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冒頭発言

【上川外務大臣】本日は、まず、日米豪印外相会合に参加をいたしました。インド太平洋地域情勢に関連し、私(大臣)から、東シナ海・南シナ海、北朝鮮、ALPS処理水等に関する日本の立場を説明いたしました。そして「自由で開かれたインド太平洋」へのコミットメントと、一方的な現状変更や、その試みへの強い反対を確認いたしました。
 そして、来年、日本が日米豪印外相会合を主催することとなりました。また、この後も引き続き関連の会合に出席する予定であります。

 今日は最終日でありますので、今回の訪問の所感を申し上げたいと思います。
 就任5日後にNYに出発したわけでありますが、それ以来、この5日間で、集中的に16名の首脳・外相及び4つの国際機関の長と会談を行い、12のマルチ会合に出席した上、5つの首脳関連行事に同席をいたしました。外交の基本である個人的な関係を構築できたとの手応えがありました。
 訪問全体を通じて感じたことが、3点あります。

 まず、林前大臣を始め、先人たちが築いてきた日本外交の成果をしっかりと引き継ぎつつ、歴史の転換点にある現下の国際情勢における新たな課題に迅速に対応する必要性を、国連という大舞台において肌で感じました。
 その上で、ロシアによるウクライナ侵略による「法の支配」とその中核を担うべき国連の重要性、安保理改革を含む国連の機能強化について、力強いメッセージを打ち出すことができました。

 2点目に、国際社会で急速に主流化してきた「女性・平和・安全保障」、いわゆるWPSに関し、私(大臣)自身これまで政治家として取り組んでまいりましたが、今回外務大臣として、「女性・平和・リーダーシップ」シンポジウムを始め、WPS関連の行事に参加できたことを、大変感慨深く思います。今回の訪問を通じ、日本外交の一環としてWPSを更に力強く推進していくことの重要性を確信し、そうした中で、日・ASEAN50周年の機会も活用しつつ、アジア諸国との連携を進めるとの考えを発信することができました。

 そして最後に、大臣に着任して1週間で、国連総会に参加し、各国のカウンターパートと直接顔を合わせ、率直な意見交換ができたことは大変幸運であったと感じております。特に、G7や日米豪印のコミュニティには温かく迎えられ、また、ファーストネームで呼び合う個人的な関係を築くことができました。これはまさに対面ならではの成果であり、外交の要諦である信頼の基礎をこのように早い段階で築くことができたことはこれから外交を進める上での大きな財産となりました。
 とりわけ、韓国とは、朴振(パク・チン)外交部長官との間で、大局的観点から日韓関係を更に進展させるべく外相間の緊密な意思疎通で一致をいたしました。
 また、対立・分断ではなく、協調に向けた世界を目指し、アフリカ・中南米を含むできるだけ多くのグローバル・サウスと呼ばれる国々とも会談を行って意思疎通を図りました。

 訪問全体を通じて、多くの方々から女性外務大臣への歓迎や期待の声をかけていただき、身の締まる思いでございました。また、今回お会いした外相の約半数は女性だったことも印象的でありました。
 外交は継続が重要であります。今回の訪問の成果を踏まえながら、長い歴史の時間軸も意識しつつ、対局を見据えた外交をしっかりと展開してまいりたいと思っております。

 私(大臣)からは以上です。

質疑応答

【記者】このあと11月にはG7の外相会合、12月に日・ASEAN特別首脳会合に続きまして、年明けには日・ウクライナの経済復興推進会議が控えております。今回の外遊の実績をどのようにこうした行事をいかしていくお考えかお聞かせください。

【上川外務大臣】今回の経験を通じまして、首脳や閣僚による対面での直接のやり取り、この重要性を実感することができました。外交の要諦であります信頼の基礎を早い段階で築くことができたということは、これから外交を進める上で大きな財産になったと考えております。ご指摘いただきましたとおり、これから年末に向けまして11月にはG7外相会合、12月には日ASEAN特別首脳会合、来年始めには日・ウクライナ経済復興推進会議といった重要な外交行事が控えているとところであります。今回の訪問を通じて行った意見交換、そしてカウンターパートとの信頼関係をいかして、長い歴史の時間軸を意識しつつ、国益を見据えた外交を目指していくべく、様々な取組をしっかり展開してまいりたいと考えております。

【記者】大臣から先ほど言及がありましたが、今回の外遊で女性・平和・リーダーシップシンポジウム、女性・平和・安全保障フォーカルポイント・ネットワーク閣僚会合と、ライフワークでもある女性の役割向上に関する取組に参加されました。参加された所感と、これまで国会議員として取り組んでこられた政策を外務大臣としてどのように推進する考えかお聞かせください。

【上川外務大臣】国際社会におきましては、急速に主流化をしている女性・平和・安全保障、いわゆるWPSですけれども、私(大臣)自身、これまで政治家として取り組んできたところであります。今回は外務大臣として、「女性・平和・リーダーシップ」シンポジウムに参加することができたこと、大変感慨深く思っております。会合の参加者の中には、この1年、私(大臣)がWPSに関する議連を立ち上げまして、積極的に取り組んできたことをご存じの方が想像以上に多かったわけでありまして、各国の代表からは大変温かい歓迎を受けました。
 WPSは、2000年の安保理決議1325号とその後9本の国連決議に基づく、10本のWPSアジェンダといわれている決議に基づいた取組であります。そして私(大臣)自身、外務大臣に就任したこのタイミングは、また日本が安保理非常任理事国の任期と重なることもありますし、またこのような中でWPSの議論を国連の重要なアジェンダとして推進していく考えであります。今回の訪問を通じまして、日本外交の一環としてWPSを更に力強く推進していくことの重要性を確信いたしました。こうした中で、日・ASEAN50周年の機会も活用しつつ、アジア諸国との連携を進めてまいりたいと考えております。

【記者】今回、外務大臣としてG7外相会合だけでなく米・英・仏とバイ会談も行われました。先ほども個人的な信頼関係の構築の話もありました。外務大臣として、個人的信頼関係構築のため、どのような工夫をされましたでしょうか。

【上川外務大臣】ご指摘のとおり、G7メンバーのうち、アメリカ、イギリス、フランス、カナダとは、バイ会談も実施することができました。またそれ以外のカウンターパートとも、G7外相会合の機会に直接言葉を交わした国もあります。大臣に着任して一週間、各国のカウンターパートと直接顔を合わせることができたというのは、先ほど申し上げたとおり、大変幸運であったと感じております。
 アメリカのブリンケン国務長官とは、先週、就任直後の電話会談から間を置かず、初めて対面で会談を行うことができました。その意味で信頼関係を更に深める機会となったと感じております。かつてなく強固な現在の日米同盟を更なる高みへと引き上げられるように、一層連携を深めていきたいと考えております。
 また、英国のクレバリー外務大臣とは、外務大臣として最初の対面の会談となったところであります。クレバリー大臣とは、ジェームスと陽子と、互いにファーストネームで呼び合う個人的な信頼関係を構築することができました。日英広島アコードに基づきまして、今後の日英関係を一層強化することで一致をしたところであります。
 フランスのコロンナ大臣とは、地元静岡のお茶を一緒に楽しみながら、二国間協力に加え、男女共同参画などについても意見交換を行い、会談後、コロンナ外相の希望を受け、静岡茶を贈呈させていただきました。
 カナダのジョリー外相でありますが、女性外務大臣としてのあり方やこれまでの経験を含めまして、大変親密なやり取りを行う事ができました。
 大臣就任から間もないタイミングでの外遊となったところでありますが、国連総会のハイレベル・ウィークという大変貴重な機会を活かし、日程の許す限り多くの会談や会合を通じて、各国・国際組織のカウンターパートとも率直な意見交換を行うことができまして、率直な意見交換を通じて、相手の方自身と触れることができまして、その意味でも個人的な信頼関係を構築することができました。また、そうした中でも我が国の立場につき積極的に発信させていただきました。

【記者】先ほど言及ございました日仏外相会談で静岡茶を提供した経緯について、可能であればもう少し詳細にお願いします。

【上川外務大臣】私(大臣)はこれまでも海外出張の際に地元のお茶を常々持参しておりました。今回はフランス側から提案がございまして、私(大臣)のこれまでやってきたことを説明したところでございます。いろいろやり取りがあった上で、お茶を提供するという運びとなったわけであります。こうした評価をいただいたことについては私(大臣)としては大変嬉しく思っておりますし、お茶の持つ力、日本の様々な農作物、文化や食事も含めまして大変関心を持っていただいていることも改めて実感したところであります。

【記者】先ほど行われました日・インド外相会談の概要についてお伺いします。

【上川外務大臣】日・インド外相会談の概要についてということでありますが、今回は初めてということでありました。その内容については、外交上のやり取りでありますので差し控えさせていただきますが、両国間の大変強い関わりということについて、お互いに認識させていただきつつ、今後連携をとって様々な課題に取り組んでいくことで一致しました。

【記者】先ほどの日米豪印外相会合に関し、米や印政府はホームページで「インド太平洋に関する共同発表」を発表しているんですけど、その辺の事実関係とその意義についてお伺いします。

【上川外務大臣】ちょっと、私(大臣)自身は、どのようなものが出ているか把握しておりませんで、見てからお答えしたいと思います。

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