平成31年1月11日(金曜日)
10時08分~10時19分
於:記者会見室

冒頭発言

ちょっと遅くなりましたが、新年明けましておめでとうございます。本年もどうぞよくお願いいたします。

中東出張

まず、私から1点申し上げたいと思います。
今日、帰ってきたばかりではありますが、明日、12日土曜日から16日水曜日まで、アラブ首長国連邦及びイスラエルに出張をいたします。
アラブ首長国連邦では、アブダビで開催される再生可能エネルギーの国際展示会でありますワールド・フューチャー・エナジー・サミットに出席をするとともに、エネルギー分野を含め、経済関係全般について、特に大きな権益が昨年、延長されたことも踏まえて、UAEの政府要人等と意見交換を行う予定であります。
またイスラエルでは、日・イスラエル経済イノベーション政策対話と日・イスラエル・イノベーション・ネットワークの総会等に出席をして、デジタルヘルス等の有望分野を始めとした両国の企業間連携の推進を働きかけてまいります。日本企業関係者も同行していただく予定になっております。
私からは以上です。

質疑応答

米アップル業績不振の影響

Q:アップルの業績不振が関連企業にも影響を及ぼしておりますけれども、電子部品メーカーを中心とした日本の産業界の業績への影響に関して、大臣の見解を教えてください。

A:確かに、スマホの需要というのはある程度サチってきているというか、コモディティ化しているという面もありますし、また逆に一部の製品は非常に高価になって、かなり購買層も限られてくるというような、スマホをめぐる大きな変化が出ているのは事実だというふうに思っています。
しかし、一方で日本の主要な電子部品メーカーからヒアリングをしたところによりますと、スマホ分野全体で需要が今後減っていくということは、ある程度織り込まれていて、その一方で、電動化が進む自動車の分野ですとか、新たな成長分野に力を入れていく方針の企業が多いというふうに聞いております。CESを見てきたわけでありますけれども、そこでの展示などを見ていても、生活、健康とか自動車、あるいは製造業の現場といったあらゆる分野でIoT化が進んで、新たな製品の需要が生まれつつあるということを確信いたしました。そういった中で、電子部品はスマホ以外のところでも非常に重要な部品でありまして、事業者は個社や一時的景況に振り回されることなく、今後着実な成功が見込まれる分野に注力していただくことで、引き続き成長していただくことを期待をしているところであります。
政府としてもあらゆる施策を総動員して、しっかりと後押しをしていきたいと思っています。

韓国の徴用工に関する最高裁判決

Q:韓国の徴用工をめぐる最高裁判決をめぐって、昨日文大統領が発言されていましたけれども、日本政府でも対応措置を検討されていると思いますが、経済産業省で検討されていることがありましたらお願いいたします。

A:本件については、昨年10月、韓国大法院判決以来、韓国政府に対して、国際法違反の状態を是正することを含め、適切な措置を講ずることを求めてきたわけであります。しかし、現在に至るまで韓国政府による具体的な対応は採られていません。そのような中で、原告側による日本企業の財産差し押さえの動きは、極めて遺憾だというふうに思っています。
この件に関しては、総理からの御指示も踏まえて、政府一丸となって万全の対応を採る必要があります。経済産業省としても、関係省庁と緊密に連携をして、具体的な措置の検討を行ってまいりたいというふうに思います。

Q:具体的な措置というのは、何か御紹介いただけますか。

A:それはまだ手の内を示すことになりますから、申し上げるわけにはいきません。

経団連中西会長の発言

Q:原発についてなのですけれども、経団連の中西会長が年頭会見で、国民の反対が強い中で、ベンダーとして原発をつくることはできないというふうに述べていまして、原発を続けたければ、一般公開で国民的な議論が必要だという認識を示されましたけれども、大臣の受け止めと見解を教えてください。

A:原子力政策を進める上で、国民理解が重要だと、これは政府のスタンスでありますし、中西会長もそういう文脈で国民の理解の重要性についておっしゃったのだというふうに思います。私も理解が必要という点では、全く同じ考えであります。
経済産業省としても、これまでも例えばエネルギー基本計画を策定する際には、公開で、審議会を始め様々な御意見をお聞きするということもやってまいりました。あるいはホームページ上でも分かりやすい情報発信に努めるなど、原子力政策に関する国民理解を得るための取組を進めてきているところであります。
ただ、国民理解というのには、これは終わりはありませんし、中西会長も御指摘のように、現時点で国民理解が十分かというと、必ずしもそうではないというふうに思います。さらに国民理解が深まるよう、不断の努力を続けていきたいと考えていまして、中西会長を始め、経団連の皆さんともしっかり協力をしながら、どういうやり方があるのかということを検討していきたいというふうに思います。
いずれにしても、資源に乏しい日本にとって、安定で安価な電力の供給、そして気候変動問題への対応、エネルギーの海外依存度低減といった視点から考えれば、責任あるエネルギー政策を実行していくためには、原子力は欠かすことができないと、これが政府の方針でありまして、この点をしっかりと国民に御理解をいただく努力は続けていかなければいけないと思っています。

Q:新たな議論の場が必要だという認識はお持ちでしょうか。

A:これはいろいろな方法があるのだろうというふうに思っています。今、我々はこういう方法がいいという考え方はありませんけれども、不断の国民理解の努力は続けていく必要があると思っています。

日立の英国原発建設計画

Q:日立の英国での原発建設計画について伺いたいのですが、先ほど日英首脳会談後の記者会見でメイ首相が、今後については企業の事業上の判断になるとおっしゃいました。それに関する受け止めと、日本政府としてや経済産業省としてどのように日立の事業を見守っていかれますか。

A:英国の原発建設プロジェクトについては、現在、日立など、関係者で議論がされているわけでありまして、経済産業省としては、引き続きそれを見守っていきたいというふうに思っています。
メイ首相の発言は、原発建設プロジェクトについては、事業者が原子力をめぐる事業環境や各社の経営事情等を踏まえ、適切に判断すべきものという、これは当たり前のことをおっしゃったということに尽きるのではないかと思います。

トルコ訪問と原発建設計画、毎月勤労統計

Q:中東訪問の関係で、恐らく一時期トルコの訪問も検討されていたと思うのですが、それが取りやめになった理由を教えてください。それに関連してなのですけれども、現状のシノップのステータスについて、コメント等があったら教えてください。
それから、厚生労働省の方で毎月勤労統計のいいかげんな統計の手法が発覚したのですけれども、経済産業省内でそういう同じような事例があれば、あるいは調査されているかどうかという点について教えていただけますか。

A:まず、トルコの話でありますけれども、いずれにしてもこれは訪問することを決めていたわけではありません。結局、成立はしなかったわけであります。これは成立しなかったことについて、少し外交上のやりとりをつまびらかにすることは、控えさせていただきたいというふうに思っています。原発の案件だけではなくて、トルコとはいろいろと話し合うべき案件もたくさんありますので、できる限りどこかのタイミングで、また訪問はしたいというふうに思っております。
また、トルコにおける原発プロジェクトについては、これは今、民間事業者とトルコ政府の間で議論が行われているのだろうというふうに思っております。
あと厚労省と同様の件がないかというお話ですが、毎月勤労統計というのは厚労省が出すものでありますので、そういう意味で類似の案件というのは、経産省の中にはないわけであります。しかし、一方で当然、毎月勤労統計の見直しが行われれば、経産省の中で人事、人件費関係のいろいろな所管制度があるわけでありますから、何らかの影響は出てくるのだろうと思いますが、その点については現在、調査中でありまして、対応が必要であれば、しっかりと対応していかなければいけないと思っています。

韓国の徴用工に関する最高裁判決

Q:先ほどの日韓の絡みで、徴用工をめぐる裁判の影響、日韓関係悪化という状況に陥っていると思いますが、日本企業の例えば事業の投資とか、その辺にも影響も懸念されるところだと思いますが、その辺について、大臣の受け止めをお聞かせください。

A:こういう、一度決まったこと、国際法上のルール、これが守られないというようなことになれば、やはり日本企業が韓国におけるビジネス環境に関して懸念を持つことになるのではないかというふうに思います。そのことは、韓国経済にとっても決していいことではない。日本にとってもいいことではないわけでありますから、韓国政府においては、適切な判断をいただきたいというふうに思っています。

以上

最終更新日:2019年1月15日