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渡辺復興大臣記者会見録[令和5年7月28日]

令和5年7月28日(金)11:15~11:27 於)復興庁記者会見室

1.発言要旨

 本日1点目、本年6月の福島復興再生特別措置法の改正等を踏まえ、福島復興再生基本方針の改定について、本日閣議決定されました。具体的には、帰還困難区域における特定帰還居住区域に関する計画の認定基準等について盛り込んでいるところであり、引き続き、福島の復興及び再生に全力で取り組んでまいります。

 基本方針の内容につきまして、御不明な点がございましたら、事務方にお尋ねください。

 2点目、7月23日から27日にかけて、米国ワシントン州ハンフォード地域を訪問いたしました。この地域は、かつて核施設群からの放射性物質による汚染のクリーンアップ事業を進める一方で、エネルギー省直轄のパシフィック・ノースウエスト国立研究所を中心に大きな発展を遂げています。今回はまず、パシフィックノースウエスト国立研究所を訪問し、私からアシュビー所長をはじめ関係者に対しF-REIの紹介をするとともに、山崎理事長からの親書をお渡ししました。

 アシュビー所長からは、F-REI設立の意義やビジョンに大変共感をいただくとともに、F-REIとこのパシフィックノースウエスト国立研究所との連携について前向きな意向が示され、山崎理事長の来訪をお待ちする、とのお話をいただきました。このことについては、早速、山崎理事長にお伝えしたところであります。

 今回は、PNNLの2つの研究所を視察したほか、トライシティ開発協議会を訪問し、産学官連携により地域の経済発展を主導する仕組みや工夫について意見交換をしたところであります。

 このほか、地域密着型の職業教育を行い、地元人材育成に大きな役割を果たしているコロンビア・ベイズン大学、原子力災害をはじめとする危機管理対応の訓練拠点であるハンマー連邦政府トレーニングセンター、先進的な水素エネルギー技術を開発している企業を視察するとともに、本地域においてクリーンエネルギー推進に取り組む産学官関係者とも意見交換を行い、福島の復興にも参考となる、多くの知見を得ることができました。

 なお、これらの意見交換等に際しては、F-REIの紹介とともに、ALPS処理水に関する日本政府の立場や現状についても、私から説明し、理解を求めたところであります。

 今回の訪問は、非常にタイトな日程の中でも大変有意義なものであったと考えておりますが、これらの成果を活かし、引き続き、福島の創造的復興に向けて取り組んでまいります。

 3点目、「M&Aを活用した事業承継セミナーin仙台」の開催についてです。

 復興庁では今年度の新ハンズオン支援事業において、後継者不在のため事業継続が困難となっている被災地の中小企業・小規模事業者に対し、M&Aの活用による事業承継を支援することにより、地域経済の自立を後押ししてまいります。その一環として、9月14日に日本政策金融公庫との共催で「M&Aを活用した事業承継セミナーin仙台」を同公庫の仙台支店において開催いたします。

 本セミナーでは、被災地域の中小企業・小規模事業者向けに、支援のプロから事業承継、M&Aにおいて押さえておきたい基本や成約に向けたポイント等を紹介するとともに、日本政策金融公庫の担当者から公庫の事業承継マッチング支援の紹介などを行います。また、セミナー終了後に同会場にてM&Aの専門家による個別相談会を開催いたします。応募方法等の詳細については事務方にお尋ねください。

 私からは以上でございます。

 

2.質疑応答

(問)訪米のその成果についてお尋ねします。先ほど、パシフィックノースウエスト国立研究所とのやり取りがあったかと思いますが、その中で所長から連携について前向きな意向があったということですが、もう少しその具体的なやり取やその内容について教えていただけますでしょうか。

(答)今回のパシフィックノースウエスト国立研究所というところは、実際には人材育成の面において、この夏だけでも1,600人もの学生をインターンとして迎えているほか、地域の2つの大学と緊密な連携を取りまして、将来を担う理系の人材の育成に力を入れていることが特に強い印象を受けたところであります。

 また、このパシフィックノースウエスト国立研究所、いわゆるPNNLの研究成果を商業化するために特別なチームが設けられておりまして、隣接するワシントン州立大学の起業家育成プログラムとのコラボレーションにより実際地域で起業しているとの説明を受けましたが、研究が若者の起業、業務を起こすこと、起業と地域経済の活性化に直結している点で感銘を受けたところであります。これらはF-REIも求めている、まず研究成果と同時に人材育成、更には産業化の将来像として大変参考になったところであります。

(問)2件ありまして、まず1点目は米国出張の報告について。先ほどの御発言の中で、ALPS処理水についての日本政府の立場を説明し、理解を求めたということでしたが、先方の反応というのはどういうものだったのか、もう一つ続けてですが、福島の復興再生基本方針の改定について閣議決定されたという御発言でしたが、パブリックコメントの際の改定案を拝見しましたところ、帰還の在り方については多様な在り方を認めるという文言がありまして、実際の運用としてはどの程度まで認めていくのかというところをお伺いできればと思います。

(答)まず、アメリカの出張の関係において、ALPS処理水に関する日本の政府の立場について私のほうから説明をしたところでありますが、先方は日本の採ってきた今までのプロセスは大体理解はしていただいております。とりわけ国際機関でありますIAEAの評価、包括的な報告書についても説明をさせていただいたところでありますが、この点についても先方は大体理解をいただいたというふうに思っております。特に今回は何か所も意見交換をする場があったものですから、その都度ALPS処理水についての日本政府の立場を説明させていただいたところ、それぞれの意見交換の場においても理解をされたというふうに思っております。

 そして、今般の福島復興再生基本方針についてでありますけれども、最終的には帰還する前提の下、住民の意向を踏まえて多様な帰還の在り方を認めることとするとしております。避難生活が12年以上たっている中で、帰還に際して、ふるさとに少しでも帰り、そして生活を少しでも確立したいという方もおられるわけでありますので、この辺については十分検討を加えて、個々の御事情に寄り添いながら、帰還意向のある住民の方々が全員帰還できるように、避難指示解除に向けた取組を進めてまいりたいと思います。

(以  上)

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