法務省：上川法務大臣が，カナダ及びメキシコ合衆国を訪問しました。

カナダ連邦議会前にて

（１） 首都オタワにおいて，実質１日半の滞在の間，アレグザンダー市民権・移民大臣，マッケイ司法大臣，ブレイニー公共安全・緊急事態準備大臣と会談したほか，ナショナル・ターゲッティング・センター（ＮＴＣ）を視察しました。
（２） それぞれの会談では，上川大臣から，これまでの日本とカナダ両国の良好な関係を確認するととともに，司法分野をはじめ様々な分野での協力関係が更に前進することを期待する旨が述べられました。
（３） アレグザンダー市民権・移民大臣との間では，カナダにおける移民政策・多文化主義の長い歴史や，移民政策に関して１９６７年からポイント制を導入した後も，改良を繰り返している状況などについて，詳細な説明を受けるとともに，貴重な意見交換ができました。
（４） マッケイ司法大臣との間では，テロ対策や犯罪被害者等施策について，日本とカナダのそれぞれの最近の取組に関する意見交換を行いましたが，日本の犯罪被害者等施策についての説明は先方にとっても貴重な内容であったようで，高い評価を受けました。
（５） ブレイニー公共安全・緊急事態準備大臣との間では，カナダでもテロ事件が発生し，深刻な問題となっていることを踏まえ，より一層のテロ対策を進めている現状について丁寧な説明を受けるとともに，この分野については，特に国際的な連携協力が不可欠であり，日本・カナダ相互の協力を進めていく必要があるとの認識を共有しました。
（６） ナショナル・ターゲッティング・センター（ＮＴＣ）については，ハイリスク者等の水際での阻止のため，国内関係機関の情報を集約するとともに，アメリカとの情報共有等も行い，先進的な情報分析を実施していること等について説明を受けました。

メキシコ大統領主催晩さん会会場

（１） ユカタン半島の地リヴィエラ・マヤに実質２日半滞在し，招待を受けた「第１０回世界経済フォーラム・ラテンアメリカ会合２０１５」に出席し，３つのセッションに参加するとともに，ペニャ・ニエト・メキシコ大統領を始めとする各国閣僚等多数の要人との面談を行いました。
（２） ラテンアメリカの持続的発展の観点から将来的な社会や国家の安全について議論するため，低い犯罪率，確固たる司法制度を実現した日本の経験を参考にしたいという主催者側の要望を踏まえ，上川大臣は，セッション参加や面談を通じて，社会の安全・安心の確保が経済発展のために不可欠な基盤であり，信頼される司法制度や法執行機関の存在，法遵守の文化，加えて教育がとても重要であることと，日本のこれらの面における優れた経験がラテンアメリカにとっても参考になるであろうことを説明したところ，日本の治安の良さに対する驚きとともに，その背景について共感が得られました。
（３） 社会における女性のリーダーシップに関するセッションに出席した際には，日本とラテンアメリカとでは，女性は家にいるべきものといったような共通のステレオタイプ的イメージが依然として存在するなど，似たような状況にあることを相互認識するとともに，上川大臣からは日本の最近の取組（ウィメノミクス）について説明し，参加者の理解と共感が得られました。
（４） 会議やレセプションなどを通じて，ペニャ・ニエト　メキシコ大統領のほか，ルイス＝マシュー　メキシコ観光大臣やバイアルディ　パラグアイ女性大臣など南米各国の閣僚やシュワブ世界経済フォーラム会長，モレノ米州開発銀行総裁を含む多数の要人と親密な関係を結ぶことができ，ラテンアメリカにとって，その治安確保や安定のために，日本の法務行政が貴重な助言や情報を提供し，連携協力を行っていくことのできる存在であるとの共通認識のもとに，今後の緊密な関係を築いていく素地の開拓ができました。