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開発委員会は、本日2024年4月19日に開催された。

開発委員会のメンバーは、ウクライナにおける戦争、ガザにおける人道危機、紅海における海運上の混乱を含む、現在の戦争や紛争による、世界経済へのマクロ経済面、金融面での影響について議論した。開発委員会は地政学的・安全保障上の問題を解決するフォーラムではなく、これらの問題は他のフォーラムで議論されることを認識しつつ、開発委員会のメンバーは、こうした状況は世界経済に著しい影響を与えることを認識した。今日の時代は戦争や紛争の時代であってはならない。

昨年の世界経済の状況は予想を上回った。世界的な景気後退の恐れは薄れ、物価上昇も緩やかになっている。しかし、世界経済の見通しは引き続き低く抑えられている。多くの途上国で、パンデミック後の回復は弱いままであり、経済的及び社会的なストレスや不平等が悪化し、世界経済及び最も脆弱な人々に負の影響を与え、苦労して得られた開発の成果が更に損なわれている。多くの途上国はまた、重い債務負担及び財政余力の制約に直面している。これにより、機能する医療システム、食料・栄養安全保障、質の高い教育、社会的保護、並びにクリーンな水とエネルギーといった基礎的サービスを支援するための資源は限られ、気候変動、パンデミック及び脆弱性のような地球規模課題への強靭性の構築はより難しくなる。気候変動及び生物多様性の喪失は、不安定性、ショック、強制的な避難及び移住、並びに人的資本の喪失を悪化させることにより、圧力を加えている。

世界が、脆弱性、紛争及び暴力(FCV)の根本的な原因に対処しつつ、貧困を撲滅し、小国を含む多くの支援対象国に影響を及ぼす不平等を減らそうとするのであれば、これらの複数の相互に絡み合った危機に対処するための速やかな行動が必要である。より持続可能で、包摂的で、強靭な世界の追求において誰も取り残されないよう、国際社会が共に取り組むことが不可欠である。持続可能な開発目標(SDGs)を支持し、居住可能な地球で極度の貧困を撲滅し繁栄の共有を促進することへの開発委員会のコミットメントは強固なままである。総務は、世界銀行グループ(WBG)及び国際通貨基金(IMF)が、開発コミュニティと協力し、貧しく最も脆弱な人々への資金及び必要不可欠なサービスの提供を強化するために取り組み続けることを強く求めた。彼らは、WBGマネジメントが、開発・人道パートナーと協調し、国々によるFCVの要因及び影響への対処を支援する際の組織の有効性を引き続き向上させることを求めた。

開発委員会は、マラケシュにおける年次総会以降の改革ロードマップに係る進展に勇気づけられた。開発委員会のメンバーは、分析とファイナンスの両方がより効果的な結果に貢献するようにするためのナレッジバンクの強化に向けた取組を歓迎した。彼らはまた、新しいWBGスコアカード及びナレッジコンパクトの公表、影響の大きい地球規模課題プログラム(GCPs)[1]の取組の開始、民間セクターの資金動員強化のための民間セクター投資ラボの進行中の取組、及び拡充された危機対応ツールキットを歓迎した。開発委員会のメンバーは支援対象国への提供を早め、より迅速に結果を達成し、業務の効率性及び効果を高めるための方法に関する、2024年の年次総会前の議論を歓迎した。これは、プログラム的アプローチの活用の増加、内部手続きの合理化、実施を改善するための支援対象国の能力及びシステムの強化、並びに世界銀行の環境社会フレームワーク及び調達フレームワークの強化を含む。

我々は、より良くより大きな銀行になるにつれて、より広く説明可能であり続けなければならない。開発委員会は、マネジメントによるパンデミックの防止、備え及び対応の強化のための更なる努力を歓迎した。総務は、マネジメントが、グローバル及び地域的な関係者とのパートナーシップを強化し続け、パンデミック発生時に十分な資源が利用可能かつ平等にアクセス可能とするための選択肢を模索することを強く求めた。彼らは、その最終化に向けたスコアカードの手法の議論の継続、及びマネジメントが10月の年次総会までに全ての新しい指標及び成果を報告することを期待する。彼らは、WBGマネジメントが、国別の関与に関する改革及び支援対象国の国内資金動員を支援する包括的な財政レビューを含む国別診断の向上を引き続き進めることを求めた。累進的な国内資金動員を通じて不平等に対処することは、包摂的な成長に不可欠である。開発委員会のメンバーは、マネジメントが職員報酬を組織の優先分野及び新しいプレイブックと整合させることを求めた。

開発委員会は、国内資金動員、社会的セーフティ・ネットの設計、気候、パンデミックへの備えといった分野におけるWBGとIMFの更なる協力を期待する。総務は、両機関が債務持続可能性の問題に引き続き緊密に協働することを求めた。彼らは、低所得国向け債務持続可能性フレームワークの見直しの開始を歓迎した。彼らは、WBGとIMFの協働を認識し、両機関がそれぞれの役割の下で協力を深化させ、パリクラブ及び他のG20債権者による、適時に、秩序立ち、予測可能で、かつ連携した方法で適用国に対する「共通枠組」の実施を支援し、脆弱な中所得国に対する債務再編プロセスにおける債権者の協調を強化することを求めた。開発委員会のメンバーは、債務の管理と透明性の向上に引き続き取り組むため、民間債権者を含む全ての関係者による共同の取組の重要性を確認した。この観点から、開発委員会のメンバーは、「データ共有の取組(Data Sharing Exercise)」の継続を歓迎し、より多くの公的二国間債権者及び民間債権者による広範で自発的な参加を期待する。

ジェンダー平等は賢明な経済であり、開発に不可欠である。総務は、ジェンダーに基づく暴力を終わらせ、人的資本を向上させ、経済機会を拡大し、女性をリーダーとして参加させるための取組を強化する、新しいWBGジェンダー戦略とその実施に期待する。彼らは、WBGマネジメントが、効果的かつ影響力の大きい開発の主要な原動力として、ジェンダー平等及び包摂性を加速させていることを称賛した。加えて、彼らは、WBGスタッフ及びマネジメントの多様性及び包摂性を改善するための継続的な取組を強く求め、WBGの理事会で同問題を進めることの重要性を認識する。

開発委員会は、国境を越えて外部性を有する地球規模課題に対処するプロジェクトへの投資を促進する可能性を有する、「資金インセンティブのためのフレームワーク」の開始を評価する。開発委員会のメンバーは、既に表明済みのコミットメントとこれまでに示された関心表明を歓迎し、株主とドナーに更なる貢献を求めた。これらの貢献は、「グローバル解決策加速プラットフォーム」を通じた支援量によるインセンティブのためのハイブリッド資本及びポートフォリオ保証、並びに価格によるインセンティブのための「居住可能な地球基金」へのグラントでの貢献の形式を取り得る。総務はマネジメントに対し、他の革新的なアプローチを引き続き模索することを求めた。また、彼らは、資源を最適化するため、既存の信託基金と金融仲介基金の間の協調の拡大を求めた。開発委員会のメンバーは、強固なモニタリング及び報告を通じ、提案された分配方法から早期に経験と教訓を得ることを期待する。

開発委員会のメンバーはまた、国際共同協調融資プラットフォームの開始を評価する。これは、公的セクター向けの協調融資の規模と調整を拡大し、地球規模の優先事項に係る戦略的調整を促し、支援対象国にとってのコストと複雑さを減らすものである。

民間資金の動員と有効化は、開発資金ニーズを満たすために重要となる。この観点から、開発委員会は、支援対象国への支援を効率化するWBG保証プラットフォームの開始に期待する。開発委員会のメンバーは、WBGが過去最高の投資額及び保証額を提供し、IDA民間セクター支援枠を通じたものを含め、支援対象国に向けて広く譲許的資金を追求していることを称賛した。彼らは、グローバル新興国市場リスク(GEMs)データベースからの追加的なデータ並びにWBGの債務不履行及び回収率に関する統計の公表を称賛し、国別及びセクター別を含む更なる細分化に期待する。

急速な技術変化の進展を踏まえ、開発委員会はデジタル分野におけるマネジメントの取組を歓迎した。開発委員会のメンバーは、WBGが、リスクと意図せざる結果を認識しつつ、その活用と、支援対象国が人工知能を含むデジタル・トランスフォーメーションの機会にアクセスできるようにするための支援を拡大することを奨励した。

総務は、2025年度末までに適応と緩和の優先順位のバランスを取りつつ、年間融資額の45%を気候変動に充てるというCOP28におけるWBGのリーダーシップとコミットメントを認識した。適応と緩和のバランスにおいては、IDA及びIBRDの気候変動ファイナンスの少なくとも50%を適応に割り当てる一方、IFC及びMIGAは適応のための民間セクターによる気候変動ファイナンスの拡大に努めるべきである。彼らはマネジメントに対し、支援対象国による長期戦略及び国家適応計画の策定への更なる支援を含め、強靭性向上と生態系及び生物多様性の保護にも注力することを求めた。彼らは、気候変動の指標、手法及び診断の改善に向けたWBGの継続的なリーダーシップに期待する。

開発委員会は、国別アプローチを基礎とし、最も差し迫った開発課題に対処するための強化された財務能力及び予算、知見並びにパートナーシップを伴う、より良く、より大きく、より効果的なWBGにコミットする。開発委員会のメンバーは、年次総会までのWBG改革の実施に係る総務への報告に期待する。また彼らは、WBGが他の国際開発金融機関(MDBs)と更に協働するための選択肢を引き続き模索することを求めた。

総務は、開発成果を向上させ、内部の学習とフィードバックを活性化する説明責任のメカニズムの重要性を強調した。WBGの環境及び社会的基準への遵守の確保は、強固な結果と効果の重視と同様に、この組織の開発への貢献のために極めて重要である。

開発委員会は、IDAの展開可能な戦略的資本を中長期的に160億ドル増加させ、IDAの財務能力を拡大させることが見込まれる、IDAの自己資本の十分性に関する枠組(CAF)の向上のための取組を歓迎した。開発委員会のメンバーは、長期的な開発目標への注力を継続し、国々の強靭性を強化し、影響の大きい結果を達成しつつ、IDA第21次増資を危機に直面する国々を支援するものと位置づけるための断固たる行動を求めた。

総務は野心的な成果をもたらすIDA第21次増資の成功にコミットする。このためには、最も貧しく脆弱な人々のニーズに対処するための十分な支援を含め、開発効果を高め、IDA国に対して強固な、正味ベースで正の資金フローを提供し続けるための、既存及び新規のドナー、支援対象国、並びに世銀による確固たる努力が必要である。

開発委員会は、リマ株式配分原則に沿った2025年の次回の株式配分見直しを期待しており、技術的な準備が進行中であることに留意した。開発委員会のメンバーは然るべき時期に報告されることを期待する。

開発委員会のメンバーは、新しいWBGのビジョンとミッション及びコーポレート・スコアカードの実施を実現するための我々の共同の野心を認識しつつ、追加的な株主支援によるものを含め、進行中のWBGの財務能力の向上を歓迎した。彼らは、世界銀行が、AAA格付、優先的に弁済を受ける地位及び長期的な財務持続可能性を維持しつつ、CAF提言の実施のための努力を継続することを奨励した。その上で、開発委員会のメンバーは、理事会及びマネジメントに対して、WBG改革の実施に係る報告を提出した後、IBRDの財務能力とWBGのビション及びミッションとの整合性を評価することを求めた。その後、開発委員会のメンバーは、次のステップについての報告に期待する。

総務は、経済的進歩を維持し、不平等を低減し、基礎的なサービスへのアクセスを可能とし、居住可能な地球で貧困の無い世界を創るため、MDBs横断で他のパートナーと共により良く取り組むことで、多国間主義及び国際協力へのコミットメントを再確認した。

次の開発委員会は、ワシントンD.C.において、2024年10月に開催する。


[1] 脆弱性・紛争・暴力の重視と共に、1. 迅速な水の安全保障及び気候変動への適応、2. エネルギーの移行、効率性及びアクセス、3. 保健危機の防止、備え及び対応の向上、4. デジタル化の加速、5. 食料及び栄養安全保障、6. 開発のための森林、気候変動及び生物多様性。

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