厚労省・新着情報

厚生労働省健康・生活衛生局がん・疾病対策課

日時

令和5年9月28日(木)10:00~12:00

場所

新橋ビジネスフォーラム(オンライン開催)

議題

  1. 開会
  2. 自治体の腎疾患対策の取組状況ついて
  3. 腎疾患対策検討会報告書(平成30年7月)の中間評価と今後の取組について
  4. その他

議事

2023-9-28 第4回腎疾患対策及び糖尿病対策の推進に関する検討会
○原課長補佐 定刻となりましたので、ただいまより、第4回「腎疾患対策及び糖尿病対策の推進に関する検討会」を開催いたします。
 構成員の皆様方におかれましては、お忙しい中お集まりいただきまして、誠にありがとうございます。
 事務局を務めさせていただきます、厚生労働省健康・生活衛生局がん・疾病対策課の原でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
 なお、本検討会はユーチューブにて配信しておりますので、御承知おきください。
 続きまして、出席の確認をいたします。本日、家保構成員、植木構成員、村田構成員、横山構成員から御欠席の御連絡をいただいております。ほかの構成員につきましては、名簿をもって代えさせていただきます。
 また、本日、参考人として、北海道北広島市・竹内奈津子様、熊本大学・桒原孝成先生にも御出席いただいております。
 続きまして、前回の検討会以降に事務局側の人事異動がございましたので、事務局の紹介をさせていただきます。
 健康・生活衛生局がん・疾病対策課課長補佐の扇屋でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
 続いて、資料の確認をさせていただきます。資料は、厚生労働省のウェブサイトにも掲載しております。議事次第、資料1-1から3及び参考資料1から4がございますので、御確認ください。
 また、9月1日に健康局から健康・生活衛生局への組織名変更に伴い、開催要綱を事務的に修正していますので、御承知おきください。
 続いて、オンラインを含めた本日の会議の進め方について御説明いたします。御発言については、オンラインの構成員におかれましては、Zoomの「手を挙げる」機能を御活用ください。カメラは常に映る状態にしていただき、発言しないときはミュートにして、発言するときのみミュートを解除するようお願いいたします。本日はチャット機能の使用は予定しておりませんので、御了承願います。
 事務局からは以上となります。
 この後の進行は柏原座長にお願いいたします。
○柏原座長 改めて御挨拶申し上げます。本検討会の座長を務めております川崎医科大学の柏原でございます。本日は、大変お忙しい中、早朝からこの会に御参加いただきありがとうございます。
 本検討会は、本来、糖尿病と腎疾患対策に対する検討会であるわけですが、本第4回検討会におきましては腎疾患を中心に議論をしていきたいと考えております。
 腎疾患対策検討会報告書が平成30年7月に取りまとめられて発出されてちょうど5年になります。平成30年から向こう10年間の本邦における腎疾患対策の骨子がこの報告書に取りまとめられたわけですが、5年たった時点でこの中間評価、進捗の評価を行いたいというのがこの検討会の趣旨となります。
 それでは、議題の(1)「自治体の腎疾患対策の取組状況について」に移りたいと思います。
 まず、資料1-1の説明を再度事務局からお願いします。よろしくお願いします。
○原課長補佐 事務局でございます。
 資料1-1を御覧ください。令和4年度都道府県における腎疾患対策に関する調査の結果について御説明いたします。
 国は、平成30年7月に取りまとめた「腎疾患対策検討会報告書」に基づき、腎疾患対策の進捗管理の一環として、平成31年度から毎年、各都道府県における「腎疾患対策に関する調査」を実施しております。令和4年度分に関しては、令和5年5月15日から31日に実施し、全47都道府県より御回答いただいております。各項目の結果は、平成31年度の結果と比較して示しています。
 質問項目Ⅰ、CKD診療連携体制の構築について。4ページを御覧ください。CKD対策に関する会議体を設置する都道府県は35から41に増加しております。また、「健診判定と対応の分類例」と「かかりつけ医から腎臓専門医療機関への紹介基準等」の周知を行う都道府県も25から32に増加しております。
 次に5ページを御覧ください。腎臓専門医療機関のリストを作成する都道府県は23から24に増加しており、作成されたリストは70%以上の都道府県で一般市民、医療機関を含めよく周知されております。
 次に、質問事項Ⅱ、新規透析導入患者数の把握等について。6ページを御覧ください。全ての都道府県が年間新規透析患者数を把握する方法を設定しており、その低減目標を設定している都道府県の数も35から40に増加しております。
 次に、質問事項Ⅲ、腎疾患対策の普及・啓発について。7ページを御覧ください。腎疾患対策に関する医療者向けの研修、一般の方向けの普及・啓発活動を行う都道府県は増加傾向にありました。
 次に、8ページを御覧ください。CKD対策に関するウェブページを公開している都道府県は18から24と増加しております。厚生労働省の腎疾患対策ウェブページをリンクしている都道府県は9から10と増加しておりますが、割合としては全体の21%でした。
 事務局から資料1-1に関する御説明は以上となります。
○柏原座長 ありがとうございました。
 それでは、構成員の先生方から、ただいまの御説明に関しまして御質疑をお願いしたいと思います。御質問や御意見のある方は挙手いただけますでしょうか。
 よろしいでしょうか。
 余り議論を要する部分ではないかもしれません。もちろん一定の進捗はあったわけですけれども、まだまだ努力の余地もあるということではなかったかと思います。
 それでは、もし御質問がある場合には後ほどいただいても結構だと思いますので、続けていきたいと思います。
 続けて資料1-2を用いて、参考人の竹内様から御発表をお願いしたいと思います。よろしくお願いします。
○竹内参考人 本日は、このような貴重な場で報告させていただく機会をいただきまして、ありがとうございます。私は、北海道にあります北広島市の保健師で竹内と申します。本日は、当市の腎疾患対策の取組についてお話しさせていただきます。
 まずは、次のスライドをお願いします。
 北広島市の概要になります。北広島市の人口は5万7166人です。札幌市と新千歳空港の中間に位置しており、交通の利便性がよい札幌圏のベッドタウンとして発展してきました。高齢化率は33.8%です。医療機関は34カ所あり、そのうち内科は18カ所、透析医療機関は1カ所、腎臓専門医は2名いらっしゃいます。札幌市を含む3市1町に隣接しているため、市外の医療機関をかかりつけ医とする住民さんも多くいらっしゃいます。
 次のスライドをお願いします。
 なぜ北広島市の後期高齢者医療の透析患者率が道内ワースト4位から58位になったのか。その背景を3つの視点で御報告いたします。
 次のスライドをお願いします。
 1つ目は、腎専門医との出会いです。平成20年度当時は、CKDの早期発見のために検査項目を追加したものの、保健師たちはCKDのことがよく分かっていませんでした。そこで、市外の腎専門医にお願いをして、年に1回程度CKDについての講義を受けたり、保健指導の中で困った事例を集めて、病態や検査、治療を学ぶ機会を繰り返してきました。この事例学習を通してCKDに至る様々な要因や病態が具体的に分かってくると、CKDは予防できるのだ、学んだことを早く住民に伝えたいと、少しずつですが、自信を持って保健指導に向かうことができるようになりました。
 また、保健指導対象者が腎専門医への受診を希望する場合は、健診結果を持って住民と一緒に受診したり、住民から外来受診の結果を聞いたり、時には、腎専門医とメールで指示をもらったり経過を報告するなど、一人一人の住民に丁寧に関わる中で、さらにCKDの理解と腎専門医との連携が進んだように思います。最近では、北海道糖尿病性腎症重症化予防アドバイザーの旭川医科大学・中川直樹先生とも連携し、住民向けの講演会や学習会などで腎専門医に御協力いただく機会が増えています。
 2つ目に、CKD予防の保健指導対象者を明確にするため、特定健診の健診項目を見直し、市独自にクレアチニンや尿酸、尿潜血を追加し、受診者全員にeGFR値とその意味を結果通知しました。そして、健診結果から、未治療のCKD重症度分類腎専門医受診勧奨レベルと未治療のCKDハイリスク者を抽出して保健指導を行ってきました。
 次のスライドをお願いします。
 3つ目は保健指導です。住民に会うと、「GFRとは何?」「尿たんぱくはいつも出ているから気にしてないよ」「おしっこ出ているから何ともない」「血圧はいつも高いから気にしてないよ」という発言がよく聞かれます。保健指導では、健診結果から、自分の体で起きていること、例えば、なぜ尿たんぱくが出るとよくないのか、なぜeGFRが下がると困るかなどをイメージできるように教材を活用しながら説明しています。この教材は、専門医の先生方や科学的根拠となる各学会のガイドラインなどから学んで、住民の理解や納得が進むように資料化したものです。実際に住民が自分の体をイメージできると、「このままだとまずいね」「たんぱくって消せるの?」「どこで診てもらえるの?」「だから、先生、血圧を下げろと言うのか」という発言に変わります。受診が必要ですよという一方的な受診勧奨では住民は納得しないので、住民の考えや生活を教えてもらいながら、住民のなぜに答えられるよう準備し、毎年毎年繰り返し、住民と一緒に健診結果を見ていきます。
 次のスライドをお願いします。
 これら一連の保健指導は、データヘルス計画に基づきPDCAサイクルで実施しており、北海道や北海道国保連合会の保健事業支援・評価委員会の支援を受け、北海道糖尿病性腎症重症化予防プログラムと連携しながら実施しています。また、保健指導は、会計年度任用職員を含む市の保健師と管理栄養士が行っていますが、CKDハイリスク者などの保健指導対象者の増加に合わせて、分散配置だった専門職を統合しながら人数を増やした結果、現在では多くの住民に会うことができるようになりました。
 以上で北広島市の報告を終わります。ありがとうございました。
○柏原座長 ありがとうございます。
 大変すばらしいレッスンだったと思うのですが、ぜひ御参加の方々から御質問や御意見をいただければと思います。
 北広島市は人口5万7000人で、これは北海道全体に言えることなのですが、CKD患者さん10万人当たりの専門医あるいは療養指導士の数というのは、北海道は全国的に見ても決して多くはない、むしろ少ないほうなのですが、このような成果を出すことができている。そういうことから我々は一体何を学べばいいのかなということをずっと考えてきております。
 いかがでしょうか。御意見、御質問等ございませんでしょうか。
 1つは、糖尿病性腎症の重症化予防プログラムに加わるような形でこの事業を展開されているという御説明がございました。それは多分、全国的に活用できるスキームではないかと思います。
 津下構成員、何か御意見や御質問ございませんでしょうか。
○津下構成員 御指名ありがとうございます。また、北広島市の本当に丁寧な御説明をいただきまして、非常に感銘を受けております。
 医師と保健師の連携というか。糖尿病を放置すると将来透析になりますよという話をよくされるのですけれども、実際に透析というのはどういうこととか、患者さんがどういうことで困るのかということまで踏み込んだ説明がなされないと、言葉だけで腹落ちしない状況になってしまい、受診勧奨しても実感がわかないということも実際には少なくないと思います。
 それともう一つ。住民はいろいろなことになぜという質問が出てくるのですけれども、質問されると困る、私たちは知識がないから、答えられないのが怖いから余り踏み込まないみたいな姿勢でいると、いつまでもその「なぜ」が解消しないし、また説明のスキルも上がっていかないことになります。住民の「なぜ」とか、どうして行かなければいけないのか、納得でき、腹落ちするような保健指導が必要とおもっています。
それから、受診した後のフォローというのもすごく大事で、短い時間の医師の説明が十分にそしゃくできない患者さんも少なくないと思うのです。受診された後にフォローすることで、その患者さんがどう受け止めているのか、住民さんが受け止めて継続治療にどうつなげればいいのかを考えるのを支援するということで、丁寧なフォローアップというのも非常に重要だと考えています。
 北広島市さんはそういうことを丁寧に実施されて成果を上げられていると思いました。今、お伺いした範囲でいいますと、柏原座長がおっしゃったように、すごく特殊な形でやっていらっしゃるわけではなくて、全国津々浦々でやっている重症化予防事業に糖尿病以外の方々も含めてどう対応を取っていこうかという整理をしていく中で、展開可能なことではないかとも思いました。
 1つだけ質問させていただくと、人数がだんだん増えてきていて、その中でどうマネジメントしていくのかというのが非常に重要だと思いますがいかがでしょうか。一方で、健診から入ってしまうと、健診を受けていない人で手が届かないということもあると思うのです。そのあたり、人数が増えるところでの対策をどうしていくのか。また、健診を受けないまま腎機能が悪化していくような人がいること、どこか医者にはかかっているのだけれども、保健師さんとの接点がない方への対応についてどのように検討されているかということをお伺いできればと思いました。
 以上です。
○柏原座長 ありがとうございます。
 竹内さん、いかがでしょうか。
○竹内参考人 ありがとうございます。私自身もとても勉強になりました。
 対象者の人数が増えていった場合の対応につきましては、私たちもそこの部分は検討している段階でして、対象者の抽出についても、今まで学びを重ねながら、優先的に関わったほうがいいデータというのは何だろうというのを常に学び、考えながら変えてきたという歴史もあります。これからも、今、学んでいることで、今の対象者で本当にいいのだろうかというところも精査しながら、優先順位をつけて、今いる人数でできる範囲でというところも考えながら実施しようと思っています。
 もう一つ、健診を受けていらっしゃらない方、医療にかかっていらっしゃらない方という部分も課題として取り組んでいるところであります。未受診者対策として、今、町内会回覧や広報を使いながら健診の受診勧奨を行っているのですけれども、これも、ただ「受けてね」と言うだけでは住民の方は興味を示してくれませんので、受けることでどういうメリットがあるのか、どういうことが分かるのか。そして今、腎疾患対策の話ですけれども、健診を受けることで自分の腎臓の働きが分かるよというところも推し進めながら住民さんに周知しているところです。ここについてもこれからも検討していくところだと思っています。
 以上です。
○津下構成員 ありがとうございました。
○柏原座長 竹内参考人に私からも1つお伺いしたいのですが、北広島市で使用されている資材を私も拝見して、私のファーストインプレッションは、医学的には正確性は非常に高いのですが、これはちょっと難しいのではないかと感じてしまったのです。先ほど津下構成員から、深い納得といいますか、腹落ちするような説明が必要だと。そういう意味において、あの程度の深さの資材とその説明というのがやはり有効である、余り簡略化したら逆に腹落ちするような深い納得や共感は得られない、そんなふうに考えたほうがよろしいのでしょうか。
○竹内参考人 たくさんの住民の方にお会いしていると、生活背景も違いますし、考え方も違いますし、様々な方がいらっしゃるなということを実感しているところです。保健指導用教材がたくさんある中で、この方にはこの資料が理解してもらえそうだな、この方はどういう考えを持っていらっしゃるのかなというのを常に考えながら選んで使っているので、同じ資料を使っているというわけではないのです。その方に合った資料を選びながら使っているというのが実態になっています。
 お答えになっているでしょうか。
○柏原座長 もちろん。複数の資材を用意していると。今まで我々は、例えば都市部とそうでないところに合わせたような資材や対策が必要だと考えていたのですが、それだけでは不十分で、患者さんのバックグラウンドとか理解度に合わせた資材が自由に活用できるようにバラエティーを持たせるべきだと、そういう気づきを与えていたと思います。
 ほかにはいかがでしょうか。
 本日は、矢部大介構成員にも御参加いただいています。津下構成員と矢部構成員がされています糖尿病性腎症重症化予防の会議にも陪席させていただいていて、受診勧奨や受診に結びつけることの難しさというのを学んでいるわけですが、矢部構成員から何かコメント等ございませんでしょうか。
○矢部構成員 ありがとうございます。まずもって、北広島市の皆さんの取組、大変活発にされているところはすばらしいと感じました。
 今、柏原座長からもございました受診勧奨の難しさというところで、令和3年度、4年度、国のほうの糖尿病性腎症重症化予防の大規模な効果検証の中で、従前の手紙を郵送する受診勧奨とお電話をさせていただく受診勧奨、しかも、これは、専門職による保健指導も加味した架電の効果を比較するということを私どもで担当させていただいた次第です。昨今、電話を用いた受診勧奨というのが難しく、特にこれからしっかり通院して腎臓を守っていってもらいたい若い人たちというのは、電話で受診勧奨すると、むしろ医療機関への受診につながらないということも我々の結果からは示唆されまして、また別の方法論が必要かなとも考えているところでございます。北広島市の皆様の受診勧奨の方法論というところで教えていただきたいのが1点ございます。
 幾つか御質問があるので、まず受診勧奨というのはどんなふうにされているのかなというのをお聞かせいただけますでしょうか。
○竹内参考人 ありがとうございます。
 まず、健診を受けてくださった方の中でデータの悪い方には、結果説明会の御案内をお手紙で郵送しております。日程が決まっているので、届いた方が希望されればお電話いただけるのですけれども、お電話はほとんどかかってきません。ですので、こちらから出向くという方法を取っております。
 まず第1に家庭訪問ですね。先ほどもお電話の話題が出ましたけれども、顔が見えないと、「あなたは誰ですか」「本当に市の人ですか」から始まってしまって、健診の結果の話になかなか進まないことが多いので、まずは家庭訪問をして、顔の見える関係性を作ってお話しさせていただくという方法を取らせていただいています。ただ、「私は結構です」と言われる場合も多いです。けれども、保健指導用教材で情報提供させていただいたり、何かしらの受診勧奨を含む情報提供させていただくというのを目標に家庭訪問しています。なかなか会えない場合は、その後、お手紙だったり、お電話だったりという対応も取らせてもらっています。
 以上です。
○矢部構成員 なるほど。よく理解できました。
 柏原座長、あと2点、ショートクエスチョンをよろしいでしょうか。
○柏原座長 もちろん。お願いします。時間の余裕はございますので。
○矢部構成員 ありがとうございます。
 もう2点ございます。
 1つは、大変きめ細かく継続的に保健指導されているのですばらしいなと拝見させていただいています。今、岐阜県でCKD対策と糖尿病性腎症重症化予防プログラムをジョイントでやるような形で進めているのですけれども、医療機関の先生が、この方は保健指導してほしいなというところで、医師からの依頼で始めるというアプローチも取っているのです。北広島市様の場合はそういった事例等もございますでしょうか。
○竹内参考人 ありがとうございます。
 糖尿病腎症重症化予防プログラムの中で、そのような対象も作って、医療機関さんに対象者名簿をお渡しするということも行っております。先生のほうから患者様に勧めていただいているのですけれども、なかなか同意が取りにくいというお話も聞いていまして、人数は本当に少ないです。毎年1桁です。
 そのほかに、私たちが健診を委託している機関で健診を受けた場合、その結果通知の中に精密検査の依頼書というのを入れていただく場合があるのですけれども、そこで検査を受けた後にかかった病院の先生が結果を書いて私たちのところにお返事をくれるという仕組みも取っています。全数ではないのですけれども。そのときに「保健指導をしてほしいです」と丸をつける項目がありまして、食事のことですとか、運動のことですとか、依頼が入ることもあります。そういったところでの連携もさせていただいています。
○矢部構成員 ありがとうございます。
 最後にもう一点だけ。先ほど資材のお話が出ました。私自身は、住民の方でももっと詳しく知りたいという方もおられるので、個々に合わせた資材を使って保健指導していただければ十分効果を発揮し得ると思うのですが、一方で、これを使って指導をする保健師さんたちの深い理解がないと、せっかくの資材も十二分に活用できないかなと思って。
 私どもの地域では、糖尿病の療養指導士さんの勉強会に保健師さんたちなども入っていただくようなことを促してずっとやっているのですけれども、北広島市さんに関してはいかがでしょうか。そのあたりの保健師さんのスキル、知識のブラッシュアップというところで特に取り組まれていることがあったら教えてください。
 以上です。
○竹内参考人 ありがとうございます。
 そこは私たちも課題に感じておりまして、分かりやすい資材があっても、私たちが理解できていないとなかなか伝えにくいところもありますので、常にここの部分については、ガイドラインを見たり、腎専門医とのつながり、ほかの内科の先生、市内の医療機関とのつながりを大事に、分からない部分は先生に御質問させていただいたりということで、学習の機会を持つなどして日々勉強しているところです。不十分だとは思っているのですけれども、以上です。
○柏原座長 ありがとうございます。
○竹内参考人 もう一点いいですか。すみません。
○柏原座長 お願いいたします。
○竹内参考人 あと、北海道のほうからも研修の機会を年間何回かいただいていまして、そちらにも参加しています。
 すみません、以上です。
○柏原座長 それでは、ちょっとお待たせしてしまったのですが、横山構成員、それから武本構成員、室原構成員の順番で御質問いただきたいと思います。
 まず、黒瀨構成員、いかがでしょうか。
○黒瀨構成員 すみません。先ほど矢部構成員が私の聞きたいことは全部聞いてくださったので結構です。
○柏原座長 よろしいですか。すみませんでした。
 それでは、武本構成員、お願いいたします。
○武本構成員 すばらしい結果が出ていると思うのですけれども、少しお伺いしたいのは、この間、保健指導に当たって保健師さんの数がかなり増えているようなのです。6万人程度の北広島市で、どの程度の保健師の数があればこういうふうなことがほかのところでもできるのか、お考えがあれば教えていただければと思います。よろしくお願いします。
○竹内参考人 ありがとうございます。
 保健指導を行っている職員の数なのですけれども、2枚目のスライドの一番下に人数が書かれていて、徐々に増えてきているのが見えると思うのです。実際、特定健診が始まった平成20年に1人採用になって、その後、会計年度職員が増えてということはあったのですけれども、その後、実は市の保健師、管理栄養士については全体の人数はほぼほぼ増えていないのです。
 なぜ保健指導に従事する保健師が増えていったかといいますと、今まで分散配置で、今も分散配置は若干あるので、福祉のほうにいる保健師、そして障害のほう、高齢者のほうにいる保健師というふうに分かれているのですけれども、高齢者部門にいた保健師、介護予防教室などを行っていた保健師も、健診を受けた後の保健指導に従事できるように業務を広げていったということで、人数が増えているように見えます。あと、母子保健を担当している保健師も、今まで母子保健だけをやってきたのですけれども、途中から成人のほうの保健指導も地区を持って一緒にやっていきましょうということで、人数が増えてはいっていますけれども、全体数は余り変わっていないというような状態です。
 以上です。
○柏原座長 武本構成員、よろしいでしょうか。
○武本構成員 ありがとうございました。
○柏原座長 ありがとうございます。
 続きまして、室原構成員からお願いいたします。
○室原構成員 ありがとうございます。大変すばらしい取組ということで感銘いたしました。
 ちょっと関係ないかもしれませんが、現場におられる方として、最近、CKD、GFRという啓発のテレビコマーシャルがあるかと思うのです。ああいったものというのは現場で患者さんに実際に役に立っているとお感じになられますでしょうか。
○竹内参考人 ありがとうございます。
 実は今年度、私たちの取組として、CKD予防ということで、講演会ですとか、ミニ学習会、健康教育、そういった内容のテーマを慢性腎臓病というふうに決めて、いろいろなサークルさんを回ったり、住民さんと会う機会がとても多いのですけれども、そこでCKDの話をする中で「CMを見たよ」という声も上がっていて、そこと私たちが話していることが合わさって、「あっ、こういうことを言ってたんだね」という声を聞くこともあります。
○室原構成員 そうしますと、役に立っていることもあるということですね。
○竹内参考人 はい。
○室原構成員 ありがとうございます。
○柏原座長 テレビというメディアがかなり浸透率が高いということは理解しているのですけれども、実は室原構成員が御指摘いただいたテレビのコマーシャルにしても、資金の関係で全国で放映されていないのですね。放映できていない地域もあって。北海道がそうだったら困るなと思いながら、今、聞いていたのですが、そういう課題もあります。
 例えばメタボとかロコモと比べて、CKDという言葉自体の理解率は全国的に見ても余り普及できていないという解析もしております。それは1つの課題かなと考えています。
 ほかの先生方、何か御質問とかございませんでしょうか。
 熊本で取り組んでいらっしゃいます桒原参考人から何か御質問ございませんでしょうか。
○桒原参考人 ありがとうございます。本当に大変すばらしい取組で、恐らくこの後私が報告させていただく中核以上の自治体とはまた違った形での取組の方法が必要だろうなと思って、非常に参考になりました。
 ぜひ教えていただきたいのは、北海道の中で大きさ、そして状況が異なる様々な自治体があって、それぞれ取り組まれていると思うのですけれども、恐らく札幌とか旭川とはまた異なる工夫が北広島のほうでは必要な面もあったのではないかと思うのです。例えば専門医がちょっと少ないとか、状況、環境も違うと思うのです。北広島だからこそここを工夫したとか、こういった取組を独自に、もうちょっと大きい都市とは違ってこういうところを工夫することが必要だったとか、それがよかったとか、そういうのがあれば、私も周辺自治体の取組を何とかよくしたいと思うことで何か参考になることがあればなと思って。ちょっとざっくりした質問ですけれども、何かございますか。
○竹内参考人 ありがとうございます。
 特徴的な取組かは分からないのですけれども、幸い札幌市に隣接しているので、北広島市内だけではなく、札幌や恵庭などの腎専門医の先生やそのほかの内科の先生も含め、積極的に私たちも出向くこともありますし、連携を取っていくことを大事にしているというのはあります。これが特徴かどうか分からないのですけれども。
○桒原参考人 ありがとうございます。我々も、どうしても地方だけで、小さい自治体だけでというのは難しい面もあるので、極力その核となる地方の中堅の町医あるいは総合病院と連携を取っていくということですね。
○竹内参考人 はい。
○桒原参考人 ありがとうございます。
○柏原座長 ほかには御質問や御意見、コメント等ございませんでしょうか。
 では、私から竹内参考人に1つお伺いしたいのですが、受診勧奨の難しさというのは、矢部構成員がおっしゃっていたとおりで、電話も不在なことも多くて効率が余りよくないと。家庭訪問が一番有効であったというお話ではあったのですが、家庭訪問とて空振りに終わることもあったり、訪問時に、特に最初は会ってもらえるかどうか分からないところもあって、行政機関の中で、保健師の方々にそういった活動に要する時間とか配分をどうするかという議論や整理はどのようになされたのでしょうか。
 私が想像するに、それは大変有効なのだけれども、相当な時間を要してしまって、上司の方から、そこまでやらなくていいのではないかみたいな指導があったりとか、なかったりとか、その辺はどうなのでしょうか。
○竹内参考人 ありがとうございます。
 住民さんはその場所に暮らしているので、それが自治体の強みだとも思っているのですけれども、行った日に会えなくても朝だったらいるかもしれない、夕方だったらいるかもしれないというところで、時間を変えたりしながら工夫して家庭訪問を実施しているということはあるかなと。お答えになるか分からないのですけれども、私たちも試行錯誤しながら、何とかして会いたいなという努力はしているところです。
○柏原座長 ありがとうございます。
 この北広島市の取組を好事例と考え、家庭訪問が有効だということを学んだように思うのですが、これを均てん化といいますか、全国展開する上でどういう課題がありそうなのか。例えば、そういうことに関しまして津下構成員から御意見があればお願いできますでしょうか。
○津下構成員 ありがとうございます。
 重症化予防事業においても、電話にも出られないし、事前に連絡することがよかったり悪かったりということもあって、直接顔を見合わせてという家庭訪問が有効だという話もあるのですけれども、一部しか回れないジレンマを抱える自治体が多いようです。
 今の竹内さんの話でびっくりしたのは、母子の担当もCKDの話を勉強しているとか。ほかの自治体ではそれはなかなか「担当が違う」ということになるかもしれないと思いました。北広島市の事例を参考にそういうリコメンデーションが出たときに、なかなかできないとおっしゃる自治体が多いのではないかと思っていたわけです。ただ、そうやって母子から高齢者、有疾患者まで全て包括的に見ているから、地区の保健師さんというイメージになっているのかもしれないとも思いました。CKDだけではなくて、ほかの住民さんの健康相談も含めて対応していけるのかどうか。CKDの患者さんがいるときにはそこに深く入っていくとか、そういう形なのかなと。ふだんからこういうつながりがあるからこそできるのかなと思いながら伺っていました。
 より大きな自治体で取り組んでいるところとしては、いきなり訪問ではなく、まずは健康伺いのレターを出し、半分ぐらいはレターとかなんとかで反応していただけるので、それでも反応がない、心配だという方に対して、訪問が有効だと思っている保健師さんはとても多いとは思うのですけれども。対象者すべてに家庭訪問はできないので、まずは手紙とか、いろいろなリアクションを見ながら訪問する人をある程度絞り込んでいくとか、そんなようなことをしているところが多いと思うのです。その段階を余り踏まずにやって見えるのかどうかなということです。訪問する対象者のセレクトの状況をどうしているかということですね。
 あと、母子から介護、高齢者の担当まで全てのいろいろなことを地区担当の方とかが御理解されていて、多様なポケットからいろいろ出せる保健師さんたちが活動しているからこういうことができるのか、それを全国の保健師さんに求めることが可能かどうか、ちょっと考えながら伺っていました。
○柏原座長 ありがとうございます。
 私の感想としましては、個々の保健師の方々の熱意とか、それに余りにも依存すると、やはり均てん化は難しいなという意識もありますし、俗人的な事業ではやはり効果が最大化できないかなという印象を持っておりましたので、そういうことを伺ってしまいました。
○津下構成員 先生、もう一点です。
 市一丸となって透析を減らそうと。ワースト4位という最初の悪いデータがあって、そこが危機感になって動き出したと。そして、ぐうっと下がってきて、今、割といい状態になってきましたと。さて、これからモチベーションの維持というか、その危機感の部分が薄れてきたときに同じような体制が続いていくのかどうなのか。ちょっと厳しい言い方なのですけれども、「透析を減らすぞ」という大号令を続けることが可能なのかどうなのか、均てん化に向けてそのあたりも気になります。悪いところは頑張ればいいけれども、うちはそんなに悪くないのだけれども、どこまで頑張るかということについてモチベーションが十分上がっていないところもあるのではないかなと思っているのです。北広島市ではよくなってきたこれからが正念場でしょうか。逆に言うと、取組を途絶えさせない、透析を減らすという大号令が、若干改善しているではないかという中でどうしていくのかなということをお伺いしたいとも思っていました。
○柏原座長 ありがとうございます。
 恐らく、この後の熊本がそういう経験をされていると思いますので、桒原先生からお話があるのではないかと思います。
 よろしいでしょうか。この部分で、もうこれ以上の御質問や御意見がなければ次に進んで、振り返ってまた御質疑いただいてもいいかなと思っております。
 続きまして、熊本の経験につきまして、参考人の桒原先生から御発表をいただきます。資料1-3であります。
 桒原参考人、よろしくお願いいたします。
○桒原参考人 柏原座長、よろしくお願いします。熊本大学の桒原です。本日、このような報告の機会をいただきましてありがとうございます。
 ちょうど今、前半の部分でもディスカッションがありましたけれども、恐らく、日本津々浦々、置かれている自治体のサイズとか状況によって、CKD対策を含めた医療の政策というのはそれぞれ工夫というか違いがあってもいいと思うのです。ですので、私からは、熊本というある程度中核市ないしは政令指定都市レベル以上の街での取組の一例、また、産官学の連携に取り組む大学の立場から簡単に報告をさせていただきたいと思います。
 こちらはまず1枚目のスライドです。熊本の現況です。人口が75万弱。高齢化率は27%。透析患者数が2634人。新規の透析導入患者数が令和4年の更生医療データで260人ということで、出だしが政令指定都市の中で断トツの2.数倍だったところが1倍程度まで落ちてきて、今そこを少し上に行って横ばいという形になっているかと思います。また、熊本市におけるCKDの病診連携にも関わっていただいている医療機関の数と先生の数は、こちらに示すとおり、204施設・256人、専門医療機関15施設という形になっております。
 スライドの枚数上、特に資料として入れていないのですけれども、熊本が約15年前から、こういった形で、行政、大学、医師会の連携のもとにシステムづくりを行っていたというところの、冒頭は恐らくいろいろな会議でも出ていると思うのですけれども、行政主導で始めていただきました。大学、医師会、それぞれのキーパーソンとなる先生方に行政の方から事前に非常に熱心な根回しというか、事前の訪問をいただいて立ち上げていただいたということは、やはりスムーズな立ち上げに非常に重要だっただろうと思います。
 あと、熊本市のCKDプロジェクト会議というのを作りました。そちらは、いわゆるCKD対策の現場に一番近いところでどうやって政策を作って回していくかというのを話し合う会議、そういう仕組みになっているのですけれども、そこの中に必ずキーパーソンを入れる。すなわち医師会のキーパーソンの方、あと、かかりつけ医のキーパーソンの方、そういった方々に必ず入っていただくというのをこの15年間続けてきました。もちろん、15年ずっと続けると、それぞれの先生方もお忙しくてということもありますので、役職の変更とか、それぞれ年限をある程度区切って適宜キーパーソンも後任を選んでいただいてという形でやってきています。
 また、CKDの病診連携登録医制度は単位更新制にしておりますので、年2回行う勉強会に必ず参加していただいて単位更新というふうにしているのですけれども、そういったところをうまく活用しながらPDCAサイクルを回す施策にしています。具体的には、例えば15年前に始めた当時は、よくある一方通行性の、我々専門医のほうから腎臓病に関するアップデートや基本をレクチャーするという形だったわけですけれども、10年弱たった頃から、かかりつけ医の先生方から、むしろ我々の現状も知ってほしいとか、こういったところがよかったということを専門医の我々にも知ってほしいのだという非常にポジティブな意見をいただきましたので、途中からは一方通行性ではなくて実際にかかりつけ医の立場として取り組んでいただいている先生方からも報告いただく機会という形で、双方向性の機関に変更しています。
 もう一つは、柏原先生あるいは岡田先生が責任者を務められる厚労科研のほうで、熊本市も日本の4つの定点観測地域に加えていただいているのですけれども、そういったこと等も相通じるわけですが、熊本市として、今のCKDの病診連携のシステムに対するサーベイ、アンケート調査にこの年2回の病診連携登録医制度の勉強会のときにお答えいただいて、それを集計して、また現場の先生方にそれを見ていただくという形で、それもPDCAサイクルを回す施策としております。
 あとは、先ほども柏原座長から少し触れていただきましたが、とは言いながら、この15年、本当にスムーズにずっと来られたかというと、スムーズに来られたところのみによく目を向けられるのですけれども、本当のところは、まさに先ほど津下構成員からも御質問があったとおり、この熊本でも、途中で頓挫と言うとあれですけれども、途中でちょっと勢いが弱まったり、そろそろいいのではないかという雰囲気になりそうなことが実際のところはありました。
 それはどういうときに起きているかというと、いろいろなパターンはあると思うのですけれども、私が一番感じたのは、行政の方というのは担当者が交代するわけです。これは恐らく日本全国一緒だと思うのです。部署が交代する。今まですごく熱心にされてきた方から新しい方に代わったときに、もちろん十分申し送りをしていただいて、その方もすごくやっていただいているわけなのですけれども、その機会にちょっと途切れそうになるとか、CKDはそろそろいいかなということで、別の対策のことをちょっと考えようかなという相談に来られたことも実際にはありました。
 私が実際に大学でいろいろお話しさせていただいたときに、私は責任者というか担当する者として、そこをつなぐのり役にもなれると思ったので、いろいろとお話を聞きながら、次の新しい方々にもCKD対策を継続いただき、かつ、新しいことを始めようという形で提案しながら、つなぐ、ないしはさらにそれを発展させるという形にしてきましたので、本当に何もせずにスムーズにずっと続くかというと、各自治体でそういった節目というのは当然出てくると思います。いかにそこをうまくつないでいくかというと、これまでやってきた人が新しい人たちをうまくインボルブしてやっていくことが大事かなというのを実感してます。
 ちょっと前置きになりましたが、熊本からは、さらにここ数年新しく始めているスキームづくり、あるいは取組を中心に、残り2枚のスライドで報告をさせていただきたいと思います。
 こちらは、まず、腎臓病療養指導士の方の取組に関してです。腎臓病療養指導士は、参加の方々はもう御承知のとおり、糖尿病とか心臓病に比べるとちょっと遅れて最近になって発足した制度ではあります。こういった資格を取っていただける医療スタッフの方というのは非常にモチベーションが高くて、我々にとってすごくサポートいただける方々であるのは間違いないと思うのです。ただ、私自身、療養指導士の制度が立ち上がった当初から見ていて、こういった熱心な方々のモチベーションをいかに継続させていくかということと、その機会をいかに提供できるのか、それをどう作っていくかということ。
 また、もう一つは、前回参考人になられた要先生ともお話ししたことがあるのですけれども、糖尿病の療養指導士さんとかだと、例えば地域での取組あるいは講演会といったものが単位取得につながるような制度が既にできているということで、そういったことを腎臓病療養指導士のほうでも作っていけたらなと思ったので、この腎臓病療養指導士連絡協議会というのを発足させたいと思いました。
 その流れはここに書いてあります。これは実は熊本市のホームページからも見ていただけるように市の方に協力いただいてリンクを貼っています。ですので、この細かい一個一個は割愛したいと思います。
 もともとは2019年に第1回連絡協議会を発足させました。その後の実際の活動の一部ですけれども、例えばこういった療養指導士さんたちにいろいろな活躍の機会を提供する、そして、そこで手伝っていただくということを、一般市民の方とか患者さんたちに、こういう人たちがいるのだ、資格を持った人たちがいるのだということを認知してほしいと思いました。このロゴマークに関しても、彼女たちが主体になって考えてもらって、実は厚労科研のサポートを配分いただいたのでそれを利用させてもらって、こういったものを作らせていただいた。実際にここにちょっと小さく載っていますけれども、彼女たちの活動があるのだということを見える化しています。
 こちらは地域イベントにおけるCKD啓発活動ということで、彼ら、彼女らの実際の活動の場を提供しているのですけれども、これはどのようにして提供しているか、細かいところはこの次のスライドで触れたいと思います。
 実際ここで、先ほどお話ししましたとおり、こういう団体があるのだということで、その趣旨を見ていただいたり、県内の新たに療養指導士の資格を取られた方々にこれまでの流れを見ていただけるような資料を配付する、そして熊本市のリンクから見ていただけるようにしております。
 ここに写真を載せていますけれども、彼ら、彼女らは、それぞれの病院ですごく頑張ってくれているわけですが、横のつながりの結束を高めながら活躍の場を作っていくことを目標にして、またここにもちらっと書いていますが、会則も具体的に定めました。これも糖尿病療養指導士さんたちの単位取得のために必要なことなのだろうということで、いろいろと基本的な情報を集めて、それを参考にさせていただいて、それを見本にしながら彼女たち自身に会則を作ってもらって、熊本市のホームページからも見ていただけるようにしていますので、日本全国の方にもこういった取組をやっているということを確認いただけるようにしています。
 次、最後のスライドになります。実際に彼女たちに活躍いただく場をどのように提供していくかに関してです。ここに書いてありますとおり、大学・民間・行政の連携スキームということです。これが立ち上がった経緯としては、もちろん、私どもと行政の方が常に定期的に話し合いをしながら市のCKDの連携活動をしてきたわけですが、実際に行政の方に全てを担っていただくのは、特にコロナ禍になってからより忙しくなられて難しいということもありました。
 行政の方から、生涯学習支援事務所という団体があって、この方々は、当時はまだCKDはされていなかったのですけれども、健康のこととか、それ以外の学習活動、そういったものをサポートする活動をされているというのを教えていただきました。しかもこの方々は、我々とか行政の方々が思いもつかないような非常に柔軟な発想で地域の住民の方々の興味を引くとか、そういったアイデアあるいは具体案をお持ちですから、その方に入っていただく。我々は、医療関係者として、大学としてはそこにアドバイスをするとか、予算を一部いただいたり。あとは、熊本市のほうでも厚労省のCKDの特別対策事業の支援もいただいておりますので、厚労科研と併せてそういった特別対策事業といった厚労省からのサポートを得ながら民間の方に入っていただく。
 また、こういった取組に関して、左下にちょっと載せていますけれども、昨年度は市内5つの区全てにおいて開催しました。となると、それぞれの地区でどういった場所で行うのがいいかとか、啓発資材を熊本市で作っているわけですから、そういったものを提供していただきながら、そこの調整をしていただく。実際の専門的な知識を持った人間として入るということで、もちろん我々も入れたらいいのですけれども、時間的になかなか難しいというところもありまして、そこで療養指導士さんたちの連絡協議会に入っていただいて、もちろん彼ら、彼女らはすごくお忙しいのですけれども、実際この現場に入れる人に入っていただきながら、市民の方々と触れ合っていただく機会にしています。もちろん、彼ら、彼女らもボランティアというだけではいけないので、ここに関しては実は、現状では我々熊本大学の医局として彼ら、彼女らに少し協力いただいたということのインセンティブをお出しするという形で補っております。
 あと、実際にこの協力の活動に入っていただいた療養指導士さんたちにお話を聞くとどうかなと思ってちょっと心配していたのですけれども、もちろんある程度、国だからかもしれませんが、実際、全く医療関係者ではない、患者さんでもない一般市民の方々とお話しすると、自分たちが療養指導士として勉強してきた知識というのがこんなに役立てる、あるいはそれを聞いてよかったと言ってもらえるのだというお声を頂戴しておりますので、こういったスキーム作りというのは、地域のある程度の大きさの地区でという形になるかもしれませんが、一般市民の方々も含めた啓発活動というところにも十分役立てていけるのではないかと考えております。
 以上です。
○柏原座長 ありがとうございました。
 ただいまの桒原参考人のお話に関しまして質疑やコメントがあればよろしくお願いします。
 熊本市というのはもちろん有名な好事例ではあるのですが、津下構成員から、CKD対策がある程度進んでいくと、成熟期を迎えて新たなモチベーションをどうすればいいのかという御質問がありました。津下構成員、御質問をお願いいたします。
○津下構成員 ありがとうございます。
 まさにその点が気になっていたところで、担当者の交代の時期、または成果が一旦見えてきて、もうそろそろCKDはいいのではないかというところで、リレーのバトンを落としてしまうみたいな感じで沈滞してしまうこともあるのかなと思ったのです。先生のお話の中で、CKD対策なのだけれども、次の担当者がやる気になるような新しいことを始めるとか、そういう仕掛けを提案されているところが非常に重要なことかなと思いました。漫然と同じことを続けているとどうしてもモチベーションが上がっていかないということになろうと思うのです。
 今、データヘルス計画を自治体、保険者として作っていて、どこの自治体もどんなふうに変化があるのかを見ながら、その経過を追えるようになりました。具体的な対策について、何をどうしたらいいのかきちんと助言を受けながら新しいことを始められることが重要なのかなと思って伺っていました。
 そんな中で、自治体の方はどんどん替わっていっても、そこをずっと支える周辺というか、医療機関、大学の先生たちは、担当者が替わっても前のことをきちんと伝えていくとか、または、ここまでできてこういうことが課題なのだから次はここをやるべきだというような行政の周りにある専門家の先生方、または医師会の先生方との連携の素地をきちっと作っていくことや、データ分析を収集しながら対策を考えていくことが重要なのかなと思って伺っていました。これはコメントです。
 あと、質問ですが、腎臓病療養指導士の関係です。病院で雇用されている方が地域活動をすることに対して、医療機関側の理解がなかなか得られず、外に協力しにくい、そんな話も伺っていたりします。また、資格を取ったときは腎臓病の関連病棟だったけれども、そこが異動になっても続けられるのか、どこの病棟でも腎臓の方はいらっしゃるので、そのモチベーションの維持とか、モチベーションの高い方のモチベーション継続に対していろいろな課題感をお持ちかなと感じたのです。
 先生のところは、例えば厚労科研とか、いろいろなことでサポートできるのですけれども、そうではない地域でこれをどうサポートしていけばモチベーションを維持できるのか、このあたり何か御示唆があれば伺いたいなと思っておりますが、いかがでしょうか。
○桒原参考人 今、幾つかコメントいただいたかと思います。
 まず1点。確かに、行政の方の部署異動だけではなくて、病院の中で療養指導士の資格を持った方が部署を異動するときも、重要というか、一つの基点になると感じています。今、コメントいただいたとおり、療養指導士資格を持たれている、受験されたということでモチベーションをお持ちですので、そういったときに、ああいった横方向のつながりの会を設けておく。自分一人だけだと、部署異動になってしまって単位更新ももういいかなという形だったり、せっかく資格を取っていただいたのに単位が更新されずにそのまま置き去りになってしまうと思うのです。でも、横方向のつながりがあれば。もちろん全てではないかもしれませんが、つながっていると、僕は、私はこの資格を持っているのだという気持ちを継続いただけるので、今言っていただいたとおり、たとえ他部署でも腎臓病の知識というのは必ずお役立ていただけると思います。そこの部署でこそ、専門外の部署だからこそ、逆にサポートできる、アドバイザーになれるということも含めてつながっていただきたいと思います。
 あと、予算の面です。これは答えがないのですけれども、特に行政の方々に動いていただくときに、予算というのは率直にすごく重要だと思います。もちろん、我々医療関係者だけで独自にやっている場合はそうでもないのですけれども、こういった取組は地域の行政の方のサポートなしには回らないと思います。そういった意味で、重点地区として予算を割り振っていただくことに加えて、厚労科研のほうでは各地域にそれぞれ予算を配分いただくという工夫もしていただいていますので、本当に全ての自治体というのは難しいにしても、ある程度取り組もうと思っていただいている自治体に向けては、うまく予算をキーとなる地域に振り分けていただいて、そこからさらに、ここをやろうとしているのだからということで振り分ける。そういった形が一ついいのかなと思っております。
 ありがとうございます。
○柏原座長 それでは、矢部構成員から御質問をお願いします。
○矢部構成員 先ほどの津下委員からの御質問ともオーバーラップするところがございますが、私たち、糖尿病で療養指導士の制度を設けてこれまで10年近くやってくる中で、インセンティブのない中で根性論だけでは難しいというふうに理解しています。社会貢献を考えているモチベーションの高い方は、継続して今もやっていただけるのですけれども、大多数は1回ライセンスを取ってそれで終わりという方が多い。ここをどうするかというのは、腎臓病だけではなくて、糖尿病に関しても、国の皆さんに一緒に考えていただく必要があるかなと思っています。これはコメントです。
 質問のところですけれども、今回、先生方、医局のほうで支援をされるということを伺いました。実は、私のいる岐阜県などでは、県が糖尿病性腎症重症化予防の予算の中でアウトソーシングをしてはどうかということを市町村と一緒に協議しているところではございますけれども、先生方のほうで、そういった行政への働きかけをなされているかどうか。
 また、その中で、これも津下構成員がおっしゃられましたけれども、医療機関に勤めておられる方がそういった市町村からの依頼に対してインセンティブをもらえるのかどうかというのも私どもの施設及び関連の医療機関では問題になって、なかなかうまくいかないところがあるのです。先生方の地域でどのような現状になっているか御教示いただけると幸いです。
 以上です。
○桒原参考人 矢部先生、ありがとうございます。聞いていて、全く同じようなことを我々もある意味経験しています。ボランティア精神だけでうまく回るのはやはり最初だけというか、それでは難しい面もあるので、何らかのインセンティブをつけるべきだということであのようにしておりました。もちろん、学会の演者、シンポジストとして御登壇いただくとか、そういうのはあるのですけれども、それはどうしても限られた人になるので、実際の活動にどうインセンティブをつけていくか。本当は我々も、今、矢部構成員からコメントをいただいたとおり、いただいている予算なり、行政のほうから協力いただいた活動に対して何とか出せないかということを考え、相談したこともあったのですが、行政のほうから直でというのは非常に難しかったです。
 例えば、大学で委任ということでいただいている予算を実際の活動の費用に割り振れるかというと、ひょっとしたら、何とかやれば可能な面もありそうだったのですが、会計担当の事務の方といろいろお話ししていると、厚労科研の、どうやってそういうふうにひもづけて拠出していけるかというところはまだまだちょっと難しい。多分、前例もそんなになさそうですし、一定のやり方というのはないという形だったので、コロナ禍明けというか、最終年度の去年に新たに先ほど言ったスキームで回し始めたところで、今年もやっているのですけれども、医局からのインセンティブがなしというのはよくないと思いましたので、そこはとりあえず医局から拠出をさせてくださいということでお願いして、同意を得てしているのですが、そこも長続きしていく、させていくということを考えると、こういった取組に実際に彼ら、彼女たちが時間や労力を注いでいただいていますから、適切な対価をお支払いできるシステムができるべきだと思っています。ありがとうございます。ですので、そこは改めて何とかそういったシステムにできないかということは事務の担当者ないしは厚労省の担当者の方と実際に具体的にディスカッションすべきかなと思います。ありがとうございます。
○柏原座長 ありがとうございます。
 これまで2人の参考人から2つの地域における取組を御発表いただいて、現在のCKD対策の課題の在りかについての理解は深まりましたし、これより持続可能な堅牢なシステムにしていく上でのヒントもいただいたように思います。
 残念ながら時間が限定されておりますので、次の議題に移りたいと思います。
 議題の(2)「腎疾患対策検討会報告書の中間評価と今後の取組について」に移りたいと思います。
 それでは、資料2と3に基づいて事務局から御説明をお願いいたします。
○原課長補佐 事務局でございます。資料2を御覧ください。第3回検討会における腎疾患対策に関する主な御意見について御説明いたします。
 対策の全体目標に関して「1地方公共団体の取組」に関する御意見について。2ページを御覧ください。特定健康診査の実施率については、各都道府県レベルでは保険者協議会等で糖尿病性腎症の重症化予防を行っているので、そういった点にも留意して評価を行っていただけるとありがたい。健診や2次検査のための受診の啓発については、一般の人が対象であるため、一定の人数単位で集中して取り組んでいくことも施策としてはよいのではないか。腎臓専門医がほとんどいない県ではCKDの啓発イベント等がうまくいっておらず、糖尿病対策推進協議会が母体となって腎臓の先生方と展開しているところもあるので、そういった糖尿病関連の協会や学会との連携があってもよいのではないかという御意見をいただきました。
 続いて「2CKD診療連携体制」に関しましては、かかりつけ医でも管理栄養士を活用し、身近なところで栄養指導を受けられることによってCKDの重症化予防、患者のQOLの維持・向上が図られるのではないか。糖尿病性腎症の重症化予防の中で、毎年受診勧奨しても受診しない人がいる理由として、経済的な負担が理由となっていることが多い。2人主治医制は経済的な負担が足元では増えるが、続けていくためには、患者自身が行ってよかったと納得してかかりつけ医に戻っていくことが重要なため、指標の中に患者の満足度や意欲等が取り入れられるとよいのではないか。腎疾患対策を進めるためには、糖尿病学会や循環器学会を初めとする関連諸学会、かかりつけ医や管理栄養士を初めとする関連分野の方々との密接な連携が重要であるという御意見をいただきました。
 続いて「3新規透析導入患者数」に関する御意見について。3ページを御覧ください。2040年に向けて、高齢者が日本全体では増える一方、地方ではむしろ高齢化率はピークアウトしているところもあり、地域の実情に合わせて評価指標を考えていかなければいけないのではないか。新規透析導入等のエンドポイントを透析学会が常に公表し、都道府県別のデータが示されていることは、都道府県の担当者に非常に大きなインパクトがあるのではないか。岡田参考人の透析導入率等の性別や年齢、地域の違いといった情報をもとにして評価し、課題を見出して改善につなげることが非常に重要ではないかという御意見をいただきました。
 続いて、個別対策に関して。「1普及啓発」に関する御意見について。4ページを御覧ください。年齢によるアプローチの違いがあるため、そうした点を考慮しながら啓発活動をするとよいのではないか。今、行われている腎疾患対策については、未病の人に対する啓発がなされていないのではないか。勤労世代を中心にCKDに対する認知度を高めるということは、行政として取り組まないといけないが、健診受診後の医療機関への受診勧奨は、特定健診、特定保健指導があるので、医療保険者がきちんとフォローしていくことが大事ではないかという御意見をいただきました。
 続いて「3診療水準の向上」に関する御意見について。既に発症してしまった人の重症化をどのように防いでいくかという点については、ガイドラインの普及率だけでは不十分で、今後はガイドラインに推奨されている内容に関するプロセス指標を評価指標に取り入れるのがよいのではないかという御意見をいただきました。
 続いて「4人材育成」に関する御意見について。5ページを御覧ください。現場の人たちが困らないように様々な療養指導士の単位の互換性を持たす等の仕組みがあってもよいのではないか。腎臓専門医を増やすことは非常に難しいため、それをフォローする意味で、各地域で腎臓病療養指導士を増やすような取組を強調してもらいたいという御意見をいただきました。
 続いて「5研究開発の推進」に関する御意見について。J-CKD-Databaseを用いたリアルワールドのデータの解析は非常に重要なツールであるが、維持・発展にはかなり費用がかかるという御意見をいただきました。
 続きまして、資料3を御覧ください。腎疾患対策検討会報告書の中間評価と今後の取組案について御説明いたします。
 3ページを御覧ください。我が国の腎疾患対策については、平成30年報告書に記載された全体の成果目標と個別の課題及びそれぞれの評価指標が示され、それらに沿って取組が行われてきました。第3回及び第4回の2回にわたり、この5年間の対策における進捗や、さらに推進すべき事項等について議論を行った内容についてこちらの資料に取りまとめております。
 5ページを御覧ください。全体目標の「(a)地方公共団体の取組」について。成果目標に対する進捗・中間評価としては、平成30年に日本腎臓病協会が立ち上げられ、全国12ブロックのブロック長及び都道府県リーダーが配置された等としております。それに対してさらに推進すべき事項としては、国及び関連学会等は、地方公共団体が他の地域の取組を参考にできるよう、厚生労働科学研究班や学会等のウェブサイトに掲載されている情報に相互リンク等でよりアクセスしやすくするとともに、それらの周知を行う等としております。
 続いて、7ページを御覧ください。全体目標の「(b)CKD診療連携体制」について。成果目標に対する進捗・中間評価としては、かかりつけ医から腎臓専門医、腎臓専門医療機関への紹介基準について普及・啓発するとともに、腎臓専門医から糖尿病専門医への紹介基準及び糖尿病専門医から腎臓専門医への紹介基準を基に、腎臓専門医と糖尿病専門医との連携を強化し、糖尿病性腎臓病に対する対策を推進した。腎臓専門医療機関への調査において、CKDステージが進行してからの紹介が多いといった意見があった一方で、かかりつけ医への調査において、腎臓専門医の対応について「紹介しても余り治療に変化がない」「かかりつけ医への説明や連携が不十分」といった意見等があったとしております。
 それに対してさらに推進すべき事項としては、関連学会等はCKDの主要な危険因子となる高血圧症、糖尿病等の生活習慣病の患者がCKDの早期から適切な診療を受けられるよう、各医療機関に対し、早期診断・早期治療の必要性について普及・啓発を行う。関連学会等は、かかりつけ医機能を有する医療機関が腎臓専門医療機関に患者を紹介した際の連携パスの活用や、どのような検査・治療・指導を実施したか等について、かかりつけ医や患者に理解してもらえるよう、腎臓専門医療側にも病診連携を進める上での留意事項について周知を行うなどとしております。
 続いて、9ページを御覧ください。全体の目標の「(c)新規透析導入患者数」について。成果目標に対する進捗・中間評価としては、直近の新規透析導入患者数は4万511人であり、一部の地域では減少しているが、全国値で見ると、近年はほぼ横ばいで推移している。年齢調整後の予測透析導入患者数と実際の新規透析導入患者数を比較すると、実際の数は予測数を下回っており、年齢階級別新規透析導入率は、高齢男性では増加しているものの、男女ともに若い世代で減少し、新規透析導入患者の平均年齢は年々高くなる傾向が見られた。2016年比で、5年で新規透析導入患者数が5%以上減少を達成した都道府県数は12道県あったなどとしております。
 それに対してさらに推進すべき事項としては、国は、新規透析導入患者数は人口構造の変化の影響を受けることを踏まえ、性・年齢階級別の人口の変化の影響を調整した予測透析導入患者数との比較や年齢階級別での透析導入率の変化を指標とした評価を行うなどとしております。
 続いて、10ページを御覧ください。個別対策の「1普及啓発」について。課題に対する進捗・中間評価としては、国は関連学会等と連携し、CKD診療ガイドライン等の普及を行ったほか、2人主治医制やCKDの早期発見に関するポスター等を作成した。日本腎臓病協会が実施する調査においては、CKDを知っている者の割合は年々増加しているが、糖尿病高血圧性疾患と比較し、CKDを生活習慣病として認知している者の割合は低く、たんぱく尿や血清クレアチニン高値の放置によって起こり得る影響についても認知している者の割合は低かったなどとしております。
 それに対してさらに推進すべき事項としては、国及び関連学会等は、CKDの認知度が低い勤労世代等に対する新たなアプローチ方法について検討し、普及・啓発に取り組む。国及び関連学会等は、CKDという病名の周知だけでなく、早期の段階においても心疾患や脳卒中等の循環器疾患の発症リスクが高まることや、糖尿病、高血圧、脂質異常症等がCKDの発症に大きく関与していること、CKDが進行すると必要となる透析や腎移植の具体的な治療内容等の正しい知識の普及・啓発より、早期からの受診の重要性について認識してもらうことで適切な医療機関への受診につなげるなどとしております。
 続いて、13ページを御覧ください。個別対策の「3診療水準の向上」について。課題に対する進捗・中間評価としては、学会横断的なガイドラインとして「エビデンスに基づくCKD診療ガイドライン2023」や患者を対象とした「CKD療養ガイド」、メディカルスタッフを対象とした「腎臓病療養指導士のためのCKD指導ガイドブック」等が作成された等としております。
 それに対してさらに推進すべき事項としては、国及び関連学会等は、CKD患者の治療の実態等について、J-CKD-DatabaseやNDB等の既存のデータベースなどを用いて、全国でのガイドライン遵守率について評価する手法に係る検討を行うなどとしております。
 続いて、15ページを御覧ください。個別対策の「4人材育成」について。課題に対する進捗・中間評価としては、平成29年度より看護師、保健師、管理栄養士及び薬剤師を対象とした腎臓病療養指導士制度が開始されており、全国で資格取得者が年々増加しているが、地域差もあった。CKD患者への多職種介入等がCKDの重症化予防につながることが明らかとなったなどとしております。
 それに対してさらに推進すべき事項としては、関連学会等は、各地域で研修会等を実施することで、腎臓病専門医が少ないエリアにおいてもCKDに関する基本的な知識を有するメディカルスタッフの育成・配置等を引き続き推進する。関連学会等は、CKD患者に対し、多職種で適切な療養支援を行うため、腎臓病療養指導士等のメディカルスタッフのさらなる育成と多職種による療養指導の標準化されたツールの普及等を引き続き行うなどとしております。
 続いて、16ページを御覧ください。個別対策の「5研究開発の推進」について。課題に対する進捗・中間評価としては、J-CKD-Databaseが構築されており、国内10万人以上のCKD患者のデータを集積し、本邦の腎臓病診療の実態調査、腎臓病合併症の有病率の推定、腎臓保護薬の効果検証等を行ってきたなどとしております。
 それに対してさらに推進すべき事項としては、国は、腎疾患政策研究事業における腎疾患対策の効果検証の中で、今後は短期的な評価を可能にするなど、より適切な評価方法の確立等についても研究を進める。国は、CKD患者の治療の実態や効果を把握するために、J-CKD-Database等を活用した研究を引き続き推進するなどとしております。
 最後に17ページを御覧ください。「おわりに」として、本検討会の議論を経て、CKDの発症及び進行の主要な危険因子である生活習慣病の予防及び早期発見のため、健診の受診や保健指導、かかりつけ医等への受診勧奨等を引き続き実施するとともに、生活習慣病によらない慢性腎臓病に対しても健診後の受診の必要性について普及・啓発を行い、適切なタイミングで検査・治療を行うために、専門医療機関とかかりつけ医との連携を推進していくことなどの腎疾患対策の取組の重要性を再確認した。また、今回の中間評価において、平成30年報告書の一部の評価指標の把握が困難であったことから、腎疾患対策の取組を適切に評価することができるよう、その評価の指標等を見直すことが望ましいとしております。
 事務局からの資料2、資料3に関する御説明は以上となります。
○柏原座長 ありがとうございました。
 ただいま資料2、3を用いて御説明をいただきました。これが今回の中間評価の最終的な成果物の版となるわけです。構成員の方々から御質疑やコメントをいただきたいと思います。
 南学構成員、よろしくお願いいたします。
○南学構成員 ありがとうございます。
 2点ございます。
 1点目は、資料2の1ポツの「3新規透析導入患者数」のところに「新規透析導入等のエンドポイントを透析学会が常に公表し」という表現があって、「エンドポイント」はそのままでいうと「終末点」とか「終了点」ということを指し、医療においては「観察あるいは介入を終了する点」ということで使われる用語なので、透析を導入されても、別に我々は治療をやめるわけでもないし、フォローアップをやめるわけでもありませんので、この言葉は恐らく「アウトカム」だとか、何かほかの言葉に替えていただいたほうがいいのではないかと思いました。
 2点目は研究開発の推進ですけれども、腎臓の世界では研究開発の推進がここ数年爆発的に進んでいます。これは、これまでの基礎研究の蓄積により病態生理が解明され、かつ、実際にそれで創薬がなされたときに、その薬の効果を検証し、臨床応用するための臨床試験の体制が整ってきたことがあります。それについては、柏原先生が腎臓学会の理事長として、厚労省にも実際に行かれて、PMDAとも折衝し、様々な臨床試験における代替エンドポイントを設定して臨床試験が行いやすくなった。そういった結果として、様々な大規模臨床試験が行われ、次々に新しい薬が承認され、アメリカ腎臓学会等でも世界中の学会でこの腎臓病の世界は全く新しい展開を迎えていると言われるぐらい研究開発が進んでいるので、そういったところは腎疾患対策検討会における大きな成果に関連するものとして記載していただいてもいいのではないかと思いました。
 以上です。
○柏原座長 ありがとうございます。
 南学構成員は、今、国際腎臓学会の理事長をお務めですので、国際的なCKD対策の中における日本の立ち位置についてもよく御評価いただけるのではないかと思います。そういう視点から、先生、何か御発言ございますでしょうか。
○南学構成員 ありがとうございます。
 日本の腎臓病学は非常にレベルが高く、腎臓病学、透析医学、いずれも国際的に非常に高く評価をされています。これは、これまでの先生方の大きな努力と研究開発の高い能力によるものだと考えております。
 また、様々な国際的な流れがある中で、日本がそれから取り残されないように常に国際情勢を見据えながら、その国際水準にのっとった医療、診療を行うということを柏原先生は腎臓学会の理事長として強くおっしゃっていて、我々もそのように努力をしてきました。当然、国際水準を理解した上で、それを日本という場において最適化しながら実際の診療をすることが肝要ですので、そういったことをこれまでしているということ。先ほどのサロゲートエンドポイント(代替エンドポイント)についても、欧米で研究が先行していましたが、それを日本人のデータできちんと検証するということを柏原先生のリーダーシップの下で学会として行い、それを厚労省・PMDAにお認めいただいて、現在それに基づいて様々な臨床試験が行われ、次々に新薬が承認され、実際に腎臓病の患者さんの治療に役立っているというのが現状です。
 以上です。
○柏原座長 ありがとうございます。
 それでは、下浦構成員から御発言をお願いします。
○下浦構成員 恐れ入ります。日本栄養士会の下浦でございます。
 資料2の1ポツの「2CKD診療連携体制」についてでございます。先般、かかりつけ医でも管理栄養士を活用いただきたいという意見をお出しさせていただきました。このCKDの診療の中で、我々の管理栄養士のスキルの向上も含めて重要であるということで意見をさせていただいたところでございます。
 かかりつけ医療機関に管理栄養士を配置して対応していただくことが理想的なケースなのですが、実際には、資源でありますとか、財政上の制約とか、専門職の配置の難しさなどがございます。引き続き、かかりつけ医療機関への管理栄養士の配置を進める一方で、適切な仕組みを構築して、地域全体で管理栄養士の資源を有効活用できるように努力することは非常に重要なことだと考えているところでございます。
 実は、その取組の中で、私ども日本栄養士会では、医療に特化した機能強化型栄養ケアステーションの設置の拡充を図っておりまして、腎疾患患者様の健康と栄養等をサポートして生活の質を向上させるのに貢献したいと考えているところでございます。このことは、資料3の7ページの下段の「(上記評価に基づき更に推進すべき事項)」の2つ目の○のところで「慢性腎臓病(CKD)の早期から適切な診療を受けられるよう」にも関連しておりますので、併せてお話をさせていただいたところでございます。
 もう一点、申し訳ございません。少し長くなりますけれども、資料3の5ページにおける「特定健診受診後の保健師・管理栄養士等が連携して」という部分について、腎疾患対策での観点からの話をさせていただきます。
 特定健診後の特定保健指導において、医師、保健師、管理栄養士の連携が重要であるということは御存じのとおりかと思います。なぜなら、腎疾患は食事療法や生活習慣病の改善が予防や管理に役立つことから、それぞれの専門性を踏まえた対応をすることで腎疾患のリスクを低減する支援を行うことができると考えています。また、患者との連携を強化して、健康維持に向けたサポートを提供することを大切にしたいと思っているところでございます。
 意見として述べさせていただきました。よろしくお願いいたします。
○柏原座長 ありがとうございます。非常に貴重な栄養ケアステーションの重要性につきましてもリマインドいただきました。
 本検討会には、患者会を代表されまして、全国腎臓病協議会の会長の池田構成員に御参加いただいていますので、パーティシペーションとインボルブメントというような視点からもぜひこの報告書に反映したいと考えておりますが、御意見をよろしくお願いいたします。
 池田構成員、よろしくお願いします。
○池田構成員 すみません、ありがとうございます。
 実は手を挙げたかったときにZoomの機能の「リアクション」が消えてしまっていまして、手を挙げられずにいたのですが、ありがとうございます。
 私のほうでは、かかりつけ医と専門医との連携というのがどこまで進んでいくのかな、今後どういうふうに進んでいくのかなということが、患者サイドから見て少し疑問になるところなのです。
 もう一つは、腎臓病の療養指導士がどこまでの範囲で活動が可能なのかなと。というのは、移植などでも、院内コーディネーターというのがいるのですが、この人たちは病院で各科に属していますので、どうしてもそちらの仕事のほうが優先になってしまって、なかなかうまくたどりつけないというか、コーディネーターからの発信が難しいという部分があったのです。その辺というのは、今の療養指導士の場合、先ほど北広島市の話を伺って、ああ、すごいなと思ったのですけれども、病院に属した看護師となると、こういったことがどこまで民間に対してアピールといいますか、やっていけるのかなと。病院にかかって初めて動くというのであると、その辺のフォローが一般の患者さんのところまでどうなのかなというところが、私、よく分からなかったので、その辺を教えていただければと思うのです。
○柏原座長 一番最後の点に関しましては、確かに、今、療養指導士の多くは病院に在籍していて、クリニックで仕事をされている方は相当少ないです。それは課題と認識しておりますから、さらにそれを拡充していきたいと考えています。どうもありがとうございます。
 また、この腎疾患対策検討会報告書は、CKDというのを広義に捉えて、移植後患者さん、透析患者さんも含まれていて、そういう方々の生活の質の向上も全体目標の中に掲げておりますから、今の池田構成員の御指摘に対して適切に答えていきたいと考えております。ありがとうございます。
○池田構成員 ありがとうございます。
○柏原座長 ありがとうございます。
 室原構成員から御質問をお願いします。
○室原構成員 ありがとうございます。
 これは今後のことにもなるかと思うのですが、報告書の11ページの上のほうに「慢性腎臓病(CKD)の認知度が低い勤労世代(20~50歳代)」という表現があるのですけれども、この勤労世代(20~50歳代)というのは日頃どこにいるかといったら、やはり企業にいらっしゃるわけですね。もちろん家庭でも大事ですけれども。企業、特に一定規模以上の企業というのは産業医がいらっしゃいますし、それなりの保健活動もされていらっしゃいますので、企業のインボルブメントというのが今後の一つの課題ではないかと思います。
 例えば、大手銀行のMUFGなどは、頭取自らが今年から健康経営宣言というものを発出しておられまして、従業員の健康第一ということもやっていらっしゃいます。せっかくこういう流れがありますので、今後は企業と企業の保健部門とのタイアップで、CKDに限らず、勤労世代に対するいろいろな疾患の周知といったものも必要になってくるのではないかと思っております。
 以上です。
○柏原座長 ありがとうございます。
 非常に重要な御指摘だったと思います。私どももこの健康経営の取組の中にCKD対策が十分入り込めていないということは認識しておりますので、ぜひそういう視点から企業や産業医の方々をより巻き込むような活動も展開していきたいと考えております。ありがとうございます。
 それでは、津下構成員からお願いします。
○津下構成員 ありがとうございます。
 幾つかあるのですけれども、1つは、まず糖尿病性腎症重症化予防プログラムとの関連についての御記載がありまして、同じように、健診結果から抽出して受診勧奨や保健指導につなげる、そういうところについて共通項があって、タイアップして進めていければいいかなと思っております。
 現在、糖尿病性腎症のほうについては、全国でほぼ全ての自治体で実施されていることではあるのですけれども、その取組の質に関してはかなりばらつきがあるということが分かっております。例えば、KDB(国保データベース)で腎機能、血圧、血糖の三つの指標を組み合わせて集計をして、優先順位が高そうなところに対してどれだけアプローチできているかを見てみますと、該当する人に対する実際の支援の割合というのは、全国でならしてみますと10%を切っている状況であります。そうしますと、せっかく健診の機会で、例えば腎機能が45を切っている、そして血圧・血糖も高い、血圧は治療していない、そういう方々が地域にたくさんいらっしゃる。その方々に対してどれだけカバーできているか、どれだけアプローチできているかという割合を見ていかないと、実際に個人にまで届いているかどうか分からないのではないかということを現在議論しているところになります。それが1点目。
 もう一つは、そこのプログラムで検討していることは、高齢者に対する対応ということで、糖尿病の基準においても、若年者と高齢者とその紹介基準とか治療目標とか異なるところを自治体の皆様に十分に理解していただいて対応していかないといけない。高齢者の人数が多いので、どうしてもそちらにかた寄ってしまうのですけれども、治療目標が異なっていることとか、コントロール基準が違うということも含めて周知していく必要があるのではないかということを重症化予防のほうでは議論しております。そのあたりもリンクして連携して進めていけたらなと思っています。
 それから、今、学会の活動が非常に重要ということがありました。学会の活動が学会員の中だけの周知にとどまってしまうと対策の効果が発揮できないと思います。むしろ非専門の一般的なかかりつけ医とか、整形外科の先生とか、いろいろな先生に知っていただく必要があるとおもいます。熊本市とかの自治体が基盤になって地域全体で底上げをしていらっしゃると伺っているのですけれども、地域全体で底上げするようなことは、学会は協力するけれども、自治体が中心になってより啓発を進めていく必要があるのかなと。そのあたりについて学会任せではなくて、やはり自治体の役割が非常に大きいのかなと思った次第です。
 あと、診療水準の向上のところで、J-CKD-DatabaseとかNDBの既存データベースということがありまして、これは非常に重要だとおもいました。国保においてはeGFRを測定している人が非常に多いわけですけれども、被用者保険ですと、eGFRが存在しない方もたくさん見えるということになるので、そのあたり、どういうふうに評価していくのか。それから、専門医医療機関でのデータベースと一般の医療機関でのデータベースで、糖尿病でも若干見えている姿が違ういうことがありましたので、そのあたりの一般的な診療におけるガイドライン遵守率などもどう把握していくかも検討していく必要があるのかなと思いました。
 最後に、研究開発というか、実際にCKDというのは腎機能が低下しているということは共通しているのですけれども、多様な病態があって、その多様な病態に対してどう対応していけばいいのか。例えば健診後の事後指導とか、または自治体が動くときにも、そのCKDの多様性について考慮しなくていいかどうか、そこら辺のメッセージがそろそろ必要ではないかと思います。どういう場合にもっと緊急性を高く捉えたほうがいいとか、まずは腎臓専門医に紹介してということなのですけれども、まず、その紹介の強さを自治体とかがある程度判断できるような、CKDで特に病態的に優先順位が高いとか、研究開発で得られた知見をできるだけ速やかに広く知っていただくような仕掛けをお願いしたいと思いました。そんなことを今後の方向性の中で少しでも盛り込んでいただければと感じました。
 以上です。
○柏原座長 ありがとうございます。
 いずれも本当に重要な御指摘で、私ども、糖尿病性腎症重症化予防プログラムの実践の経緯から常に学んでおります。今後もぜひ御示唆いただきたいと思いますし、連携を強めていきたいと考えております。
 最後に御指摘いただきましたCKDは多様な病態であって、我々の第2期な取組としましては、より優先順位の高い病態をより簡便に現場が判別できて、適切に専門医につないでいく。全体としては、かかりつけ医、専門医というスキームでありますけれども、そこにはやはり濃淡があるべきであるという御指摘も、そういうスキームが定式化できるように議論をしていきたいと今思った次第です。どうもありがとうございます。
 本日は、構成員といたしまして、日本医師会常任理事の黒瀨構成員に御参加いただいております。常に課題になっておりますのが、かかりつけ医から専門医の紹介基準の分かりやすさであったり、普及であったりというところがあるわけですが、先生の今の御感想として、これはまだまだ改善の余地があるということでよろしいでしょうか。
○黒瀨構成員 ありがとうございます。
 かかりつけ医機能の向上により、CKDの対策を推進するというのは日本医師会の基本的な方針でございます。その中で、例えばかかりつけ医の機能が地域によってかなりばらつきがあって、先ほど御紹介ありましたように、例えば保健指導からさらに医療機関を受けていただいても、そこのかかりつけ医で、たんぱくがプラスマイナスぐらいなら心配ないからと言ってそのまま戻されてしまったり、そういうケースも決して少なくはございません。そういった意味で、機能の均てん化ということも併せて向上と均てん化を図っていきたいと考えております。
 また、専門医への紹介基準に関しては、確かに、簡単な表を作っていただいて、日本医師会でもそれを監修して会員に配っているのですけれども、残念ながら本棚のどこかに挟まれて見てもらえていないということもよくありますので、ここは継続的にしっかりと通知をしていくこと。
 もう一つは、例えば電子カルテの中にこういう基準が出てきて、その数値を入れると、その患者さんがどこに相当するのかとか、そういったことが一目で分かるように、そして患者さんに説明をするときに、お互いにそれを見ながら、今はこういう状況だけれども、ここまで来たら専門医の先生に診てもらおうねとか、そういう具体的なものを今後作っていきたいと思っておりますし、先生方の御協力をお願いしたいと思っています。さらには、PHR、EHRを用いたデジタル的なICTを用いた連携というのも推進していきたいと考えています。
 以上でございます。
○柏原座長 ありがとうございます。
 本日構成員として御参画の南学先生は日本腎臓学会の理事長でもいらっしゃって、日本医師会との連携を全面的に緊密化したいという大方針をずっと立てていらっしゃいますので、今後もぜひ頻繁に意見交換しながら連携を深めていきたいと思った次第です。
 先ほど津下構成員から御指摘のありました病院レベルのデータベースだけでは不十分であって、クリニックとか、かかりつけ医のデータベースと補完的にしなければいけないというお話で、日本医師会もデータベースをお作りですけれども、黒瀨先生からまた何か御説明いただけますでしょうか。
○黒瀨構成員 すみません。その点に関しては、我々はまだまだ不十分なところなので、御説明できるような状況にはないと思いますけれども、今後、いろいろなデータを組み合わせながら、より質の高いものを作っていきたいと考えます。
 J-DOMEとか、そういったもので、かかりつけ医の診ている患者さんのデータというのを集積して、今、2万3000症例ぐらいまで集まっていますけれども、まだまだ地域の悉皆性もしっかりと担保されておりませんので、より充実したものにしていきたいと考えています。ありがとうございます。
○柏原座長 ありがとうございます。
 御指摘にありましたPHRの実装とかでも常に私どもは考えておりますし、日本医師会の御指導の下でそれを進めていきたいと思っています。
 先ほどの構成員の南学先生からの御指摘について、その対応について事務局から御説明をさせていただきます。お願いします。
○扇屋課長補佐 事務局でございます。
 まず、先ほど南学構成員から御指摘のありました資料2の3ページ目の「新規透析導入等のエンドポイントを透析学会が常に公表し」の部分で、「エンドポイント」ではなく「アウトカム」といった表記のほうが適切ではないかといただいた件につきまして、こちらは表現の適正化をさせていただきたいと思います。
 2点目、資料3の報告書(案)につきまして、研究について、現在、国際的にかなり発展している。そういった国際動向も踏まえて日本の中の腎疾患の対策も考えていく必要があるといった旨の御指摘をいただきました。この件につきましても、座長の先生と御相談させていただいて、報告書のほうに反映させていきたいと思っております。
 もう一つ、津下構成員から御意見をいただきました、CKDの多様性を踏まえた対策が今後必要であろうという御指摘につきましても、こちらも座長の先生と相談させていただきまして、報告書のほうにどのように反映させるか検討させていただきたいと思います。
 以上です。
○柏原座長 ありがとうございます。
 では、また議論に戻りたいと思います。先ほどから頻繁に出てきます腎臓病療養指導士、この約50%が看護師の方です。もちろん、患者さんが入院すれば、看護師さんの方々のケアを全面的に受けるわけですが、今日は日本看護協会から構成員として井本様に御参加いただいております。井本構成員、何かコメント等ございますでしょうか。
○井本構成員 発言の機会をありがとうございます。日本看護協会常任理事の井本でございます。
 熊本市の事例発表の折にも、院内にいます有資格者の異動によるモチベーションの維持ですとか、組織を超えての横のつながりの必要性についてのお話があったかと思います。
 また、池田構成員からは、地域でいかにそういう専門性を持った看護職がケアを届けられるのかという課題があることが提案されたところでございます。本会としましては、まずは保健師を含む看護職がしっかり地域の状況を理解しながら連携し、つないでいくことが大変重要だと考えており、現在、地域における重症化予防に向けた看護活動の強化についての検討をしているところでございます。
 そういったことを通じまして、各医療機関、関係領域の医療機関の看護管理者を含む看護職が自らの役割を認識し、こういった国の対策や現在取りまとめられております報告書などを共有しながら、これからもしっかり貢献していきたいと考えているところでございます。
 また、多くの構成員が発言されたように、地域に出ていくためにはそれなりの仕組みづくりがなければ活動できないという状況もありますので、その方策についての好事例等をしっかり収集し、改めて本検討会で報告できればと思ったところでございます。ありがとうございます。
○柏原座長 ありがとうございます。
 今、療養指導士は2400人まで増えてきたわけですが、その半数が看護師の方々で、看護師の方々は各種の資格を持っていらっしゃって、その維持すら決して容易ではないということも伺っております。腎臓病に限らずNCD全般に関しての資格に取りまとめたほうがいいのではないかという議論があることも理解していて、そのあたりも、前向きに将来的な課題として取り組んでいきたいと考えております。ありがとうございます。
 全般を通していかがでしょうか。構成員の方々、何か追加の御質問や御意見ございませんでしょうか。
 下浦構成員、お願いいたします。
○下浦構成員 すみません。非常細かいことで申し訳ないのですけれども、報告書の17ページ「おわりに」の5行目ところに「適切なタイミングで検査・治療」と。そこに「指導」という言葉を入れていただければありがたいかなと思っているのですが、いかがでしょうか。それを検討いただければありがたいです。
 以上です。
○柏原座長 承知いたしました。事務局と協議して進めていきたいと思います。
 ほかには御指摘、御質問等ございませんでしょうか。
 まだ議論もあろうかと思いますが、予定した時間をほぼ迎えております。本日は、御議論いただき本当にありがとうございました。本日いただきました御意見を踏まえまして、腎疾患対策検討会報告書の中間評価と今後の取組(案)を事務局に修正していただきます。その上で、構成員の皆様にも御確認いただきたいと考えております。最終的な報告書(案)の取りまとめにつきましては、座長である私に御一任いただければと思いますけれども、よろしいでしょうか。
(首肯する委員あり)
○柏原座長 ありがとうございます。
 それでは、腎疾患対策検討会報告書の中間評価と今後の取組について、準備ができ次第公表させていただきます。
 本日は大変活発な御議論をどうもありがとうございました。予定していた議題は以上となります。
 それでは、事務局にお返しいたします。
○原課長補佐 構成員の皆様方、ありがとうございました。取りまとめに当たり、健康・生活衛生局長の大坪より御挨拶申し上げます。
○大坪健康・生活衛生局長 今日は、皆様お忙しいところ、また活発な御意見をいただきまして、本当にありがとうございます。常日頃から、これに限らず、様々御指導いただいている先生方もここに多くいらっしゃって、大変心強く思っておりました。私どもの健康局は、9月1日から組織が変わりまして健康・生活衛生局ということで、今、守備範囲が少し増えた形で運営をしております。
 実は私、三十何年前に医学部を卒業しまして、最初に入局をしたところが腎臓内科でありまして、8年ほど腎臓内科で研修をしておりました。その頃から、早期発見、早く医療につなげる、透析をいかに減らすか、こういった普遍的なことをずうっと思って続けてきたわけですけれども、今日の先生方のお話、また参考人の竹内先生、桒原先生のお話を伺いまして、かなり精緻化されて、きめ細かな丁寧な対応をされているということに大変感銘を受けております。
 御苦労や御助言、たくさんお話をいただいたと思っております。予防としては何ができるのか、治療としてはどういったことができるのか、こういったことで、チーム医療で様々な立場の方が力を合わせて、また行政は何をすべきか、民間の先生方にはどういうことをお願いできるか、こういったことのお知恵も今日はたくさんいただいたと思っております。今日の取りまとめの案を踏まえまして、座長とも相談をさせていただき、今後5年間の取組について進めてまいりたいと思います。また、この5年の間におかれましても、担当者には様々御指導いただければと思っております。本日は誠にありがとうございました。引き続きどうぞよろしくお願いいたします。
○原課長補佐 以上で本日の検討会を終了いたします。
 構成員の皆様、長時間にわたり誠にありがとうございました。

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