文科省・新着情報
令和6年9月3日(火曜日)
教育、科学技術・学術、文化
キーワード
トヨタ東富士研究所の視察、日本原子力研究開発機構 幌延深地層研究センターの視察、第15回日中韓文化大臣会合の開催決定、台風10号の接近に伴う教育委員会での休校判断について、能登半島地震により被災した子供へのアンケート調査結果、筑波大学マレーシア校の設置、千代田区立中学校の学校運営に関する報道について、経済安全保障のために研究者の職歴情報公開を義務付けるという報道について
盛山正仁文部科学大臣記者会見映像版
令和6年9月3日(火曜日)に行われた、盛山正仁文部科学大臣の記者会見の映像です。
令和6年9月3日盛山正仁文部科学大臣記者会見(※「YouTube」文部科学省動画チャンネルへリンク)
盛山正仁文部科学大臣記者会見テキスト版
大臣)
今日は私から冒頭、3件ございます。まず1点目です。先週30日の金曜日、トヨタ自動車の東富士研究所を訪問し、トヨタ自動車とJAXAが共同で研究開発を進めている有人与圧ローバ、月面探査車のことです、これの研究開発現場を視察させていただきました。今回の視察では、実物大の試作車や、月面を模擬したテストコースを見学するとともに、シミュレータを用いた月面での運転操作を体験し、自動車技術など我が国の技術力を結集して着実に開発が進められていることを実感いたしました。有人与圧ローバは、月面での移動機能とそして居住機能、これを両方兼ね備えた、我が国初の有人システムであり、これによって探査範囲が飛躍的に拡大をすることなど、アルテミス計画において重要な役割を果たすことが期待されております。当省としては、令和7年度概算要求において有人与圧ローバの開発に係る予算を計上したところであり、引き続き、民間と共同で開発を進めてまいります。
2件目です。一昨日から昨日にかけまして北海道に出張し、日本原子力研究開発機構幌延深地層研究センターを訪問いたしました。このセンターでは、高レベル放射性廃棄物の地層処分技術の研究開発の状況を視察しました。その後、野々村幌延町長等と意見交換を行い、これまでの御理解と御協力に感謝を申し上げました。廃棄物の処分にあたっては、科学的知見に基づく安全な技術の確立と国民の理解の醸成が不可欠です。今回の視察を通じ、安全性を確保した地層処分技術の確立の必要性について再認識をしたところです。当省としては、同センターでの研究開発が着実に進むよう、経済産業省と連携し、しっかりと取り組んでまいります。
最後、3点目です。この度、来週12日木曜日に、第15回の日中韓文化大臣会合を京都市で開催することが決まりましたのでお知らせをいたします。今回の会合では、3か国の文化交流・協力について意見交換を行うほか、2025年の「東アジア文化都市」として、日本は鎌倉市、中国はマカオ特別行政区及び湖州市、韓国は安城市を正式に決定する予定としており、この点も含めた成果文書の署名を行いたいと考えています。また、この機会を通じ、両国と二国間会合を行う予定としており、文化交流・協力の一層の促進について、率直な意見交換をしたいと考えています。今回の会合の開催により、文化交流を通じた3か国の友好関係を一層深めてまいります。以上、3点です。
記者)
台風10号の関係なのですけれども、福岡市で児童が登校した後、急遽下校させるという判断をし、保護者の方々から休校判断が遅いというような批判が出ていて、市教委がその休校の基準のあり方を見直すということを表明しているようです。この件についての大臣の受け止めと、悪天候時の休校基準、判断は難しいとは思うのですけれども、大臣のお考えをお聞かせいただけますでしょうか。
大臣)
今の御指摘については報道で承知をしております。文部科学省においては、児童生徒等の安全を確保することが何よりも重要だと考えます。大雨や暴風雨等により、災害発生のおそれがあるために授業を実施することが困難と考えられるときは、授業を行わないことなどの措置を講じることを求めております。こうした場合の各学校の休校の判断は、各地域の気象状況やその時々の状況に応じて児童生徒等の安全に万全を期す観点から適切に行われるべきものと考えています。今回の福岡市の判断は、御家庭への配慮などを考慮して行われたものと聞いておりますが、いずれにしても、福岡市教育委員会において、今後の休校に関する対応の改善策を検討するものと承知しております。引き続き、児童生徒等の安全を第一に適切な対応を行っていただきたいと考えています。以上です。
記者)
能登半島地震に関してお伺いいたします。NGOのセーブ・ザ・チルドレン・ジャパンが能登半島地震で被災した小学生から高校生世代約2千人に行ったアンケートを8月29日に公表しました。そこで寄せられた子供たちの声としましては、様々あるのですけれども、復興が進まず私たちを見捨てないでほしいといったような思いがにじみ出るものが多く見られました。地震から8か月が経ちましたが、大臣の子どもたちの声に対する受け止めをお聞かせください。また、今後被災地の子供たちにどう寄り添っていくか、子供たちの声を聞く機会を設けるといったようなお考えがあるかどうかも合わせて教えていただければと思います。
大臣)
国際NGO団体セーブ・ザ・チルドレン・ジャパンが実施したアンケートの調査結果で、今御指摘の意見、そしてそれ以外にも「復興が遅い」という声や「子供の意見や思いを取り入れてほしい」という声などがあったと承知しております。私は、今年の4月ですが、被災地を訪問した際、高校の寮から避難して、能登少年自然の家で生活を送っている高校生とも面会をいたしました。様々な制約の中で日常生活、学習、そしてそれ以外のクラブ活動なども含めてしている子供たちの姿によく頑張っているなという気持ちと、それからなかなか困難な環境の中で大変だなという気持ち、両方思いが交錯いたしました。当省においては、発災直後から、仮設校舎の整備や仮設住宅が建つ校庭の代替グラウンドの整備等の災害復旧事業のほか、スクールカウンセラーの追加配置、被災地の子供たちの学習・体験活動への支援など、被災地に寄り添った支援を進めてまいりました。また、被災地では、これからのまちづくりを考える対話の場において子供を参加対象としたり、あるいは学校で復興を生徒自らが考える探究学習を行うなど、それぞれの地域で独自の取組が行われていると承知しております。その一方、今御指摘があったようなアンケート調査の結果も、被災地の子供たちの率直な声であると考えます。引き続き、子供たちを含め、被災地のニーズや思いをしっかり受け止めた上で、教育委員会や関係府省と連携し、被災地の子供たちが1日も早く安心して学べる環境を取り戻せるよう全力を尽くすことが私たちの使命だと考えます。それで、声を聞くのかという話でございますが、それにつきましてはまずは、石川県教育委員会等と我々、密接に連携をした上で、子供たちを含め、被災地のニーズや思いをしっかり受け止めていきたいと考えているというところです。
記者)
海外分校の件で伺うのですけれども、筑波大学が海外分校を開校しました。日本の大学が学位授与できる学部を海外に設置するのは初めてとみられるのですけれども、大臣は今回の筑波大の海外分校の設置についてどう評価しているかということと、海外大学に比べて日本の大学は国外の拠点が少ないという現状があるのですけれども、大学の国際化ですとかグローバル人材の育成を進める上で、文科省として今後取り組みたい施策がありましたら教えていただけますか。
大臣)
昨日、マレーシアにおいて、今御指摘のとおり、海外で日本の学位を授与する我が国初の高等教育機関として、筑波大学マレーシア校の開校式・入学式が行われました。この筑波大学マレーシア校の教職員・学生の皆様・関係者の皆さんに心からお祝いを申し上げたいと思います。この筑波のマレーシア校は、主にマレーシアの学生に対して日本式教育の機会を提供する大学であります。このような海外校の開設は、優秀なマレーシアの学生の獲得や、そして我が国の高等教育の国境を越えた展開・普及に寄与するものとして、大変意義があるものと考えています。我々文部科学省としては、筑波大学マレーシア校のような海外校の開設も含め、我が国の高等教育の国際通用性や国際競争力の向上に資する施策の充実に努めてまいりたいと考えています。
記者)
来週、日本と中国、韓国の文化担当の閣僚の会合が京都でありますけれども、そのときに韓国側から佐渡島の金山について、今は郷土資料館にあるわけですけれども、それよりもより多くの人が訪れるきらりうむ佐渡に移すよう求めるんじゃないかというふうな話がございますけれども、それについてはどういうふうに捉えていらっしゃいますでしょうか。
大臣)
すみません。そういう話があるということを私は承知しておりませんでした。ですから、発言が出たらそのときに対応をしていくということではないかと思います。
記者)
今はその対応は何とも言えない。
大臣)
先日来の佐渡島の金山の協力について、外務省を通していろんなやり取りがあってとりあえず円満に終わっているものと承知しております。
記者)
一部報道で、経済安保の観点からということで研究者の職歴を公開するという報道がありました。科研費を配分する際の要件として盛り込む案であるとか、卓越大の認定審査項目に入れる可能性についても言及をされていました。そのあたりの検討状況はどのような形で進んでいるのでしょうか。
大臣)
今おっしゃった研究セキュリティ・インテグリティに係る件、さらなる具体的措置についてということで、現時点では我々は何ら新たな決定その他をしたことはございません。その上で一般論として申し上げれば、経済的安全保障と言うのですか、そういう観点から、国際的かつ開かれた研究活動の進展に伴い、海外からの不当な影響へ対応することは重要である、その重要性が高まっているということは事実でございますので、今年の6月に、内閣官房国家安全保障局の有識者会議において、経済安全保障上の重要技術に関する技術流出防止策について、特に国が支援を行う研究開発プログラムの対応に係る提言がなされたということは承知しておりますが、引き続き、我々当省としては、大学等の現場の状況も丁寧に聞きながら、内閣府その他関係省庁と連携して必要な検討をしたいと思います。ということで、特段今、何ら新しいものがあるということではありません。
記者)
千代田区の麹町中学校の件なのですけれども、校長先生による学校改革の方針変更を理由に、部活動であるとか服装であるとかが制限されて、どちらが良いかというのは別な議論だとしても、生徒さん、あるいは保護者の方々が振り回されているというような状況があるようです。この件についての受け止めと、校長先生が主導する学校改革のあり方についてどのように生徒の理解を得ていくべきかお考えをお願いします。
大臣)
千代田区の某中学校でそういうようなことがあり、そういう報道があったということは知っておりますけれども、これは確か前にもお答えしたと思うのですが、個別の学校の教育活動に関する事柄でありますので、コメントを控えさせていただきたいということかと思います。その上で、一般論として付言をするならば、学校運営に当たっては、運営方針については、学校と保護者との間で共通理解を図る、これは大事なことではないかなと思いますので、学校側、あるいは保護者側双方での信頼関係を構築するためのやり取り、これは密に行っていただければと思いますが、我々文部科学省としては、こういうことの学校と保護者、地域、関係機関等が連携した運営体制を構築することの重要性については周知や助言等に努めてまいりたいと考えます。
(了)
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大臣官房総務課広報室