外務省・新着情報

G7広島サミット(ゼレンスキー大統領訪日に向けた調整)

【NHK 岩澤記者】G7広島サミットについて伺います。政府は、ウクライナのゼレンスキー大統領が来日する当日に、サミットへの対面出席を発表しましたが、オンラインから対面での出席に変更になった、詳しい経緯をお願いします。
 また、外務省として、ゼレンスキー大統領の受入れに向けて、どのような準備を行ったのかも併せて伺います。

【林外務大臣】今回のG7広島サミットにおきましては、ウクライナ情勢が主要議題の一つとなっておりますことから、3月に岸田総理がウクライナ訪問した際に、ゼレンスキー大統領に、G7サミットへのオンライン参加を要請いたしまして、快諾を得たところでございます。
 その後、ゼレンスキー大統領から、今次サミットへの対面参加にかかる強い希望が表明されまして、日本政府として、サミット全体の議題や日程、これを慎重に検討した結果、ゼレンスキー大統領が訪日し、サミット最終日に、対面で参加することになりました。
 G7諸国や招待国とは事前に調整を行いましたが、外交上のやりとりでございまして、これ以上の詳細についてお答えすることは差し控えたいと思います。

【朝日新聞 上地記者】関連してお伺いします。ゼレンスキー大統領の対面の参加は、サミットにインパクトを残しました。広島にG7や戦地の首脳が集うという意義が大きかった一方で、各国が、ウクライナへのF16戦闘機の提供や訓練の支援などを表明し、「核なき世界」や「平和を祈念する地」という意味でのメッセージ性が薄まったのではないかという指摘もあります。大臣は、このような点をどのように受け止められますでしょうか。岸田総理の表明した「分断と対立ではなく、協調に導くサミット」となったと言えるでしょうか、お考えをお伺いします。

【林外務大臣】国際社会が歴史的な転換期にある中で開催されました今般のG7広島サミットにおきましては、G7の揺るぎない結束を改めて確認することができました。
 G7首脳は、分断と対立ではなく、協調の国際社会の実現に向けて、第一に、法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序を守り抜くこと、第二に、いわゆるグローバル・サウスと呼ばれる国々を始め、G7を超えた国際的なパートナーへの関与を強化することという二つの視点を柱として、積極的かつ具体的な貢献を打ち出していくことを確認をいたしました。
 また、今回の広島サミットでは、8か国の招待国と7つの招待機関を交えて、食料、開発、保健、気候変動・エネルギー、環境といった国際社会が直面する諸課題につきまして議論を行い、G7を超えた幅広いパートナーが協力して、これらの課題に取り組んでいくことを確認するとともに、今後、我々が取るべき具体的な行動を含め、認識の共有を図ることができました。
 例えば、国際社会の喫緊の課題である食料に関しましては、G7と招待国の共同で、「強靱なグローバル食料安全保障に関する広島行動声明」を発出いたしまして、世界的な食料危機への対応と、強靱で持続可能かつ包摂的な農業・食料システムの構築に向けて、具体的な行動を示し、共に取り組んでいくことで一致をしたところでございます。
 G7として、グローバル・サウスが抱える様々なニーズに応じて、引き続き細やかに対応し、「人」を中心に据えたアプローチを通じて、積極的かつ具体的な貢献を行ってまいります。また、こうした取組を通じて、グローバル・サウスのとの関係を強化するとともに、広島サミットの成果、これを今回の招待客も多く参加する9月のG20ニューデリー・サミットにもつなげていきたいと考えております。

G7広島サミット(首脳コミュニケ、中国関連)

【産経新聞 廣池記者】サミットの首脳声明に盛り込まれた、対中国政策の部分について伺います。声明では、力による一方的な現状変更への反対や、建設的かつ安定的な関係構築など、これまで日本政府が発信していった表現が多く使われております。今回、この中国の部分を取りまとめるに当たって、外務省としては、どう取り組んだのでしょうか。また、今回の、その評価についても併せてお聞かせください。

【林外務大臣】今回のサミットでは、中国について、岸田総理から、我々共通の懸念を直接に伝えまして、国際社会の責任ある一員としての行動を求めつつ、気候変動等のグローバルな課題や共通の関心分野については、中国と協働し、対話を通じて建設的かつ安定的な関係を構築するということが重要である旨を述べまして、G7として認識を共有したところでございます。
 その上で、G7首脳コミュニケでは、中国と率直に関与し、また、懸念を直接表明するということの重要性を認識しつつ、中国と建設的かつ安定的な関係を構築する用意がある旨を確認をしました。
 また、中国との持続可能な経済関係にも言及しつつ、デカップリングや、内向き志向ではなく、デリスキリング及び多様化が、経済的強靭性には必要であること等に言及をいたしました。
 さらに、中国に対し、ロシアが軍事的侵略を停止するよう圧力をかけることを求めるとともに、ウクライナとの直接対話等を通じまして、国連憲章の原則及び目的に基づく、包括的、公正かつ継続的な平和を支持することを促したところでございます。
 政府といたしましては、今回のG7首脳コミュニケの内容を踏まえて、引き続き、G7メンバーとの間で、緊密に連携してまいりたいと考えております。

国連安保理非常任理事国選挙(2032年/日本政府の立候補)

【読売新聞 阿部記者】国連安保理の件についてお伺いいたします。今日午前中の官房長官の会見でも、日本政府が2032年の非常任理事国選挙に向けた、立候補の登録手続に入ったと説明がありましたけれども、当選したとしても、今の任期が終わった後、だいぶ先になって、これまでの3年から6年ぐらいのサイクルで続いてきた中で、だいぶ、これまでと様相が異なるような感じになると思うんですけれども。今回の決定、このように判断した理由について、お聞かせいただけますでしょうか。例えば、同じアジア太平洋枠の中に、他の有力国が、既に立候補していることなども影響したのでしょうか。お考えをお聞かせください。

【林外務大臣】日本は、現在12回目の安保理任期を務めておりまして、全国連加盟国中で最多であります。また、現在の安保理の任期中、これはもちろんでありますが、そのあとであっても様々な形で安保理の議論に貢献し、国際の平和と安全の維持と、「法の支配」に基づく国際秩序の強化を目指してまいります。
 いずれにいたしましても、安保理が本来の役割を果たすように、各国との緊密な意思疎通と丁寧な対話は、継続してまいりたいと思っております。
 同時に、安保理改革の議論、これも、引き続き、主導するとともに、国連全体の機能強化にも努めてまいりたいと考えております。

G7広島サミット(核軍縮に関するG7首脳広島ビジョン)

【共同通信 桂田記者】サミットの話に戻るんですけれども、総理は、広島サミットで発表した核軍縮をめぐる広島ビジョンを「歴史的意義がある」と話されました。特に、核戦力データの開示に重きを置いているようですが、今後、広島ビジョンをもとに、外交当局として、核軍縮をどう進めるお考えでしょうか。

【林外務大臣】「核軍縮に関するG7首脳広島ビジョン」は、「核兵器のない世界」という「理想」の実現に向けたG7の決意や、今後我々が取るべき行動を示す力強い歴史的文書になったと考えております。
 特に、昨年岸田総理が提唱されました「ヒロシマ・アクション・プラン」への歓迎が表明をされました。また、「核兵器の不使用の継続の重要性」を始め、「ヒロシマ・アクション・プラン」の内容が明記をされておりまして、このプランの下で行動をとっていく上で、大きな推進力となったところでございます。
 そして、「ヒロシマ・アクション・プラン」の実施における新たな具体的措置としまして、今後の核軍縮の基盤をなす透明性に関して、

  • 核戦力の客観的データの公表
  • NPT運用検討会議に核兵器国が提出いたします「国別履行報告」についての非核兵器国や市民社会との双方向の議論
  • そして、民生用プルトニウムの対IAEA報告といった具体的措置をとるよう、首脳レベルで合意・確認して呼びかけております。

 政府といたしましては、今回の「G7首脳広島ビジョン」を踏まえまして、より多くの核兵器国の関与を得る努力を継続しつつ、「ヒロシマ・アクション・プラン」を始め、現実的かつ実践的な取組を力強く進めてまいりたいと考えております。

ウクライナ戦争停戦に向けて

【インディペンデント・ウェブ・ジャーナル 濱本記者】米シンクタンク「アイゼンハワー・メディアネットワーク」が、「米国は世界の平和のための力となるべきだ」という公開書簡を発表し、ニューヨーク・タイムズもこの書簡を、意見広告として掲載しました。
 この書簡は、NATOの東方拡大が、ウクライナ紛争を誘発したとし、バイデン大統領と米議会に、軍事的エスカレーションをやめ、外交による即時停戦を求めています。大統領選に名乗りを上げたロバート・ケネディ・ジュニア氏が、この書簡に強い共感を示しており、選挙の結果次第で、米国の外交政策が反転する可能性もあります。日本政府は、即時停戦のためのプランBをお持ちでしょうか。

【林外務大臣】ロシアによるウクライナ侵略が開始されて、1年以上が経過する現在も、ロシアは、ウクライナに対する攻撃を続けている他、プーチン大統領も併合したウクライナの一部地域は交渉の対象ではないという旨述べるなど和平に向けて歩み寄ろうとする兆しは一切見られないところでございます。
 ウクライナが懸命に祖国を守る努力を続ける中で、ウクライナの将来を決める交渉、これにいかに臨むべきかは、ウクライナの人々が決めるべき問題であると考えております。
 先般のG7広島サミットでは、G7がこれまで以上に結束をいたしまして、あらゆる側面からウクライナを力強く支援し、厳しい対露制裁を継続していくことを改めて確認したところでございまして、我が国としては、G7議長国として、一日も早く、ウクライナに公正かつ永続的な平和、これをもたらすべく、G7を始めとする同志国と連携をしながら、ロシアによるウクライナ侵略で対応してまいりたいと考えております。

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