首相官邸・新着情報
内閣総理大臣の岸田文雄です。日本医療政策機構及びAMR(薬剤耐性)アライアンス・ジャパン主催のイベント「AMRに関する世界的アクション:UHC(ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ)における健康長寿と持続可能性の促進」の開催に当たり、一言御挨拶申し上げます。
いわゆる薬剤耐性、AMRの増加は、静かなパンデミックとして世界の健康安全保障に長期的な懸念をもたらしています。AMRに関連した死亡者は世界で約500万人と推計され、2030年までに年間1兆ドルから3.4兆ドルの国内総生産の損失をもたらす可能性があるとの予測は国際的にもよく知られており、国際社会の大きな課題です。加えて、AMRは、人間、動物、食品、環境にまたがる複雑な課題であり、各国、地域、世界全体で、人間だけでなく動物等も包含した保健の対策であるワンヘルス・アプローチに基づく分野横断的な連携の必要性が改めて認識されています。
前回2016年の国連総会AMRハイレベル会合における政治宣言を踏まえ、国連食糧農業機関(FAO)、世界保健機関(WHO)、国際獣疫事務局(WOAH)、国連環境計画(UNEP)の四者による組織が構成されており、国際社会でAMR対策が展開されていることを心強く思います。昨年、私が総理大臣として議長を務めたG7広島サミットでは、各国関係者とAMR対策について議論を重ね、首脳コミュニケに盛り込みました。その過程で、AMRに対する各国の熱意を間近に感じ、政治的なコミットメントの必要性を痛感しました。さらに、昨年はG7として初めてとなる保健・農業・環境の3トラック合同のワンヘルスに関する専門家会合を日本が主催し、これからのAMR対策に求められる共通認識を作りあげることができたと考えています。
明日9月26日には、国連総会の場において、8年ぶりにAMRに関するハイレベル会合が開催されます。その成果となる政治宣言は、AMR対策の世界的アクションを促す重要な役割を果たしていくものと期待しています。そして、日本はこれからも国際社会においてAMR対策の取組を先導してまいります。本会合においても、日本そして世界のAMR対策に向けて、闊達(かったつ)な意見が交わされ、有意義な取りまとめが行われることを期待しています。
最後になりますが、本会合を主催する日本医療政策機構、AMRアライアンス・ジャパンをはじめ、本日の労を執られた皆様に、敬意と感謝を申し上げて、私の挨拶とさせていただきます。ありがとうございました。