平成31年4月12日
農林水産省


農林水産省は、食品ロス削減に向けた小売事業者の納品期限緩和の取組等について公表します。

1.背景

食品ロスを削減するため、農林水産省は、補助事業にて製造業・卸売業・小売業の話合いの場となる「食品ロス削減のための商慣習検討ワーキングチーム」の設置を支援し、小売事業者の納品期限緩和等の商慣習の見直しを推進しています。商慣習の一つとして、賞味期間の1/3以内で小売店舗に納品する慣例、いわゆる「1/3ルール」があり、この「1/3ルール」のもとでは、賞味期間の1/3を超えて納品できなかったものは、賞味期限まで多くの日数を残すにも関わらず、行き場がなくなり廃棄となる可能性が高まります。このため、厳しい納品期限を緩和することは食品ロスの削減につながることが期待されます。納品期限緩和については、一定程度、取組の拡大が図られていますが、地方の食品スーパー等への拡大が今後の課題となっています。

2.取組状況

1.小売事業者における納品期限緩和

以下のように、小売事業者における納品期限緩和の取組は拡大しているところです。
これまで飲料及び賞味期間180日以上の菓子の納品期限緩和を推奨してきており、更に平成30年度食品ロス削減のための商慣習検討ワーキングチームのとりまとめにおいては、
(ア)購入後の消費が早いカップ麺について、飲料や菓子と同様に緩和を推奨、
(イ)家庭内で一定期間保管する袋麺やレトルト食品について、納品期限緩和を前提として小売り各社で検討
する品目としました。
他の品目についても、小売店舗や家庭における廃棄等の問題がないと思われる場合は、サプライチェーン全体での食品ロス削減を実現するため、各小売事業者において積極的に緩和に向けた検討を行うことが求められます。

(1)総合スーパー

社名 内容 開始時期 実施地域
イオンリテール株式会社 およびグループGMS6社*1 飲料(ドライ飲料、納品期限を3分の1→2分の1) 菓子(賞味期限180日以上、納品期限を3分の1→2分の1) イオンリテール(株)が2016年3月開始。以降、各社、順次開始(実施済み) 全店舗
株式会社イトーヨーカ堂 酒類(主要メーカー2社のビール、納品期限を製造後1か月→3か月) 2012年2月 全店舗
飲料(ドライ飲料、納品期限を3分の1→2分の1、販売期限を賞味期限6分の4残し→6分の1残し) 2013年9月 全店舗
菓子(賞味期限180日以上、納品期限を3分の1→2分の1、販売期限を賞味期限6分の4残し→6分の1残し)
カップ麺、袋麺(納品期限を3分の1→2分の1) 2019年4月 以降緩和予定  
ユニー株式会社 飲料(主要メーカー5社のドライ飲料、納品期限を3分の1→2分の1) 2013年10月 中京2センターの管轄店舗
PB(納品期限を3分の1→2分の1)
株式会社イズミ 加工食品・飲料・菓子等(賞味期限150日以上で納品期限を45%、150日以内で40%) 2010年 全店舗
輸入品等(納品期限を50%)

※1イオングループGMS6社:イオンリテールストア株式会社、イオン北海道株式会社、イオン九州株式会社、イオンストア九州株式会社、イオン琉球株式会社、イオンスーパーセンター株式会社

(2)食品スーパー、ドラッグストア

社名 内容 開始時期 実施地域
マックスバリュ8社*1 飲料(ドライ飲料、納品期限を3分の1→2分の1) イオンリテール(株)が2016年3月開始。以降、各社、順次開始 全店舗
菓子(賞味期限180日以上、納品期限を3分の1→2分の1)
株式会社サッポロドラッグストアー 飲料(ドライ飲料、納品期限を3分の1→2分の1) 2019年1月 全店舗
菓子(賞味期限180日以上、納品期限を3分の1→2分の1)
生活協同組合コープさっぽろ 加工食品・飲料・菓子等(賞味期限60日以上、納品期限を3分の1→2分の1) 2016年4月 全店舗
株式会社ヨークベニマル 飲料(ドライ飲料、納品期限を3分の1→2分の1) 2018年3月 全店舗
菓子(賞味期限180日以上、納品期限を3分の1→2分の1)
株式会社大阪屋ショップ 加工食品・飲料・菓子等(賞味期限180日以上、納品期限を3分の1→2分の1) 2005年時点で実施済 全店舗
カスミ株式会社 飲料(ドライ飲料、納品期限を3分の1→2分の1) 2017年1月 全店舗
菓子(賞味期限180日以上、納品期限を3分の1→2分の1)
株式会社ヤオコー 加工食品・飲料等の常温加工食品(米、菓子、酒類を除く。納品期限を3分の1→2分の1) 2019年4月開始 全店舗
生活協同組合コープデリ連合会 加工食品・飲料・菓子等(賞味期限180日以上、納品期限を3分の1→2分の1) 2018年1月 全店舗
株式会社ヨークマート 酒類(主要メーカー2社のビール、納品期限を製造後1か月→3か月) 2013年9月 全店舗
飲料(ドライ飲料、納品期限を3分の1→2分の1、販売期限を6分の4→6分の1) 2013年9月 全店舗
菓子(賞味期限180日以上、納品期限を3分の1→2分の1、販売期限を6分の4→6分の1)
株式会社東急ストア 飲料(主要メーカー5社のドライ飲料、納品期限を3分の1→2分の1) 2013年8月 全店舗
アコレ株式会社 飲料(ドライ飲料、納品期限を3分の1→2分の1) 2019年3月 全店舗
菓子(賞味期限180日以上、納品期限を3分の1→2分の1)
イオンビッグ株式会社 飲料(ドライ飲料、納品期限を3分の1→2分の1) 2019年9月中に緩和完了予定  
菓子(賞味期限180日以上、納品期限を3分の1→2分の1)
株式会社山陽マルナカ 飲料(ドライ飲料、納品期限を3分の1→2分の1) 2016年4月 全店舗
菓子(賞味期限180日以上、納品期限を3分の1→2分の1)
株式会社レッドキャベツ 飲料(ドライ飲料、納品期限を3分の1→2分の1) 飲料2018年3月 全店舗
菓子(賞味期限180日以上、納品期限を3分の1→2分の1) 菓子2019年2月

※1マックスバリュ8社:マックスバリュ北海道株式会社、マックスバリュ東北株式会社、マックスバリュ南東北株式会社(菓子は納品期限延長実施済。飲料は、2019年4月1日より納品期限延長実施予定)、マックスバリュ中部株式会社、マックスバリュ北陸株式会社、マックスバリュ西日本株式会社、マックスバリュ長野株式会社(ベンダー1社を除き完了)、マックスバリュ九州株式会社

(3)コンビニエンスストア

社名 内容 開始時期 実施地域
株式会社セイコーマート 加工食品・飲料・菓子(賞味期限180日以上)・カップ麺等(納品期限を2分の1で運用) 2011年6月 全店舗
ミニストップ株式会社 飲料(ドライ飲料、納品期限を3分の1→2分の1) 2016年9月 全店舗
菓子(賞味期限180日以上、納品期限を3分の1→2分の1) 2018年6月
株式会社セブン-イレブン・ジャパン 飲料(ドライ飲料、納品期限を3分の1→2分の1) 2014年11月 全店舗
菓子(賞味期限180日以上、納品期限を3分の1→2分の1)
カップ麺(納品期限を3分の1→2分の1) 2019年8月
株式会社ファミリーマート 飲料(ドライ飲料、納品期限を3分の1→2分の1) 2015年4月 全店舗
菓子(賞味期限180日以上、納品期限を3分の1→2分の1) 2017年11月
カップ麺(納品期限を3分の1→2分の1) 2019年3月
国分グローサーズチェーン株式会社 飲料(ドライ飲料、納品期限を3分の1→2分の1) 2018年8月 全店舗
菓子(賞味期限180日以上、納品期限を3分の1→2分の1) 2019年10月
カップ麺(納品期限を3分の1→2分の1) 2019年10月
山崎製パン株式会社 デイリーヤマザキ事業統括本部 飲料(ドライ飲料、納品期限を3分の1→2分の1) 2015年4月 全店舗
カップ麺(納品期限を3分の1→2分の1) 2019年3月
株式会社ローソン 飲料(ドライ飲料、納品期限を3分の1→2分の1) 2015年4月 全店舗
菓子(賞味期限180日以上、納品期限を3分の1→2分の1) 2017年9月
カップ麺(納品期限を3分の1→2分の1) 2019年10月
株式会社ポプラ 飲料(ドライ飲料、納品期限を3分の1→2分の1) 2016年4月 全店舗
菓子(賞味期限180日以上、納品期限を3分の1→2分の1) 2017年9月
カップ麺(納品期限を3分の1→2分の1) 2019年10月

ワーキングチーム事務局(公益財団法人流通経済研究所)調べ。平成31年3月末時点調べ

【参考】取組企業の年間売上業態別シェア(2017年度決算状況等により算出)
総合スーパー:10社シェア81%※1
食品スーパー:19社シェア16%※2
コンビニエンスストア:8社シェア93%※3
※1 主要16社のうちの食品売上高のシェアを算出
※2 食品スーパー971社のうちの19社の食品売上高のシェアを算出
※3 コンビニ全体のうちの8社の総販売額のシェアを算出

2.汎用物流センターでの実証実験

複数の小売事業者が、物流センターを共有している場合、物流センター段階での納品期限は最も厳しい小売事業者と合わせることとなるため、納品期限緩和には汎用物流センターを活用している全ての小売事業者の協力が必要となります。
このため、事業者に御協力いただき、汎用物流センター及び全ての小売店への納品期限を緩和し、その効果を検証しております。
本年8月まで実証実験を行った後、汎用物流センターや小売店での廃棄の状況等を検証し、結果を公表する予定です。

3.専用物流センター経由の場合の納品期限の在り方

小売事業者が納品期限を緩和した際、その効果を発揮するためには専用物流センターでも以下の取組が必要となります。
(ア)小売業者が店舗納品期限を緩和した場合には、その緩和幅に合わせて、当該小売業の専用物流センターはメーカーからの入荷期限を緩和する。
(イ)小売業者が店舗納品期限を緩和した場合、その情報をメーカーにも通達し、情報共有を徹底する。

4.今後の取組

以上の結果を踏まえ、今後は地域の食品スーパー等に納品期限緩和の取組を拡大し、食品ロスの削減を進めていきます。
特に汎用物流センターを活用している小売業者においては、汎用物流センターを活用するすべての事業者が納品期限を緩和しない限り、その効果が発揮できないことから、積極的な取組が求められます。

(参考)
平成30年度食品ロス削減のための商慣習検討WT加工食品検討会とりまとめ(公益財団法人流通経済研究所)
http://www.dei.or.jp/foodloss/pdf/190220_03.pdf(PDF:1,774KB、外部リンク)

お問合せ先

食料産業局バイオマス循環資源課食品産業環境対策室

担当者:野島、齋藤
代表:03-3502-8111(内線4319)
ダイヤルイン:03-6744-2066
FAX番号:03-6738-6552

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