農林水産省・新着情報

野村農林水産大臣記者会見概要

日時 令和5年6月6日(火曜日)9時46分~10時08分 於: 本省講堂
主な質疑事項
  • (大臣から)「令和4年度食育白書」の閣議決定について
  • (大臣から)「食育月間」の取組について
  • (大臣から)第3回競馬功績者表彰式について
  • 「令和4年度食育白書」について
  • 梅雨前線による大雨及び台風第2号に係る農林水産関係の被害状況について
  • 「骨太の方針」について
  • 鶏卵の需給状況等について

冒頭発言

大臣

  本日、かりゆし(ウェア)を着ておりますが、総理から閣僚はかりゆし(ウェア)を着て(閣議に)来るようにとの指示がありましたので、各大臣と同じようにかりゆし(ウェア)を着ております。
  私の方から、3点御報告します。一つ目は、令和4年度の「食育白書」について閣議決定されました。二つ目は「食育月間」の取組について御報告します。三つめは本日、「第3回競馬功績者表彰式」を14時から行い、4名の方を表彰します。
  まず第1点目の「食育白書」ですが、今朝の閣議で決定されました。食育白書におきましては、特集として、「「新たな日常」やデジタル技術を活用した食育の推進」を取り上げ、新型コロナウイルス感染症の影響下における食生活等の変化や、デジタル技術を活用した料理レシピ動画の視聴などの食育の実践の状況などについて記述しております。また、令和4年度における特徴的な動きとして、我が国の食料安全保障と食育の推進について取り上げ、我が国の食料安全保障をめぐる状況などについて記述しております。詳しい内容は、白書を見ていただきたいと思いますが、この後、プレスリリースいたします。
  2点目は、「食育月間」についてです。政府は、毎年6月を「食育月間」として、国民の皆様方に食育について理解を深めていただくため、政府のほか、地方自治体や関係団体において、様々な取組を推進しております。この一環として、6月24日及び25日には、富山県において、「第18回食育推進全国大会」の開催を予定しております。「食育白書」、「食育月間」を通じて、食育について多くの国民の皆様方に理解と関心を深めていただくことを期待いたしております。
  3点目は、本日、「第3回競馬功績者表彰式」を実施します。本表彰は、競馬関係者の功績を称えるべく、平成31年4月に創設され、騎手や調教師の更なる技能の向上、競走馬生産農家の生産意欲の増大等を図ることを目的としております。本表彰が、競馬関係者の励みとなり、更なる競馬産業の活性化や馬産地の振興につながることを期待しております。本日の報告は以上です。

質疑応答

  • 「令和4年度食育白書」について

記者

  先ほど言及がありましたが、今日、閣議決定された食育白書について、今般、食育白書に初めて食料安全保障というワードが盛り込まれたと伺っております。このねらいと今後の政策立案などにどう繋げていきたいか、大臣の御見解をお願いします。

大臣

  食育白書に食料安全保障について初めて盛り込んだということを申し上げましたが、今回の食育白書では、「我が国の食料安全保障と食育の推進」を冒頭に取り上げました。これは世界の人口増加が進む中、気候変動による干ばつの頻発化など、農業生産が不安定化していることに加え、昨年からのロシアによるウクライナ侵略や、世界的な鳥インフルエンザの流行など、いつでも食料を安価に輸入することができないことが明らかになる中で、多くの国民の方々に、我が国の農業や食料消費の実態について理解を深めていただくことが我が国の食料安全保障を考えていただくきっかけになると思っていまして、食料の安全保障というのは、国民一人一人に関わる問題ですので、できるだけ国内で生産できるものをできる限り国内で生産するためには、国産農林水産物の積極的な選択を促す消費面の取組が重要であることを踏まえ、引き続き、国民運動「ニッポンフードシフト」やBUZZMAFF等を通じた行動変容を促すとともに、身近な食べ物がどのように作られているのかなど、農業生産や消費に関する知識を、未来を担う子供たちに伝えていくための食農教育の実施などを通じて、食育を推進していく必要があると考えているところです。そのような意味合いから、食育白書で食料の安全保障について、一番最初のところに盛り込んだところです。

  • 梅雨前線による大雨及び台風第2号に係る農林水産関係の被害状況、「骨太の方針」(1)について

記者

  私から2点伺います。まず1点目は今月2日からの梅雨前線などによる大雨についてです。これまでの農業被害の状況と、それに対してどのように対応するお考えか、お聞かせください。もう1点は、政府の骨太の方針についてです。2023年度の骨太の方針の議論が進んでいますが、農林水産省としてはどのような施策を重点にして盛り込んでいきたいお考えかお聞かせください。

大臣

  梅雨前線による被害ですが、私も大変気にしていまして、いろいろ指示をしたところです。今、被害が出ているのが22府県。国会議員の先生からも個別に、「うちのところはこういったようなことでやられているよ」ということで、被害の調査を早急に行って欲しいとか、復旧について早急に対応して欲しいとか、このような要望がきています。今、(のべ)27人ぐらいの農林水産省の職員を現場の被災地に派遣しまして、技術的な指導や、排水ポンプが使えなくなっているというケースもありますので、ポンプの貸出等をやっていますが、被害状況をまず把握して、どういった対応ができるのかというところを早くまとめるよう指示しています。今回が初めてではなく、毎年いろいろな災害が起こっているので、そういった対策や災害復旧のメニューはあるわけです。そういったものを早く被災した人たちに示さないと、不安でたまらないというようなことを言いまして、早急にこの被害調査をやるように、そしてどのような対策が打てるのか、そのことについてもまとめてくれということを言っています。今日、自民党で災害対策(特別委員会)の会合が開かれるという話も聞いていますので、私も党にいるときはそういった対応をしてきましたので、早めに農林水産省としては対応策を考えてくれということを言っているところです。
  二つ目の骨太の方針ですが、5月26日の経済財政諮問会議において、骨子案が示されて、現在、その原案について政府部内で調整が進められているところです。農林水産省としては、食料安定供給・農林水産業基盤強化本部において決定された「食料・農業・農村政策の新たな展開方向」をはじめ、関係閣僚会議で今後の対策の方向性が打ち出された、花粉症対策や物流革新など、我が省の取り組んでいる政策が、骨太方針等の政府文書に盛り込まれるように対応しているところです。6月8日に自民党の政調全体会議があると聞いていますので、その中で盛り込んでもらうように、今調整をかけているところです。まだ骨太方針の具体的な中身は決まっておりません。

  • 鶏卵の需給状況等について

記者

  二つお伺いできればと思います。一つは鶏の卵の価格についてですけれども。2月半ばの閣議後会見で、大臣から「あと半年は待っていただかないと」ということもおっしゃっていたかと思います。その後の閣議後(会見)では、正常化には最高で1年みておけばというお話もあったかと思いますが、2月の閣議後から半年となると、8月ということになりますが、この8月に価格が落ち着いてくる可能性はあるのかというところと、いつ頃、価格が落ち着いてくると見込んでらっしゃるのかということをまず伺えればと思います。もう一つは、鶏の卵はインフルエンザワクチンなどの製造にも使われているかと思うのですが、もうそういった食用の卵だけでなく、ワクチン製造用だったり、そういったワクチン製造の卵が不足しているといったような話があるのかということと、その食用以外に影響が出ているといったところや、懸念されているところをお聞かせいただければと思います。

大臣

  ワクチン(の製造)に鶏の卵を使っているという話は聞いていますが、ワクチンの製造(に影響が出ているか)というのは、私自身は把握しておりませんので、後で事務方からお話します。今、鳥インフルエンザ(の国内の感染)も止まっておりますので、(発生農場は)清浄化した鶏舎から次々ヒヨコを入れております。大体、ヒヨコが卵を産み出すのが半年であり、5月30日時点でヒヨコを入れ始めている27経営体については、ほとんどが採卵鶏です。採卵鶏の農場で再導入された雛は238万羽ですので、疑似患畜数の大体14%、15%近くが、今、(再)導入されているという実態です。ちゃんと検査をして、「ウイルスがもういない」ということになれば、雛をどんどん(農場に)入れていきますから、半年経つと卵を産み出します。私が早いので半年と言ったのはそういう意味で、全てが(鳥インフルエンザ発生前の水準まで生産が)整うのは1年程度かかるのではないかと思っています。今のところ、皆さんが生食で食べているものについては、スーパーで卵の棚は空にはなっていないと思いますが、加工用が不足しておりますので、中南米でインフルエンザが発生していないのはブラジルなので、ブラジルから加工用の卵が殻付きで今、入ってきています。しかし、ブラジルも、先般の情報では野鳥がインフルエンザに感染したということですから、これが鶏に伝染すると、これは厄介なことだなと思います。加工用の卵もそうなると、ブラジルから輸入出来なくなるということになると、加工用の卵も不足ということも考えられるのではないかと思います。一方で、日本の鳥インフルエンザで殺処分した(農場の)鶏は(再導入で)回復しつつありますので、それを待つ以外ないと思っています。これは世界的にどこの国も鳥インフルエンザで卵不足になっていますので、日本だけではないのですが、日本は生食としては、まだ悲鳴は上がっていません。少しずつ、鶏は増えてくると思います。

記者

  そうすると、まだ夏に価格が元通りになるという状況ではなくて、もう少し時間はかかるかなという(ことですか)。

大臣

  価格はどうなっていくのかというと、これは取引ですので(分かりません)。ただ、よく言われるのは、卵の価格について多くの方が350円や340円(に上がった)と言われるのは、今まで180円や160円だったものが、一挙に(価格が)上がったものですから、卵農家としては、今まではあまり儲かる仕事ではなかったのですが、何とか今の卵の価格で生計が立つと(いうことです)。本当は(もっと前から)今のような価格にならないといけなかったのだろうと思います。どの程度(卵の価格が)下がっていくのかは分かりませんが、生産者の皆さんは、今のままの価格でずっと推移してくれた方が(生計が立つので)いいというのは、これはもう偽らざる気持ちだと思います。

  • 「骨太の方針」(2)について

記者

  先週金曜日の2日に、(食料・農業・農村政策の)新たな展開方向が決まりまして、その中で適正な価格形成ということをかなり織り込んでおりまして、かなりチャレンジングな方法かなと感じたのですが、それだけ農産物というのは、これまで不当と言っていいかどうか分かりませんが、不当にも安い価格で、スーパーの競争等にさらされていたということが背景にあるのでしょうか。その辺と、どう価格形成をするのか、今決まっていることがあれば教えてください。

大臣

  適正な価格というのは、やはりコストが賄えるような価格ということなのだろうと思いますが、ではどういう形で決めるのかというと、今唯一、農産物で、価格交渉を行いながら織り込んでいるのは牛乳だけです。牛乳は生産者団体とメーカーが話をして、昨年10月に(価格を)10円上げて、今年の8月にも10円上がるというような交渉が成立しているのですが、牛乳生産農家の皆さん方は、自分たちの指定団体という団体を作っていますので、その団体とメーカーが交渉をして、昨年から今年にかけて(価格が)20円上がるということになっています。(農産物の)他のものについてはそのような交渉をしていません。お米についても、今年の暮れから現物取引の市場を一部作りますので、そこでコメの生産者、流通業者及び卸売業者が入って、コメの価格はどのようにして決めるのかという話し合いが(行われ)今年の暮れからは現物取引のところで(価格が)決まってくるのではないかと思います。他の作物も同じような形ではなかなか難しいと思いますが、牛乳の価格の決め方や、コメの現物取引の価格の決め方、そういったようなものを参考にしながら(まず適正な価格形成への取り組みが)できるのはたぶん畜産だと思います。野菜などは品目が多く、いろいろな取引形態があるので難しいのですが、肉については、ある程度、集約された取引が行われているので、その中で生産者や流通業者が入った形で、肉の値段をどういうようにして(適正に)決めるかということをやれるかもしれません。そのような研究をこれからやっていきますので、参考として今言った、牛乳のやり方や他の品目でのやり方などを検討しながら、流通業界、生産者、消費者を含めた議論をする場、価格を決める場として協議体を作っていきたいと思っています。これは、他国ではフランスが今、法律を作り、畜産からやり始めていますが、日本もこれを見ながら参考にしてなんとかやってみたいと思っています。まだ中身は固まっていません。今からです。

報道官

  よろしいでしょうか。それでは、これで大臣会見を終わります。

以上

 

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