外務省・新着情報

冒頭発言

 先ほど、3日間にわたりますG7外相会合の全日程を終えました。本日も動きがあり、更に緊迫度の高まる中東情勢や、長く厳しい状況が続いているウクライナ情勢など、国際社会が直面している様々な問題について、G7メンバー間で、緊張感のあるやり取りを行ってまいりました。

 まず、中東情勢から申し上げます。我が国といたしましては、現在の中東情勢を深く懸念しており、事態のエスカレーションにつながるいかなる行動も強く非難します。G7外相間では、昨日も半日かけてじっくり議論をいたしましたが、本日、イスラエルがイラン国内に対して攻撃を行ったと報じられたことを受け、今日の会合でも議論をいたしました。

 本日の事象について、現時点で確定的な評価を控えますが、私自身も、本日未明に報告を受けました。本日の会合では、G7間で現時点での情報を共有しつつ、事態の更なる悪化・エスカレーションを防ぐため、イスラエルやイランに対するものも含め、あらゆる外交努力を行っていくことで一致しました。そして、そのためG7で引き続き緊密に連携して対応していくことで一致をいたしました。

 ガザの状況を含むイスラエル・パレスチナ情勢についても時間をかけて議論をいたしました。G7として、ラファハへの軍事作戦は行われるべきでないこと、人質の即時解放と、人道支援の大幅な増加を可能にする持続可能な停戦を求めること、そして、二国家解決へのコミット、などを確認し、緊密に連携して対応していくことで一致をいたしました。

 ウクライナについて、私(大臣)からは、「今日のウクライナは明日の東アジアかもしれない」という強い問題意識の下、ウクライナと共にあるという日本の立場は揺るがない点を強調しました。我が国議長下で推進したG7の結束を踏襲しつつ、長く厳しい状況の中にあるウクライナを支える揺るぎない決意を再確認し、日ウクライナ経済復興推進会議を6月のベルリンでの復興会議につなげていくことを確認をいたしました。

 本日午前は、インド太平洋について議論をしました。日本が議長国の中で重視してきたインド太平洋が、引き続きG7の優先課題として掲げられているということを歓迎いたします。欧州大西洋とインド太平洋の安全保障は不可分との観点から、海洋の安全保障の問題を含め議論をし、G7メンバー間で更に連携するともに、地域のパートナーと共に取り組んでいくことが重要であるとの認識で一致しました。

「G7外のパートナーとの協力」も昨年来の優先事項であり、今回は特にAU議長のメルズーグ・モーリタニア外相を招き、アフリカとの協力も議論をしました。分断や対立ではなく協調の世界に向けて、いかにG7がリードをし続けるのかについて、議論が深められたと思います。

 国際社会の様々な課題について3日間じっくりと議論し、非常に充実した日程となりました。外相会合中だけでなく、合間の二国間会談、コーヒーブレイク、移動するときの廊下でも、各国外相と率直な会話をかわし、多くの示唆を得ることが出来ました。お互いの関係が更に深まり、そして、協力して様々な問題に共に取り組んでいくことができる、という手応えを感じたところであります。今回の議論を今後の我が国の取組に活かしながら、G7で連携して対応してまいりたいと考えております。

質疑応答

(記者)冒頭、少し発言された中東情勢の関連でお伺いいたします。米国の複数のメディアによりますと、政府当局者の話として、イスラエルはイランによる大規模な攻撃に対する報復措置として、複数のミサイルを発射したとしています。大臣もG7外相会合でイスラエル、イラン双方に自制を求めた、その直後にこうした事態となったことについての受け止め、そして今後の対応について伺います。

(大臣)先ほども申し上げたところでありますが、我が国といたしましては、現在の中東情勢、これを深く懸念をしておりましてして、特に事態のエスカレーションにつながるいかなる行動も強く非難をいたします。
 本日の事象についてでありますが、現時点で確定的な評価をすることは控えさせていただきますが、本日の会合におきましては、G7間で、現時点での情報を共有しつつ、事態の更なる悪化を防ぐため、イスラエルや、またイラン等に対するものを含め、あらゆる外交努力を尽くしていくということで一致をいたしました。そのためにG7で引き続き緊密に連携して対応して、このことについても一致したところであります。
 また、本事案を受けまして、速やかに現地の在留邦人の安否確認、また、注意喚起を実施しております。これまでのところ、在留邦人の生命・身体に被害が及んでいるとの情報には接しておりませんが、在外邦人の保護に万全を期してまいりたいと考えております。

(記者)今もありましたけれども、中東情勢に関して、日本はイランとイスラエル双方に自制を求めていく立場、大臣何度も表明していただいておりますけれども、米欧諸国が言及しているこの制裁についての日本の向き合い方とですね、このG7で足並みを揃えていくことが出来るとお考えかという点と、また、インド太平洋に関しても伺いたいのですけれども、インド太平洋地域の安定に関して、他のG7諸国から協力を取り付けられたとお考えでしょうか。台湾海峡の平和と安定の重要性について、このG7の結束は今回固められたとお考えでしょうか。

(大臣)まず、中東情勢のご質問でありますが、我が国といたしましては、事態のエスカレーションにつながるいかなる行動も非難をします。その上で、今後の我が国の対応につきましては、予断をすることは差し控えさせていただきますが、重要なことは、事態の更なる悪化を防ぐためにあらゆる努力、これを行っていくということでありまして、この点でG7は足並みが揃っております。我が国といたしましても、G7を含みます各国と緊密に連携をし、引き続き必要なあらゆる外交努力を尽くしてまいりたいと考えております。
 また、インド太平洋に関してのご質問でありますが、G7間におきましては、法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序の維持、そしてこの自由で開かれたインド太平洋へのコミットメントを改めて確認したところであります。そして、G7は、台湾海峡の平和と安定の重要性について、これも改めて確認をいたしました。引き続き、G7メンバーの間で更に連携をしつつ、地域のパートナーと共に、自由で開かれたインド太平洋の実現に向けまして取り組んでまいりたいと考えております。

(記者)アジア唯一のG7メンバー国として、大臣はアジア太平洋セッションでどのように議論を主導されましたでしょうか。中国や北朝鮮を巡る懸念の共有など、日本として議論や成果に貢献できた点がございましたら、ご感想含めてお聞かせいただければ幸いです。また、中国がドイツのショルツ首相を自国に招いて歓待するなど、欧州接近の動きを見せております。こうした動きをどのようにご覧になっているかも合わせて伺います。

(大臣)まず、昨年に引き続きまして、本年もインド太平洋を優先課題の一つとして掲げられてということにつきまして、非常に重要な位置づけをされているということを前議長国として大変ありがたく思っております。今日もですね、中東情勢が緊迫する中にありましても、インド太平洋地域の諸課題について私がリードをつとめまして、じっくり意見交換を行うことができました。
 その中で、この法の支配に基づく自由で開かれたインド太平洋に対するコミットメントを改めて確認するとともに、欧州大西洋とインド太平洋の安全保障、これは不可分である、こうした観点から、G7メンバー間で更に連携していくこと、そして地域のパートナーと共に取り組んでいくことにつきまして一致したところであります。
 また、中国に対しては、力による現状の変更の試みに反対していくこと、そして、率直に関与し、我々の懸念につきましては、中国と直接対話する必要性を再確認すると同時に、共通の関心分野においては中国と協力する用意があるということで一致をしたところであります。
 ショルツ独首相の訪中についてでありますが、日本としてコメントすることにつきまして差し控えさせていただきますが、いずれにいたしましても、先ほど申し上げたとおりでありまして、本日のG7インド太平洋セッションにおきましても中国につきましてはG7で改めて認識のすりあわせを行い、また、ベアボック独外相との間におきましても本日会談を実施したところでありまして、引き続き両国間で緊密に連携していくということで一致したところであります。
 北朝鮮に関しましては、私(大臣)から、北朝鮮の核・ミサイル活動を深刻に懸念しており、G7を始めとする同志国間でこれまで以上に緊密に連携し、断固とした姿勢を示すことが必要である旨述べ、G7メンバー間で更に連携していくことにつきまして一致したところであります。また、拉致問題の即時解決に向けまして、G7各国からの一貫した理解と協力、これに対しまして、私(大臣)からの感謝を述べさせていただきました。引き続き、G7で連携しつつ、取り組んでまいりたいと考えております。

(記者)中国の関連でお伺いします。先ほど発表のあったG7共同声明の中で、中国は地球規模課題を取り組む上での鍵となる「対話相手国」と位置づけられておりました。ご発言いただいたところと少し重なりますけれども、どのような関与をG7として、地球規模課題に取り組む上で、中国にどのような関与を期待されているか伺います。

(大臣)昨年11月の日中首脳会談におきましても、まさに「戦略的互恵関係」を包括的に推進するとともに、「建設的かつ安定的な日中関係」を構築するという大きな方向性が確認されたところであります。これは、隣国ゆえに存在する様々な課題に対応しつつ、大局的な観点から、グローバル課題を含みます様々な分野で協力を推し進めていこうというものであります。
 岸田総理と習近平主席とのやり取りを踏まえまして、私(大臣)も、昨年11月に日中外相会談におきまして、王毅外交部長との間で、懸案については、我が方の立場をしっかりと踏まえつつ、グローバル課題についても意見交換を行いました。気候変動や感染症を含む国際保健等につきまして日中間で意思疎通をしっかりと強化することで一致しているところであります。
 日中両国は地域と国際社会全体をリードする大国として、世界の平和と安定に貢献する責任を有しているとこであります。我が国としては、引き続きグローバル課題についても中国と対話を重ね、責任ある行動を求めつつ、可能な分野については協力を進めていきたいと考えております。


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