外務省・新着情報

令和5年6月7日

 6月1日、東京電力福島第一原子力発電所(東電福島第一原発)のALPS処理水の現状に関する太平洋諸島フォーラム(PIF)事務局及び専門家との対話が、テレビ会議形式で実施されました。日本側から、外務省、経済産業省、原子力規制庁及び東京電力が、また、PIF側から、フィリモン・マノニ事務局次長、シオネ・テキテキPIF事務局ガバナンス・エンゲージメント部長及びPIFが指名した専門家4名(アントニー・フッカー氏、ロバート・リッチモンド氏、フェレンツ・ファルノキ・ベレス氏、アージュン・マキジャニ氏)が参加しました。

  1. 東京電力福島第一原子力発電所のALPS処理水の現状に関するPIF事務局及び専門家への説明会は、2022年以降、4回実施されてきました。さらに、2月7日の岸田文雄内閣総理大臣とPIF代表団との会談において、ALPS処理水の海洋放出に関する集中的な対話の重要性につき一致したこと、また、同月のPIF特別首脳会合で、本件に関する日本との政治的・科学的対話を強化していくことへの支持が表明されたことを踏まえた専門家間の対話が1回実施されています。
  2. 今回の対話では、日本側から、これまでの説明会での議論におけるPIF側の関心事項を踏まえ、ALPS処理水の海洋放出計画について、特に次の事項に焦点を当て、科学的根拠に基づいた説明を行い、PIF側と議論を行いました。以下の説明は、東電の資料も用いて実施しました。
  • (1)IAEA安全基準
     PIF専門家から、IAEA安全基準における放射線防護の原則である正当化及び最適化について質問があり、日本側から、双方の観点から検討を行った上で海洋放出を選択し、海洋放出に向けた手続きを進めていることを回答しました。
  • (2)ALPS処理水の処分に関する代替手段
     PIF専門家から、コンクリートへの活用によるALPS処理水の処分を代替案とする提案があり、日本側から、過去に専門家による検討を行っていることを説明するとともに、コンクリートと混ぜる際に発生する熱により、ALPS処理水に含まれるトリチウムが空気中に蒸発する点、ALPS処理水を含むコンクリートは、放射性廃棄物と国内法上分類される点、現在貯蔵されているALPS処理水を更に希釈した上でコンクリートと混ぜると、質量が膨大になるという点などから、技術的、法律的側面で、コンクリート固化による処理は、現実性がないことを回答しました。
  • (3)放出前の放射性核種測定
     日本側から、放出前に測定する放射性核種の測定方法を説明した上で、本対話直前の2023年5月31日に、IAEAが、東京電力が高水準の測定の正確性及び技術的能力を有していると評価する報告書を公表したことを説明しました。
  1. 日本とPIF事務局及び専門家は、本件対話を重視しており、今後も継続していくことで一致しました。日本は、IAEAのレビューを受けつつ、太平洋島嶼国・地域に対し、高い透明性をもって科学的根拠に基づく説明を引き続き誠実に行っていきます。

[参考1]ALPS処理水
 ALPS(多核種除去設備(Advanced Liquid Processing System))等により、トリチウム以外の放射性物質について安全に関する規制基準値を確実に下回るまで浄化した水。さらにALPS処理水は、その後十分に希釈され、トリチウムを含む放射性物質の濃度について安全に関する規制基準値を大幅に下回るレベルにした上で、海洋放出されることが想定されている。

[参考2]岸田総理大臣と太平洋諸島フォーラム(PIF)代表団との会談

[参考3]東京電力福島第一原子力発電所のALPS処理水の現状に関する太平洋諸島フォーラム(PIF)事務局及び専門家向け説明会の開催実績

[参考4]東京電力福島第一原子力発電所のALPS処理水の現状に関する太平洋諸島フォーラム(PIF)事務局及び専門家との対話の開催実績


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