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令和5年7月16日
向かい合い、握手を交わす、岸田総理とムハンマド皇太子の様子 ムハンマド皇太子殿下の出迎えを受ける岸田総理(写真提供:内閣広報室)
会話をしながら会談場所へ向かう、岸田総理とムハンマド皇太子の様子 日・サウジアラビア首脳会談(写真提供:内閣広報室)
着席し、会談を行う、岸田総理とムハンマド皇太子の様子 日・サウジアラビア首脳会談(写真提供:内閣広報室)

 現地時間7月16日午後9時25分(日本時間17日3時25分)から約90分間、サウジアラビア王国を訪問中の岸田文雄内閣総理大臣は、アルサラーム宮殿にて、ムハンマド・ビン・サルマン・ビン・アブドルアジーズ・アール・サウード・サウジアラビア皇太子兼首相(His Royal Highness Prince Mohammed bin Salman bin Abdulaziz Al-Saud, Crown Prince and Prime Minister of the Kingdom of Saudi Arabia)と首脳会談及びムハンマド皇太子主催の夕食会を行ったところ、概要は以下のとおりです。また、会談後には、岸田総理大臣とともにサウジアラビアを訪問した経済ミッション関係者とムハンマド皇太子との挨拶の場が設けられました。

1 冒頭

  1. 岸田総理大臣から、日本とサウジアラビア両国が、戦略的パートナーとして、地域の安定化に向けて一層緊密に連携する上で、今般、外相級戦略対話の設置で両国が合意したことは重要な成果と指摘し、サウジアラビアが進める社会経済改革「サウジ・ビジョン2030」への揺るぎない日本の支援を改めて表明しました。また、岸田総理大臣から、2016年に合意した両国の協力枠組み「日・サウジ・ビジョン2030」の第二章を「ザ・ジャーニー」と銘打ち、先端分野や医療・ヘルスケア等の分野における協力を一層拡大させていくと同時に、中東地域を次世代燃料や鉱物資源供給のグローバルなハブにしていくためにサウジアラビアと協力していきたい旨述べました。
  2. ムハンマド皇太子から、岸田総理大臣の訪問を歓迎する、「日・サウジ・ビジョン2030」の下で、幅広い分野で引き続き両国が緊密に連携していきたい旨述べました。

2 外交・安全保障

 両首脳は、政治、外交、安全保障分野における両国間の交流を一層活発化することで一致し、今般両国間で合意された外相級戦略対話の設立を歓迎しました。

3 エネルギー

  1. 岸田総理大臣から、サウジアラビアからの長年の原油の安定供給への謝意を表明し、国際原油市場の安定や石油・ガス、さらに、クリーンエネルギー等の様々な分野で協力を一層進展させていきたい旨述べ、ムハンマド皇太子からは、消費国と産油国の双方の利益になるように努めていきたいと述べました。
  2. 岸田総理は、重要鉱物の探査や精製、太陽光発電の整備、水素・アンモニアの製造・利用、e-fuel の活用といった分野で連携を多面的に進めていきたい旨述べ、ムハンマド皇太子の賛同を得ました。
  3. 両首脳は、サウジアラビアが提案した二国間の協力枠組「クリーンエネルギー協力のための日サウジ・ライトハウス・イニシアティブ」を通じて具体的な協力案件を検討していくことで一致し、バランスのとれたグリーン・トランスフォーメーションの推進のために、緊密に連携していくことを確認しました。

4 貿易・投資・観光

  1. 岸田総理大臣から、日本企業のサウジアラビアへの投資の関心は高く、今回も多数の企業が経済ミッションとして同行している旨を述べ、ムハンマド皇太子から、日本企業によるサウジアラビアの産業多角化への貢献に期待する旨が述べられました。
  2. 両首脳は、両国間の関係を更に強固なものとする上で、成長活力の取り込みが重要であり、その観点から、投資・ビジネス交流を一層活性化させ、査証緩和等で両国の交流を促進していくことの重要性を確認しました。この文脈で、両首脳は、今般、日本と湾岸協力理事会(GCC)との間でFTA交渉を再開することで一致したことを歓迎しました。
  3. 岸田総理大臣から、半導体や電池等の分野でサウジアラビアからの対日投資を拡大していきたい旨述べ、これらの分野で対日投資促進に向けて具体的な議論が進むことへの期待を表明しました。ムハンマド皇太子は今後も日本への投資を重視していきたいと述べました。
  4. 岸田総理は、国際協力銀行(JBIC)とサウジアラビアの国家負債管理センター(NDMC)の間の協力により、日本企業の知見や投資を活用して、地球環境分野で、再エネ・省エネを通じたサウジアラビアの取組を後押ししていくことへの期待を表明し、サウジ側の賛同を得ました。
  5. 両首脳は、両国の観光当局間の覚書署名により、人的往来の活性化と更なる協力が進展することへの期待を表明しました。

5 教育・文化・科学技術・スポーツ等

  1. 両首脳は、学術、教育、スポーツ、文化の各分野で協力が進展していることを歓迎し、これらの分野において更に協力を進めていくことで一致しました。
  2. この文脈で、両首脳は、日本貿易振興機構(ジェトロ)とサウジ・エンターテイメント・アカデミーとの間の協力覚書の署名を歓迎しました。また、両首脳は、宇宙分野での協力を進めることで一致しました。

6 国際・地域情勢

  1. 岸田総理大臣から、本年のG7広島サミットでも重要性が確認された法の支配や国連憲章の諸原則に基づき、日本が本年3月に公表した「自由で開かれたインド太平洋(FOIP)」の新たなプランの下での日本の取組を紹介し、インド太平洋を含む国際の平和と安全に関する諸課題への対応において、引き続きサウジアラビアと緊密に連携していきたい旨述べました。これに対し、ムハンマド皇太子から、日本と様々な分野で協働できることをうれしく思う旨述べました。
  2. また、両首脳は、世界のどこであれ、力による一方的な現状変更の試みを決して許さないことを確認するとともに、ムハンマド皇太子は北朝鮮について日本の立場を支持する旨強調しました。
  3. 両首脳は、東アジア情勢及び中東情勢についても、意見交換を行い、国際場裡で一層緊密に連携していくことを確認しました。

【参考】「クリーンエネルギー協力のための日サウジ・ライトハウス・イニシアティブ」に関する共同声明(仮訳(PDF)別ウィンドウで開く英文(PDF)別ウィンドウで開く


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