農林水産省・新着情報

坂本農林水産大臣記者会見概要

日時 令和6年5月14日(火曜日)9時11分~9時25分 於: 本省会見室 
主な質疑事項
  • 熊本県、佐賀県及び長崎県出張の所感について
  • 農産物の適正な価格形成に向けた仕組みの法制化について
  • 大臣談話に基づく有明海再生に向けた取組と請求異議訴訟の相手方当事者等への説明会について
  • 物流の2024年問題に関する農産物への影響と農水省の相談窓口に寄せられた声について

質疑応答

記者

  週末の出張について、熊本県、佐賀県、長崎県を訪れましたが、実際に現地を見られた所感や、今後どのように行政に活かされるか、聞かせてください。

大臣

  11日は、平成28年4月に発生した熊本地震による農地や土地改良施設の甚大な被害から創造的復興を遂げた熊本県の秋津地区を訪問し、お話を伺いました。大区画化が実現しており、大変作業効率の良い農地となっていました。
  また、女性が働きやすい職場を実現している、みっちゃん工房において意見交換を行いました。人が豊かであることが第一条件という理念のもと運営されており、非常に働き方改革に対して、気を遣われていることがわかりました。
  12日は、まず佐賀県の有明水産振興センターを訪問し、農水省と有明海沿岸4県が協調して進めている有明海再生に向けた取組を視察しました。その場で、佐賀県の山口知事や佐賀、福岡、熊本、長崎の4県漁業団体の皆様とお会いし、有明海再生に向けた思いを改めてお伺いしました。私からは、昨年3月の大臣談話にご賛同をいただいたことについて改めて感謝を申し上げ、談話に基づく「必要な支援」の実現に向けた思いを申し上げたところです。 次に、長崎県の諫早湾干拓堤防や干拓農地を視察し、長崎県の大石知事をはじめ、関係者の皆様から、干拓事業の防災効果や営農効果について、お話を伺いました。1区画が6ヘクタールという広大な区画で、カット野菜や、加工用野菜も含めて非常に効率的な農業が行われていました。熊本から入植された荒木さんから色々とお話をお伺いし、10年前に1億円だった売上高が、今は2億円あるとおっしゃっていました。
  今回の視察で、熊本地震からの復興の状況、また、諫早干拓地での営農の状況、有明海再生の取組等をじかに拝見し、関係者の方々のご意見を伺うことができたことはとても有意義でした。今後の政策運営に反映させていきたいと考えています。

記者

  先週10日にJA全中などが開いた大会では、自民党の森山裕総務会長が、食料の価格形成について、「次期基本計画を実施する際に法律に基づく制度が動き出すべきだ」と述べましたが、法制化の見通しや政府の検討状況と今後の対応方針について、聞かせてください。

大臣

  森山先生が、先週10日(金曜日)に行われたJAの食料・農業・地域政策推進全国大会において、具体的にどうご挨拶されたかは承知していませんが、「次期基本計画を実施する際に法律に基づく制度が動き出すべきだ」と発言されたという報道があることは承知しています。 農産物の価格形成については、昨年8月から、生産から消費に至る食料システムの関係者が一堂に集まる「協議会」を開催し、合理的な費用が考慮される仕組みづくりについて、関係者間で議論を重ねてきているところです。
  今後、食料・農業・農村基本法の改正案が成立したあかつきには、同改正案に基づく基本計画の策定の検討と並行して、価格形成についても関係者間でていねいに合意形成を図りつつ、法制化も視野に検討を進めてまいります。
  なお、本件については、まずは関係者間の合意形成が重要で、終期を決めて議論しているわけではないので、法律案の提出時期については、現時点では決まっておりません。

記者

  諫早湾干拓事業と有明海再生の視察の場面で、有明海再生に向け、これまでの大臣談話でも基金などを設けるお話もあったと伺っていますが、予算の編成に向けての思いを聞かせてください。
  また、先週の金曜日の会見でもおっしゃっていた、農水省の説明会が6月1日(土曜日)に設定されるというのが、昨日、弁護団側から発表がありましたが、それについての期待などを聞かせてください。

大臣

  大臣談話に基づく必要な支援として行うのは、加速化対策ですが、これまでの再生対策の成果の活用や、災害リスクなどにも弾力的な対応しながら、漁場環境の改善、これには、(海底)耕うん、ミオ筋(の維持)ということなどが入ります。この改善や水産資源確保の取組を進めるとともに、漁業経営の改善、新技術導入等の新たな挑戦について、後押ししてまいりたいと思います。
  それから、6月1日(土曜日)、長崎県雲仙市において、請求異議訴訟の相手方当事者であった方々やその弁護団を対象とした説明会の開催を予定しており、事務方が対応します。
  本説明会は、昨年来、令和5年3月の大臣談話の趣旨等を説明する機会をいただけるよう農水省から弁護団に提案していたものであり、引き続き、丁寧に対応するよう事務方に指示しています。
  私自身が開門を求める漁業者の声を聴く機会については、今後、説明会の議論の状況も踏まえて、検討してまいります。

記者

  物流の2024年問題について、農産物の物流と農家への影響について、4月1日からトラックドライバーの時間外労働の上限規制等が始まり、農産物と食品についてはトラック輸送に依存していることがすごく多い形で、長距離輸送も多いところです。輸送力不足の影響が大きいという試算もありましたが、現在、農水省で把握されている、例えば卸売市場への物流の遅れ等があれば教えてください。
  農家への影響については、パレット化、モーダルシフト等の対策をする中で、その負担が農家にもきているといった声もありました。農水省では昨年末に物流対策本部を作られて、農家への負担の抑制とか、相談窓口も作られていますが、農家の方から負担について訴える声等もあれば教えてください。

大臣

  農産物・食品の物流については、昨年6月の「物流革新に向けた政策パッケージ」に基づき、60以上の団体・事業者に「自主行動計画」を作成していただき、物流効率化に向けた取組を進めてきているところです。一部には荷の到着が遅くなったとの声もありますが、労働時間規制の下で、産地によっては、販売日を1日遅らせる代わりに、予冷庫で一晩寝かせて冷やし込むことで鮮度保持を向上する、市場が混雑しない日中に到着するように出荷する等の工夫をしているところもあると承知しております。
  このような工夫が行われることによって、本年4月以降、これまでのところ、大きな混乱が生じているとの情報には接しておりません。
  また、物流相談窓口には、これまでに、物流コスト負担や手荷役を減らしたいといった相談が寄せられていますので、農水省職員が現地入りして、標準型パレットの利用可能性、共同輸配送の可能性、農水省の補助事業の活用などについて意見交換を行っているところです。
  今後とも各般の取組を進め、農産物・食品の円滑な物流に努めてまいりますが、今のところ、4月以降は大きな混乱が起きてないという受け止めです。

記者

  物流コストの価格転嫁ができないといったところで、農家としては価格形成の面を注目されると思いますが、そういった面でも価格形成の法制化を進めていくという考えでしょうか。

大臣

  生産、加工、物流、卸売、消費の中に、物流も入っていますので、協議会でしっかり合意形成ができるように取り計らっていきたいと思います。

記者

  諫早湾、有明海について、大臣が直接開門派の人達と会うのは、議論の状況を踏まえて検討するとのことですが、説明会で何か判断するトリガーがあるということでしょうか。

大臣

  6月1日(土曜日)の説明会については、令和5年3月の大臣談話に沿ってていねいに対応していくことが必要だと思っており、しっかり事務方から説明し、それにいろいろと(質問)していただく状況を見たいと思います。
  そして、開門を求める漁業者の声を聴く機会については、その説明会の議論の状況を踏まえて、検討してまいります。どういう説明会だったのか、どういう議論があったのかを聞いた上で、検討していきたいと思います。

報道官

  よろしいでしょうか。それでは、大臣会見を終了します。

以上

 

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