議案審議経過情報

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項目 内容
議案提出者 浜口誠 君
衆議院審議時会派態度
衆議院審議時賛成会派
衆議院審議時反対会派
議案受理年月日 2024-04-24
公布年月日

要項または提出時法律案

第二一三回
参第七号
   サイバー安全保障を確保するための能動的サイバー防御等に係る態勢の整備の推進に関する法律案
目次
 第一章 総則(第一条-第五条)
 第二章 基本的施策(第六条-第十二条)
 第三章 サイバー安全保障態勢整備推進本部(第十三条-第二十二条)
 附則
   第一章 総則
 (目的)
第一条 この法律は、近年、国内外において国家の関与が疑われるサイバー攻撃(情報通信ネットワーク又は電磁的方式で作られた記録に係る記録媒体を通じた電子計算機に対する攻撃をいう。以下同じ。)その他のサイバー攻撃の脅威が増大していることに鑑み、サイバー安全保障を確保するための能動的サイバー防御等に係る態勢の整備(以下「サイバー安全保障態勢の整備」という。)の推進に関し、基本理念を定め、国の責務等を明らかにし、及びサイバー安全保障態勢の整備の推進に関する施策の基本となる事項を定めるとともに、サイバー安全保障態勢整備推進本部を設置することにより、サイバー安全保障態勢の整備を総合的かつ集中的に推進することを目的とする。
 (定義)
第二条 この法律において「サイバー安全保障」とは、外部からのサイバー攻撃の脅威に対して国家及び国民の安全を保障することをいう。
2 この法律において「能動的サイバー防御」とは、外部からのサイバー攻撃について、これによる被害が発生する前の段階から、その兆候に係る情報その他の情報の収集を通じて探知し、その主体を特定するとともに、その排除のための措置を講ずることにより、国家及び国民の安全を損なうおそれのあるサイバー攻撃の発生並びにこれによる被害の発生及び拡大の防止を図ることをいう。
 (基本理念)
第三条 サイバー安全保障態勢の整備の推進は、次に掲げる事項を旨として行われなければならない。
 一 能動的サイバー防御として講ずる措置(以下「能動的サイバー防御措置」という。)その他のサイバー安全保障を確保するための措置が、サイバー攻撃が発生する前の段階から事態の推移に応じて機動的かつ効果的に実施されるようにすること。
 二 能動的サイバー防御措置の実施に当たっては、国民の理解と関心を深めることにより、その協力が得られるようにするとともに、関係機関及び関係事業者(サイバーセキュリティ基本法(平成二十六年法律第百四号)第三条第一項に規定する重要社会基盤事業者(第九条において「重要社会基盤事業者」という。)及び同法第七条に規定するサイバー関連事業者をいう。以下同じ。)相互の連携協力が確保されるようにすること。
 三 日本国憲法の保障する国民の自由と権利が尊重されるべきことに鑑み、能動的サイバー防御措置の実施に際して国民の自由と権利に制限が加えられるときであっても、その制限が、国家及び国民の安全を確保するために必要やむを得ない限度を超えるものとならないようにするとともに、公正かつ適正な手続の下に行われるようにすること。
 四 サイバー攻撃の排除のための措置が事態に応じ合理的に必要と判断される限度を超えるものとならないようにすること。
 五 我が国の能力を生かしつつ積極的に国際協力を推進するものとし、サイバー安全保障を確保するための措置の実施に際しては、関係する外国との協力を緊密にするとともに、国際社会の理解が得られるようにすること。
 (国の責務等)
第四条 国は、前条の基本理念(以下この条において「基本理念」という。)にのっとり、サイバー安全保障態勢の整備の推進に関する施策を総合的に策定し、及び実施する責務を有する。
2 地方公共団体は、基本理念にのっとり、国との適切な役割分担を踏まえて、サイバー安全保障態勢の整備の推進に関する施策を策定し、及び実施するよう努めるものとする。
3 関係事業者は、基本理念にのっとり、国又は地方公共団体が実施するサイバー安全保障態勢の整備の推進に関する施策に協力するよう努めるものとする。
 (法制上の措置等)
第五条 政府は、サイバー安全保障態勢の整備の推進に関する施策を実施するため必要な法制上又は財政上の措置その他の措置を講じなければならない。
   第二章 基本的施策
 (能動的サイバー防御措置の機動的かつ効果的な実施のための法制の整備等)
第六条 国は、能動的サイバー防御措置を機動的かつ効果的に実施することができるようにするため、速やかに必要な法制の整備その他の措置を講ずるものとする。
2 国は、前項の法制の整備に当たっては、特に、能動的サイバー防御措置の実施に際して国民の自由と権利に加えられる制限が国家及び国民の安全を確保するために必要やむを得ない限度を超えるものとならないようにしなければならない。
 (行政組織の整備等)
第七条 国は、サイバー安全保障を確保するための措置を適切かつ効果的に実施することができるようにするため、必要な行政組織の整備、自衛隊その他の関係機関及び関係事業者の連携協力の確保その他必要な体制の整備を行うものとする。
 (人材の確保等)
第八条 国は、サイバー安全保障に係る専門的な知識又は技能を有する人材の確保、養成及び資質の向上に必要な施策を講ずるものとする。
2 国は、前項の施策を講ずるに当たっては、その漏えいが国家及び国民の安全を損なうおそれのある情報を取り扱う者としての適性を有すると認められた人材が確保されるようにするものとする。
 (重要社会基盤事業者に対する支援等)
第九条 国は、国家及び国民の安全を損なうおそれのあるサイバー攻撃による被害の発生及び拡大の防止に資するよう、重要社会基盤事業者に対する必要な助言その他の支援、サイバー攻撃を受けた者に対する相談体制の整備その他の必要な施策を講ずるものとする。
 (調査及び研究開発の推進等)
第十条 国は、能動的サイバー防御措置の適切かつ効果的な実施に資するよう、情報通信技術その他の技術に関し、調査及び研究開発の推進その他の必要な施策を講ずるものとする。
 (能動的サイバー防御措置に関する国民の理解と関心の増進についての留意)
第十一条 国は、サイバーセキュリティ基本法第二十三条の施策を講ずるに当たっては、広報活動等を通じて、能動的サイバー防御措置に関する国民の理解と関心を深めることに特に留意するものとする。
 (能動的サイバー防御に関する国際協力の推進等についての留意)
第十二条 国は、サイバーセキュリティ基本法第二十四条の施策を講ずるに当たっては、能動的サイバー防御に関し国際的な規範の策定への主体的な参画その他の国際協力を推進すること及び我が国が実施する能動的サイバー防御措置に対する諸外国の理解を深めることに特に留意するものとする。
   第三章 サイバー安全保障態勢整備推進本部
 (設置)
第十三条 サイバー安全保障態勢の整備の推進を総合的かつ集中的に行うため、内閣に、サイバー安全保障態勢整備推進本部(以下「本部」という。)を置く。
 (所掌事務)
第十四条 本部は、次に掲げる事務をつかさどる。
 一 サイバー安全保障態勢の整備の推進に関する総合調整に関すること。
 二 サイバー安全保障態勢の整備の推進を総合的かつ集中的に行うために必要な法律案及び政令案の立案に関すること。
 三 サイバー安全保障態勢の整備の推進に関する関係機関、関係事業者その他国内外の関係者との連絡調整に関すること。
 (組織)
第十五条 本部は、サイバー安全保障態勢整備推進本部長、サイバー安全保障態勢整備推進副本部長及びサイバー安全保障態勢整備推進本部員をもって組織する。
 (サイバー安全保障態勢整備推進本部長)
第十六条 本部の長は、サイバー安全保障態勢整備推進本部長(以下「本部長」という。)とし、内閣総理大臣をもって充てる。
2 本部長は、本部の事務を総括し、所部の職員を指揮監督する。
 (サイバー安全保障態勢整備推進副本部長)
第十七条 本部に、サイバー安全保障態勢整備推進副本部長(以下「副本部長」という。)を置き、内閣官房長官及びサイバー安全保障態勢整備推進担当大臣(内閣総理大臣の命を受けて、サイバー安全保障態勢の整備の総合的かつ集中的な推進に関し内閣総理大臣を助けることをその職務とする国務大臣をいう。)をもって充てる。
2 副本部長は、本部長の職務を助ける。
 (サイバー安全保障態勢整備推進本部員)
第十八条 本部に、サイバー安全保障態勢整備推進本部員(次項において「本部員」という。)を置く。
2 本部員は、本部長及び副本部長以外の全ての国務大臣をもって充てる。
 (資料の提出その他の協力)
第十九条 本部は、その所掌事務を遂行するため必要があると認めるときは、関係行政機関、地方公共団体、独立行政法人(独立行政法人通則法(平成十一年法律第百三号)第二条第一項に規定する独立行政法人をいう。)及び地方独立行政法人(地方独立行政法人法(平成十五年法律第百十八号)第二条第一項に規定する地方独立行政法人をいう。)の長並びに特殊法人(法律により直接に設立された法人又は特別の法律により特別の設立行為をもって設立された法人であって、総務省設置法(平成十一年法律第九十一号)第四条第一項第八号の規定の適用を受けるものをいう。)の代表者に対して、資料の提出、意見の開陳、説明その他必要な協力を求めることができる。
2 本部は、その所掌事務を遂行するため特に必要があると認めるときは、前項に規定する者以外の者に対しても、必要な協力を依頼することができる。
 (事務)
第二十条 本部に関する事務は、内閣官房において処理し、命を受けて内閣官房副長官補が掌理する。
 (主任の大臣)
第二十一条 本部に係る事項については、内閣法(昭和二十二年法律第五号)にいう主任の大臣は、内閣総理大臣とする。
 (政令への委任)
第二十二条 この法律に定めるもののほか、本部に関し必要な事項は、政令で定める。
   附 則
 (施行期日)
1 この法律は、公布の日から施行する。ただし、第三章の規定は、公布の日から起算して一月を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。
 (検討)
2 政府は、この法律の施行後速やかに、虚偽の情報、不正確な情報その他誤解を生じさせるおそれのある情報の情報通信技術を用いた拡散(以下この項において「虚偽情報等の拡散」という。)が国家及び国民の安全に及ぼす影響について調査及び研究を行い、その成果を踏まえ、虚偽情報等の拡散が国家及び国民の安全を損なうことがないようにするための措置について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとする。

     理 由
 近年、国内外において国家の関与が疑われるサイバー攻撃その他のサイバー攻撃の脅威が増大していることに鑑み、サイバー安全保障態勢の整備の推進に関し、基本理念を定め、国の責務等を明らかにし、及びサイバー安全保障態勢の整備の推進に関する施策の基本となる事項を定めるとともに、サイバー安全保障態勢整備推進本部を設置することにより、サイバー安全保障態勢の整備を総合的かつ集中的に推進する必要がある。これが、この法律案を提出する理由である。