農林水産省・新着情報

野村農林水産大臣記者会見概要

日時 令和5年5月26日(金曜日)9時43分~9時54分 於: 参議院議員食堂
主な質疑事項
  • (大臣から)「令和4年度食料・農業・農村白書」の閣議決定について
  • ALPS処理水の海洋放出による輸入規制への影響について
  • 宮崎県における高病原性鳥インフルエンザによる殺処分について
  • 「令和4年度食料・農業・農村白書」について

冒頭発言

大臣

  私の方から1点、御報告があります。本日の閣議におきまして、「令和4年度食料・農業・農村白書」が閣議決定をされました。今回の白書は、「食料安全保障の強化に向けて」を特集のテーマとして、現下の食料情勢や価格高騰の影響とその対応、将来にわたって国民に食料を安定的に供給していくための取組について記述しています。また、令和4年度における特徴的な動きとして、農林水産物・食品の輸出や、みどりの食料システム戦略、高病原性鳥インフルエンザ及び豚熱への対応などを取り上げています。この白書により、多くの国民の皆様に、我が国の食料、農業、農村への関心をお持ちいただき、理解を深めていただけることを期待しています。詳細は、この後、プレスリリースします。なお、当省からは、この食料・農業・農村白書と、森林・林業白書、水産白書及び食育白書の四つの白書を閣議で決定していただくこととしており、あと三つの白書についてはこれから(閣議決定する)ということでございます。私からは以上です。

質疑応答

  • ALPS処理水の海洋放出による輸入規制への影響について

記者

  ALPS処理水の海洋放出について2点伺います。まず、地元知事や漁業関係者から、安全性の不安や風評に懸念が出ております。農林水産省としてどう対応するつもりでしょうか。関連して、今週、韓国から専門家が視察に訪れました。韓国は、東電の原発事故後、一部の農産物の禁輸を続けています。海洋放出については韓国でも反発が強いわけですけれども、海洋放出が禁輸の解除に与える影響についてどうお考えになりますでしょうか。

大臣

  まず地元の皆さん方の不安というお話ですが、これにつきましては、環境及び人の健康と安全への影響を最大限考慮し、国際基準及び国際慣行に則った措置をとった上で実施するものであり、日本産食品の安全性への影響はありません。一方で、一部の国あるいは地域で現在も維持している輸入規制については、日本産食品の安全性は科学的に証明されており、輸入規制は(科学的な知見に基づき)早期に撤廃すべきというのが我が国の基本的な立場です。このため、農林水産省としては、ALPS処理水の海洋放出如何に関わらず、様々な機会を捉えて、早期の規制撤廃に向けて、未だ規制を維持する国・地域に対して、より一層働きかけてまいります。私どももいろいろな国際会議で、あるいは外務大臣にもお願いをして、外務省関係の国際会議等々で、そのことを強く訴え続けているところです。出来るだけ皆さんの不安を払拭する努力をしていかなければならないと思っています。地元の皆さんに不安があるということについても、私どもも何回か東北に行きまして、いろいろな方々と話をし、その中で(海洋放出についての)不安の声というのも聞いています。しかしながら、これは科学的知見に基づいて大丈夫ですということをいつも申し上げています。そのことを是非御理解いただきたいと思います。また、今回の韓国の報道ですが、この視察団に対しましては、ALPS処理水の各種の施設、あるいは機械などの色々な説明をしながら、御理解をいただこうと(政府として)努力をしているところです。韓国の国内的には色々な意見があると思っておりますが、私どもは(今後も)丁寧に説明をしながら、できるだけ御理解を得られるように、そして(今回の視察団は)専門家の方々ですので、専門的に見てどうだったのかということについては、今後、韓国側からコメントが出てくるだろうと思っています。

  • 宮崎県における高病原性鳥インフルエンザによる殺処分について

記者

  畜産農場による飼養衛生管理基準の定期報告についてお伺いします。宮崎県の定期報告の様式が、農林水産省の様式とは異なっていて、殺処分の埋却地の所有者と、農場の間の契約内容を確認するための記載事項を複数年にわたって欠いていたことが分かりました。その結果、今年1月、宮崎県川南町でHPAIが発生した際に、埋却地の土地所有者の同意を確認できないまま、10万羽のニワトリが埋却されるトラブルが発生しています。この件について受け止めと、農林水産省として対応したことがあればお答えください。

大臣

  我が国だけではなく、基本的に他の国も(HPAIが発生した際は)埋却処理をしているわけですが、埋却地の確保については、以前から、畜産農家はいつなんどきそういう(鳥インフルエンザが発生して殺処分する)ことになるか分からないので、埋却地をきちんと確保するように(家畜伝染病予防法では求めており)、全ての畜産農家についてチェックをかけて、(埋却地が)自己所有でない場合は、土地利用に関する契約の内容を記載した書類等を添付して都道府県に報告することになっていたのですが、今回の宮崎県の事例につきましては、県が口頭で確認するにとどまり、書類に添付して報告する手続きを適正に行わず、口頭での確認だけであったということです。我が省としましては、4月20日の全国会議におきまして、都道府県等に対し埋却地の確保がきちんと適切に行われるように指導を要請し、また、5月19日付けで、都道府県への報告についても注意喚起の通知を発出したところでございまして、引き続き現場でのまん延防止措置が円滑に進むように丁寧に対応してまいります。埋却につきましては、自分の土地でない場合は、必ず(地権者の)了解をいただいて、土地利用に関する契約の内容を添付して、県に報告をするようにしていたのですが、これが守られていなかったということだと思いますので、今後二度とこのようなことがないように指導したいと思っています。

  • 「令和4年度食料・農業・農村白書」について

記者

  食料・農業・農村白書について伺います。今回の白書で読者に特に伝えられたいと思う点、今回の白書のポイントをお聞かせください。

大臣

  今朝、閣議で食料・農業・農村白書の御了解をいただいたところですが、一番のポイントというのは、「食料安全保障の強化に向けて」を特集として記載していまして、国内外の情勢や政府の取組などについて、分析・解説をしているということです。特に、食料安全保障のリスクの高まりの中で、輸入する食料や生産資材への過度な依存を低減し、日本は海外に依存し過ぎだったという反省を踏まえて、「今、日本にあるものを使って、日本で生産をしていく」との考えの下で、構造転換を着実に進めていくことを書いています。今回の食料・農業・農村基本法の見直しの中でも、このことを強く訴えているところで、国民の皆さん方だけではなく、世界各国も大変このことについては関心が高く、G7農業大臣会合、また(先日の)広島サミットでもきちんとそのことを(声明で)取り上げていただいたと思っています。これはG7各国に限らず、今度6月16日にインドでG20農業大臣会合がありますので、その時にも(我が国から)先般、宮崎で行いましたG7(農業大臣会合への関係国出席)のお礼を兼ねて、この話もさせていただこうと思っているところです。日本だけではなく、世界各国、同じ取組をしていきましょうと、自国で(あるものを使って生産)できるものは自国で(生産を)やりましょうということを強く訴えたいと思っています。

報道官

  よろしいでしょうか。それでは、これで大臣会見を終わります。

以上

 

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