環境省・新着情報

2023年06月05日

第54回ガンカモ類の生息調査(全国一斉調査)結果(速報)

1.ガンカモ類の冬期の生息状況把握のため、各都道府県の協力の下、1970年から調査を実施しています。
2.今回の観察数(速報値)は、ハクチョウ類約7万7千、ガン類約31万1千、カモ類約158万5千羽でした。
3.10 年前の結果と比べ、ハクチョウ類は約14%増加、ガン類は約85%増加、カモ類は約8%増加していました。

■第54回調査の概要

・目的:国や自治体における野生動物保護管理行政(鳥獣の保護管理、希少種の保全、外来種・鳥インフルエンザ対策等)に効果的に活用されるよう、我が国のガンカモ類の冬期の生息状況を把握する

・調査日:原則として2023年1月15日(日)を基準日とした前後1週間に実施

・調査地:ガンカモ類の生息地となっている全国約8,700地点の湖沼等
(ハクチョウ類及びガン類については、原則として全生息地を対象、カモ類については、可能な限り多くの生息地を対象とした)

・調査方法:上記調査期間中に、各都道府県において各調査地点に調査員を配置し、双眼鏡等を使用した目視により、ガンカモ類の個体数を種ごとにカウント

・調査者数:ボランティアの調査員など約3,500人の協力を得て実施

・集計:各都道府県が実施した調査の結果を環境省が集計

■第54回調査結果の概要

 全地点のうち約6,400地点でガンカモ類が観察され、そのうちハクチョウ類は約640地点、ガン類は約150地点、カモ類は約6,300地点で観察されました。全国での観察数は、ハクチョウ類(4種)約7万7,100羽、ガン類(7種)約31万800羽、カモ類(30種)約158万5,100羽であり、これらの総数は約197万3,000羽でした(資料2、表1)。

(1) ハクチョウ類について
 ハクチョウ類の観察数約7万7,100羽を10年前(2013年)と比較すると、約14%(約9,200羽)増加していました。過去20年間の調査結果の推移を見ると、2004年の約7万8,300羽から2006年には約8万1,600羽まで増加し、その後2012年には約5万8,700羽まで減少したものの、以降は概ね7万羽前後で推移しています(資料2、図1)。また、都道府県別に見ると、今期の調査では新潟県が約2万400羽、宮城県で約1万8,300羽、山形県で約8,200羽と観察数が多く、この3県で全国の観察数の約60%を占めていました(資料1)。
 
(2) ガン類について
 ガン類の観察数約31万800羽を10年前(2013年)と比較すると、約85%(約14万3,200羽)増加していました。過去20年間の調査結果の推移を見ると、2020年までは増加傾向にありましたが、2021年は大きく減少し、2022年にはまた増加に転じ、2023年には20年間で最大の観察数まで増加しました。2021年の観察数の減少は、2020年末からの寒波により、ガン類の主要な渡来地である東北地方の湖沼の凍結や積雪量の増加などにより、ガン類が分散して飛来し、過年度と比較して観察個体数が減少した可能性が考えられます(資料2、図2)。ガン類のうち、観察数の多い2種の個体数を前年と比較すると、ガン類の約95%を占めるマガンが約52%(約10万1,500羽)増加、約2%を占めるヒシクイが約59%(約9,300羽)減少していました。また、国際的な保護増殖活動が実施されているシジュウカラガンがガン類の約2%を占め、前年と比較すると約235%(約3,500羽)増加していました。なお、特定外来生物に指定されているカナダガン(平成27年に国内根絶と報告)は、いずれの地域でも確認されませんでした。
 
(3) カモ類について
 カモ類の観察数約158万5,100羽を10年前と比較すると、約8%(約11万5,900羽)増加していました。過去20年間の調査結果の推移を見ると、2009年から減少傾向が見られた後、2014~2020年は160万羽程度が維持されていましたが、2021年は150万羽を下回り、2022年~2023年は増加に転じ150万羽程度となりました(資料2、図3)。また、観察数が10万羽を超えた県は、茨城県(約14万2,800羽)、千葉県(約13万3,500羽)でした(資料1)。カモ類のうち観察数の多い上位6種の個体数を前年と比較すると、マガモが約2%、カルガモが約10%、オナガガモが約13%、ヒドリガモが約6%、スズガモが約9%増加し、コガモが前年と同程度でした(資料2、表2及び図4)。
 
(4)飼養品種(任意報告項目)について
調査中に観察された飼養品種については、アヒルが埼玉県・千葉県・京都府で計20羽、アイガモが千葉県・三重県・東京都・京都府・山口県で計295羽の計2品種が報告されました。
 

■その他

・今回の集計結果は速報値であり、現在行っているデータ精査の結果を踏まえて10月頃を目途に確定値を取りまとめる予定です。本結果を利用される場合には、その点を御留意願います。
・令和4年度ガンカモ類の生息調査(令和5(2023)年1月調査実施)の速報値や、過去の確定値等のデータは、以下のウェブサイトから御覧いただけます。
<環境省生物多様性センター ガンカモ類の生息調査 調査成果物>
https://www.biodic.go.jp/gankamo/gankamo_top.html

連絡先

環境省自然環境局
代表
0555-72-6031
直通
0555-42-6033
センター長
松本英昭
保全科長
雨宮 俊

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