上で、安全保障のための輸出管理制度の適切な運用に必要な見直しであって、自由貿易の原則に反するものでは全くないということと、また当然、手続がしっかり進んだものは輸出の許可を出していくので、グローバルサプライチェーンに影響も全く与えないということを明確に反論をさせていただきました。
報告を受けたところ、他の参加国、参加エコノミーからの発言は全くなかったということでございます。その上で、会合の議長、これはチリの外務省の局長さんが議長役をお務めでありますけれども、この議長から韓国の発言は残念であり、2国間の問題をAPECの場に持ち込むべきではないとの御発言があったということであります。至極妥当な議長としての御発言だというふうに思います。
いよいよ、これからバンコクでRCEPの閣僚会合もあるわけですけれども、韓国におかれては2国間の問題を多国間の、しかも大きな交渉の山場を迎えていて、非常に時間も貴重なRCEPにおいて発言されることがないように、私は希望したいというふうに思っています。

韓国産のフッ化水素

Q: 韓国のメーカーがフッ化水素の国産品の代替に成功したとの報道がありますけれども、それに関して、日本の物も使用されるとの見通しではありますが、長期的に見て日本企業への影響というのは。

A: 韓国の企業が何を開発したのかというのは、私もつぶさに理解しているわけではありません。いずれにせよ日本のフッ化水素というのは、国際的にその純度などで非常に評価が高く、代替不能と言われているのではないでしょうか。

北海道胆振東部地震による停電

Q: 9月6日で北海道胆振東部地震によるブラックアウトから1年となります。北海道電力は北本連系線の増強に取り組んできたほか、LNG火発も運開したことから、再発する可能性は低いと見ています。経産省としては、ブラックアウトを受けどのような取組を進めてきたのでしょうか。また、再発の可能性について世耕大臣のお考えをお聞かせください。

A: まず9月6日、もう1年近く経ったわけでありますけれども、9月6日の北海道胆振東部地震に伴って発生したブラックアウトにつきましては、その後、専門家による検証をしっかり行った上で、その結果を踏まえて、このような事態を繰り返さないための対策を打ってきたところであります。
具体的には、既に北海道電力において石狩湾LNG火力の活用前倒しですとか、北本連系線を60万キロワットから90万キロワットに増強するという対策を講じたところであります。北本連系線については、更にレジリエンスの強化という観点に加えて、北海道の再エネを本州に送電するという意義もありますので、更に30万キロワット増強する方針で、その費用負担の在り方などについて、今、有識者に御検討をいただいているところであります。
こういった対策を順次、打ってきておりますので、北海道で去年の9月6日と同じような事態が起こる可能性というのは極めて低くなったというふうに思いますし、更なる30万キロワットの増強ができれば、更に北海道の強靱性は増すものだというふうに思っています。
更に、去年の地震で非常に明らかになったのが、停電という中で情報提供の難しさであります。当然テレビが見れないという状況になる中で、やはりSNSを通じた情報発信というのは極めて重要だということが去年の地震で再確認されたというふうに思っています。また、復旧見通しといった情報提供も、やはり消費者の皆さんにとっては非常に重要だということもわかったわけであります。
電力事業者に対しては、災害が発生した際にはツイッターなどを活用して、こまめに迅速に情報発信をするよう要請をしたところでありますし、またその際には復旧見込みもしっかりと出していくよう要請したところであります。随分、改善が進んでいるというふうに思います。この間の豪雨のときも、関係した電力会社はツイッターで頻繁に情報発信をしておりました。大分、北海道の教訓を得て、電力事業者の情報発信といったところにも大きな変化があったというふうに考えています。今後も電力会社などとの関係者と連携をしながら、電力の安定供給の確保と災害時における積極的で丁寧な情報発信に、最大限取り組んでいきたいというふうに思います。

Q: ありがとうございます。今のお話でありました情報発信の在り方ですけれども、1年前のブラックアウトのときには、北電の発表よりも世耕大臣、またはエネ庁さんからの復旧状況などの発表の方が早かったという実態があったと思います。そのことについて改めて当時のことを踏まえて受け止めといいますか、いただければと思います。

A: 本来は、やはり電力事業者自身がしっかり発信するのが重要だと思います。ただ、去年の全道ブラックアウトという緊急事態の中で、北海道電力のツイッターをチェックしたら休止中という状況でしたから、これはやむを得ず私や経産省、フォロアーもそれなりに多いツイッターで、一応、情報として信頼を置いてもらえる情報源として発信をさせていただきました。ただ、その後、北海道電力も非常に頻繁にツイッターを活用されるようになっています。この間も経営トップから、ツイッター、自分もちゃんとやっていますという話も伺いましたので、大分、状況は変わったのではないかというふうに思っています。

キャッシュレス・消費者還元事業

Q: 消費者増税まで1カ月を切りましたということで御質問をさせてください。
キャッシュレス決済のポイント還元、申請件数が8月29日時点で約51万件、全国約200万件とされている対象事業者の約4分の1程度ということなんですけれども、この数字の受け止めをお聞きしたいというのが1点と、加盟件数、8月21日時点で18万件あまり、これ、大臣個人のお考えとして、10月1日のスタート時点で加盟件数が何件に行けば及第点か、その2点お願いします。

A: まず、登録申請数は昨日時点で約53万件であります。そもそも我々、これは全ての対象店舗が全部参加するとは想定しておりませんでした。予算を作るときに想定していた参加をする店舗数は、もうはるかに超えているというのが現状であります。そういう意味では順調に、今も1日1万件ずつぐらい増えてきていますので、申請は順調に進んでいるというふうに思います。
問題は審査であります。これ、結構大変なんですね。きちんと本当にある、営業していりお店かどうかとか、そういったことを一つ一つ確認しながら審査を進めております。この審査についても、決済事業者と協力をして迅速化に取り組んでいるところであります。
今週末には申請だけではなくて、審査を通過した加盟店をしっかり改めて公表をさせていただきたいというふうに思っています。特に、この審査に関しては、決済事業者と協力をして迅速化に取り組んでいるところでありますが、少なくとも、やっぱり審査には一定の時間が掛かります。しかも今、殺到している状況ですから、結構大変なんですけれども、9月6日までに決済事業者が必要な全ての情報、書類を不備なく提出をしていただければ、条件を満たす加盟店については、10月1日からポイント還元を開始できるように審査体制を整えているところであります。
何件で及第点というよりは、ともかく1件でも多く10月1日からしっかり始められるように、我々も審査を頑張りますけれども、登録する方、決済事業者もしっかり書類を整えていただくなど、協力をしていただければというふうに思っています。

以上

最終更新日:2019年9月4日