(令和元年6月4日(火)9:37 ~ 9:48 省内会見室)

【広報室】

会見の詳細

閣議等について

大臣:
冒頭、特にございません。

質疑

記者:
このところ、ひきこもりの方が関係する痛ましい事件が相次いでいます。いわゆる8050問題が顕在化する中で、厚生労働省として対策や今後に向けた課題認識等ございましたら教えてください。
大臣:
川崎市の事件や農水省の元事務次官による事件など、大変痛ましい事件が続いています。事件の詳細は現在捜査中であり、事実関係が明らかではありませんが、いずれにしても、安易にひきこもりなどと結びつけることは、厳に慎むべきものと考えています。その上で、一般論として申し上げれば、ひきこもり状態にある方への対策としては、個人の状況に寄り添い、きめ細かく支援しながら、社会とのつながりを回復することが重要だと考えています。具体的には、都道府県、政令市のひきこもり地域支援センターでは、年齢にかかわらず、ご本人やご家族からの電話や来所による相談、家庭への訪問支援を行っており、また、各自治体の生活困窮者自立支援の相談窓口でも、実際に経済的に困窮しているかどうかに関わらず、ひきこもりに関する相談に対応しており、まずは、それらの機関に相談してみていただきたいと思います。その上で、さらに先日、5月29日に発表した厚労省の氷河期対策プランでは、居場所づくりなど中高年者へのひきこもり支援策も盛り込んでおります。さらに、8050問題のように、社会的孤立や、家庭の中で様々な課題が複合化・複雑化している事例の存在が明らかになっており、このような問題に対応するために「断らない」、包括的な相談体制の構築や自らSOSを出すことが難しい世帯に、地域にいる周囲の人たちが気づき、相談につなげられるような地域づくりに取り組んでいるところであり、全国151自治体でモデル事業を展開しております。
記者:
認知症対策の大綱の件でお伺いします。数値目標の設置を取りやめるという報道がありましたが、事実関係をお願いします。
大臣:
認知症の政府大綱案については、5月16日に原案を示しました。その中で、KPI、目標として、「70歳代での発症を10年間で1歳遅らせる」としていました。これについて、認知症当事者の人たちから「頑張って予防に取り組んでいながら認知症になった人が落第者になって自信をなくしてしまう」などの意見や声をいただきました。これらを真摯に受け止め、「70歳代での発症を10年間で1歳遅らせる」こと自体をKPIや目標とするのではなくて、予防の取組みを行った、その結果としてそうなることを目指す旨、表現ぶりを修正することにしました。そもそも、認知症の予防の取組みを進めるにあたっては、認知症になっている人の尊厳を守り、認知症の人とそうでない人とが同じ社会でともに生きるという「共生」の基盤の上で進めることが大前提であります。また、予防についても、認知症は老化にともなって誰もがなり得るものであり、運動不足、生活習慣病、社会的孤立などの危険因子を避けることによって、認知症になることを遅らせること等ができることから、認知症の予防の定義として、今回の大綱案において、認知症にならないという意味ではなくて、認知症になるのを遅らせる、認知症になっても進行を緩やかにするという意味であることを明記しました。厚労省・政府としては、認知症の発症を遅らせ、認知症になっても希望をもって日常生活を過ごせる社会を目指し、認知症の人や家族の視点を重視しながら「共生」と「予防」を車の両輪として推進していきたいと考えております。
記者:
公立福生病院の人工透析治療に関する事案について伺います。治療を中止した女性が亡くなった問題について調査していた日本透析医学会が31日に声明を発表してその中で女性については透析終了の意思を表明していたとして、事案が意思が尊重されてよい事案と結論付けました。その上でさらに終末期患者に限って治療中止を容認している学会提言を見直す方針を示しましたが、大臣の受け止めをお願いいたします。
大臣:
5月31日に、日本透析医学会は、今お話がありましたが、福生病院で透析療法を終了して死亡に至った44歳の症例について、「臨床的諸事情を鑑みると、患者が自ら血液透析終了の意思を表明しており、その意思が尊重されてよい事案である」としました。今回の検討を踏まえて、日本透析医学会が2014年に公表した提言について、終末期でない患者さんの意思決定プロセスなどを追加して回答すべき時期に来ていると判断したこと、「透析の開始と継続に関する意思決定プロセスについての提言作成委員会」を立ち上げ、新たな提言を今年度中に作成すること等の日本透析医学会がステートメントを公表したと聞いております。厚生労働省としては、透析などの治療を受けている方々に対する医療のあり方について、今後の学会等での議論も含め様々な議論の動向を注視していきたいと思います。
記者:
先ほどの就職氷河期の話で、今日報道で非正規職員を30万人減らすという目標が出ておりましたけれども、今後骨太の方針の方でKPIを盛り込む予定になっていますが、議論をどういうふうに進めていくのか教えてください。KPIについてそういう報道が出ているのですが、事実関係及び今後議論をKPIのとりまとめに向けて、骨太のとりまとめに向けてどういうふうに進めていくのか教えてください。
大臣:
「骨太の方針」に盛り込む、就職氷河期世代の方々の活躍の場を更に拡げるための3年間の集中プログラムについては、4月10日の経済財政諮問会議において、総理から、茂木大臣をはじめとする関係閣僚とともに、この夏までにとりまとめる ようご指示があり、内閣府等と検討作業を進めております。厚労省は既にプランを策定して今私からの諮問会議の場において報告をしたところでありますが、5月31日の経済財政諮問会議では、私から「厚生労働省就職氷河期世代活躍支援プラン」をご説明したほか、同会議において、今年の骨太方針の骨子が示され、政府でとりまとめる「就職氷河期世代支援プログラム」についても重要な項目の一つとして示されたところであります。ご指摘の数値目標についても、この議論の過程で検討されているものと考えています。
記者:
冒頭の中高年のひきこもりの問題なのですけれども、安易にひきこもりとこうした事件を結びつけることを慎むべきということについてもう少し具体的にどのような懸念をお持ちなのかを教えてください。
大臣:
事件の詳細は現在捜査中であり事実関係が明らかではありませんが、今これについての意見が様々な方から表明されておりますけれども、要は安易に、この事案はいずれにしても事実関係が明らかではありませんが、安易にひきこもりなどと結びつけることは厳に慎むべきものと考えています。
 

(了)