経産省・新着情報

2023年10月3日(火曜日)
10時19分~10時34分
於:本館10階記者会見室

冒頭発言

次世代メモリ開発

初めに、私から4点、申し上げたいと思います。
1点目が半導体の関係で、マイクロンメモリジャパン及びマイクロンテクノロジーの広島における次世代メモリの開発・生産計画を承認します。開発に対して最大250億円、生産計画に対して最大1,670億円の支援を決定しました。
この投資計画は、マイクロン社が本年5月、G7広島サミットの前日に、官邸で岸田総理との懇談会において表明があったものです。最先端の露光装置であるEUVを使用し、今後需要の増加が見込まれる生成AI、データセンターや自動運転、こういったものに活用される先端メモリ半導体を開発、生産する計画です。
実際、市況は昨年夏頃から非常に悪くなっており、各社とも厳しい状況にはありますが、今申し上げたように、生成AI、データセンターや自動運転は、今後需要が大きく見込まれます。苦しいときではありますが、こうしたときにしっかり投資をする、このことが重要だと思っています。経済安全保障上、日本が将来必要とする先端半導体を、しっかり安定供給してもらうということが重要です。
併せて、地域経済への波及効果もあります。地域にこうした良質な雇用が生まれることで、若者の地域の定着にもつながりますし、ひいては少子化対策にもつながってくると思います。
また、半導体関連の人材育成にもつながることを期待しています。熊本のTSMC、北海道のラピダス、あるいは四日市、北上のキオクシア、ウエスタンデジタルなどと併せて、しっかりと支援をしていきたいと思いますし、ラピダスと同じく、日米連携の象徴のプロジェクトであると認識しています。詳細は事務方からブリーフィングします。

ABCI大規模言語モデル開発

2点目、生成AIについて、日本は先頭集団にいて、最先端の様々な生成AIのモデルを開発している企業がたくさん出てきているわけですが、経産省として重要な計算資源の拡充に努めているところ、すぐにできる対応として、産総研が所有するAIスパコン、ABCIを利用した大規模言語モデルの開発、支援の公募を行ってきているところです。
1回目はプリファードネットワークス社を採択しました。コンパクトなモデルながら、日本語、英語双方で性能の高いものを開発して、先月28日に成果を公開したと聞いています。
2回目となる今回、外部有識者を交えた審査の結果、国立情報学研究所(NII)とELYZA社の2社を採択しました。NIIについては、10月上旬からこのABCIの計算能力の約20%、そしてELYZA社については、12月中旬からABCIの計算能力の約13%を大規模言語モデルに開発に利用してもらうということで、独占的に使うことができます。
ABCIは、約3,000社が利用し、少しずつそれぞれに使っていただいていますが、一定量、一定期間、集中的に優先して使っていただくことで、生成AIのモデル開発に活用していただきます。今後さらにABCIの持っている計算能力自体も更に拡充することを考えていきたいと思っています。

GX実現に向けた専門家WG

3点目、GX実現に向けた専門家ワーキンググループについてです。GX推進法が成立しまして、国が複数年度にわたりコミットする予算措置が可能となりました。特に世界初となる国によるトランジションボンドが、恐らく近々に認証されると思いますが、これを発行することで、約20兆円規模の開発支援を先行的に行っていきます。今年は1.6兆円の発行を予定していますが、多排出産業による複数年度に及ぶ製造プロセスの転換など、様々なイノベーションを支援していきます。
これにより民間企業の投資を引き出すため、官民で150兆円規模のGX投資を期待していますが、このGX投資について、前回のGX実行会議において、戦略的で予見可能性を持った投資促進策の具体化に向け、年内に分野別投資戦略を策定するよう、総理から指示があったところです。このため、専門家の知見を頂きながら、集中的に戦略案を検討するため、「GX実現に向けた専門家ワーキンググループ」を10月5日から開催します。
この検討を踏まえながら、GX分野で技術、イノベーションで世界をリードしていく。そして民間の投資を引き出しながら、日本経済を持続的な成長軌道に乗せていくため、取り組んでいきたいと考えています。具体的には事務方から説明します。

東京GXラウンドテーブル

4点目、本日そのGXについて、総理官邸におきまして、私も参加して「東京GXラウンドテーブル」を開催します。先週から「GXウィーク」ということで、水素閣僚会議などを開催しており、世界各国からGX分野の有識者に来日していただいております。
また同時に、海外の投資家を日本政府として集中的に招待する「Japan Weeks」の期間でもあります。この機会に東京GXラウンドテーブルを開催して、東京GXウィーク中の各会議を主導する海外の有識者や、脱炭素効果の高い革新技術の開発・導入に取り組む日本の産業界を交えて議論を行いたいと思います。
海外の有識者には、それぞれの会議における議論の内容や日本の官民の取組が世界からどういう見方をされているかといった点について御意見を頂き、日本の産業界からは、それぞれが進めているカーボンニュートラル実現に向けた製造プロセスの転換や、鉄鋼・化学で大胆なイノベーションを起こそうとしていることについても御説明を頂きますし、家庭分野でGXに取り組んでおられる方のお話も頂こうと思っています。詳細は事務局にお尋ねいただければと思います。

ノーベル賞

以上、4点でありますが、もう1点、カリコー・カタリン博士がmRNAでノーベル賞を取られました。心からお祝い申し上げたいと思いますし、私はものすごく感謝しています。
コロナ担当大臣だったときに、このウイルスの蔓延を防ぐためには、人と人との接触を止めるしかない、つまり経済を止めるしかないという、本当に苦渋の選択をして、緊急事態宣言などを発出しましたが、新たなワクチンという武器を手に入れることができました。まさにmRNAという技術によって、早期のワクチン開発が可能になったわけです。
実は日本でも東京大学でこのmRNAの研究をしていた方はおられたんですが、残念ながら支援の体制が、国、また、民間投資も含めて日本では進まなかったという、非常に残念なことがありました。ワクチンのデュアルユース、あるいは創薬ベンチャーの支援などを経産省として行っていますが、こういった人類が直面する危機を乗り越える技術、イノベーションを日本の人材から期待したいと思いますし、それをしっかりと支援していきたいと思っています。先ほどの先端半導体、あるいは生成AIもそうですが、技術で、イノベーションで世界をリードしていく、そうした取組を進めたいと思っています。
日本はノーベル賞を取られた方が、文系、理系問わず、30名ぐらいおられます。国籍がいろいろありますので、約30名として、全員男性であります。女性活躍ということで、安倍政権以来取り組んでいます。特に理系で優秀な女性の方がたくさんおられます。私の同級生もたくさんおりました。理系で女性が活躍できる環境をもっと整備しながら、世界で活躍し、ノーベル賞を取れるような人材を輩出していきたい、そうした支援をしていきたいと思っています。
今年の夏、経産省では、8月2日、3日に、通常は小学生の皆さんに夏休みの自由研究の参考のためにということで、合同でイベントも開催しましたが、特に女子の理系を目指す学生、高校生などにも声を掛け、集まってもらって、女性で活躍する理系の先輩の話を聞いていただく講座も設けました。小さな努力を積み重ねながら、ノーベル賞を取ってくれる人を男女問わず、今回もまだ期待したいと思いますし、特に理系分野で女性が活躍する、そうした支援もしていきたいと思っています。

以上です。

質疑応答

高レベル放射性廃棄物処分

Q:高レベル放射性廃棄物の最終処分場選定の前提となる文献調査をめぐり、先週、長崎県対馬市の市長が受け入れない考えを表明いたしました。候補地探しを進めてきた政府としての受け止めと今後の対応方針について教えてください。
また、文献調査を始めてから調査期間の目安となる2年が既にたっている北海道の寿都町、神恵内村の調査の進捗、また、次のステップに向けた政府の対応方針も併せて教えてください。お願いします。

A:今回、対馬市長が文献調査を受け入れないという考えを表明されました。これまで最終処分の文献調査に関心を示していただき検討を重ねていただいたということで、ありがたいことだと受け止めていますし、感謝しているところです。
その上で、最終処分に関しては様々な意見があります。国としては地域の様々な声を踏まえながら、地域の様々な思いにしっかりと寄り添いながら、文献調査の実施地域の拡大を目指し、全国で必要な情報提供などにこれからも取り組んでいきたいと考えています。
今年4月に改定した基本方針に基づき、7月以降、関心自治体の掘り起こしのため全国行脚を続けており、取組の強化をしているところです。是非一つでも多くの自治体が関心を持っていただけるよう、政府全体として取り組んでいきたいと思いますし、最終処分の実現は国の責任でありますので、責任を持って取り組んでいきたいと思っています。
その上で、北海道寿都町と神恵内村の文献調査については、評価の考え方にパブリックコメントの御意見を反映するということ、そして、原子力発電環境整備機構(NUMO)において報告書の作成を進めているところですので、そうした手続きをしっかり踏んでいきたいと思っていますし、プロセスを丁寧に進めていかなければと思っています。一つでも多くの自治体が関心を持っていただけるよう、政府として全力を挙げて取り組んでいきたいと思っています。今回の様々な意見が地域であったという経験も大事ですので、この経験を生かしながら取り組んでいきたいと思っています。

高レベル放射性廃棄物処分

Q:今、お話にありました対馬市の高レベル放射性廃棄物の最終処分関連で、追加でお伺いできればと思います。
対馬市の比田勝市長は、文献調査を受け入れない理由として市民の合意形成が不十分であることであったり、風評対策への懸念などを挙げていらっしゃいました。国は最終処分の基本方針においても政府の責任で取り組む旨を記載しておりますけれども、今回、国としてどのような後押しが必要だったとお考えでしょうか。また、今後候補地を増やしていくために市民の理解形成であったりとか風評対策懸念の軽減に向けて、どのような対応が必要とお考えでしょうか。

A:対馬市長が文献調査を受け入れない理由として、市民の合意形成の不十分さ、それから風評被害のへ懸念を挙げられたものと承知しています。最終処分事業に関しては様々な御意見がありますので、地域で議論を深めていただくということが何より重要だと思います。合意形成の不十分さがあったということですから、もう一度よく今後の対応に活いかしていかなければならないのですが、今回の市議会での参考人招致に私どものスタッフが参りまして政府としての事業概要を御説明するなど、様々な形で御質問、御懸念に丁寧にお答えするよう努力してきたところです。しかしながら結果として十分な御理解が得られなかった、合意形成が十分にできなかったということですので、今回のこうした経緯、そして市長の御意見、そして地域の皆様の声をしっかりと受け止めて、今後、地域で理解を深めていただくためにどういったことが必要なのか、私どもとしてもう一度しっかり検討していきたいと思います。
その上で、地域の皆様の声にしっかりと向き合い、寄り添いながら、最終処分に対する理解を更に深めていただけるよう努力を積み重ねていきたいと考えています。

大阪・関西万博

Q:大阪万博について伺います。海外パビリオンをめぐって、昨日、大阪市がチェコに対して、仮設建築物の許可通知書というものを交付したと発表しました。これを受けて、近く着工は可能になりますけれども、今回これ初事例となりますが、大臣の所感を教えてほしいのと、あと一方で、ゼネコン等は人材不足とか資材の高騰からかなり受注を躊躇する動きもあるというふうに報じられていますが、協力要請以外に何か政府としてどう後押ししていきたいのか、そこら辺の今後の方針について教えてください。

A:今回、建設開始に向けた手続きの進捗ということで、まずは歓迎すべき動きだと受け止めています。参加国がこうした手続きを進めながら建設事業者との契約が締結できるよう、これまでも参加国、建設事業者双方に働きかけ、支援を行ってきているところです。現在マンツーマンで対応していますし、私自身も海外で多くの国の担当閣僚と会い、直接状況をお聞きしたり、あるいは我々の対応を説明したり、不具合がある点などをお聞きしたりしているところです。
現在のところ、いわゆるタイプA、自ら建設を希望する参加国のうち、20か国については建設事業者が決定しています。そして、こちらで用意するいわゆるタイプXについても10か国程度が関心を示しています。うち1か国が決定しました。
このタイプXについて勘違いされる方もおられるのですが、ドバイ万博のときの日本館や愛知万博のときのアメリカ館などでも過去使われていますし、一定の用意はするものの、内装、外装を含めて相当な工夫ができますから、主要国でもこのやり方を選択している国がたくさんあります。最終的に自分たちで最後までやるのか、タイプXを選択するのか、早く決めていただけるよう、今マンツーマンで対応しているところです。
一方で、建設事業者側に対しても、大阪府・大阪市に私から施工環境改善について先般要請したところですが、やるにしても資材置場がないとか、アクセスの不都合があるとか、様々な建設事業者側からの要請がありましたので、それに対応する形で、9月28日に施工環境の改善に係る取組を取りまとめ、経産省、大阪府・市、博覧会協会のホームページに公表しています。
今後も建設事業者側の意見をしっかりと伺いながら、取り組むべき課題の検討を進めていきます。参加国側、建設事業者側それぞれの要請、状況をよく聞きつつ、マンツーマンでマッチングを進めていますので、早期に方向性が出るよう、引き続き取り組んでいきたいと考えています。

※ 実際の発言は「愛知万博のときの日本館やアメリカ館」でしたが、事実関係を踏まえ上記のとおり修正しました。

ジャニーズ事務所

Q:ジャニーズ事務所の件でお伺いしたいんですけれども、昨日、ジャニーズ事務所が今後の補償について、さらに、タレントのマネジメントを行う新たな会社を設立すると発表しましたが、この会見を受けて、昨年、中小企業庁はTOKIOの城島さんを起用されておられます。今後、ジャニーズ事務所のタレントさんをどのように経産省として起用されるのか、何か御意見があればお伺いしたいと思います。
それに併せて、企業や公官庁がタレントをCM等に起用する場合、今後どのように人権の観点で検討していくべきか、考慮していくべきか、どのような考えがあるかお聞かせ願えればと思います。

A:城島さんの件につきましては、まず契約が継続していると聞いていますので、契約は継続する、少なくともその範囲では引き続きお願いをしようと思っています。城島さん自身、中小企業施策に非常に熱心にこれまでも取り組まれていますので、そうした点を私どもは評価しているところです。
今後のことにつきましては、ジャニーズ事務所から城島さんは独立をされたのではないかと思いますが、詳細は今私の手元にありませんので、詳細は事務的に後でお伝えします。ジャニーズの関連で今後どのような対応をしていくかは、ジャニーズ事務所から方向性が出されたところでありますので、経産省として、また政府全体としての取組もあると思いますから、各省とも連携をしながら、どのように対応するかは決めていきたいと思っています。
いずれにしても、人権への取組、これはサービス業での話ではありますが、製造業においても人権のデュー・ディリジェンスということで、ガイドラインの策定などを進めているところです。タレントの方々の人権を確保しながら進めていくということが非常に重要ですので、今回の事案を契機として、私どもとしても取組を更に進めていきたいと考えています。

以上

最終更新日:2023年10月3日

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