(H30.12.14(金)11:19 ~ 11:47 省内会見室)

【広報室】

会見の詳細

閣議等について

大臣:
私の方から、冒頭二点申し上げます。一つは、「防災・減災、国土強靱化のための3か年緊急対策」における水道に関する緊急対策についてであります。本日、閣議に先立ち、「重要インフラの緊急点検に関する関係閣僚会議」が開催され、「防災・減災、国土強靱化のための3か年緊急対策」の案が決定されました。そして、その後の閣議において、閣議決定されました。これは、国民の生活・経済に欠かせない重要インフラの緊急点検結果等を踏まえ、それらの機能維持等の観点から、特に緊急に実施すべき対策を3年間で集中的に実施することとし、取りまとめたものであります。このうち、特に水道関係については、次のような緊急対策を講じることとしています。被災した場合、大規模な断水のおそれが高い浄水場等について、自家発電設備の設置や浸水防止対策等を講じること、基幹となる水道管路の更新を加速し、耐震化を進めること。この水道に関する緊急対策については、今後3年間の事業規模として、5,000億円程度を見込んでおります。今回の緊急対策を踏まえ、水道の施設整備や耐震化のための予算の確保に努め、先の臨時国会で成立した改正水道法と予算の両輪で、水道の基盤強化に万全を期してまいります。
次に、妊婦加算についてであります。妊婦加算について、厚生労働大臣として、改めてこの加算の趣旨に立ち返り、医療保険制度や診療報酬体系の中での妊婦加算の在り方について考えてみました。少し長くなりますが、大事な話なのでお聞きいただきたいと思います。妊婦の方が安心して子どもを産み・育てられる社会を築いていくことは、極めて重要であると考えています。このため、これまで妊婦の方への支援として、年金保険料の免除、妊産婦健診への助成を行うなど負担の軽減を行うほか、「子育て世代包括支援センター」の設置を進めています。このような中で、妊婦の方の外来診療については、胎児への影響に配慮した薬剤の選択が必要である、エックス線やCTの撮影が困難な場合があるなど、通常よりも慎重な対応や胎児への配慮が必要ですが、中にはこうした診療に積極的でない医療機関も存在しておりました。例えば、熱を出して内科を受診した妊婦の方が、産婦人科を受診するよう勧められたことや処方された薬が安全か否かを確認するため、産婦人科の主治医の受診を促されたといった事例です。妊婦加算は、こうした問題や、日本産科婦人科学会などからの要望を踏まえ、通常よりも丁寧な診療を評価する観点から、平成30年度診療報酬改定において新設したものです。これにより、妊婦の方の診療に積極的な医療機関を増やし、妊婦の方がより一層安心して医療を受けられる体制の構築につながることを期待しておりました。しかしながら、この妊婦加算については、十分な説明がないまま、妊婦加算が行われている、コンタクトレンズの処方など妊婦と関係ない場合であっても、妊婦加算が適用されているといった運用上の問題が指摘されました。さらに、加算そのものの在り方についても、結果的に妊婦であることによって自己負担が増えることになり、少子化対策に逆行するのではないかなど、様々な指摘があり、このたび与党からも、見直しに関するご意見をいただきました。妊婦の方がより一層安心して医療を受けられるようにするという、妊婦加算が目指すものは依然として重要だと考えています。しかしながら、それを実現する手段として、妊婦加算という仕組みが適当であったかどうか、改めて考えてみる必要がある、と考えるに至りました。例えば、妊婦であるというだけで一律に自己負担が増えるかのような仕組みが適当なのか、運用を厳格化するだけで国民の理解が得られるか、改めて議論が必要です。妊婦の方への丁寧な診療を診療報酬で評価する場合、どうしても妊婦の方の自己負担が増えることになります。ご納得いただくためには、通常よりも丁寧な診療が妊婦の方に見えて、実感できる仕組みとしていくことが必要になるということではないかと考えます。また、「妊婦加算」といった名前についても、再考する必要があるのではないかと考えます。あくまでも私の個人的な思いですが、例えば、「妊婦安心加算」あるいは「妊婦安心“”診療“加算」といった名称も考えられるのではないでしょうか。以上を踏まえ、妊婦の方への診療に熱心に携わっていただいている医療関係者のみなさまには申し訳ありませんが、妊婦加算については、いったん凍結することとし、妊婦の方に対する診療の在り方について、有識者も含めてご議論いただいた上で、妊婦加算の在り方について、改めて中央社会保険医療協議会で議論してもらうこととしたいと考えております。妊婦の方が安心して子どもを産み、育てられる社会を築くために、安心な医療を納得して受けられる仕組みとなるよう、厚生労働省として全力で取り組んでまいります。私からは、以上です。

質疑

記者:
まず、一点、受動喫煙対策を強化する改正健康増進法に関連して伺います。先日の専門委員会で、面積に関係なく複数階ある施設では2階以上のフロア全体を喫煙室とみなすことを認める案がまとまりました。本来必要とされていた密閉された喫煙室を作らなくても良いため、選択肢が増えることにもなります。骨抜きではないかという声もありますが、大臣の受け止めを教えてください。
大臣:
11日の専門委員会において、いわゆる「フロア分煙」もできることが取りまとめられたところでありますが、客席100㎡を超える飲食店においては、法律上、喫煙専用室以外では喫煙できないこととしており、フロアを分けたとしても飲食等をしながら喫煙ができるようになるものではありません。したがって、望まない受動喫煙を防ぐという法律の趣旨や内容を逸脱するような取扱いではないと考えています。
記者:
もう一点、妊婦加算について二つお伺いします。妊婦や胎児に配慮した診療を広める趣旨で、今年の4月に導入しましたけれども、約9ヶ月で停止、凍結予定ということになります。この加算を導入したことについて正しい政策判断だったと現在考えていらっしゃるのかを教えてください。また、加算を停止するというとになると、妊婦や胎児に配慮した診療を広めるということに対しての影響が考えられると思いますが、これについてどう思われていますか。
大臣:
今のご質問については、私は冒頭でお答えしていると思います。
記者:
加算を導入したことについては、当時は正しいという判断だったということでしょうか。
大臣:
どうして妊婦加算を導入したか、それは私がすでに申し上げた通りであります。細かい具体的な話はもう一回繰り返しは避けますが、妊婦の方がより一層安心して医療を受けられるようにするという妊婦加算が目指すものは依然として私は重要だと考えております。しかしながら、それを実現する手段として妊婦加算という仕組みが適当であったかどうか、これは改めて考える必要があると考えています。
記者:
妊婦加算についてですが、今年の中医協への諮問はいつ頃されるのかということと、その前に先ほど有識者会議というお話もありましたが、今後のスケジュールについて教えてください。
大臣:
まず、中央社会保険医療協議会、これは速やかに対応したいと思っております。それから、有識者会議も含めて別途検討の場を設けることとしたいと思いますが、その具体的な時期やメンバーについては今後速やかに検討していきたいと思います。
記者:
別件ですが、先ほど自民党の医療ワーキングが開かれて、医療保険の適切な運用に向けた提言をまとめました。健康保険の被扶養者について、原則国内居住予定とするですとか、なりすまし受診対策で医療機関がそういう判断をした場合に、保険証以外で本人確認書類の提示を求めることができるとするような内容ですが、この提言を受けて厚労省としてどのように対応していくお考えか教えてください。
大臣:
被扶養者の保険適用の問題については、繰り返し私もお答えしてまいりましたが、適切な検討をしたいと思っています。  
記者:
妊婦加算についてですが、いったん凍結ということですが、凍結の開始の時期と凍結を再来年の診療報酬改定までする予定なのか、その間に医療機関への何か手当というのは決定するのかどうか教えてください。
大臣:
私が先ほど丁寧に申し上げたように、妊婦加算についてはいったん凍結することとしますが、これからのプロセスについては先ほど申し上げたように速やかに対応していきたいと思っております。
記者:
もう一点、後期高齢者医療制度で保険料を軽減する特例措置を来年10月に段階的に廃止する見通しとなりましたが、厚労省の後期高齢者の医療制度で負担増につながらないかどうか、見解をお願いします。
大臣:
後期高齢者医療の保険料については、本則で7割軽減ということが規定されています。平成20年以来、予算措置として更なる軽減の上乗せを実施してきました。この軽減措置の上乗せ分に関する見直しについては、平成2812月の社会保障制度改革推進本部決定において、「低所得者に対する介護保険料軽減の拡充や年金生活者支援給付金の支給とあわせて実施すること」とされており、既に政府としての方針が平成2810月に決定されていたものであります。ただし、軽減措置の上乗せ分の見直しに当たっては、低所得の方に対してできる限り配慮した案を昨日の厚生労働部会でお示ししたところであります。具体的には、現行の9割軽減の対象となる低所得の方は、介護保険料の軽減強化や年金生活者支援給付金が支給され、実質的には負担増とならない方であり、来年10月より本則の7割軽減に戻すことになります。また、現行の8.5割軽減の対象となる低所得の方については、年金生活者支援給付金等の支給がされないといったことなどを踏まえ、来年度は、本年度と同様に8.5割軽減を維持する、といった方向で、政府部内での最終調整を進めています。いずれにしても、今回の見直しは、軽減措置の特例的な上乗せについての見直しを行うものであること、保険料軽減特例の対象となる低所得の方にとって、介護保険料軽減の拡充や年金生活者支援給付金の支給とあわせて実質的な負担増とならないような形で見直しを行うというものであることを丁寧に説明していきたいと思います。
記者:
障害者雇用の件でお伺いしたいのですけれども、現時点で2019年、再来年末までに4,000人雇用するという計画を示していると思うのですけれども、一方でその計画の達成期限を少し延長するという話も出ておりますが、今の検討状況について教えてください。
大臣:
報道のような事実はありません。障害者雇用促進法においては、法定雇用率を達成していない公的機関は、法定雇用率の達成に向けた障害者採用計画を作らなければならないとされています。その計画期間は、関係法令により1年間とされています。まずは関係法令に沿って取組を開始して、進捗状況や課題について関係閣僚会議等でフォローアップしながら、政府一体となって取り組んでいきたいと思います。
記者:
妊婦加算の件で伺いたいのですが、一般の方とか政治家の方が行政に対して色々ご意見を言うというのは当然のことで、それそのものは構わないのですけれども、今回の凍結をする行政としてのプロセスがいささか唐突感があるというか十分に検討されたのか、昨日の自民党の部会に出された資料から今日一転して凍結ということになってますので、そこら辺の行政としてのプロセスの適正さについてのご見解をお伺いしたいと思います。
大臣:
私はその意味で今回冒頭を丁寧にお話をしました。私の考え方に尽きていると思います。様々な意見がありましたし、妊婦加算の制度の趣旨についても十分に浸透されていませんし、先ほどのところの繰り返しになりますが、妊婦加算については、考え方は妊婦の方が安心して子供を産み育てる社会を築いていくことこれは極めて重要だと考えています。そして妊婦の方への支援として年金保険料の免除や妊産婦検診への助成を行うなど負担の軽減を行うほか、「子育て世代包括支援センター」の設置を進めてきました。そして、妊婦の方の外来診療については、胎児への影響に配慮して薬剤の選択が必要である、あるいはエックス線やCTの撮影が困難な場合があるなど、通常よりも慎重な対応や胎児への配慮が必要であります。こうした中でこのような診療に積極的でない医療機関が存在していた。そこで例えば、熱を出して内科を受診した妊婦の方が、産婦人科を受診するよう勧められた、あるいは処方された薬が安全か否かを確認するため、産婦人科の主治医の受診を促された、そういう事例が生じた。妊婦加算はこのような問題や日本産科婦人科学会などからの要望を踏まえ、趣旨は通常よりも丁寧な診療を評価する観点から、平成30年度診療報酬改定において新設いたしました。この妊婦加算については、我々は妊婦の方がより一層安心して医療を受けられる体制の構築につながるものと期待していました。ただ、この妊婦加算についてはもう繰り返しは避けますが運用上の問題が指摘されました。様々な指摘があり与党からも見直しに関するご意見をいただきました。私は妊婦の方がより一層安心して医療を受けられるようにするという妊婦加算が目指しているものは依然として重要だと考えております。しかしながらこれを実現する手段として妊婦加算という仕組みが適当であったかどうか改めて考える必要があると考えるにいたりました。例えば妊婦であるというだけで一律に自己負担が増えるかのような仕組みが適当なのか、運用を厳格化するだけで国民の理解が得られるか、改めて議論が必要だと考えました。そして、妊婦の方への丁寧な診療を診療報酬で評価する場合、どうしても妊婦の方の自己負担が増えることになる。ご納得いただくためには、通常よりも丁寧な診療が妊婦の方の目に見えて、実感できる仕組みとしていくことが必要になるのではないかと考えています。また、「妊婦加算」といった名前についても、再考する必要があるのではないかと思っています。これは先ほど申し上げましたが、私の個人的な思いとしては趣旨をはっきりより込めるのであれば「妊婦“安心”加算」あるいは「妊婦“安心”“診療”加算」といった名称も考えられるのではないかと思っています。
記者:
大臣のお考えはよくわかるのですけれども要するに行政としてきちんと積み上げるべきプロセスを本来踏んでいるのかどうかというそこのところで疑問を感じておりまして。
大臣:
行政のプロセスというのは、これを責任を持って担っている厚生労働省として色々議論をして内部での検討をして、今私が申し上げましたような考え方でここはいったん、これは妊婦の方への診療に熱心にかかわっていただくべき医療関係者の皆様には申し訳ないと思いますが、妊婦加算についてはいったん凍結することとして、そして妊婦の方に対する診療の在り方について有識者も含めてご議論いただいた上で妊婦加算の在り方について改めて中央社会保険医療協議会において議論してもらいたいと思っています。我々は幅広く意見を聞いてこの妊婦加算の趣旨や課題、問題も踏まえてより納得して安心な医療を受けられるような仕組みを作り上げていきたいということでしっかりと対応していきたいと思います。
記者:
妊婦加算の重要な点なのでメドだけでもお示ししていただけるとありがたいのですけれども、このいったん凍結というのはこれは何日ぐらいから凍結が始まるのでしょうか。
大臣:
いったん凍結するためには手続きが必要ですので速やかにプロセスに入りたいと思います。
記者:
月内とか。
大臣:
速やかに対応したいと思います。     
記者:
先ほどのたばこの件で大臣の答弁がよくわからなかったのですけれども、要は100㎡以上がフロア分煙を認めないということをおっしゃったのでしょうか。
大臣:
これは考え方を多少詳しく申し上げますが、いわゆるフロア分煙が行われる具体例が二通りある。一つは客席100㎡以下の小規模飲食店。これは中小企業が運営する店舗に限ります。そしてここは原則は例えば3階建ての飲食店であって、1階から3階までの客席面積の合計が100㎡以下である場合、店内の全体を喫煙可能とできますが、その場合は、店内全体に20歳未満の者は立ち入り禁止となるこれが原則。そしてフロア分煙をした場合、これは1階、2階を禁煙、3階を喫煙とした場合には、禁煙フロアである1階、2階これは20歳未満の者が立ち入りできるようになる。これによって喫煙者の客と子供連れの客の双方を取り込むことができる。もう一つ、客席100㎡以上の飲食店。これは原則は紙巻たばこが吸える喫煙室内では飲食はできない、加熱式たばこのみ吸える喫煙室内では飲食も可能。そしてフロア分煙をした場合には3階建ての飲食店において1階、2階を禁煙、3階を喫煙とした場合、3階では飲食をしながら加熱式たばこ喫煙が可能になるということで、こういう考え方については、きちんと丁寧にわかりやすく行政としてこれから対応していきたいと思います。
記者:
その話を聞いていると加熱式たばこを吸いながら飲食するというのはそんなに健康影響がないと考えているように聞こえるのですけれども。
大臣:
この話は様々有識者を含めて検討して健康への影響のことも含めて判断して法律にしっかり制度として導入してますから、それぞれの方からそれぞれの意見があったとは思いますが、我々この法律を作る過程でも様々な意見を聞きながら対応してきていますから、これは今回の受動喫煙に関する制度、この制度についてしっかりと適切に我々運用していきたいと思います。
 
 

(了)