議案審議経過情報

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項目 内容
議案提出者 内閣
衆議院審議時会派態度 多数
衆議院審議時賛成会派 自由民主党・無所属の会; 立憲民主党・無所属; 日本維新の会; 公明党; 国民民主党・無所属クラブ; 有志の会
衆議院審議時反対会派 日本共産党; れいわ新選組
議案受理年月日 2023-10-31
公布年月日 2023-12-13

要項または提出時法律案

第二一二回
閣第八号
   官報の発行に関する法律案
目次
 第一章 総則(第一条)
 第二章 官報の発行主体(第二条)
 第三章 官報の掲載事項(第三条・第四条)
 第四章 官報の発行の方法等(第五条-第十一条)
 第五章 雑則(第十二条-第十七条)
 第六章 罰則(第十八条-第二十一条)
 附則
   第一章 総則
第一条 この法律は、官報の発行主体、官報に掲載すべき事項、官報の発行の方法その他官報の発行に関し必要な事項を定めるものとする。
   第二章 官報の発行主体
第二条 官報の発行は、この法律の定めるところにより、内閣総理大臣が行う。
   第三章 官報の掲載事項
 (官報による公布等)
第三条 日本国憲法改正、法律及び法律に基づく命令(最高裁判所規則その他の規則で内閣府令で指定するものを含む。以下「法令」という。)、条約並びに詔書の公布は、官報をもって行う。
2 内閣法(昭和二十二年法律第五号)第二十五条第五項、内閣府設置法(平成十一年法律第八十九号)第七条第五項若しくは第五十八条第六項若しくは宮内庁法(昭和二十二年法律第七十号)第八条第五項、デジタル庁設置法(令和三年法律第三十六号)第七条第五項又は国家行政組織法(昭和二十三年法律第百二十号)第十四条第一項の告示で次に掲げるものの公示は、官報をもって行う。
 一 処分(行政庁の処分その他公権力の行使に当たる行為をいう。)の要件を定める告示
 二 前号に掲げるもののほか、これに類する告示として内閣府令で定めるもの
 (公布等事項以外で官報に掲載する事項)
第四条 官報には、前条の規定により官報をもって行うこととされる公布又は公示の対象となる事項(以下「公布等事項」という。)のほか、次に掲げる事項を掲載するものとする。
 一 法令の規定に基づき国の機関が行う告示の対象となる事項
 二 前号に掲げるもののほか、公示、公告その他の公にする行為であって他の法令の規定により官報に掲載する方法によりしなければならないこととされているものの対象となる事項
2 公布等事項及び前項各号に掲げる事項のほか、官報には、次に掲げる事項を掲載することができる。
 一 基本方針、基本計画その他の閣議にかけられた案件に関する事項その他の行政機関(内閣、法律の規定に基づき内閣に置かれる機関若しくは内閣の所轄の下に置かれる機関、宮内庁、内閣府設置法第四十九条第一項若しくは第二項に規定する機関、国家行政組織法第三条第二項に規定する機関若しくは会計検査院又はこれらに置かれる機関をいう。次号において同じ。)の諸活動に関する事項で、一般に周知させるべきものとして内閣府令で定めるもの
 二 国の機関(行政機関を除く。以下この号において同じ。)の諸活動に関する事項で、一般に周知させるべきものとして内閣総理大臣と当該国の機関とが協議して定めるもの
 三 前二号に掲げるもののほか、前項第二号に掲げる事項に密接に関連する事項その他の官報に掲載する方法により一般に周知させることが特に必要なものとして内閣府令で定める事項
   第四章 官報の発行の方法等
 (官報の発行の方法)
第五条 内閣総理大臣は、官報を発行しようとするときは、内閣府令で定める官報の種別ごとに、内閣府令で定めるところにより、官報を発行する年月日、当該年月日に係る公布等事項及び前条に規定する事項その他内閣府令で定める事項(以下「官報掲載事項」という。)を記録した電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録であって、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。第十二条及び第十三条第一項において同じ。)を内閣総理大臣の使用に係る電子計算機に備えられた官報掲載事項を記録するためのファイル(以下この条、次条及び第十三条第一項において「官報ファイル」という。)に記録しなければならない。
2 官報の発行は、内閣総理大臣が、官報ファイルに記録された官報掲載事項(以下「電磁的官報記録」という。)について、内閣府令で定めるところにより、当該官報ファイルを電気通信回線に接続して行う自動公衆送信(公衆によって直接受信されることを目的として公衆からの求めに応じ自動的に送信を行うことをいい、放送又は有線放送に該当するものを除く。第十四条第三項において同じ。)を利用して公衆が閲覧することができる状態に置く措置をとることにより行うものとする。
3 官報ファイルを識別するための文字、番号、記号その他の符号は、内閣府令で定める。
4 第二項の自動公衆送信により送信される電磁的官報記録に係る情報は、次の各号に掲げる措置のいずれもがとられたものでなければならない。
 一 当該情報を暗号化する措置その他の当該情報の安全性及び信頼性を確実に確保するための措置として内閣府令で定める措置
 二 当該情報が改変されているかどうかを確認することができる措置その他の当該情報が内閣総理大臣の作成に係るものであることを確実に示すことができる措置として内閣府令で定める措置
5 第二項の自動公衆送信は、当該自動公衆送信により送信される電磁的官報記録に係る情報について、当該情報を受信した者がその使用に係る電子計算機に備えられたファイルに複写することができるものでなければならない。この場合において、当該ファイルに複写される電磁的官報記録に係る情報は、前項第二号に掲げる措置がとられているものであることを確認するために必要な事項を証明する情報が分離することができない状態で付加されたものでなければならない。
 (公布等事項の公布等の効力)
第六条 官報ファイルに記録された公布等事項の第三条の規定による公布又は公示は、当該公布等事項に係る官報について前条第二項の措置がとられた時に行われたものとする。
 (官報の発行と併せて実施すべき措置)
第七条 内閣総理大臣は、第五条第二項の措置をとるときは、併せて、内閣府令で定めるところにより、当該措置に係る電磁的官報記録を記載した書面を内閣府の掲示場に掲示し、かつ、当該電磁的官報記録を内閣府の事務所に設置した電子計算機の映像面に表示したものの閲覧をすることができる状態に置く措置をとるものとする。
 (電磁的官報記録の継続的な閲覧のための措置)
第八条 内閣総理大臣は、第五条第二項の措置をとったときは、当該措置をとった時から起算して同項の閲覧又は同条第五項前段の複写をするために必要かつ適当な期間として内閣府令で定める期間(以下「閲覧期間」という。)が経過するまでの間、継続して当該措置をとるものとする。
2 内閣総理大臣は、第五条第二項の措置を開始した後、閲覧期間が経過するまでの間に、災害その他のやむを得ない事情又は同項の自動公衆送信に係る障害であって当該自動公衆送信に著しい支障を生じさせるものとして内閣府令で定めるもの(以下この項、次項及び第十一条第一項において「災害等の事情」という。)が生じたことにより継続して当該措置をとることができなくなった場合には、その旨及びその理由を公表し、当該災害等の事情が解消した場合には、その旨及び当該閲覧期間のうち当該措置をとることができなかった期間(次項において「閲覧不能期間」という。)を公表するものとする。
3 内閣総理大臣は、前項の規定により災害等の事情が解消した旨の公表をしたときは、第一項の規定にかかわらず、内閣府令で定めるところにより、第五条第二項の措置に係る電磁的官報記録について、閲覧期間が経過した後(災害等の事情により当該閲覧期間が経過した時においても当該措置をとることができない場合にあっては、当該災害等の事情が解消した後)引き続いて、閲覧不能期間に相当する期間(次項及び第十三条第一項において「追加措置期間」という。)、継続して当該措置をとるものとする。
4 内閣総理大臣は、第五条第二項の措置に係る電磁的官報記録のうち法令その他の内閣府令で定める事項については、閲覧期間又は追加措置期間の経過後においても引き続いて、内閣府令で定めるところにより、当該事項に係る情報を同項の自動公衆送信を利用して公衆が閲覧することができる状態に置く措置をとるものとする。
 (電磁的官報記録を閲覧することができる施設)
第九条 国の関係行政機関は、その管理する事務所その他の施設において、電磁的官報記録を当該施設に設置した電子計算機の映像面に表示したものの閲覧をすることができるよう、必要な設備の設置その他の措置を講ずるよう努めるものとする。
2 内閣総理大臣は、都道府県の設置する図書館(図書館法(昭和二十五年法律第百十八号)第二条第一項に規定する図書館をいう。)その他の施設において、電磁的官報記録を当該施設に設置した電子計算機の映像面に表示したものの閲覧をすることができるよう、必要な情報の提供その他の支援を行うよう努めるものとする。
3 前項に定めるもののほか、内閣総理大臣は、同項の図書館の求めに応じ、電磁的官報記録を記載した書面を提供するものとする。
4 内閣総理大臣は、内閣府令で定めるところにより、第一項の施設その他の内閣府令で定める施設のうち電磁的官報記録を当該施設に設置した電子計算機の映像面に表示したものの閲覧をすることができるものに関する情報を公表するものとする。
 (書面等による電磁的官報記録に係る官報掲載事項の提供)
第十条 内閣総理大臣は、第五条の規定により官報を発行したときは、当該官報に係る閲覧期間において、内閣府令で定めるところにより、当該官報に係る電磁的官報記録に係る官報掲載事項の提供を受けようとする者の求めに応じ、当該電磁的官報記録を記載した書面を交付する方法又は当該電磁的官報記録に係る情報(同条第四項第二号の措置がとられているものに限る。)を電磁的方法(電子情報処理組織を使用する方法その他の情報通信の技術を利用する方法であって、同条第二項の自動公衆送信を利用する方法以外のものをいう。)を利用して当該者の使用に係る電子計算機に備えられたファイルに複写させる方法(同条第五項後段の措置がとられているものに限る。)により、当該電磁的官報記録に係る官報掲載事項の提供(第十四条第一項及び第二項において「書面等による官報掲載事項の提供」という。)を行うものとする。
 (電磁的官報記録を閲覧に供する措置をとることができなくなった場合の措置)
第十一条 内閣総理大臣は、災害等の事情が生じたことにより、第五条第二項の措置をとることができなくなったときは、同項の規定にかかわらず、内閣府令で定めるところにより、官報掲載事項を記載した書面(以下「書面官報」という。)を内閣府の掲示場に掲示することにより官報の発行を行うことができる。
2 書面官報に記載された公布等事項の第三条の規定による公布又は公示は、当該公布等事項に係る書面官報について前項の掲示がされた時に行われたものとする。
3 内閣総理大臣は、第一項の規定により書面官報の発行をするときは、あらかじめ、その旨及びその理由を公表しなければならない。
4 内閣総理大臣は、第一項の掲示をしたときは、内閣府令で定める期間、その掲示を継続するものとする。
5 内閣総理大臣は、第一項の掲示をしたときは、直ちに(大規模災害その他の特別の事情があるときは、当該特別の事情がやんだ後直ちに)、当該掲示に係る書面官報を頒布しなければならない。
6 内閣総理大臣は、第一項の規定により書面官報の発行をした後に、第五条第二項の措置をとることができることとなったときは、その旨を公表するとともに、当該措置をとることができることとなった後に当該措置をとることにより発行する官報に、当該書面官報の発行の年月日及び当該書面官報に掲載された事項の内容の要旨を掲載するものとする。
7 前各項に定めるもののほか、書面官報の発行に関し必要な事項は、内閣府令で定める。
   第五章 雑則
 (官報の送付等に関する他の法令の規定の適用)
第十二条 第五条第五項又は第十条の規定により電磁的官報記録に係る情報を複写した電磁的記録は、他の法令における官報の提供、送付その他これらに類する行為に関する規定の適用については、当該他の法令における官報に該当するものとする。
 (公文書館への移管)
第十三条 内閣総理大臣は、第五条の規定により官報の発行をしたときは、当該官報に係る閲覧期間又は追加措置期間が経過した後速やかに、内閣府令で定めるところにより、当該官報に係る同条第一項の規定により官報ファイルに記録された電磁的記録を公文書館(公文書等の管理に関する法律(平成二十一年法律第六十六号)第二条第三項第一号に規定する公文書館をいう。次項において同じ。)に移管するものとする。
2 内閣総理大臣は、第十一条第一項の規定により書面官報の発行をしたときは、当該書面官報に係る同条第四項の内閣府令で定める期間が経過した後速やかに、内閣府令で定めるところにより、当該書面官報を公文書館に移管するものとする。
3 前二項の場合における公文書等の管理に関する法律の規定の適用については、同法第二条第七項中「うち、次に掲げるもの」とあるのは、「うち次に掲げるもの及び官報の発行に関する法律(令和五年法律第▼▼▼号)第十三条第一項又は第二項の規定により移管されたもの」とする。
 (業務の委託)
第十四条 内閣総理大臣は、内閣府令で定めるところにより、書面等による官報掲載事項の提供及び第十一条第五項の規定による書面官報の頒布(次項において「書面官報の頒布」という。)を、内閣府令で定める要件を備える者に委託することができる。
2 内閣総理大臣は、前項の委託をしたときは、内閣府令で定めるところにより、当該委託を受けた者(次項及び第四項並びに次条において「受託者」という。)の名称又は氏名及び書面等による官報掲載事項の提供又は書面官報の頒布(次項及び第四項並びに次条第一項において「書面等による提供等」という。)を行う事務所の所在地その他内閣府令で定める事項を公表しなければならない。
3 受託者は、内閣府令で定める様式の標識について、書面等による提供等を行う事務所の公衆の見やすい場所に掲示するとともに、内閣府令で定めるところにより、電気通信回線に接続して行う自動公衆送信により公衆の閲覧に供しなければならない。
4 受託者は、書面等による提供等を受けようとする者から求めがあったときは、正当な理由がある場合を除き、遅滞なく、書面等による提供等を行わなければならない。
5 第一項の規定により委託を受けた者又はその従業者は、第五条又は第十一条第一項の規定により官報又は書面官報の発行がされる前に、当該委託に係る事務に関して知り得た当該官報又は書面官報に関する秘密を漏らしてはならない。
 (手数料)
第十五条 書面等による提供等を受ける者は、当該書面等による提供等に係る実費を勘案して内閣府令で定める額の手数料を国(前条第一項の委託に基づき受託者が書面等による提供等を行う場合にあっては、受託者)に納めなければならない。
2 前項の規定により受託者に納められた手数料は、受託者の収入とする。
 (電磁的官報記録に係るデータベースによる情報の提供の制限)
第十六条 内閣総理大臣以外の者が、電磁的官報記録の全部が記録されたデータベース(電磁的官報記録の全部を含む情報の集合物であって、それらの情報を電子計算機を用いて検索することができるように体系的に構成したものをいう。)であって、当該データベースに記録された情報が他に提供されることが予定されているものを構成しようとするときは、内閣府令で定めるところにより、内閣総理大臣の承認を受けなければならない。
 (内閣府令への委任)
第十七条 この法律に定めるもののほか、この法律の実施のための手続その他この法律の施行に関し必要な事項は、内閣府令で定める。
   第六章 罰則
第十八条 第十四条第五項の規定に違反して秘密を漏らした者は、一年以下の拘禁刑又は五十万円以下の罰金に処する。
第十九条 次の各号のいずれかに該当する場合には、当該違反行為をした者は、三十万円以下の罰金に処する。
 一 第十四条第四項の規定に違反したとき。
 二 第十六条の規定に違反して、同条の承認を受けないで同条に規定するデータベースを構成したとき。
第二十条 法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関して、前条各号の違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人又は人に対しても、同条の刑を科する。
第二十一条 第十四条第三項の規定に違反した者は、三十万円以下の過料に処する。
   附 則
 (施行期日)
第一条 この法律は、公布の日から起算して一年六月を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。ただし、附則第四条及び第六条の規定は、公布の日から施行する。
 (経過措置)
第二条 この法律の規定は、この法律の施行の日(以下「施行日」という。)以後に発行する官報について適用する。
 (施行日前に発行された官報とこの法律との関係)
第三条 この法律の規定は、施行日前に発行された官報について、その法制上の位置付けに影響を及ぼすものと解してはならない。
 (データベースの構成の承認に関する準備行為)
第四条 第十六条の承認を受けようとする者は、施行日前においても、同条の規定の例により、その申請を行うことができる。
2 内閣総理大臣は、前項の規定による承認の申請があった場合には、施行日前においても、第十六条の規定の例により、その承認をすることができる。この場合において、当該承認は、施行日以後は、同条の規定による承認とみなす。
 (調整規定)
第五条 施行日が刑法等の一部を改正する法律(令和四年法律第六十七号)の施行の日(以下この条において「刑法施行日」という。)前である場合には、刑法施行日の前日までの間における第十八条の規定の適用については、同条中「拘禁刑」とあるのは、「懲役」とする。刑法施行日以後における刑法施行日前にした行為に対する同条の規定の適用についても、同様とする。
 (政令への委任)
第六条 附則第二条から前条までに定めるもののほか、この法律の施行に関し必要な経過措置(罰則に関する経過措置を含む。)は、政令で定める。
 (検討)
第七条 政府は、この法律の施行後七年を経過した場合において、この法律の施行の状況、デジタル社会(デジタル社会形成基本法(令和三年法律第三十五号)第二条に規定するデジタル社会をいう。)の形成の状況等を勘案し、第十条に規定する書面等による官報掲載事項の提供その他官報の発行に係る手続等の在り方について検討を加え、必要があると認めるときは、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとする。

     理 由
 官報の発行主体、官報に掲載すべき事項、官報の発行の方法その他官報の発行に関し必要な事項を定める必要がある。これが、この法律案を提出する理由である。