1. 1 本21日,インドの首都ニューデリーにおいて,我が方平松賢司駐インド大使と先方C・S・モハパトラ財務省経済局次官補(Dr. C. S. Mohapatra, Additional Secretary, Department of Economic Affairs, Ministry of Finance, Government of India)との間で,総額1,054億9,700万円を限度とする円借款3件に関する書簡の交換が行われました。

    2 対象案件の概要

    (1)慢性的な交通渋滞が深刻なチェンナイ都市圏における地下鉄建設に融資
     (円借款「チェンナイ地下鉄建設計画(フェーズ2)(第一期)」,供与限度額755億1,900万円
     この計画は,インド政府がタミル・ナド州のチェンナイ都市圏において,地下鉄を建設するために同政府に融資するものです。これにより,2029年(事業完成2年後)には,整備区間のうち3号線のマドハヴァラム・ミルク・コロニー駅からショリンガナルール駅間(約36.0キロメートル)の1日あたりの乗降者数は約33万人,所要時間は現在自動車では約2時間14分のところ約1時間8分となり,整備区間のうち5号線のマドハヴァラム・ミルク・コロニー駅からチェンナイ・モフシル・バス・テルミヌス駅間(約16.0キロメートル)の1日あたりの乗降者数は約76万人,所要時間は現在自動車では約46分のところ約30分となる見込みで,地域経済の発展及び都市環境の改善に寄与することが期待されます。

    (2)インドにおける酪農農家の所得向上のための支援に融資
     (円借款「酪農開発計画」,供与限度額149億7,800万円
     この計画は,インド政府が農業農民福祉省,全国酪農開発機構及びJICAが合意する複数の事業対象州において,農家の近代的流通網へのアクセス改善,乳業機材及び流通インフラの整備,酪農協同組合の能力強化を行うために同政府に融資するものです。これにより,15万人の酪農農家が酪農協同組合に新たに加盟し,近代化された乳業バリューチェーンによって農家の販売先が拡大される見込みで,乳及び乳製品の販売量の向上を図り,もって酪農農家所得の向上に寄与することが期待されます。

    (3)インドにおけるSDGsに関する各種政策・制度構築に融資
     (円借款「インドにおける持続可能な開発目標に向けた日印協力行動に関するプログラム」,供与限度額150億円
     この計画は,インド政府がインドにおける持続可能な開発目標(SDGs)に関する各種政策の枠組みや実施体制の強化支援を行うための借款を供与することにより,同国の社会開発分野におけるSDGsの推進を図り,もって2030年のSDGs達成に貢献するものです。これにより,例えば,開発の遅れている地域において,適切な検診を受ける妊産婦の割合を2016年度末の64%から2019年度末に75%に向上,十分な量の飲料水が供給される人口の割合を2016年度末の82%から2019年度末に90%に向上させるといった,社会開発分野におけるインドの取組を支援します。

    3 供与条件

    (1)上記2(1)

    ア  金利 年0.2%(コンサルティングサービス部分は年0.01%)
    イ  償還期間 40年(12年の据置期間を含む。)
    ウ  調達条件 タイド

    (2)上記2(2)

    ア  金利 年0.85%(コンサルティングサービス部分は年0.01%)
    イ  償還期間 15年(5年の据置期間を含む。)
    ウ  調達条件 一般アンタイド

    (3)上記2(3)

    ア  金利 年1.45%
    イ  償還期間 30年(10年の据置期間を含む。)
    ウ  調達条件 一般アンタイド

    [参考]インド基礎データ
     インドは,面積約329万平方キロメートル(日本の約8.7倍),人口13億3,900万人(2017年,世界銀行),人口1人当たりの国民総所得(GNI)1,820米ドル(2017年,世界銀行)。