外務省・新着情報

令和6年3月2日
オコンジョ=イウェアラWTO事務局長と辻󠄀副大臣との会談 オコンジョ=イウェアラWTO事務局長との会談
サーイグUAE国務大臣との会談 サーイグUAE国務大臣と辻󠄀副大臣との会談
ウズベキスタンのWTO加盟に係る二国間交渉妥結を確認する文書署名式

 2月26日から、アラブ首長国連邦(UAE)のアブダビにおいて、第13回世界貿易機関(WTO)閣僚会議(MC13)が開催され、我が国から辻󠄀清人外務副大臣が、武村展英農林水産副大臣及び上月良祐経済産業副大臣と共に、政府代表として参加しました。また、辻󠄀副大臣は、MC13の機会に開催された各種会合に出席した他、各国・国際機関要人との会談を行ったところ、概要は以下のとおりです。

ITCとのウクライナにおける「避難民の就労及び起業支援」プロジェクトに関する文書署名式
ハンズ英国ビジネス・貿易閣外大臣(貿易政策担当)兼ロンドン担当大臣と辻󠄀副大臣との会談 ハンズ英国ビジネス・貿易閣外大臣(貿易政策担当)兼ロンドン担当大臣との会談

1 第13回WTO閣僚会議

  1. 今次閣僚会議には、164のWTO加盟国・地域の閣僚等が参加し、世界経済が直面する新たな課題を踏まえ、国際貿易秩序の礎として、WTOが果たす役割や今後の取組の方向性について議論されました。
  2. 今次閣僚会議には、上川外務大臣がビデオ・メッセージを送り、国際貿易秩序の基盤としてのWTOの重要性や、世界が直面する新たな課題にWTOが効果的に対応できるよう、今次閣僚会議でWTO改革を進める重要性を強調しました。
  3. 辻󠄀副大臣は、今次閣僚会議において、WTO改革を進める上で、「誰一人取り残さない」とするSDGの原則や、女性の貿易への参画などの包摂性の強化、デジタル貿易の促進等の重要性を強調しました。
  4. 今次閣僚会議では、これまでに実施されたWTO改革の進展が確認されるとともに、今後とも改革を不断に推進していくことで一致しました。特に、紛争解決制度改革については、2024年までに全ての加盟国が利用できる完全なかつよく機能する紛争解決制度の実現を目的として、議論を加速することに一致することができました。
  5. さらに、1998年以降、WTOにおいて継続して延長されてきた、電子的送信に対する関税不賦課モラトリアムについても、MC14(※2026年にカメルーンにて開催)まで延長することが決定されました。
  6. 今次閣僚会議では、コモロ及び東ティモールのWTO新規加盟が決定されました。今後、両国によるWTO協定受諾の寄託を受け、WTO加盟が実現します。両国が加盟すれば、全加盟国数は166となります。
  7. また、開発分野については、衛生植物検疫措置の適用に関する協定(SPS協定)及び貿易の技術的障害に関する協定(TBT協定)の効果的な実施を支援するため、後発開発途上国を含む途上加盟国に対する技術支援、訓練及び能力構築の重要な役割等を確認することができました。また、後発開発途上国からの卒業国に対して、一定の移行支援を実施することを確認しました。
  8. 最後に、今次会合の成果として、現地時間3月2日未明に閣僚宣言が採択され、閉幕しました。
バルカット・イスラエル経済産業大臣との会談
タヴィオ・フィンランド外国貿易・開発大臣との会談

2 MC13の機会に開催された各種会合等

  1. 気候に関する貿易大臣コアリション(25日)
     辻󠄀副大臣からは、貿易と気候変動への対応が相互に補完的である旨を指摘しつつ、貿易の観点から気候変動対応に貢献する上での日本の今後の取組について述べました。会合終了後、閣僚コミュニケ(別添2)が発出されました。
  2. オタワ・グループ閣僚級会合(25日)
     辻󠄀副大臣からは、WTO改革の重要性を指摘しつつ、MC13で期待する成果についての日本の考えを説明しました。
  3. ウクライナとの連帯会合(EU主催)(25日)
     本会合では、辻󠄀副大臣を含む50近くの国・地域から閣僚等が参加し、ウクライナへの連帯の姿勢を示すとともに、共同声明(別添3)を発出しました。
  4. 開発のための投資円滑化に関する協定(投資円滑化協定)閣僚イベント(25日)
     本閣僚イベントには、交渉参加国・地域の閣僚及び関連国際機関が参加し、投資円滑化協定の交渉終了を宣言し、協定文を公表する旨の閣僚宣言(別添4)が発出されました。辻󠄀副大臣からは、投資円滑化協定は、特に開発途上加盟国の経済成長に資する旨述べ、同協定のWTO協定への組み込みという歴史に向けた連携を呼びかけました。
  5. サービス国内規制の規律に係る認証手続の完了の発表(27日)
     有志国による取組である、サービス国内規制に関する共同声明イニシアティブ(JSI)につき、GATSの約束表における追加的な約束として、サービス国内規制に関する新たな規律を取り入れるためのWTO加盟国間の手続が完了し、一部の加盟国につき発効しました。これは、JSIを通じた有志国によるルール形成の成果がWTOにおいて発効した、初めての具体的成果です。
アルベルトーニ・ウルグアイ外務次官との会談
ラトニク・エストニア外務省次官補との会談

3 各国・国際機関要人との会談等

  1. ゴズィ・オコンジョ=イウェアラ世界貿易機関(WTO)事務局長(Dr. Ngozi OKONJO-IWEALA, Director-General of the World Trade Organization)(25日)
    1. 冒頭、辻󠄀副大臣から、MC13の成功に向けたオコンジョ=イウェアラ事務局長のリーダーシップに謝意を表明し、MC13において歴史的な合意を達成すべく、我が国としても議論に積極的に貢献していく旨強調しました。
    2. これに対しオコンジョ=イウェアラ事務局長からは、MC13の成功の向け、これまでの日本の貢献に謝意が表明されたほか、今次会合で成果を達成すべく、引き続き日本のリーダーシップへの期待が示されました。
  2. アフマド・ビン・アリー・アル・サーイグUAE国務大臣(H.E. Mr. Ahmed bin Ali Al Sayegh, Minister of State of the United Arab Emirates)(26日)
    1. 冒頭、辻󠄀副大臣から、本年1月に発生した能登半島地震発災直後のムハンマド大統領からのお見舞いのメッセージへの謝意を表明するとともに、日本は重要な戦略的パートナーであるUAEとの関係を非常に重視しており、二国間関係を更に発展させるべく、緊密に連携していきたい旨述べました。これに対し、サーイグ大臣から、日本との二国間関係強化への一層の期待が表明されました。
    2. 双方は、「包括的・戦略的パートナーシップ・イニシアティブ(CSPI)」の下で、エネルギー分野や経済分野を始めとする幅広い分野で引き続き連携していくことを確認しました。
  3. ウズベキスタンのWTO加盟に係る二国間交渉妥結を確認する文書署名式(26日)
     辻󠄀副大臣は、ウズベキスタンのWTOへの新規加盟に関し、ジャムシド・アブドゥハキーモヴィチ・ホジャーエフ・ウズベキスタン共和国副首相兼投資・対外貿易大臣(Mr. Jamshid Abdukhakimovich KHODJAEV, Deputy Prime Minister– Minister of Investment and Foreign Trade, Republic of Uzbekistan)の立ち会いの下、アジズベク・ウルーノフ大統領特別代表兼首席交渉(Mr. Azizbek Urunov, Special Representative of the President on the WTO issues, Chief Negotiator, Republic of Uzbekistan)との間で、日本とウズベキスタンとの二国間交渉妥結を確認する文書に署名し、二国間関係を含めて、全般的な意見交換も行いました。
  4. パメラ・コーク=ハミルトン国際貿易センター(ITC)事務局長(Ms. Pamela Rosemarie Coke-Hamilton, Executive Director of ITC)(26日)
     辻󠄀副大臣は、我が国のITCを通じたウクライナ支援に関し、ドゥミトラセヴィチ・ウクライナ農業政策食料省次官を招き、ハミルトンITC事務局長との間で、ITCを通じて実施されるウクライナにおける「避難民の就労及び起業支援」プロジェクトに対する日本政府の拠出に関する文書に署名しました。その後、辻󠄀副大臣とコーク=ハミルトン事務局との間で会談を行いました。
  5. この他、辻󠄀副大臣は、アブダビ滞在期間中、グレッグ・ハンズ英国ビジネス・貿易閣外大臣(貿易政策担当)兼ロンドン担当大臣(Mr. Greg Hands, The Rt Hon Greg Hands MP, Secretary of State for Business and Trade, Minister for London)、ニール・バルカット・イスラエル経済産業大臣(H.E. Mr. Nir Barkat, Minister of Economy, and Industry, Israel)、ヴィッレ・タヴィオ・フィンランド外国貿易・開発大臣 (Mr. Ville Tavio,Minister for Foreign Trade and Development, Finland)、マリーン・ラトニク・エストニア外務省次官補(経済・開発協力担当)(Ms. Mariin Ratnik, Undersecretary for Economic and Development Affairs, Ministry of Foreign Affairs, Estonia)、ニコラス・アルベルトーニ・ウルグアイ外務次官(Mr. Nicolas ALBERTONI, Vice Minister for Foreign Affairs, Oriental Republic of Uruguay)と、それぞれ意見交換を行いました。

(参考1)第13回WTO閣僚会議(MC13)

(1)WTO閣僚会議はWTOの最高意思決定機関。通常は2年に1度開催。
(2)MC13は、2月26日~3月1日に、アラブ首長国連邦のアブダビで開催。

(参考2)オタワ・グループ

(1)カナダ政府の呼びかけで発足した、WTOにおける有志国グループ。2018年10月に第1回閣僚級会合がオタワで開催されて以降、不定期に閣僚会合を開催。
(2)参加メンバー(アルファベット順)
 オーストラリア、ブラジル、カナダ、チリ、EU、日本、ケニア、韓国、メキシコ、ニュージーランド、ノルウェー、シンガポール、スイス、英国

(参考3)気候に関する貿易大臣コアリション

 2023年1月、EU、エクアドル、ケニア、ニュージーランドの4者が共同議長となり、貿易と気候変動につき有志国の閣僚が議論する場として発足。日本、米国、欧州等60以上の貿易大臣等が参加している。

(参考4)開発のための投資円滑化に関する協定(投資円滑化協定)

 2017年12月の第11回WTO閣僚会議にて発出された共同声明に基づく取組。投資円滑化に資する投資措置の透明性、投資手続の簡素化等を規定する複数国間協定。2023年7月、協定の文言交渉が妥結。123国・地域が参加(2024年2月25日時点)。

(参考5)関連リンク・別添PDF

  1. 上川外務大臣によるビデオ・メッセージ(YouTube)別ウィンドウで開く
  2. 「第13回WTO閣僚会議:閣僚宣言」(総論部分、3月2日)(英文(PDF)) 別ウィンドウで開く(和文仮訳(PDF))別ウィンドウで開く
  3.   ●「小規模経済に関する作業計画:閣僚決定」(英文(PDF))別ウィンドウで開く
      ●「LDCカテゴリー卒業国の円滑な移行のためのWTOの支援措置:閣僚決定」(英文(PDF))別ウィンドウで開く
      ●「貿易の技術的障害の削減のための規制面の協力強化:閣僚宣言」(英文(PDF))別ウィンドウで開く
      ●「衛生植物検疫措置の適用に関する協定及び貿易の技術的障害に関する協定における特別のかつ異なる待遇に関する規定の明確で効果的で運用可能な実施:閣僚宣言」(英文(PDF))別ウィンドウで開く
      ●「紛争解決制度改革:閣僚決定」(英文(PDF))別ウィンドウで開く
      ●「電子商取引作業計画:閣僚決定」(英文(PDF))別ウィンドウで開く
      ●「TRIPS協定の非違反申立て:閣僚決定」(英文(PDF))別ウィンドウで開く

  4. 「気候変動コアリション会合:閣僚コミュニケ」(英文(PDF)) 別ウィンドウで開く(和文仮訳(PDF))別ウィンドウで開く
  5. 「ウクライナとの連帯会合(EU主催):共同声明」(英文(PDF)) 別ウィンドウで開く(和文仮訳(PDF))別ウィンドウで開く
  6. 「開発のための投資円滑化協定に関する閣僚共同声明」(英文(PDF)) 別ウィンドウで開く(和文仮訳(PDF))別ウィンドウで開く








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