「ただ今の御決議への所信を申し述べます。
 11月29日、北朝鮮が新型とみられるICBM級のミサイルの発射を強行したことは、国際社会の平和的解決への強い思いを踏みにじるものです。北朝鮮が再びこのような暴挙を行ったことは、断じて容認できません。
 我が国は、直ちに北朝鮮に対し厳重に抗議し、米国、韓国と共に安保理緊急会合の開催を要請しました。今回のミサイル発射は、累次の安保理決議及び日朝平壌宣言に違反し、六者会合共同声明の趣旨にも反するものです。各安保理メンバーより、北朝鮮のミサイル発射に対し強い非難の表明がありました。
 私は、トランプ大統領及び文在寅(ムン・ジェイン)大統領とそれぞれ電話会談を行い、北朝鮮に対する一層の圧力強化、中国の更なる役割の慫慂(しょうよう)、安保理等における緊密な連携につき一致しました。
 今回のミサイル発射により、北朝鮮が一貫して核・ミサイル開発を追求していることが明白となりました。
 北朝鮮が1994年の枠組み合意、2005年の六者会合共同声明を時間稼ぎの口実に使い、核・ミサイル開発を進めてきたとの反省を踏まえれば、北朝鮮とは対話のための対話では意味がありません。
 北朝鮮に、完全、検証可能、かつ、不可逆的な方法で、核・ミサイル計画を放棄させることが必要です。
 北朝鮮に政策を変えさせるため、いかなる挑発行動にも屈することなく、毅然(きぜん)とした外交を展開し、国際社会で一致結束して北朝鮮への圧力を最大限に高め、北朝鮮の方から対話を求めてくる状況をつくっていかなければなりません。この方針にいささかも変更はないことをトランプ大統領、文在寅大統領と確認しました。
 我が国としては、日米、日米韓で協力し、中国、ロシアを含む関係国とも緊密に連携しながら、国連安保理決議の完全な履行等を全ての国連加盟国に強く働きかけてまいります。
 今月我が国は安保理議長国に就任し、15日には北朝鮮問題に関する安保理閣僚級会合を主催します。このような行動を通じて、国際社会の取組を主導するとともに、我が国独自の措置の実施を徹底してまいります。
 政府としては、発射後、直ちにミサイルの動きを完全に把握し、危機管理に万全の態勢をとりました。引き続き、強固な日米同盟の下、高度の警戒態勢を維持するとともに、国民に適時・適切な情報提供を行い、我が国の平和と安全の確保、国民の安全・安心の確保に万全を期してまいります。
 拉致問題は安倍内閣の最重要課題です。全ての拉致被害者の御家族が、御自身の手で肉親を抱きしめる日まで、私の使命は終わりません。私が司令塔となって、北朝鮮に対する国際社会の圧力を梃子(てこ)としつつ、北朝鮮に拉致問題の早期解決に向けた決断を迫ってまいります。
 ただいまの御決議の趣旨を体(たい)し、核、ミサイル、そして何よりも重要な拉致問題の解決に向けて、全力を尽くしてまいります。」