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令和5年5月23日(火曜日)
教育、科学技術・学術、文化、その他

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「著作権法の一部を改正する法律案」の成立、第15回日米科学技術協力合同高級委員会、日米教育協力覚書の署名、旧統一教会への報告徴収・質問権行使、質の高い教師の確保のための環境整備に関する中央教育審議会への諮問、文部科学省業務への生成AIの利用、英語教育実施状況調査の調査結果、オーストラリア先住民の御遺骨等の返還、国産量子コンピュータ開発の人材育成

永岡桂子文部科学大臣記者会見映像版

令和5年5月23日(火曜日)に行われた、永岡桂子文部科学大臣の記者会見の映像です。

令和5年5月23日永岡桂子文部科学大臣記者会見

令和5年5月23日永岡桂子文部科学大臣記者会見(※「YouTube」文部科学省動画チャンネルへリンク)

永岡桂子文部科学大臣記者会見テキスト版

大臣)
 冒頭、私からは3件でございます。
 今国会に提出をしておりました「著作権法の一部を改正する法律案」が17日の参議院の本会議におきまして全会一致で可決をされました。この改正は、社会のデジタル化が進展する中で、利用条件などの著作権(注)の意思が確認できていない著作物を利用するように新たな裁定制度の設立、そして立法・行政におけます著作物の公衆送信などを可能とする措置、そして海賊版の被害ですね、における損害賠償額の算定方法の見直しを行うことで、著作物の公正な利用と著作権の適切な保護を図るものでございます。文部科学省といたしましては、制度の運用に向けました準備を着実に行うとともにですね、これらの制度が理解をされて活用されるように、丁寧に周知を行ってまいりたいと、そう考えております。
 そして2件目でございます。16日の第15回の日米科学技術協力合同高級委員会が開催されまして、高市科学技術担当大臣とともに、日本側の共同議長として出席をいたしました。米国側の議長はプラバカー大統領府科学技術政策局長が務めていらっしゃいまして、科学技術イノベーション政策と、戦略的な協力分野について議論を行い、両国の科学技術に関する緊密な協力関係を継続することを再確認できたというところでございます。今回の成果も踏まえまして、引き続きまして、科学技術分野の両国の関係の強化に取り組んでまいりたいと思っております。
 そして3件目でございます。5月21日、広島におきまして、ブリンケン国務長官と、米国国務省との間の教育におけます協力覚書に署名をいたしました。これは、文部科学省と米国国務省との間での初めての覚書となります。日米両国の中等教育、高等教育及び研究分野における協力活動を強化するものでございます。また、本覚書と合わせまして、日米の大学や企業が両国にとって戦略的に重要な分野でございます量子分野及び半導体分野での協力協定を締結をすることができました。文部科学省といたしましても、米国の国務省との緊密な連携のもとに、大学間交流を含めまして、日米間の教育交流、これを強化してまいりたいと、そう思っている次第でござます。
 以上です。
 (注)「著作権」は、正しくは「著作権者」です。

記者)
 明日、宗教法人審議会が開催されますが、1月の時点では大臣のいたずらに引き延ばすつもりはないという御発言がございましたが、統一教会に対して解散命令の請求の可否の判断についてはいつ頃を目途に決める予定でしょうか。

大臣)
 22日昨日ですね、事務的にお知らせいたしましたとおり、明日24日(水曜日)になりますが、宗教法人審議会を開催いたしまして、旧統一教会に対する報告徴収・質問権の行使について御審議をいただくことにしております。審議会におけます御議論や御意見を踏まえまして、速やかにですね、旧統一教会に対する権限の行使ができるよう取り組んでまいりたいと考えております。その上で、まだ審議会にお諮りしていない現時点でですね、お尋ねの点につきましては、権限の行使の詳細についてお答えすることは差し控えますけれども、審議会の終了後ですね、事務方のほうから必要な説明はさせていただきたいと考えております。解散命令請求の判断につきましてのお尋ねもですね、これまでにもお答えしておりますけれども、今後の対応につきましては、やはり予断をもってお答えすることは差し控えたいと思っております。

記者)
 関連して6回目の行使に向けて諮問するということなんですが、これまで5回の質問権を行使したうえで解散命令請求をするか否かの判断するための十分な情報がまだ集まっていないということなんでしょうか。

大臣)
 これまでもお答えしておりますとおりですね、今後の対応について、また内容につきましても、予断を持ってお答えすることは差し控えさせていただければと思っております。やはり解散命令の要件というのは、宗教法人法に厳格に定められておりまして、この要件に該当すると判断するためにはですね、法人の活動に係ります十分な実態把握が不可欠であることから、着実に対応する必要があるということで御理解をいただければと思っております。

記者)
 冒頭にもありました改正著作権法の新たな裁定制度についてお聞きします。円滑な二次利用と権利保護のバランスを図っていくために、施行に向けて権利者や利用者への周知とか窓口組織の細かい業務内容など、どのように具体的な準備を進めていかれるお考えでしょうか。

大臣)
 今般の改正では、新たな裁定制度の手続を合理化するために、補償金を授受・管理する指定補償金管理機関ですね、それと申請の受付・要件確認そして使用料算出などを行います登録確認機関を設けることとしているわけでございます。これらの機関はですね、民間団体などからの申請に基づきまして、文化庁の長官がしめい(注)そして登録することになるわけでございます。公布の日から3年以内という施行日に向けまして適切に運用ができるようにですね、関係者への丁寧な周知・説明を行ってまいります。また、新たな裁定制度の施行に当たってはですね、権利者や利用者の皆さん方に、しっかりと制度の仕組みを正しく理解をしていただくことが必要と考えておりますので、わかりやすい説明・周知、これも行ってまいりたいと思っております。
 (注)「しめい」は、正しくは「指定」です。

記者)
 先週発表された2022年度の英語教育実施状況調査について伺います。中高生の英語力は政府目標の50%までわずかに届かず目標達成とはなりませんでした。これを含めて今回の結果全般についての受け止めを伺います。また自治体間の差が目立ちましたが、こうした差が生じていることをどのように捉えていらっしゃるか、今後の改善の取組も含めてお聞かせください。

大臣)
 令和4年度の英語教育実施状況調査の結果でございますが、第3期の教育振興基本計画に掲げます目標値に、あと1歩及ばなかったということは、大変残念ではありますけれども、中学生・高校生の英語力というのはやはり年々着実に向上しているものと認識をしております。これは、教育委員会ですとか、それから現場の先生方の御尽力に感謝したい、そういうふうに思っております。そして何よりもですね、お子さん達の学習成果が、調査結果に現れてきているものと、そういうふうに考えております。また、調査結果からは、依然といたしまして、自治体間で生徒の英語力の数値に開きが見られるという課題もあるわけでございまして、調査結果の分析から、授業中に生徒が英語を使って活動する「言語活動」の時間の長さですとか、また教師の英語力や発話などがですね、生徒の英語力の向上と関連をしていることが分かっておりまして、これらの取組の状況が、地域によって異なっているということが要因であると考えております。文部科学省から今回の調査結果のフィードバックを行っておりまして、各自治体にはですね、必要な改善を行うなど、今回の結果を活用してですね、英語教育の改善・充実に努めていただきたいと思っております。今後は、教育委員会の担当者が集まります会議などでもですね、具体的に課題などを説明するとともに、やはり全国学力・学習状況調査の結果と併せまして、さらに把握・分析を行いまして、成果を上げている自治体の好事例を全国に展開していくなど、各自治体における取組をしっかりと支援をしてまいりたいと、そう思っております。

記者)
 昨日、中教審へ教員の働き方について諮問をされましたが、教職調整額の見直しなどに注目が集まる一方で、根本的な長時間労働の改善がなされるのかという声もあります。大臣も一体的に進めていくというお話をされていましたが、改めて今後どのような議論を期待されているか伺えますでしょうか。

大臣)
 昨日、中教審の総会におきまして、私からですね、質の高い教師の確保のための環境整備について諮問を行いました。私としては、やはりこれまでの施策の取組状況を踏まえまして、働き方改革を加速させまして、そして処遇の改善ですとか学校の指導・運営体制の充実を一体的に総合的に進めるということが不可欠であるとそう考えております。その際、やはり国、都道府県、市町村、各学校など、それぞれの主体がその権限と責任に応じて役割を果たすことが重要だと思っております。こうした観点も踏まえまして、勤務実態調査の速報値などを踏まえつつ、有識者等から成ります調査研究会において整理をされました論点をも基にですね、総合的に御検討いただきたいと、そう考えている次第です。

記者)
 先日、オーストラリアから返還されました樺太アイヌ民族の御遺骨の関係でいくつかお尋ねします。今回返還された御遺骨と交換される形でオーストラリアから東京大学にアボリジニの方の御遺骨が渡ったという記録が残っており、文科省のほうで対応されているというふうにお聞きしています。現時点で文科省としてオーストラリア政府との交渉の進捗、それと今後のスケジュール等があれば教えてください。2点目としては、そもそも東京大学にオーストラリアの先住民族の御遺骨が存在しているかどうか、文科省として確認されていますでしょうか。また最後に国内の大学とか博物館で海外の少数民族の方の御遺骨や副葬品がどの程度あるかというのを文科省として把握されていたら教えてください。

大臣)
 まずオーストラリア政府との交渉につきましてですが、オーストラリアの先住民でありますアボリジニの御遺骨につきましては、オーストラリア政府から国内の保有状況の確認ですとか返還の要請が寄せられているところでございます。交渉の詳細につきましては、現段階ではお話できませんけれども、文部科学省といたしましては、オーストラリア政府の意向をですね、踏まえまして、必要な対応を行うべく調整をしているところでございます。それからオーストラリア先住民の御遺骨が日本に存在するかというのと、それから大学、博物館等でですね、遺骨の存在があるのかについてでございますが、大学などに保管されております海外の先住民の御遺骨等につきましては、基本的にその所有者であります各大学などにおいて管理、それから把握をすべきものと、そう考えております。他方でですね、アボリジニの御遺骨につきましては、オーストラリア政府の要請があったことから、各大学ですとか、あとは博物館におけるアボリジニの御遺骨の保存状況の確認を、現在行っているというところでございます。

記者)
 先日、デジタル庁と経産省と農水省がAI戦略チームの会合の中で生成AIを今後、業務で活用していくという意向を示しましたが、文科省での業務での活用など方針があれば、もしくはその状況を教えていただけますでしょうか。

大臣)
 既におっしゃいますように、デジタル庁、それから経済産業省、農林水産省におきまして生成AIを業務に利用する動きがあるということは承知をしております。文部科学省においてもですね、他省庁の利用状況を踏まえつつですね、どのようなサービスが利用可能か、またどのような業務に活用できるかなど、必要な検討を進めてまいりたいと、そう考えております。

記者)
 日米覚書について関連で伺いたいんですけれども、覚書に際して東大とIBMとか、東大とGoogleとか、大型のパートナーシップ関係件が結ばれたように聞いております。こういうのが日本の研究現場にどのような影響を及ぼすとお考えでしょうかというのが1点、もう一つはかなり巨額なので、日本の大学にとってはファイナンス的にすごくメリットがあると思うんですけれども、ただ逆に知的財産、日本の研究成果が海外の企業に吸い取られてしまうのではないかというのは気になる点でもあるんですが、そうした懸念があるかどうかについてもお尋ねしたいと思います。

大臣)
 本覚書はですね、文部科学省と、それから国務省によります日米両国の中等教育、高等教育及び研究分野における協力活動を強化するものでございます。また、本覚書と合わせまして、日米の大学や企業が両国によって戦略的に重要な分野であります量子分野、そして半導体分野での協力協定を締結したことはやはり意義深いことだと、そう思っております。今後はですね、二国間で政策対話を行うことでですね、重要分野におけます協力関係や日米間で次世代を担う人材の育成ということもしっかりと進めてまいりたい、そういうふうには考えているところでございます。

記者)
 先の質問に関連してなんですけども、日米の連携強化の具体策として量子コンピュータについても挙げられていました。巨額の資金が拠出されることは人材育成に弾みがつくと期待しているんですけれども、一方で国内では理系を中心として国産の量子コンピュータの実用化を目指している状況もあり、その中でも人材育成が大きな課題になっていると聞いています。今回の日米の連携強化、量子コンピュータの分野の取組というのは日本の国産量子コンピュータの開発の人材育成も念頭においたものになるのか、そことの関係について確認させてください。

大臣)
 私とですね、ブリンケン国務長官との間で協力覚書を締結いたしたわけでございますが、合わせまして東京大学、シカゴ大学、IBM社、そしてGoogle社の間で量子分野の協力文書が締結されました。日米の産学がですね、連携をして、そして海外の最先端の知見を取り入れながら研究開発ですとか人材育成を進めるということが大変重要でありまして、将来的にですね、我が国の国産機の開発を担う人材が育成されることを期待しております。文部科学省といたしましても、若手研究者の支援ですとか量子技術に関する教育プログラムの開発・提供など、量子コンピュータの研究開発を担います人材の育成、これをしっかりと進めてまいりたいと思っております。

(了)

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