首相官邸・新着情報
【石破総理冒頭発言】
第102代内閣総理大臣に指名されました石破茂であります。
本日、自由民主党と公明党による連立内閣を発足させました。
まず冒頭、能登半島地震、そして、先般の豪雨で犠牲になられた方、傷つかれた方、そういう皆様方に、心から哀悼の誠を表し、お見舞いを申し上げる次第であります。そして、今この瞬間も懸命に職務に当たっておられる多くの皆様方に、心から感謝を申し上げ、敬意を表す次第であります。
私が、長い間、政治家として大切にしてまいりましたのは、国民の皆様方の「納得と共感」ということであります。これもいつも申し上げていることでありますが、国民の皆様方に対して、勇気と真心を持って真実を語る。それが政治の役割だというふうに私は40年近く信じてまいりました。謙虚で、誠実で、温かい政治を行ってまいります。
この内閣での基本方針は、「守る」ということであります。5つの「守る」ということを実行いたしてまいります。
まず、第一に、「ルールを守る」という政治であらねばなりません。
ルールを守る政治を実現していかねばなりません。国民を信じ、国民から信頼される内閣でありたいと思っております。我々は、国民を信じ、勇気と真心を持って真実を語りたいと思っております。
そして、国民から信頼されるために、我々が直ちに取り組まねばならないのは、政治改革であります。国民の皆様方の政治への信頼を取り戻すために、不断の政治改革、この姿勢が求められております。
政治のためにお金がかかるならば、国民の皆様方にそれを丁寧に説明し、当然のことでありますが、節度を持って集めたお金を限りない透明性の下で公開していくことが必要であります。
先般成立をいたしました政治資金規正法に基づき、第三者機関を早期に立ち上げるための具体的議論を進めてまいりますとともに、政治資金のルールを見直し、ルールが守られるための体制を確立してまいります。
もう三十数年も前のことになりますが、当選間もない1回生であった頃に、リクルート事件に端を発した政治不信が吹き荒れました。政治改革に、私どもは若かったのですが、本当に情熱を傾けてまいりました。爾来(じらい)三十数年が経過をし、この度、私は、自由民主党の総裁として、令和の政治改革、これを断行してまいる所存であります。
第二は、「日本を守る」ということであります。
我が国を取り巻く安全保障環境は、戦後最も厳しいものだと認識をいたしております。
国家安全保障戦略に基づき、平和を守るための抑止力の強化、防衛力の抜本強化に取り組んでまいります。
現実的な国益を踏まえました外交によりまして、日米同盟を基軸に、友好国・同志国の輪を広げ、外交力・防衛力の両輪で、我が国の平和、地域の安定を実現いたしてまいります。その際、自由で開かれたインド太平洋というビジョンの下、法の支配を重視し、地域の安全と安定を一層確保するための取組を主導してまいります。
防衛力の抜本的な強化は着実に進めてまいりますが、防衛力の抜本的強化と申しましたときに、それは装備だけを意味するものではございません。現在、定員割れとなっております自衛官、その処遇改善、勤務環境の改善、そして、新たな生涯設計の確立が喫緊の課題であると認識をいたしておるところでございます。このことにつきましては、私、内閣総理大臣を長といたします関係閣僚会議を設置し、早急に成案を得るものといたします。
これらの抑止力・対処力の強化に加え、基地負担の軽減にも引き続いて取り組んでまいります。経済安全保障、サイバーセキュリティーの強化にも取り組んでまいります。
拉致問題は、私どもの内閣の最重要課題であります。全ての拉致被害者の方々の一日も早い御帰国を実現すべく、強い決意を持って取り組んでまいります。
在外邦人の皆様方の安全確保にも力を尽くしてまいります。
我々の日本経済は、デフレを脱却するかどうかの瀬戸際にいるという認識を持っております。「賃上げと投資が牽引(けんいん)する成長型経済」を実現するため、岸田政権で進めてまいりました成長戦略を着実に引き継いでまいります。
「経済あっての財政」との考え方に立ちまして、デフレ脱却最優先の経済財政運営を行ってまいります。まずその第一歩といたしまして、早期に物価高で苦しんでおられる方々を支援するための経済対策の検討指示を行ってまいります。
従来のコストカット型の経済から高付加価値創出型経済へと転換し、投資大国日本を実現いたしてまいります。新たなサービスを作り出す。自動車、半導体、農業など、輸出企業が外からしっかりと稼ぐ、そして、産業の生産性を向上させる。そのための投資を促進してまいります。
岸田内閣の「資産運用立国」の取組をしっかりと引き継ぎ、更に発展させてまいります。
GDP(国内総生産)の半分以上、54パーセントであったと記憶をいたしておりますが、個人消費が占めております。この後押しが鍵となると私は認識しております。このため、持続的な実質賃金の向上、将来不安を取り除くこと、この2つに取り組んでまいります。
第三は、「国民を守る」ということであります。
国民お一人お一人の生活を守るため、今般の経済対策におきまして、低所得者世帯向け給付金など、物価高への緊急対策を行います。また、最大限の生産性向上や価格転嫁の支援を進めつつ、最低賃金を2020年代に全国平均1,500円への引き上げを目指してまいります。
将来不安に対応するため、医療、年金、社会保障などは、今の時代に本当に合っているものなのだろうか。国民の将来不安を取り除くため、見直しに着手いたします。
賃金が上がり、消費が増え、人手不足対策を含む設備投資の拡大により、更なる賃金上昇につなげる好循環をつくり出し、一部の企業だけではなく、小さな地域の企業の皆様にまで恩恵を広げてまいります。
我が国は、近年、多くの自然災害に見舞われております。度重なる巨大台風の上陸、線状降水帯の発生など、毎年のように各地で自然災害が起きております。我が国は、世界有数の災害発生国であります。こうした中、我々は、国民の不安に正面から向き合うため、防災庁の設置、国民保護体制の実効性確保に取り組んでまいります。
本年の能登半島地震や大雨からの復旧・復興を着実に進めてまいります。東日本大震災の被災地の復興・再生に全力を挙げてまいります。
第四は、「地方を守る」ということであります。
地方こそが成長の主役であります。我が日本は、農業、漁業、林業の多くの好条件を備えておるところであります。農業、漁業、林業が発展するために、多くの好条件を備えていると、こういう認識を私は持っておるところでございます。観光やサービス産業を含め、日本経済成長の起爆剤として、地方創生担当の初代大臣を務め、人口最少県の鳥取をふるさとに持つ者として、私自身、強い決意を持って取り組んでまいります。
これは地方創生大臣のときによく申し上げたことでございますが、「産官学金労言」と、こう申します。産業界であり、そして、行政であり、そして、大学に限りません。高等学校であり、中学校であり、学問。金というのは、金融機関でございます。労というのは、労働者の皆様方であります。言というのは、地元の報道機関であります。
役所だけが地方創生をやるのではございません。地域の様々なステークホルダーの皆様方が知恵を出し合い、地方がそれぞれの特徴に応じて発展していくこと。これが本質であり、それを政府も後押しをいたしてまいります。
「新しい地方経済・生活環境創生本部」を創設し、担当大臣を設置し、今後10年間、集中的に取り組む基本構想を作成いたしてまいります。この取組を「地方創生2.0」として強力に推進をいたしてまいります。
第五は、「若者・女性の機会を守る」ということであります。
若い方、女性の方、それぞれの方々の幸せ、そして、人権が守られる社会にしていかなければなりません。あらゆる人が最適な教育を受けられる社会を実現していかなければなりません。このため、教育の改革に力を尽くしてまいります。
女性の権利が尊重され、社会のあらゆる組織において、あらゆる場面の意思決定において、女性が参画することを官民共通の目標としてまいります。多くの女性の方々に社会活動に参加していただくためには、どうすればよいのか。国民的議論を主導し、制度改革に取り組んでまいります。
私は、長い間、準備というものを積み重ねてまいりました。今まさに、準備を積み重ねてきた政治家として、持てる力全てを出して、国民の皆様お一人お一人のために仕事をさせていただく機会を頂きました。5本柱、「5つの守る」を実現し、未来を創り、そして、未来を守っていくため、粉骨砕身、取り組んでまいります。
初当選から38年、多くの地方を回り、多くの方々からお話を承ってまいりました。今、政治に求められていることは何か。それは、今一度、国民お一人お一人と正面から向き合うことだと、このように思っております。そして、国民の皆様方と対話をし、全ての人が安心と安全を感じることができる。そういう日本をつくり上げていかねばなりません。全ての人が「安心と安全」、そして、全ての人に笑顔が戻ってくる、そういう日本をつくっていきたいと思っています。
この内閣は、「納得と共感内閣」というふうに考えております。国民のための政治。何よりも第一に、国民の皆様方に納得していただき、共感していただける、共感と納得の政治を、真っすぐ進めてまいります。
最後に、政治日程について申し上げます。
10月9日に衆議院を解散し、10月15日公示、10月27日に総選挙を行うことといたします。選挙期間が短いため、関係者の皆様方には御負担をおかけいたします。恐縮でありますが、何とぞよろしくお願いを申し上げます。
国民の皆様方の御理解、御協力を心よりお願いして、冒頭発言を終わります。
ありがとうございました。
【質疑応答】
(内閣広報官)
それでは、これから皆様より御質問をいただきます。指名を受けられましたらば、お近くのスタンドマイクに進み、社名とお名前をおっしゃった上で一人1問、御質問願います。この後の日程がございますので、進行に当たりましては御協力をお願いいたします。まず、幹事社から御質問をいただきます。テレビ朝日、千々岩さん、お願いします。
(記者)
幹事社、テレビ朝日の千々岩です。
総理、御就任おめでとうございます。早速ですが、最後におっしゃった解散について伺います。総理、総裁選中から、当初、解散は自民党の都合だけでやってはならないと、野党の意見も聞いてと、じっくり時間をかける姿勢を示されておられましたが、今おっしゃったように非常に短い期間となりました。なぜ変わられたのか。それであれば、当初からすぐ、そう言った候補者もいらっしゃいましたけれども、すぐ解散するんだと言っておけばよかったと思うのですが、いかがでしょうか。懸念をするのは、石破さんはずっといいことをおっしゃってきた。ただ、総理になったら変わっちゃったんじゃないの、豹変(ひょうへん)するんじゃないの、そうした声が出ていますけれども、それにはどうお答えになるか。最後に、解散の大義は何かについても伺いたいと思います。よろしくお願いします。
(石破総理)
新内閣が発足をいたしました。これは憲法第69条、内閣不信任案が可決をしたとき、あるいは信任案が否決されたとき、解散を行わない場合は総辞職をする、これが憲法の69条の規定であります。今回、不信任が可決されたわけでも、信任案が否決をされたわけでもございませんが、新しい内閣というものが発足をいたしました。そうしますと、新しい内閣について国民の皆様方の信を問うということは、憲法の趣旨からも沿うことだと思っておりますが、同時に選挙中に議論をして、その上で国民の皆様方に御判断いただける材料を提供すべきだということを申し上げてまいりました。これから国会においていろいろな議論が行われるということであります。代表質問、そしてそれに対する答弁、あるいはその後の委員会がどういう形式で行われるか、私は十分に存じ上げてはおりませんが、私は、代表質問に対するお答えも、その前の所信表明も、本当に自分の言葉で語りたいと思っております。そこにおいての質問に対する答えも、本当に誠心誠意やってまいりたいと思います。衆参の本会議のほかにそういう機会が与えられれば、それは十分とは言えないかもしれないが、国民の皆様方に、心に響くようにやってまいりたいと思っております。
早く信を問うべきだということと、御判断いただける材料をきちんと提供するということ、そのことに努めておるところでございます。なお努力をいたしてまいります。ありがとうございました。
大義というのは、今申し上げたのが大義だと思っております。やはり新しい内閣が発足をしたからには、国民の皆様方に信を問う。そして、この内閣がいかなるものであるかということは、これから先、今日もそうですが、申し上げてまいります。この内閣を御信任いただけるか、あるいはほかの選択があるのか、それを主権者たる国民の皆様方に問うのが、私は大義だと思っております。
(内閣広報官)
続きまして、もう一人、幹事社から、朝日新聞の石井さん、お願いいたします。
(記者)
朝日新聞の石井と申します。よろしくお願いします。
先ほど「納得と共感の内閣」と総理はおっしゃいました。ただ、国民の多くが納得していない派閥の裏金事件について私はお伺いします。派閥の裏金事件に対する実態解明の必要性について、総理はこれまで説明責任については言及ありましたが、実態解明について再調査の有無については具体的な言及を避けてきました。この場で是非、実態解明についての再調査をするのかしないのか、お聞かせください。
さらにもう一点。実態解明をしないまま、次期衆院選で、裏金事件で処分を受けた議員を公認することに有権者の理解が得られるのかどうか、お考えをお聞かせください。
(石破総理)
これは総裁選挙の最中も申し上げてまいりました。そして、就任後も何度か申し上げたことでありますが、新しい事実ということが判明をしたとすれば、それは調査ということが必要だというふうに認識をいたしておるところでございます。そのようなことに今、立ち至っておるというふうには認識をいたしておりません。必要があればそういうことも行いますが、現在そういう状況にあるというふうには承知をしておらないところでございます。
しかしながら、御指摘のように、そういうことを申し上げましても、国民の皆様方が納得をしたと、共感を得たというふうな状況にはないということも認識をいたしておるところでございます。私といたしましては、そういうことについての更に新しい事実が出てくれば、それを解明しなければならない。そして、そういうことは出てこなかったとしても、国民の皆様方が共感をしておられない。これは個々の議員ということもございますが、一体自由民主党ってどうなっているのというような、そのような不信も強いというふうに全国を回って思っております。実態はこうであったと、裏金というものがきちんと政治資金収支報告書に記載をされた、どこから入り、どこへ出て、どう使ったのかということが明らかになったということでありますが、それだけではなくて、国民の皆様方が納得していただけるように、そして、どうすればこういうことが再び起こらないかということも含めて、総裁たる私が説明をしてまいりたいと思っております。
公認問題につきましては、それは私どもの党といたしまして、選挙区においてどれぐらいの御支持をいただいているのかということをきちんと把握しながら、公認するか否かということを決定いたしてまいります。必要であれば、その方々が説明しなさいよということではなくて、公認権者であります私自身が国民の皆様方に納得していただけるような説明をいたしてまいります。以上です。
(内閣広報官)
ここからは幹事社以外の方から御質問をお受けいたします。既に挙手いただいておりますが、指名いたしますので、近くのマイクにお進みください。日経新聞、秋山さん。
(記者)
日経新聞の秋山といいます。
総理、就任おめでとうございます。経済について伺います。9月30日の日経平均株価は前日比1,910円安という大幅な株安でスタートとなりました。今日は732円戻しましたが、株式市場が大きく変動していると。この一因として、石破政権の経済政策がどういう方向に向かっていくのか見えにくいのではないかというのが要因だとも指摘されています。これまで、岸田前総理は金融正常化に向けて動き始めた植田日銀の金融政策に対して信頼をしていると明言をしていましたが、石破総理もこの金融正常化に向けた動きについて、これをよしとする、信頼するということなのか、もしくは、利上げは早い、慎重にやるべきだと考えているのか、その辺のお考えをお聞かせください。
(石破総理)
株価の日々の動向について、政府としてコメントすることは差し控えなければならないと思っております。株の動向につきましては、政府として冷静に判断していきたいと思っております。また、金融政策の具体的な手法につきましても、政府があれこれ申し上げるべきではございませんが、日銀との意思疎通の下に、政府として具体的な手法というものは日銀に委ねられるべきものだと考えております。
冒頭申し上げましたように、私どもの政権といたしまして、岸田政権が進めてまいりました経済政策を引き継いでまいります。デフレ経済からの脱却を確実なものとするとともに、資産運用立国の政策を引き継ぎ、発展させてまいります。内外からの投資を引き出してまいります投資大国を経済政策の大きな柱といたしてまいります。
金融政策について私どもはあれこれ申し上げる立場にはございませんが、これから先、デフレを脱却していくために、現在の姿勢というものを私どもとして期待感を持って見ておるところでございます。そしてまた、これから先も緊密な連携の下に、金融緩和の基本的な基調というものは維持されるべく、私どもとして期待をしながら見守っているところでございます。ですから、金融緩和につきましてはそういうことでありますし、金利についてとやかく申し上げることではございませんが、私どもとして注意深く見守っていきたい。貯蓄から投資へという流れがさらに確実なものになるように、私どもとして努力をいたしてまいりたいと考えておるところでございます。
(内閣広報官)
静岡新聞、武田さん。
(記者)
静岡新聞社の武田と申します。
リニア中央新幹線について、お尋ねいたします。岸田総理は6月にJR東海に対しましてリニア中央新幹線の全線開業を2037年までに進めるという目標を堅持するよう求めました。骨太の方針にもこれを明記しております。一方、石破総理はこれまでリニアには財政投融資を使っているということを理由に、東海地域だけではなくて、全国にそのリニアのメリットが享受できるように議論を進めていくべきだと御発言されていると認識しておりますけれども、岸田総理の現在のそういう政策を推進されるのか、もしくは、もう少し見直していくというふうな御判断もあるのか、その辺のお考えをお聞かせください。
(石破総理)
私といたしまして、岸田政権が進めてこられた方針は踏襲いたしてまいります。静岡工区の早期着工も含め、リニア中央新幹線の早期開業に向けた環境整備というものを行ってまいります。今、御指摘のように、リニアというものが開業することによって、それが、リニアが通る地域のみならず、日本全国においてその効果が波及していくということを目指していかなければなりません。それはリニアが通れば自動的にそうなるものではなくて、リニアが開業することが日本全体の発展に資するものだということを私どもとしてはきちんと実現していかねばならないものだと思っております。それは私もこれから先、またいろいろ研究をいたしてまいりますが、リニアができるということによって、さらなる経済効果が発現するために、例えて申し上げれば、東海道新幹線には輸送余力が生ずるものでございます。これをいかにして活用するかということも含めまして、リニアが通る地域だけがよくなればいい、そういうことではない、そういう経済効果もきちんと見据えたリニアの早期開業というものを実現いたしてまいりたいと思っております。
(内閣広報官)
フジの瀬島さん、お願いします。
(記者)
フジテレビの瀬島です。よろしくお願いします。
外交について伺います。岸田政権が首脳外交を通じてアメリカや韓国などとの二国間関係を強化してきましたが、石破総理御自身の首脳外交の在り方というのをどのようにお考えでしょうか。例えば今後、アメリカの新大統領とどのようにして関係を深めていくのかお聞かせください。一方で、アメリカ側では地位協定の見直しの議論に警戒する向きもありますけれども、この地位協定の議論をどのように進めていくのか、例えば有識者会議を設置したりですとか、党に議論を指示したりするお考えというのはおありでしょうか。
(石破総理)
二国間関係というのは、それは合衆国とは極めて二国間関係は大事であります。それは韓国ともそうでしょう。オーストラリアともそうでしょう。ASEAN(東南アジア諸国連合)諸国ともそうでしょう。だけれども、お話を聞いていると、やはり合衆国とは大事だねということだと思っております。私は合衆国もそうですし、韓国も大事だというふうに思っておりますが、首脳外交をやりますときに、この会談は何のためのものなのかということが明確でなければならないと思っております。信頼関係を高め友好を深めるというのも大事なことですが、何のためにこの会談をやるのかということがあらかじめ設定をされていて、それぞれ国が違えば国益も違うのでありまして、それぞれが国益を踏まえてどのように真剣な議論を行い、いかなる成果を得るか。私は防衛の仕事が長いのですが、いろいろな国の防衛大臣あるいは総理大臣、大統領とも話をしてまいりました。やはり何のためにその会談を行うのかということが極めて重要だと思っております。
合衆国は近々大統領選挙が行われ、来年早々には新政権が発足をいたします。他国の大統領選挙について私どもがとやかく申し上げるべきものではございませんが、どういう形であれば、つまり、今のところ全く予断を許さないのであって、どちらともお話ができる状況というのはつくっておかねばならないというふうに考えております。そのためには多くの努力をいたしてまいりたいと考えております。
合衆国が懸念を持っているのではないかというお話でございました。私も地位協定のお話というのは、もう随分二十数年考えてまいりました。それはすぐそういうことをやると日米同盟に懸念が生ずるとか、そういうお話が起こりますが、私はそうは全く思っておりません。この地位協定を改定していくことが日米同盟を強化することにつながると思っております。そしてまた、それを改定していくための手法として、例えて申し上げれば合衆国に自衛隊の訓練基地を作るということは、日本国内において陸上自衛隊、航空自衛隊は国土が狭隘(きょうあい)なせいもございまして、十分な訓練ができる環境というものが整っておりません。それが十分にできる環境を整備し、そしてまた日米同盟強化するために合衆国に訓練場を作るということは昔から申し上げておりますし、軍事的合理性があるものだと考えております。そうすれば、当然地位協定というものは必要なものになるのであって、これは論理的にどうなのだということ、外交的にどうなのだということ、そして安全保障強化という点においてどうなのだということをきちんと論証しながら議論を進めてまいりたいと思っております。必要に応じて党における議論というものは求めてまいりたいと考えております。
(内閣広報官)
二列目の北海道新聞の吉田さん、お願いいたします。
(記者)
北海道新聞の吉田と申します。総理、よろしくお願いします。
先ほどの政治資金収支報告書の不記載のあった議員の公認問題について改めてお伺いします。衆院選に関していえば、非常に時間も限られている中で、総理は議員本人と総裁としての説明責任について言及されましたけれども、非常に時間的な制約がある中で、具体的に議員や都道府県連への聞き取りなどの対応が可能なのかということ。
それと、先ほど幹事社さんの一問目の質問であったことで御説明が私は聞き取れなくて、国民の皆さんは石破総理というのは耳に痛くても正論は常におっしゃる、そういう人物だという印象を持っていると思います。今回の衆議院の解散に関しては、やはり総裁選のときに言っている、おっしゃっていることとやはり違うというのが大方の受け止めだと思いますが、改めてそこを変わられたのか変わられていないのか、そこを改めて御説明いただけないでしょうか。
(石破総理)
時間的余裕についてはかなり厳しいという認識は持っております。したがいまして、そういう方々が一体どういう形で入りと出というものを明らかにしたか、そしてまた、間違ってもそれを政治資金以外に使ったことがないかどうか、そしてどうすればこういうことがもう起こらないようにするかという認識をきちんと伺いたいと思っております。ですから、そういう方々に対しまして、こういうことについてどう思いますかということをあらかじめ提出をしていただき、厳しい時間の制約はございますが、公認権者たる私の責任として、それぞれの方がどういうことで今回選挙に臨むのかということについては、私も説明をする義務を持っているというふうに考えておるところでございます。
(内閣広報官)
ドワンゴの七尾さん、お願いします。
(記者)
総理就任おめでとうございます。ニコニコ、七尾です。よろしくお願いします。
自民党総裁選で総裁候補であったときの石破さんと本日総理になられた石破首相とは立場が変わるというのは、これは重々承知しております。過去もそういうことがありましたので。一方で、国民にとって最も重要な一つである解散総選挙の時期について、これは何度も出ておりますけれども、戸惑っているのは、これは事実です。なぜならば、石破政権が日本にとって、あるいは国民にとってどういう政権なのか、現時点では十分分からないからです。安倍政権、菅政権、岸田政権時の国政選挙時と同様に、有権者の判断材料として欠かせない各メディア、記者クラブ、ネット、テレビが毎回国政選挙で開催している野党との討論会に出席されるのか、ここで確認させてください。もし出席されないとすると、その理由も教えてください。以上です。
(石破総理)
これは何月何日、どこで、どれぐらいの時間でということをお知らせいただいたらば、可能な限り対応してまいりたいと思っております。ネットメディアの影響力というものは、私はよく承知をしておるところでございます。
今のは突然の御質問でありますので、これは選挙の期間中は、かなり日程は厳しいものでございますから、私は総裁になる前、総理になる前からそうなのですが、できるだけいろいろな取材には積極的に応じさせていただくように心がけてまいりました。逃げるようなことはいたしません。対応可能であれば、対応させていただきます。
(内閣広報官)
それでは、次に、お願いいたします。京都新聞、岡田さん、どうぞ。
(記者)
京都新聞の岡田と申します。よろしくお願いします。
地方創生についてお伺いします。先ほど総理は「新しい地方経済・生活環境創生本部」を創設し、担当大臣を設置するなど、おっしゃいましたが、少し抽象的だった部分もあると思いますので、もう少し具体的にどのように取り組まれるのかを教えてください。安倍政権が地方創生を掲げて10年たちますが、少子高齢化と東京一極集中は進み、地方は疲弊しております。より具体的に説明いただけますでしょうか。
また、中央省庁の地方移転も進める考えを示されておりますが、どのように取り組まれるのか、スケジュール感も含めてお聞かせください。
(石破総理)
地方創生というのは、私は10年前に初代大臣として担当させていただきました。そのときに申し上げたのは、役所だけがやるものではないということ、「産官学金労言」というふうに申し上げました。その地域のいろいろな産業界があります。役所、役場、市役所、町役場がありますね。産、官。学というのは大学だけではない、高校も中学校もそうです。金融機関、労働者、労働組合。そして、言論機関、本当にみんなが一体となってこの地域をどうすればよくなるかということに最もふさわしい解があるはずだと私は思っております。交付金も最初は1,000億ということでございましたが、実際初代の大臣をやってみて、これでは全然足りないというふうに思ってまいりました。そこにおいて、この町においては、この市においてはこれが一番いいということを可能な限り国は支援するという地方と中央との一体感をもう一度取り戻してまいりたいと思っております。もう一度原点に返って地方創生はリニューアルしてやってまいりたいと思っております。
省庁の地方移転は、それは京都が一番御存知だと思いますが、まさしく府であり、市であり、あるいは大学であり、そして、民間であり、本当に大勢の方々がなぜ文化庁が京都に移転するのがふさわしいのかということを、本当に精力的に展開をなさいました。正直言って、役所が大喜びで行ったとは私は思っておりません。あのときには私が地方創生大臣で、今、石川県知事をお務めの馳(はせ)さんが文科大臣でありました。省庁はそんなに喜んで行くわけではありませんが、どうしたらその省庁がどこに移ることが一番日本のためなのかということの議論はもう一度徹底させたいと思っております。
東京に全ての役所が集中しておるというような形の行政の一極集中、それは世界の中でも日本ぐらいのものでして、それは変えていかねばならないと思っております。役所の理屈のために日本国があるわけではございませんので、そういう強い意識を持って臨んでまいります。
(内閣広報官)
それでは、TBSの中島さん、どうぞ。
(記者)
TBS、中島です。
日米地位協定に関連してお伺いします。日米安保体制では、アメリカが日本を防衛する義務を負い、日本はアメリカに施設や区域を提供する関係となっています。石破総理は自衛隊の訓練基地をアメリカに置く必要性を先ほども訴えられておりましたが、それは逆に日本がアメリカを防衛する義務を負うということにはつながらないのでしょうか。御認識を伺います。
(石破総理)
全くつながりません。それは全く別の問題でございます。日米安全保障体制というのは合衆国が日本を守る義務を負い、日本国は合衆国に基地を提供する義務を負うという、提供する義務の内容が全く違っておるという世界でたった一つの同盟関係であります。「非対称的双務関係」とも申しております。
私どもとして、少なくとも私として、陸上自衛隊、航空自衛隊がフルスケールの訓練が行えないということがございますので、その適地を、合衆国にあるとすれば求めたいと思っております。それは合衆国が日本の自衛隊を受け入れる義務を必要とすると、そういうものでは全くございませんし、そうであるからといって日本が合衆国防衛の義務を負うものでも全くございません。
これは集団的自衛権を念頭に置いた御質問かと思いますけれども、集団的自衛権の問題とは関係ございませんので、単に、単にと言うべきですかね、訓練をより効果的に行うために、日米同盟をより強固なものとするために、そして、そうでありとせば、当然地位協定の改定というものが伴いますので、日米が果たすべき義務というものに変化はございません。
(内閣広報官)
読売新聞の海谷さん。
(記者)
読売新聞の海谷と申します。よろしくお願いします。
総裁選中における発言や公約についてお伺いします。先ほど来、質問が出ていますが、日米地位協定に関して、総理は沖縄県での演説会で改定に着手すべきだと明言をされました。また、アジア版NATO(北大西洋条約機構)については、読売新聞のインタビューで創設を急ぐべきだと発言されています。いずれも本気で実現を目指すのであれば、早々に検討に着手すべき案件だと思いますが、本日、関係閣僚には特段の指示はなかったとのことです。これは、事実上棚上げするというお考えなのか、あるいはまだ機が熟していないという考えなのか、その理由をお聞かせください。
また、衆院解散前の予算委員会の見送りに関して党内外から総裁選中の発言が守られていないという指摘が相次いでいます。総理は先ほど内閣の基本方針として「守る」と強調されましたが、総裁中の一連の発言については、総理になった際には一定の見直しはやむを得ないとのお考えでしょうか。併せて見解をお聞かせください。
(石破総理)
地位協定、そして、アジア版の集団安全保障ということについては、長い間、私自身、この問題の提起をいたしてまいりました。恐らくもう二十数年にわたるものだと思います。自民党の安全保障調査会でも何度も問題は提起してまいりました。総理大臣になったからといって、いきなりそれが実現するとは思っておりません。しかしながら、政府において、あるいは党において、私の問題意識を認識しておる人はたくさんおられます。今、具体的にそういう指示は出しておるわけではございませんが、そういう認識を持っている人たち、そして、それがこの地域の平和と安定を守ることに必ず資するものだという信念を持っている人たち、それが条約上どうなのか、憲法解釈上どうなのかということについて正確な知識を持っている人たち、そういう人たちの動きを、これから先、加速してまいりたいと思っております。それは、これはもう30年、それどころではないですね、日米地位協定というものができて以来、ずっとこの議論はあったのです。一朝一夕でそういうのが変わると思っていません。しかし、だからといって諦めていいと私は全く思っておりませんので、そういうことには着実に取り組んでまいります。
総裁選挙中に言ったことと相違があるのではないかという御指摘であります。私は、いかにして国民の皆様方に御判断いただける材料を提供するかということと、そして、早急に新体制というものは信を問うべきだということをいかにして両立させるかということを申し上げてまいりました。今、具体的に日にちについて言及をいたしましたが、その制約の中において、どれだけ誠心誠意説明をするかということ、内容のある話をさせていただくかということ、そういうことをもってして、判断いただける材料というものは提供してまいりますし、解散になった後も、それは先ほど御指摘がありましたが、いろいろなネットの討論会とか、いろいろなものがございますでしょう。そこにおいて誠心誠意、可能な限りの主張をし、投票日までに、投票の行動をされるまでに判断いただける、そういうような検討をしていただく材料というものを提供すべく、全身全霊努めてまいる所存でございます。
(内閣広報官)
大変申し訳ございませんが、次の日程が押しておりますので、そろそろお時間とさせていただきたいと思います。今、挙手いただいている各社の皆様方には、後ほど書面にて回答させていただきたいと思いますので、本日中に1問、担当者宛てにメールでお送りいただければと思います。申し訳ございません。次の日程が押しておりますので、この後、閣議がございますので、後ほど、メールでいただければと思いますので、よろしくお願いいたします。
それでは、皆様、御理解、御協力ありがとうございました。これで記者会見を終了いたします。