日露外相・防衛閣僚会議「2+2」

【読売新聞 梁田記者】ロシアの関係なんですが,大臣,昨日は2+2,今日はラヴロフ外相とのバイ会談に臨まれたわけですけれども,一つは昨日の2+2の中でラヴロフ大臣はかなり米国に対して厳しい発言を冒頭でもされていました。また日本が進めているインド太平洋構想に関しても,少なくとも通訳で聞いている限りでは開かれていないという表現を使って,若干ネガティブなのかなと思われる反応を示していたのですが,そういった基本的な安全保障状況の認識が違うという状態をどのようにマネージするか,あるいは乗り越えていくかということについての大臣のお考えを伺えますか。
 もう一点は,今日の日露外相会談の中でラヴロフ大臣が終わってから,今度の首脳会談では共同経済活動の具体的な中身というものを出せればというふうに発言していると聞いております。具体的にそういった合意があったのかということと,大臣ご自身,人的交流ですとかいろいろな面での日露関係の深さというかに言及されていて,今度の首脳会談ではどういった成果が出せればいいというふうにお考えでしょうか。

【河野外務大臣】昨日の共同記者発表の中で,「開かれていない」というような通訳の発言があったのは私(大臣)も聞いております。世界情勢についての見方がすべて日本とロシアが一致しているわけではありませんが,自由で開かれたインド太平洋,あるいはそれに類する様々な各国の取組がいまございますが,インドネシアでの大使級の会合を含め,いろいろな場でそうした議論をしていこうということになっております。ロシアとも,この自由で開かれたインド太平洋構想について,意見交換を続けていきたいと思っているところでございます。
 二つ目は,首脳会談の成果について,今から何か申し上げるのは差し控えたいと思っておりますが,6月11日に,四島における共同経済活動の内容についてまた会合を行うことにしておりますし,双方の法的立場を害さない仕組みについて,双方クリエイティブに考えていこうということで,協議をしようと思っております。しっかり進められるように努力していきたいと思います。

【産経新聞 力武記者】今日の日露外相会談についてお聞きしたいんですけれども,共同記者発表でラヴロフ外相がロシア側のビザなし制度であるとか,あるいはサハリンと北海道のビザ撤廃の話とか,そういうことを日本側に申し入れているということに言及されていましたけれども,これについての日本側の立場というのはどのようなものなのかということとですね,共同経済活動の枠組みの中でこれをやっているとおっしゃっていましたけれども,そもそも共同経済活動の枠組みでやるべき話なのかということについての,大臣のご認識をお願いします。

【河野外務大臣】人の移動の議論というのを行っているところでございます。中身については差し控えたいと思います。まだ発表できるような合意にはなっておりませんので,中身については差し控えたいと思いますが,人の移動の枠組みについての協議というのは日露間で行っているところでございます。

北朝鮮情勢

【NHK 奥住記者】米朝首脳会談に向けて米国との交渉を担当していた,金革哲(キム・ヒョクチョル)氏が処刑されたという報道があります。これに対する受け止めと,今後の対米交渉への影響をどのようにお感じになるでしょうか。また,来週開かれるウランバートル会合で,日朝の接触を図る方針だと報じられています。この事実関係と,北朝鮮が来るか来ないかは別としても,マルチの会合の場で,前提条件をつけずに金正恩(キム・ジョンウン)委員長と会談を目指すんだという方針を発信するお考えはあるのでしょうか。

【河野外務大臣】金革哲氏のことに関する報道は承知しております。真偽を含め,情報をしっかり分析・確認をしたいと思っております。ちょっと今の時点で,北朝鮮の公式発表でもございませんので,それ以上のことを申し上げるのはあまり適当ではないかなというふうに思っております。
 ウランバートルの会議は,日本から毎年外務省から参加しているトラック2というのかトラック1.5というのか分かりませんが,そういう会議で,今年も外務省の人間が参加をすることになろうかと思います。それ以上,何がどうというのは特にございません。

【共同通信 福田記者】関連してもう1問なんですが,粛清の報道が出る一方で,李容浩(リ・ヨンホ)外相,崔善姫(チェ・ソンヒ)第一次官,外交当局者は引き続き,表舞台に立っています。こうした北朝鮮の外交当局者とは,今後も国際会議の場などで,会談を模索していかれるお考えでしょうか。

【河野外務大臣】李容浩さんとは,ASEANの外相関連会合,あるいは国連総会でお目にかかって話をしたこともございますので,今後,そういうことがあっても不思議ではないと思います。

日本人の氏名の英語表記

【時事通信 越後記者】日本語名のローマ字表記について伺います。大臣や柴山文科大臣が,姓・名での順での表記を主張されている一方で,安倍総理や菅官房長官が名・姓の順で使用されているという現状がございまして,政府内でちょっと今対応が違っていることについての御所感を伺いたいのと,今後,表記を統一すべきとお考えになるかお聞かせください。

【河野外務大臣】姓・名で統一されていれば,こういう話題にならないわけで,名・姓の順番でこれまで日本人の人名の表記が国際的に行われていたから,いまこういう状況になっているわけでございます。柴山文科大臣とはこの件について打ち合わせをしておりまして,まず省庁できちっと連携をしていかないとですね,こっちが「Kono Taroだ」と言っているのに,向こうは「Taro Asoだ」と言っていると,Taroというのは名前なのか姓なのか,ようわからんみたいなことになります。かつて,『エコノミスト』だったかなんか,Kono TaroとAso Taroの件で,混乱を生じたことがありました。そういうことがありますので,各省庁でまずしっかり連携をとっていかなきゃいかんというふうに思っておりますが,国語審の話がもう20年も前に出ておりますので,そこは柴山文科大臣と外務省としっかり連携しながらやっていきたいと思っています。

北朝鮮情勢

【共同通信 丹羽記者】北朝鮮のことに戻るんですけれども,先般,日本政府は北朝鮮が今月発射したミサイルについて,弾道ミサイルであって国連の制裁決議に違反だというふうにおっしゃっていますが,アメリカのトランプ大統領はそこについては言及しておらず,問題視していない姿勢を示しています。韓国政府の方も弾道ミサイルだというふうにははっきりと断言はしていないと思うんですけれども,こうした日米韓の発信の仕方の違い,これは今後の日米間の連携にどういった影響を与えるんでしょうか。

【河野外務大臣】日米は様々なレベルでこの話は連携しておりまして,9日の短距離弾道ミサイルは明確に安保理決議違反であるということ,それから安保理決議の完全な履行を進めていくと同時に,国際社会と連携して抜け穴をしっかり防いでいくということで一致をしておりまして,そこは何ら違いはありません。トランプ大統領は引き続き,この米朝プロセスを進めていこうという立場でいろんなことを発信されていると思っておりまして,その件についても特に日米で何か齟齬があるというふうには思っておりませんし,また韓国政府もこの安保理決議に完全に履行するというところで全くぶれはないというふうに思っておりますので,特に何か問題になっているという認識は持っておりません。

日本人の氏名の英語表記

【ジャパンタイムズ 吉田記者】さっきの姓と名の順番についてなんですが,1点は外務省内でもあまり議論が広く行われた感じがしないのと,菅さんも言われたように,文科省と外務省以外も特に議論がないような感じなんですが,政府内でも混乱しているというか,なぜ,その辺りは統一できないのかという話と,これは英語を使う人全般にかなり広く関係する話ですので,単に当然だということではなくて,もう少しこういう理屈でですね,こういうことをやったらこういいんだと,もう少し納得のある話がないと,コンピューターのシステムを全部変えるとか名刺を変えるとか,ものすごい作業になりますので,そこらへん,なぜこれはこういう理由で必要なんだと,まだピンとこないのですが,ただ,オリンピックがあるからではなくて,こういう利点があるから変えるべきだと,こういう議論はもう少しないかと思うんですが。

【河野外務大臣】日本人の名前を日本人の名前のとおりに発信するのは当然のことだと思っておりますが,このしばらくの間,明治以来,名・姓の順番で,英語で発信されてきたという現実がございます。これを日本人の名前に戻す際に,今おっしゃられたような様々やらなければいけない作業がありますので,そういうことを踏まえ,これからどのようにやっていくのかという議論をしていく必要があろうかと思いますので,それは国語審を抱えている文科省と外務省が中心になって,今どのように連携していくかという話をしているところでございます。しっかり齟齬のないように進めていかなければいかんと思っています。

【ジャパンタイムズ 吉田記者】根回しがあったのは文科省と外務省だけですか。連携しているのは,ここまでというのは。

【河野外務大臣】人の名前は全ての役所が使いますし,全ての地方自治体,全ての企業が人の名前は使っておりますから,最終的にはオールジャパンでやらなければいけない話だろうと思っております。