首相官邸・新着情報

(退任前最後の外国訪問となった一連の日程を通じて得られた成果について、また、3年間の政権の外交を振り返り、その成果及び残された課題をどのように考えるか、その上で、次の政権にどのような外交姿勢、取組を期待するか、加えて、23日、ロシア軍の哨戒(しょうかい)機が、北海道の礼文島付近の日本の領空を3度にわたって侵犯したが、政府の対応について)

 まず今回の訪米の成果ですが、ウィルミントンでは、バイデン大統領の私邸において、大統領と共に、日米同盟をかつてない、互いに引き上げてきた歩みを振り返り、現下の国際情勢についても深い議論を行いました。そして日米こそが自由で開かれた国際秩序の中核に在り続けなければならない、こうしたことを確認いたしました。
 日米豪印首脳会合では、「自由で開かれたインド太平洋」の実現に向けたコミットメントを再確認いたしました。その上で、国際保健、海洋安保、さらには重要新興技術、人道支援、災害救援、こうした分野で具体的な協力を進めることで一致いたしました。
 そしてニューヨークでは未来サミットに出席し、平和で自由で豊かな世界の未来のために、私が重要だと考えるアジェンダについて強調し、多国間主義の下での結集を呼び掛けました。そして、これから「核兵器のない世界」の実現に向けてFMCT(核兵器用核分裂性物質生産禁止条約)フレンズ・ハイレベル立ち上げ会合を主催することを予定しています。
 そして、3年間の岸田外交についてですが、まずは日本国民の生命と財産を守り抜くことを第一に据えて、国際社会を分断や対立ではなくして、協調に導くために、法の支配に基づく国際秩序を維持・強化するべく、積極的に首脳外交を展開いたしました。
 例えば本年4月の公式訪米では、日米が手を携えて、望ましい未来のために、グローバルパートナーズとして国際秩序の維持・強化に取り組んでいく姿勢を示しました。そして、昨年のG7広島サミットでは、G7のみならず、グローバルサウス諸国と共に、結束を確認いたしました。各国首脳に広島平和記念資料館を御訪問いただいたことは被爆の実相を世界に発信する上で大変重要な機会だったと思っています。
 また日韓関係、私と尹(ユン)大統領の信頼関係に基づき、大きく改善をし、幅広い分野で連携を拡大・深化させてきています。また中国とは、戦略的互恵関係の包括的推進と建設的かつ安定的な日中関係の構築に向けて、習近平国家主席を始め、様々なレベルで意思疎通を今図っています。中国による日本産水産物の輸入規制について一定の認識を共有するに至ったことは先週発表したとおりであります。そしてウクライナについては、「今日のウクライナは明日の東アジアかもしれない」、こうした危機感を示しながら、強い対露制裁と強力なウクライナ支援を実施してきました。
 残された課題という御質問もありました。残された課題については、まずはこの手で拉致被害者の帰国を実現できなかったことは忸怩(じくじ)たる思いです。そして、今、ロシアのウクライナ侵略、そして中東情勢などで、国際社会が分断と対立を深めています。こうした分断や対立への対応も今後大きな課題となります。そして、3年間を振り返りまして、日本外交への世界からの期待は高いものがあると感じています。次の政権においても、法の支配に基づいて、「自由で開かれたインド太平洋」の実現を行う、こうした日本外交の柱を大切にしながら、力強く積極的に外交に取り組んでいただきたい、このように思っています。
 そして最後の質問、ロシア軍機による領空侵犯ですが、日本時間の昨日9月23日、ロシア軍機1機が北海道礼文島北方において、我が国領空を3度にわたり、領空侵犯したことを確認いたしました。この事態を受けて私より指示を出しています。すなわち、国際法及び国内法令に従い、冷静かつ毅然(きぜん)と対応するということ。そして、米国を始めとする関係諸国と緊密に連携するということ、そして国民や国際社会に対し、適時適切な情報発信を行うこと、この3点を指示したところであります。ロシア軍機による領空侵犯は極めて遺憾であり、ロシア政府に対して外交ルートを通じて極めて厳重に抗議するとともに、再発防止を強く求めたところです。我が国の領土・領海・領空は断固として守り抜く、こうした決意の下、引き続き警戒・監視に万全を期してまいりたいと考えています。以上です。

(能登地方の記録的な大雨に対する政府の対応方針について、また、帰国後に控える自民党総裁選挙の投開票で総理自身の一票はどの候補に入れる考えか、加えて、投票先を決める上で最も重視する点、基準をどのように考えているか)

 まず石川県能登地方等での大雨についてですが、大雨によってお亡くなりになられた方々に心からお悔やみを申し上げるとともに、被災された全ての方々にお見舞いを申し上げたいと思います。
 その上で、大雨の対応については、私自身、アメリカにいる間も随時報告を受け、官房長官とも直接電話で話をし、必要な指示を行っているところです。日本時間の22日午前には、今回の被災地が、能登半島地震からの復旧・復興の途上であることも踏まえつつ、引き続き被災状況を注視し、地元自治体のニーズをよく把握して対応するよう、私から指示を出したところです。これまでに、避難所に十分に物資を供給できるよう、天候が回復した日本時間の23日、自衛隊のヘリを活用した輸送支援を行ったところであります。また馳(はせ)知事から林官房長官に対して、国の職員の応急派遣要望がありました。官房長官と松村大臣との間で調整を行ったところ、早速、審議官級の職員をリエゾンとして石川県に派遣をしたところです。
 このほかに、日本時間の24日以降、能登半島地震での職員の応急派遣経験のある県・市の協力のもと、輪島市、珠洲(すず)市、能登町に対して、災害対応の応援職員を順次派遣することを予定しています。さらに今回の大雨で、仮設住宅から避難された方もいらっしゃると承知しています。政府としても、仮設住宅の復旧について必要な国庫負担を行うなど、被害者の方々の御心配、御不安にしっかりと寄り添って、被災された方々が一日も早く元の生活に戻ることができるよう、しっかり対応していきたいと思います。
 そして自民党総裁選挙について御質問がありました。どういった点を最も重視するのかという御質問ですが、やはり私の内閣において進めてきた政策を引き継ぎ、そして、それを発展させていくことができる方は誰なのか、これをしっかりと見ていきたいと思っています。いよいよ終盤を迎える総裁選、今申し上げた点で各候補者をしっかりと注視していきたいと思っています。以上です。

(核軍縮外交について、今回の訪米で、これまでの総仕上げとなるような取組を打ち出しているが、退任後、こういった取組をどのように展開する考えか)

 内閣総理大臣在任中、首脳外交等を通じて、「核兵器のない世界」というものを訴えてきました。そして今日もFMCTフレンズのハイレベル会合の立ち上げを行うことを予定していますが、退任後も、こうした、今日まで取り組んできた課題、そして具体的な成果を更に推し進めていかなければなりません。一国会議員としても、また被爆地出身の人間としても、こうした取組を更に推し進めて、「核兵器のない世界」という大きな目標に向けて、現実を一歩でも前に進められるよう努力を続けていきたいと考えています。一つ一つ、現実的に、具体的に取組を前に進めることが大事だという点を肝に銘じながら、これからも努力を続けてまいります。以上です。

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