冒頭発言

(1)カンボジア若手政治関係者の訪日

【河野外務大臣】カンボジアの若手政治関係者が10名,12月2日から8日まで我が国の招へいにより訪日いたします。
 今年の10月8日に実施した,日カンボジア首脳会談で一致したカンボジアへのガバナンス支援策を具体化したものでございます。
 一行は,「日本の複数政党制民主主義」をテーマに,東京都内で講義を聴講したり,衆議院の見学をしたり,茨城県で選挙実務を視察したりということになります。
 私(大臣)も3日に,一行の表敬を受けてお目にかかる予定にしております。
 こうした訪日を通じて,カンボジアの次世代を担う若手政治家・政治関係者が,複数政党制民主主義についての見識を深め,自国の民主的発展に向けた参考とすることを期待したいと思っております。
 メンバーの中には様々な方が,与党人民党,旧救国党,野党その他のメンバーが参加してくれることになっております。

(2)ODA有識者懇談会による提言提出

【河野外務大臣】28日にODAに関する有識者懇談会からの提言を頂戴いたしました。
 戦後,難民・避難民の数が最高になるなど,人道危機が国際的にも広がっている中で,これまでのドナー国の公的資金のみによる対応では,限界があると思っております。
 革新的な資金調達メカニズムというものを国際的に,やっぱり議論していかなくてはならないと思いますが,それと同時に,国内でもODAの実施主体を多様化していく必要があると思いますし,アフリカなどODAだけでなく日本の民間投資を求めている,そういう中にあって,あまり硬直的な実施体制はいかがなものかと思っておりましたので,提言の内容をしっかりと受け止めて議論し,予算にも反映をしていきたいと思っているところでございます。

(3)日韓交流

【河野外務大臣】日韓の姉妹都市の中で,昨今の出来事を受けて交流を中止する動きが散見されますが,政府間が問題を抱えているからと言って国民交流を閉ざす必要はありませんし,むしろ,だからこそやっていただかなければいけないわけですので,是非,国民交流あるいは姉妹都市,スポーツ・文化の交流,関係者皆様には,しっかりと交流を続けていただきたいと思っているところでございます。
 韓国政府の対応を待っているところでございますが,こうした交流を中止するような案件が見られ始めましたので,韓国政府には速やかに対応を取っていただくように期待をしたいと思います。

旧朝鮮半島出身労働者に係る韓国大法院判決関連

【時事通信 越後記者】韓国の,いわゆる徴用工の大法院判決について伺いますけれども,韓国の国内では日韓の両政府あるいは両国の企業が一緒になって,財団を作って補償に当てようというような案が浮上していますけれども,あるいは日本からは企業のみが参加という案が出ていますけれども,これは日本として一考に値する内容でしょうか。

【河野外務大臣】そうした提案を私(大臣)は聞いておりません。

【時事通信 越後記者】もし,仮に提案があった場合にはいかがですか。

【河野外務大臣】まだ提案を聞いておりませんので,お答えしようがございません。

G20における米露首脳会談の中止

【朝日新聞 清宮記者】3点お伺いしたいのですが,まずG20での米露首脳会談について,トランプ大統領がウクライナの問題を受けて中止を発表しました。それについての受け止めをお願いします。関連して,このロシアがウクライナ艦船を拿捕して緊張が高まっていますが,この問題についての大臣の立場,受け止めをお願いします。
 別件なんですが,秋篠宮様が記者会見で大嘗祭について,公費を使うことに疑問視されましたが,これについて受け止めがあればお願いします。

【河野外務大臣】大嘗祭については,外務省,所管外でございますのでお答えをする立場にございません。
 ウクライナの問題につきましては,早期に沈静化されることを日本として期待したいと思います。
 また他国間の会合について,日本政府が何か申し上げる立場にもございません。

旧朝鮮半島出身労働者に係る韓国大法院判決関連

【NHK 奥住記者】韓国の話に戻るんですけれども,大法院の判決を受けて,日本企業の資産が韓国で差し押さえられた場合に,対抗措置として日本国内の韓国側の資産を差し押さえる検討に入ったというような報道がございますけれども,なかなか手の内を明かせないという面もあるとは思いますが,こういったことは検討されているのか,事実関係をお願いします。

【河野外務大臣】韓国政府がそんなことにならないように,早期に措置を取られるものと思っております。

【産経新聞 力武記者】同じく大法院の判決についてなんですけれども,昨日,判決が出た後に日本側も韓国の駐日大使を呼んで抗議されたりしてますけれども,同じ日に,要するに昨日,韓国の方でも日本の関係者の発言が過激だということで,長嶺大使が呼ばれて抗議を受けたりしているようですけれども,何となくお互いのやっていること,主張がかみ合ってないような感じが拭えないでんですけれども,こちら側というか,日本側の主張,今回のこうした事態の深刻さとか,日本側の主張がどれ程向こうに,きちんと受け止められているかということについては,大臣はどのように思われてますでしょうか。

【河野外務大臣】当方の大使が,呼ばれて抗議を受けたというのは事実誤認でございます。大使は,日本側からのメッセージを伝えに韓国外交部へ行きました。日本側の問題意識あるいは様々な考え方は,韓国政府,よく理解をしていただいていると思っております。

海洋プラスチック憲章

【共同通信 福田記者】海洋プラスチックごみについて伺います。今年6月のG7首脳会議で,プラスチック製品をなくすのを目指す海洋プラスチック憲章に日本は署名しませんでした。日本政府として,今後,この問題についてどのように取り組んでいくのか,お考えをお聞かせください。

【河野外務大臣】海洋プラスチックごみは地球規模課題の一つで,最近,特にクローズアップされてきております。来年のG20などの場でもこれをしっかり採り上げて,議論するということにしていきたいと思っております。

ODA有識者懇談会による提言提出

【読売新聞 梁田記者】ODAの有識者懇談会の関係で,まず冒頭ご発言があったんですけれども,人道危機が広がっているというところのご認識になってましたが,これから実施主体を多様化していくという中,主に民間が政府の資金を持って活動する分野というのは,そういった人道に関する部分というのがメインになるというふうなご認識でしょうか,またその方向に沿って,これからODAの政策を組み立てていきたいというお考えでしょうか。まず最初にその点を伺います。

【河野外務大臣】すみません。もしそのように受け取られたとしたら,ちょっと私の説明に難があったのかなと。第二次世界大戦後,難民・避難民の数が右肩上がりで増え,今や7千万人という数字になり,恐らく今後も増えていくことが容易に予想される中で,SDGsを達成するためには,毎年2兆5千億ドル,これはいろんな試算がありますから試算の一つでございますが,)の資金ギャップがあると言われている中で,この資金ギャップをODAなどの各国政府の拠出する公的資金で賄うのは,(これは不可能と言ってもよろしいのではないかと私は認識をしておりまして,この資金ギャップの中で,特に人道危機に対応する部分については,少しクリエイティブな資金調達方法を考えていく必要があるし,国際的な議論を一刻も早く始めるべきだと様々な国際会議で主張してきておりまして,その一つの対応策として,為替取引に国際連帯税をかけるということを日本として提案をしてきたわけでございます。この問題については国際的な場でしっかりと議論をする必要があるというのがまず一つでございます。
 それともう一つはODA,日本のODAを実施する実施主体を多様化していく必要があるのではないかというのが,もう一つの問題意識でございまして,今度の有識者懇談会の中では,それについても精力的にご議論をいただいて提言をいただいたということでございまして,すみません,ちょっと混乱があったとしたらお詫び申し上げたいと思います。

重要文化財等保存・修復プロジェクト

【読売新聞 梁田記者】自社の関わっている事業のことを伺って大変恐縮なんですけれども,昨日,弊社と宮内庁,文化庁で重要文化財等の保存・修復,それから展示を来年大規模に行うというプロジェクト,「紡ぐ」というプロジェクトを発表させていただきました。この中で一つ特徴がそういった修復した文化財をデジタル化して,ポータルサイトにおいて発信するということなんですけれども,特に海外に向けて日本の魅力を発信するという意味で,外務大臣として期待なさることとか,お感じになることがあればお願いいたします。

【河野外務大臣】どちらかと言うと,文化庁にお聞きいただくべきものだろうとは思いますが,ジャポニズム展をやったり,あるいはジャパンハウスで様々な日本文化の発信をしたり,あるいは重要文化財というわけではございませんが,アニメや漫画を始め,日本の文化に対する国際的な関心が高まっているということを考えれば,日本の様々な文化に国際的にいろんな人に触れていただくというのは大事だろうと思いますので,是非頑張ってください。

日仏首脳会談

【日経新聞 林記者】日仏関係について伺いたいんですけれども,フランスのマクロン大統領が安倍首相との会談を要請しているという報道がありましたが,要請されているという事実はあるんでしょうか。あとそれに関連して,今後,政府間で日産・ルノーの提携問題が議題になる可能性はありますでしょうか。

【河野外務大臣】どの国から首脳会談の申し出があるかなどなど,外交上のやり取りについては対外的には公表を差し控えたいと思います。後段のことについては,経済産業省にお尋ねいただきたいと思います。

米中関係

【共同通信 斉藤記者】米中関係と日本政府の対応についてお伺いをします。G20では,トランプ大統領と習近平国家主席の会談に今注目が集まっています。現在の米中関係,米中対立,大臣はどういうふうに受け止められているのか,そして日本政府としてこの米中の間でどのように舵を取って,どのように米中関係改善に向けて知恵を出し協力できるのかについて,ご認識をお伺いしたいと思います。

【河野外務大臣】米中対立というと,様々な側面があると思いますが,G20に関連してのお尋ねでございますから,特に経済関係,貿易関係について申し上げますと,世界第1,第2の経済国がこのように貿易で対立が激しくなるというのは,サプライチェーンがグローバル化している今日,どのような影響が出てくるのかというのは,これはなかなか企業も気付いてみたら巻き込まれていた,当事者だったということがあり得るのだろうと思いますので,この影響をはっきりと認識できないまま問題に巻き込まれるということにもなりかねないと思いまして,ここは米中に冷静な対応を求めていきたいと思っております。
 日本はこうした貿易に関してはWTOの枠組みの中で,きちんと問題が解決されるべきだと考えております。もちろんWTOがデジタル経済ですとか,eコマースですとか,そうしたWTOの現代化が必要だというのはそのとおりだと思いますが,それはそれで一生懸命WTO改革をやる一方,米中両国には冷静な対応を求めていきたいと思います。