経産省・新着情報

2024年3月29日(金曜日)
10時44分~11時01分
於:本館10階記者会見室

冒頭発言

エネルギー価格激変緩和措置

おはようございます。
初めに私から4点申し上げたいと思います。
1点目は、エネルギー価格の激変緩和措置についてです。
この措置は国際情勢の緊迫化等を背景として、エネルギーの国際価格が急騰する中で緊急対応として実施してきましたが、今後の対応方針について御説明します。
まず、燃料油については、中東情勢の緊迫化等を背景とした価格高騰リスクや様々な経済情勢を見極めるために、2024年4月末までとしていた措置を一定期間延長します。
電気、ガスについては、LNGや石炭の輸入価格がロシアのウクライナ侵略前と同程度に低下してきた状況等を踏まえ、措置を5月末まで講じることとし、5月は低圧で1kWh当たり1.8円の支援とするなど、幅を縮小します。
その上で、予期せぬ国際情勢の変化等により価格急騰が生じ、国民生活への過大な影響を回避するため、緊急対応が必要となった場合には、もちろん迅速かつ機動的に対応していきたいと思っています。
詳細はこの後事務方から御説明させていただきます。

【被災中小企業支援の進捗】
2点目は、能登半島地震に関しまして、中小企業支援の進捗状況を御報告させていただきます。
まず、なりわい補助金については、石川県から、早速27日ですが、6件決定されました。4月1日からも継続的に公募を行ってまいります。
政府は、二重債務問題に対応するため、石川県や地域金融機関等と共同で能登半島地震復興支援ファンドを設立します。4月1日に七尾商工会議所内に能登産業復興相談センターを開設しまして、資金繰りなどの相談対応を開始します。
また、地域の重要な文化の発信拠点である本屋、珠洲市の「いろは書店」さんが仮店舗で教科書の販売を再開したというニュースを御紹介します。早速、経済産業省職員が訪問させていただきまして、今後の本格的な再開に向けた支援も進めていきたいと思っています。
引き続き、関係機関と連携して、被災事業者へのきめ細かい支援を徹底していきます。

自動車向け半導体開発支援

3点目は、本日、自動車向けの先端半導体に関する研究開発を行う自動車用先端SoC技術研究組合(ASRA)に対する支援を決定しました。
今回支援を行うASRAは、トヨタやホンダ、日産などの自動車メーカー、自動車部品メーカーと半導体関連企業が参画して設立され、半導体のユーザー側と供給側の連携による最先端半導体のユースケースの創出に向けた研究開発に取り組んでいます。
この技術により、自動車分野において高性能で低消費電力かつ信頼性の高い先端半導体の活用が進み、自動車の知能化・電動化の実現につながることを強く期待しています。また、ラピダスが開発を進めている2ナノの次世代半導体の将来需要にもつながっていくという観点からも重要な取組であると考えています。
詳細は事務方にお尋ねいただければと思います。

三陸・常磐ウィークス(第3弾)

4点目は、「三陸・常磐ウィークス(第3弾)」の結果を御報告します。
本年1月22日から3月24日までの2か月で、約147万食の「三陸・常磐もの」を全国各地で食べていただきました。私もさんまのポーポー焼きなどが入った幕の内弁当を省内の若手と一緒においしく頂きました。
この期間に約1,100社の企業等が参加をする「三陸・常磐ものネットワーク」を通じて、販売促進イベントの開催や社食、お弁当の購入等が進んだ結果として、日本全国で大きな応援消費が産み出されました。マスコミ含め皆さんの御協力に心から感謝を申し上げます。
引き続き、ALPS処理水の海洋放出に関するモニタリングデータ等を透明性高く情報発信していくとともに、「三陸・常磐もの」の継続的な消費拡大を進め、風評の抑制に全力を挙げていきます。
詳細については、この後事務方から説明させていただきます。
以上になります。

質疑応答

円安

Q:為替のお話を伺いたいと思います。
先般34年ぶりの円安という水準になりました。大企業に追い風という向きもあるのですが、ものづくりの下の方で輸入をして作っている中小企業には打撃となるという見方もございます。経済産業省としてこの水準の受け止めというのと併せて対応というのがあればお伺いしたいと思います。

A:日々の為替相場の動きについて、私の立場でコメントすることは差し控えさせていただきますが、何より多くの事業者にとって大事なことは為替の安定ですから、過度な変動にはしっかりと注視していく必要があると思っています。
円安は輸入価格の上昇につながりますが、中小企業だけに負担がしわ寄せされぬよう、政府全体で価格転嫁対策を徹底していくことが改めて大事だと思います。
私自身、一昨日には、電機産業の業界団体JEITAを訪問し、経営トップに対して直接価格転嫁の要請をしました。引き続き、先頭に立って価格転嫁を要請していきたいと思います。
また、厳しい状況にあります中小企業には革新的な製品・サービスの開発や、新たな販路開拓、IT導入や人手不足に対応した省力化投資など、様々な支援策を御活用いただき、為替やエネルギー価格の変動に関わりなく、中長期的・持続的に成長できるよう後押しすることも重要だと思います。
加えて、円安で輸出金額が増えても、よく言われることですが、輸出数量が増えていないという指摘もあります。この原因には、グローバル化によって生産拠点の国際展開がなされていて、為替の変動に対応しているということなのでしょうが、本質的には国内の投資が進まず世界での勝負ができなくなっているのではないかと私自身は危機感を覚えています。
王道は、日本からいい製品・サービスが生まれ、世界に打って出ることだと思っていますので、積極的な産業政策を更に展開し、継続していくことで、世界で稼いだ富が日本に還流する好循環を作り、そしてそれをベースに次の技術革新を産み出して、日本を最先端の研究開発・事業拠点が立地する「世界の製造拠点」に向かって努力していくことも期待したいと思っています。

東京電力パワーグリッド顧客情報不正閲覧

Q:昨日東京電力の送配電子会社で顧客情報の不正閲覧があったと発表がありました。去年大手の電力各社で不正閲覧が発覚した際の調査では今回の事案は明らかにならなかったということですが、これに対する大臣の受け止めですとか経済産業省としての対応についてお願いいたします。

A:本件は、電力・ガス取引監視等委員会が実施した今年度の定期監査において、東京電力パワーグリッドが管理する非公開情報の一部が、東京電力ホールディングスなどの関係会社から閲覧可能な状態にあることが判明した事案です。
現在、同委員会において報告徴収が行われ、情報漏えいの経緯や関係会社における閲覧の状況などの事実関係を調査しているところです。私どもとしては、委員会の調査結果も踏まえ、適切な対応を取ってまいりたいと考えています。

※ 実際の発言は「定期検査」でしたが、事実関係を踏まえ上記のとおり修正しました。

自動車向け半導体開発支援

Q:冒頭の発言にもありましたASRAへの支援についてですが、車載半導体の開発には設計から製造までばくだいなコストが掛かると言われております。今後の支援の規模でありましたり、方向性についてはどのようにお考えでしょうか、またラピダスへの将来需要のお話もありましたが、実際製造を委託する先として想定しているのはラピダスでしょうか、それともTSMCも含まれるのでしょうか。

A:まず、今回支援を行うプロジェクトは、2030年頃、自動車車両搭載用の最先端半導体の設計・開発・実証を行うもので、成果を得るためには長期にわたる継続した取組が必要と思っています。
本日は、10億円の支援を発表したが、これは、今言った流れの中のチップ設計の第1ステージ向けの予算です。今後、プロジェクトの進捗をしっかりと見極めながら、段階的に、必要な支援を講じていくのが我々の考えです。
車載用の半導体チップの製造委託先についてお話がありましたが、これは個社が検討すべきことで、私の立場から、どこだとは申し上げられないのですが、ただしラピダスでは2ナノ世代の次世代半導体の開発を進めているわけですから、開発が予定通り進めば、十分に将来の車載用半導体のスペックを満たす半導体が製造できると考えており、期待しています。

スポーツベッティング

Q:大谷翔平選手の元通訳だった水原さんの関係で質問させていただきたいのですが、水原さんはスポーツ賭博をされていたというので、今少し話題になっているのですが、かつて日本でも経済産業省でスポーツベッティングの検討をされていたと思うのですが、その後の検討状況はどうなったかというのと、大臣御自身はスポーツベッティングについてどのようにお考えになっているかお聞かせください。

A:まず、経済産業省において、いわゆるスポーツベッティングの解禁に向けてこれまで検討した事実はありません。過去に経済産業省の有識者会議が2021年に取りまとめた提言において、スポーツベッティングに関して、欧米で財政に貢献した事例紹介等の形で触れていたけれども、導入に向けた議論を行ったものではありません。
経済産業省としても、私としても、スポーツベッティングについて検討する予定はありません。

燃料油価格激変緩和措置

Q: 冒頭の燃料油補助、ガソリン補助の関係なのですけれども、家計などの支援という意味で4月末から継続という判断なのですが、ややずるずると続けているという印象もこれはあって、この政策に関しては市場をゆがめるとか、あと脱炭素化という政策の方向性とややバッティングするという批判もあって、どうやってこれをやめていくのかというところはトリガーを主張している政党もあるのですけれども、どういうふうにやめていくかというところがこの先非常に大事になってくるかなということだと思うのですけれども、このあたりどういうふうなお考えがあるかというところをお願いします。

A:私は、これは非常に大事な御質問だと思います。いろいろな角度からいろいろな意見ができる話と思っています。
まず、前提として、この事業は原油価格の急騰が、国民生活や経済活動に与える影響を軽減すべく、一時的な緊急避難措置として実施しているというのが、基本的考え方です。GXや脱炭素化等を進めていく観点も踏まえますと、本事業はいつまでも続けるものではないと、私は思っています。
ただ、一方、事業を取りやめることによる国民生活や経済活動への影響も考慮しなくてはいけないと思います。先ほども申し上げましたように、いつまでもやるものではないと思っていますので、出口戦略を描いていかなければならないわけですが、その出口戦略を描くに当たっては、今申し上げたような点も含め、国際情勢、経済やエネルギーをめぐる情勢などをよく見極めながら、適切に対応していかなくてはならないと思っていますが、情勢はいろいろ変化するというのが背景としてあるわけです。
同時に、原油価格高騰への対応力を重ねて強化していくことが、改めて大事だと思っていまして、クリーンエネルギー中心の社会・経済・産業構造への転換をしっかり図っていくことだと思っています。

Q:今の時点でいつまでというところはなかなか示せないという状況ですか。

A:示せないです。

 

以上

最終更新日:2024年3月29日

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