平成31年3月26日(火曜日)
9時31分~9時50分
於:記者会見室

冒頭発言

おはようございます。
今日は、私から4点御報告があります。

JICの運営体制等に関する基本的考え方

まず1つ目は、本日、JIC、産業革新投資機構の運営体制等に関する経済産業省としての基本的考え方を公表することといたしました。
これまで第三者諮問会合を始め、多くの専門家の御意見を頂いてきたところでありますが、今後はこれを土台として経営陣の選定を進めていきたいと考えています。

コンビニ調査結果の概要と今後の方針

2点目であります。

24日で締め切りましたコンビニ調査を速報として取りまとめました。そうしたところ、オーナーの満足度の低下や人手不足の深刻化などが確認をされました。これは、もう今や国民にとって、ある種、生活のインフラとなっているコンビニエンスストアの持続性等の観点から、これは問題であると考えまして、私とコンビニ大手4社、この4社で、店舗数ベースで9割以上を占めることになりますが、このコンビニ大手4社の経営トップの皆さんと直接、意見交換の場を設けて、各社に行動計画の策定を求めてまいりたいと思います。

また、有識者を交えて、コンビニのオーナーやユーザーの声を聞くとともに、各社の行動計画のフォローアップ調査も行いたいというふうに思っております。

プレミアム“キャッシュレス”フライデー

3点目であります。

29日にプレミアムキャッシュレスフライデーとして、当日15時から18時に限定をしたポイント還元の拡充など、各社が一斉にキャッシュレスキャンペーンを行います。これを機に、プレミアムフライデーとキャッシュレスの更なる普及が実現することを期待したいと思います。

なお、今、私が申し上げた3点については、この後、事務方から詳細についてブリーフをさせたいと思います。

独立行政法人理事長の人事

4点目でありますが、本日の閣議におきまして、経済産業省所管の独立行政法人のうち、工業所有権情報・研修館理事長を含め、4法人の理事長の人事について、了解をされましたので、4月1日付で任命をいたします。
詳しくは資料を配布することになっておりますので、御参照いただきたいと思います。

私からは以上です。

質疑応答

原発で発電する電力会社に対する補助制度

Q:一部報道で、原発に関してなんですけれども、温室効果ガス対策を名目に電力会社にメリットを与える制度を検討しているとの報道がありました。売電価格に一定の価格を上乗せするということですけれども、経産省で実際に検討されている事実はあるのかということが1点と、関連しまして、エネルギーを取り巻く環境の変化から、民間企業である電力会社が原発に投資が難しくなりつつあるというのは指摘されておりますけれども、大臣として、原発関連産業を維持するために、そういった補助するような政策が必要と考えているのかどうか、御所見お願いします。

A:幹事社としての御質問にお答えしたいと思いますが、原子力については徹底した省エネ・再エネの最大限の導入に取り組んで、原発依存度を可能な限り低減するということが政府の一貫した方針であります。その方針のバックとなっているコスト計算等についても、今、何か変化があるわけではありません。

その上で、先日の報道について申し上げますと、経済産業省が原子力を補助する制度を検討している、との報道であったわけですが、そのようなことを検討している事実はありませんということに尽きます。

JICの運営体制等

Q:JICにつきまして、人選については大臣が当初目指していました年度末を迎えますけれども、人選についてどのくらいを見通していらっしゃるか、時期、そして、その時期までにどういったことを念頭に人選を進められていくか、改めてお願いします。

A:あとで報告書を見ていただくと分かりますけれども、このJICの経営陣に求められるような資質ですとか、あるいはJICの経営陣がチームとして、どういう役割を果たすべきかですとか、あるいはどういった形で業績評価が行われ、それに基づいて報酬が決められるべきかといったことに関して、かなり精緻に書き込まれているところであります。

今後は、それにしっかり基づいて慎重に人選を進めたい。前回の反省もあります。履歴書だけ見てゴーサインということではなくて、その基本的考え方も、ちゃんと御納得いただけるのかどうかといったことも含めて慎重にやっていきたい。スケジュールありきではなく、拙速にならないようにやっていきたいと思っています。

ただ、他方で、いつまでもこのJICが実質的に、JIC本体の方が機能停止をしているというのはよろしくありませんので、あまり時間をかけ過ぎることがないようにと、この両方の考え方で人選を進めていきたいというふうに思っています。

 

Q:目標とされている時期とか、その辺は。

A:ですから、スケジュールありきではありませんが、きちっと基本的な考え方に基づいて、慎重な人選をできるだけ早く進めていきたいと思っています。

 

Q:JICの関係で、事務方の御説明、あるかとは思うんですけれども、総括的なコメントを今頂くことは可能ですか。総括としてのコメントを。

A:民間出身の取締役の皆さんが、1回、退任をされるというような事態になりました。これは、一旦、報酬案ととられるようなものを我々がお示しをしたというような、我々としての事務的失態が原因でありまして、そのことについては深く反省をしています。

ただ、そのことを機に、もう一度JICの在り方について白紙に戻って徹底的に専門家と議論をして、そしてJICの在り方、経営陣の選び方、評価の仕方、そして報酬の在り方ということについて、かなり詰めた報告書をまとめることができたというふうに思っております。
ちょっと時間は掛かりましたけれども、立ち止まってよく考えることができたことは、ある意味、ピンチをチャンスに変えることにもつながったというふうに思っています。

今後はこれに基づいて、しっかりとした人選を慎重に、かつ、できるだけ早く進めたいと思っています。

 

Q:これは、官民ファンドの在り方として、今後に役に立つような見方になるんでしょうか。

A:基本的には、これはJICに関する基本的な考え方であります。ただ、御意見を頂いた有識者の方々には、これは官邸の、官民ファンドをチェックしているメンバーもいらっしゃいますから、そういった方々を通じて、今後の官民ファンドの在り方の議論に資することがあればいいというふうに期待をしております。

コンビニ調査結果

Q:コンビニに関して、先ほど大臣がおっしゃったことについて、もう少し詳しくお伺いしたいんですけれども、4社の経営トップとお話しされるということなんですけれども、具体的な時期と、あと行動計画の策定を求められるということなんですが、それは例えば時短のことなのか、無人化のことなのか、何か方向性がありましたらお願いいたします。

A:まず、経営者の皆さんとは、できるだけ早いタイミングでお会いをしたいというふうに思っています。

まずは、意見交換を、しっかりとさせていただきたいと思いますし、行動計画については、今回、極めて簡易なアンケート調査をやっていますが、それからも、例えば人材不足の点ですとか、あるいは満足度が著しく低下をしているとか、いろいろな問題が出てきておりますので、そのアンケートをベースにして、行動計画の作成を要請したいというふうに思っています。

 

Q:是正する方向での行動を求める…。

A:それぞれ経営者として、どうお考えになるかということでありますけれども、実際、店舗のオーナーの声が、かなり厳しいものになっているということを踏まえて、やはり社会の基盤の一つであるコンビニ経営者として、どういう改善をしていただくかということを行動計画にまとめていただきたい、そういう点をお願いしたいと思います。

MOX燃料再処理

Q:第二再処理工場の件なんですけれども、九州電力が4月からの価格改定で電気料金に第二工場の分も費用を盛り込む方針ですけれども、まあ、制度に基づいたものとは思いますが、消費者に説明がないという指摘もありますが、その点大臣としてお考えを。

A:それは、御指摘のは共同通信の報道だと思いますけれども、まず、今の御質問にお答えする前に申し上げますと、共同通信は、まず昨年9月に、このMOXの再処理について、事実上、MOX再処理を断念とか、資金面での根拠を失ったという記事を配信されているわけですが、まず今、御質問の、費用を電気料金に上乗せをするという報道でありますけれども、その報道と昨年の記事との整合性が全くないわけでありまして、今回のような、MOX再処理のための費用を電気料金で回収をしている、という記事を出すのであれば、昨年の記事を、まずは訂正をされるのが当然であると考えておりまして、改めて訂正を求めたいというふうに思います。

その上で、今の御質問にお答えをいたしますと、MOXの再処理分の費用を電気料金で回収をしているということについては、これはもう既に2016年の法改正時点で明確になっておりまして、公表もされております。
電力自由化が進んでいく中でも、このMOX再処理が滞ってしまうことがないように、必要な資金を将来にわたって安定的に確保する体制を整えるというのが、この2016年の拠出法の目的であります。

したがって、この拠出金法では、全ての使用済燃料が拠出金制度の対象となったわけであります。この点は、審議会の議論においても、経緯等を含め明確になっているわけであります。

また、料金回収については、法改正に伴って、料金を算定するための規則を改正しておりまして、国の規制下にある小売電気料金の原価に拠出金を含めることができることを明記をしているわけであります。

この規則改正(注)については、パブリックコメントの手続もしっかりと行われておりまして、そういったことを経て実施をされているわけであります。

したがって、MOX再処理のための費用を電気料金で回収していることについては、何ら問題はないというふうに思っています。

共同通信さんにおかれては、こういった制度については我々にしっかり取材をしてもらうなり、過去の経緯を調べていただければ、極めて事実関係は明確になるわけでありまして、そういったことをせずに、こういった報道がなされているということは、大変残念だというふうに思っています。

キャッシュレス・消費者還元事業

Q:キャッシュレスのポイント還元について、お伺いします。
近く予算も通るかなという感じなんですけれども、このタイミングで、やっぱりどうしても、大臣も国会でもおっしゃっていますが、なかなか消費なので読みにくいですよねというのがあって、いつ予算が切れるんじゃないかという不安はあると思うんですけれども、このタイミングで、やっぱり9カ月ずっと続けますという担保が欲しいんですけれども、その辺のコメントについて。

A:まず、この予算計上に当たっての考え方としては、マクロ統計や決済事業者等への聞き取りなど、現時点でできる限り入手可能な情報に基づいて試算を行っておりまして、今回の事業を実施するに当たって十分と考えられる額を措置していますが、なにしろ消費者の行動に関するものでありますし、全く初めての取組でありますので、当然、上振れのリスクもあれば、一方で全然、盛り上がらずに下振れのリスクもあるというふうに思っております。

まずは、きっちりモニタリングを、しっかりやっていきたいというふうに思っています。その上で金額がどれぐらい出ているのか、またそのことが消費税による消費の変動対策に資しているのかどうか、あるいはキャッシュレスの普及ということで効果が出ているのかどうか、そういったことをできるだけきめ細やかに、何カ月も放っておくんではなくて、もう最初の段階からしっかりモニタリングをしながら、よく、まず状況を見ていきたいと思いますし、仮に予算額が上振れをして不足するということが明確になる、そういう事態になった場合は、これは財政当局ともよく相談をし、また、そのモニタリングの結果、出てきた政策としての効果の状況なども勘案しながら、そのとき改めて判断をしていきたいというふうに思っています。

電力・ガス自由化

Q:電力の小売自由化から間もなく3年、ガス2年を迎えますけれども、現状について大臣はどう受け止めて、評価されていらっしゃるのでしょうか。また、今後の課題についてどういうふうに考えていらっしゃいますでしょうか。ありましたら、お願いします。

A:電力・ガスの新規参入者による供給は、小売全面自由化以降、着実に伸びてきておりまして、2018年12月時点で、全体の販売量に占める割合は、新電力が14.8%、そしてガスの新規小売事業者は12.8%に到達をしています。

こういった競争の拡大によって、事業者は創意工夫に富んだ、さまざまな料金メニューやサービスを提供して、需要家は、それをニーズに応じて選択できるようになってきています。

また、更に地域や業種の垣根を越えた事業者の合従連衡も現れてきているという意味で、市場環境、競争環境に着実に変化が生まれてきているというふうに考えています。

一方で、競争はこれで十分かというと、必ずしも十分ではない面があると思っています。今後は特に、競争の恩典を地方にまで行き届くように、更に環境を整えていくといった課題も残っていると考えています。

2020年には、発送電分離が予定をされておりまして、ネットワーク部門の中立性・公平性の向上を通じた更なる競争の活性化が期待をされます。

同時に、エネルギー基本計画にもありますとおり、安定供給の確保ですとか、地球温暖化目標の達成等の観点から、投資環境の整備など、必要な政策対応を、しっかりと進めてまいりたいと思っています。

MOX燃料再処理

Q:先ほど何点か御指摘を頂いたので、質問の前にその御回答を申し上げますが、昨年の記事に関してですけれども、御指摘のような、お金を集めるのをやめたというようなことは書いておりません。

前回の記事では、第一、いわゆる六ヶ所の再処理工場と第二再処理工場分の区分がなくなったという点について指摘をした記事です。
それと、今回の記事については、十分な説明もないままに電気料金で回収が始まっている、という点を指摘していまして、整合性が全くないというものではないというふうに考えております。

それともう一点、制度について、よく確認や取材をしないまま記事を書いているという御指摘ですけれども、十分に確認をした上で記事を書いておりますので、誤解のないようにお願いします。

その上で質問なんですが、今回こういった形で十分に消費者に制度というか、消費者に料金回収を始めるということが説明されないまま料金に上乗せが始まったということについて、経産大臣としてどのようにお考えでしょうか。

A:今おっしゃっていることは全く違います。前の記事は、完全に資金面での根拠を失った、とおっしゃったわけであります。記事にそう書いてありますよ。区分がなくなった、なんて全く書いていないですよ。我々はちゃんと積み立て、機構に積み立てるという制度をきっちり作って、逆にMOX再処理の費用を確実に確保できるようにしているわけであります。そういったことを全く触れずに、再処理断念、資金面での根拠を失った、そういうふうに字が書いてあるわけです。字が書いてあるんです。区分経理とか、そういうことを何も述べておりません。資金面での根拠を失った、という記事が書いてあるわけであります。

今回もはっきり言って、これ2016年の法改正で明確になっているわけであります。パブリックコメントも取らせていただいております。全て公表した情報に基づいて行っているということであります。

(以 上)

(注)実際の発言は「規制改正」でしたが、正確には「規則改正」のため、上記のとおり修正しました。

最終更新日:2019年3月27日