1. 1 本26日(現地時間同日),ミャンマー連邦共和国の首都ネーピードーにおいて,丸山市郎駐ミャンマー大使と各国際機関代表者との間で,無償資金協力以下5件(供与総額37億円)に関する交換公文の署名が行われました。

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    (1)ラカイン州,カチン州及びシャン州北部における人道状況への対応計画(3件分合計供与額:22億円)
     ミャンマー・ラカイン州北部のマウンドーにおいて,2017年8月25日にアラカン・ロヒンジャ救世軍(ARSA)による治安部隊襲撃事件が発生し,同襲撃をきっかけに多数の避難民が発生し,治安情勢が急激に悪化しました。この襲撃事件に端を発する人道危機的状況により,約70万人が避難民としてバングラデシュに流出し,国内避難民や住民も,長引く避難生活や,著しく経済活動等が停滞した生活環境の中,栄養,保健衛生,住環境は悪化しており,更に,バングラデシュに流出した避難民の本格帰還が始まれば,それら避難民への人道・開発支援も必要になります。
     
     また,カチン州・シャン州北部では,昨今,国軍と少数民族武装勢力との衝突が激化し,9月15日付けの国連人道問題調整事務所(UNOCHA)の発表によると,両州で約10万人の国内避難民が厳しい環境下にあり,人道状況は急激に悪化しています。そのため,状況に即した人道上必要な食糧,保健,栄養及び水・衛生等に資する支援が死活的に重要な状況にあります。
     この計画は,国際連合世界食糧計画(WFP),国際連合児童基金(UNICEF),国際連合人口基金(UNFPA)の3機関を通して,ラカイン州で治安部隊襲撃事件の影響を受けた住民やコミュニティ,及びカチン州・シャン州北部での国軍と少数民族武装勢力との衝突の影響を受けた国内避難民に対し,食料配給(3州合計住民約30万人が裨益),児童教育(3州合計児童約4万人が裨益)及びモバイルクリニックなどによる基礎保健サービス提供(3州合計女性約5万4千人が裨益)など各国際機関がニーズに即応した支援を実施することで,当該地域の安定化と生活環境の改善に向けたミャンマー政府の取組の推進に寄与するものです。

    (2)ラカイン州における人道支援及び開発支援計画(2件分供与額:15億円)
     2018年6月,国連難民高等弁務官事務所(UNHCR),国連開発計画(UNDP)及びミャンマー政府が,バングラデシュからの避難民の受入を支援するための三者間の覚書を締結し,同年9月,この覚書に基づき,UNHCR及びUNDPは特に被害が大きいラカイン州北部に残留しているコミュニティを対象に,支援のニーズ調査を開始しました。UNHCR及びUNDPは一部地域での調査を終え,支援ニーズに即応する事業(Quick Impact Project (QIP))案を策定しています。
     この計画は,UNDP及びUNHCRを通して,ラカイン州で発生した襲撃事件以降,バングラデシュに流出した避難民の帰還に向けた環境整備のために,紛争影響地に残留している住民や国内避難民に対し,国内避難民(IDP)キャンプでの生活物資の供与(約11万人が裨益),女性への農業技術などの職業訓練(約750人が直接裨益),既存シェルターの修復などの支援を実施するとともに,避難民が元々居住していた地域での調査や必要な基礎インフラの整備などを通じて,生活環境整備,避難民受入に向けたミャンマー政府の取組の推進に寄与するものです。