文科省・新着情報

1.日時

令和5年4月12日(水曜日)16時~18時

2.場所

オンラインにて開催

3.議題

  1. 共進化実現プログラム(第1、2フェーズ)の振り返りについて
  2. 共進化実現プログラム(第3フェーズ)に向けた取組と設計について
  3. SciREX 事業終了後に維持・発展すべき機能の検討について【非公開】
  4. その他【非公開】

4.出席者

委員

   有信主査、奥和田委員、狩野委員、小寺委員、小林委員、田辺委員、長岡委員
 

文部科学省

   倉田研究開発戦略課長、小野山研究開発戦略課企画官

オブザーバー

      国立大学法人政策研究大学院大学  安藤特任フェロー、国立大学法人政策研究大学院大学 林教授

5.議事録

【有信主査】それでは、ただいまから、第18回科学技術イノベーション政策における「政策のための科学」アドバイザリー委員会を開催いたします。
委員の皆様方におかれましては、お忙しい中、御出席いただき、誠にありがとうございます。
それでは、早速ですが、事務局より資料の確認と出席者の御紹介をお願いいたします。よろしくお願いします。

【小野山企画官】ありがとうございます。政策科学推進室長の小野山です。本日はよろしくお願いいたします。
まず、資料の確認から行います。議事次第に資料の一覧を載せております。出席者の皆様方におかれましては御確認をお願いいたします。不足等ありましたら、事務局のほうまでお申しつけいただければと思います。
続きまして、委員の出欠についてです。本日は、伊地知委員、吉本委員は所用により御欠席ということになっております。小林委員におかれましては、所用により1時間早く御退席される見込みとなっております。
また、議題に入ります前に、今年度4月から研究開発戦略課長に着任いたしました倉田より御挨拶させていただきます。よろしくお願いします。

【有信主査】よろしくお願いします。

【倉田課長】御紹介ありがとうございます。4月1日付で神谷の後任として研究開発戦略課長を拝命いたしました倉田と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
私、かなり前ではございます、共進化実現プログラムの第1フェーズではございますが、宇宙の担当課の職員としてこの共進化のほうの議論にも参画したことなどもございますが、まさに本当こちらはSciREX事業15年プロジェクトの13年目となり、残り3年となる中で、事業終了後の方向性も見据えながら、特に共進化事業第3フェーズを含め、どう本事業を運営していかなきゃいけないか、非常に重要な節目に差しかかっているのじゃないかと思っております。アドバイザリー委員の先生方をはじめまして関係の皆様方から既に多くの御意見も頂戴してございますけれども、本日も御参加の先生方から今後の進め方につきまして幅広い観点からぜひ忌憚のない御意見を頂戴できればと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

【有信主査】どうもありがとうございました。
先ほども説明がありましたが、議題の3と4については、調整中の内容を含みますので、非公開議題とさせていただきます。それについては、委員の先生方、よろしいでしょうか。御了解いただければと思いますが。
(「異議なし」の声あり)

【有信主査】特に異議がないようですので、議題3と4は非公開議題とさせていただきます。
傍聴者の皆様方は、議題2の終了後に事務局のアナウンスによって御退出いただければと思います。よろしくお願いします。
それから、議題の1及び議題の2の内容につきましては、委員会終了後に委員の皆様方に御確認の上、議事録を公開いたします。
ここまでの説明で疑問等ございましたら、どうぞよろしくお願いします。よろしいでしょうか。
それでは、議題の1「共進化プログラム(第1、第2フェーズ)の振り返りについて」ということで進めたいと思います。
令和4年度をもって共進化プログラムの第2フェーズが終了し、今年度、その振り返りを行うとともに、その結果を第3フェーズの設計に活用するために、事務局において第1フェーズの追跡調査と第2フェーズの成果の取りまとめを行っていただいていますが、事務局から資料に基づいて共進化プログラム(第1、第2フェーズ)の振り返りについての御報告をお願いしたいと思います。
じゃあ、事務局からよろしくお願いします。

【安藤オブザーバー】SciREXセンターの安藤です。よろしくお願いいたします。
そうしましたら、資料1-1、今、映ってございますでしょうか。まず初めに、共進化実現プログラム(第1フェーズ)の追跡調査を実施いたしましたので、その結果の整理についてちょっと御紹介をしたいと思います。
まず、実施の目的ですけれども、プロジェクト終了から1年半が経過をいたしました時点で、プロジェクトの状況や参加者個人の意見を収集し、第2フェーズの状況も踏まえて第3フェーズの在り方について検討する、つまり今後のプログラムの改善を目的として調査を実施いたしました。
調査するに当たっての問いとしてここは3点示してございますけれども、アドバイザリーの皆様からも、このプログラムの効果・影響としてどういうものがあったのか、直接的な政策への貢献以外のものも含めてかなり御指摘をいただいておりましたので、改めてそういったものを整理しようというのがまず1つ目です。それから、第3フェーズでは、特にどのような点について改善・検証に取り組むとよいか、そのために必要なプログラム設計やマネジメントの在り方はどういったものかというものを、御参加いただいた皆様の御意見を基に考えていきたいというふうに考えて実施いたしております。
その設問項目ですけれども、大きく3つございました。
プロジェクトと終了後の状況についてということで、どういった形のプロジェクトで、どういった立場で参加をしたのかですとか、プロジェクト終了後の継続状況あるいは終了後の相手サイドとの協働状況はどうかということ、それから、今から振り返ってプロジェクトのマネジメント上の課題は一体どういうものだったのか、その乗り越え方としてどういうものがあったのかということを聞いてございます。特にプロジェクトのマネジメント上の課題というのは、こちら、トランスディシプナリー研究の文献から5つのマネジメントのポイントというものを抽出いたしまして、こちらを選択肢にして、特にどういったところが課題だったかというのを聞いてございます。
それから、アウトカムやインパクトについては、プロジェクト実施期間中に得られたものと終了後に得られもの、こちらを分けて聞いてございます。また、アディショナリティーを聞こうということで、この共進化実現プロジェクトならではの成果・効果というものについても質問として入れております。
また、プログラムの設計や運営についてということで、プログラム側として幾つか介入をしておりましたけれども、こういったものが実施者にとってどうだったかということ、それから、改善点、御意見というものをいただいております。
調査の概要はこちらになっておりまして、こちらに示す第1フェーズの9つのプロジェクト全てから回答をいただき、43件の回答を得ております。行政官、研究者、その他含めて、こういった形の18名、22名、その他3名も含めて、バランスよく回答いただいたのかなと思っております。
結果、主なものについて御紹介をさせていただきます。
継続状況ですけれども、継続をしているというふうに回答した者は16名おりまして、ただ、行政官はやはり異動等もあるため1名であるということです。ただ、相手サイドと何らかの関係性が続いているということで、コミュニケーションを取っているですとか別のことで相談をしている、そういったことも含めますと、18名の行政官も含めてそういったような回答をいただいているという状況になっておりまして、プロジェクトが何らかのネットワークと今後の共進化の可能性みたいなもののベースになっている、それが見えております。
それから、プロジェクトのマネジメント上の課題ですね。行政官と研究者で同じようなところ、もしくは傾向というのが少しございますので、御紹介させていただきます。
まず、行政官は、プロジェクトを実施する上で、上司や研究者との調整を担う人材を必要としているというのが自由回答も含めて得られておりまして、このファシリテーターやコミュニケーター、これはプロジェクト内のファシリテーターやコミュニケーターの必要性というものを多くの方が課題として挙げてございました。
また、当初目標の変更が必要であったり、あるいは異動にどう対応するかということで、課題や人事、そういったもののダイナミクス、変化への対応について悩んでいるということで、このダイナミクスへの対応ということを挙げていたということがございます。
一方で、研究者も、メンバーがみんな忙しくて、プロジェクトメンバー間の関係性の構築、つまりチームビルディングに大きな課題というのを持っておられる方が多かったということでした。それは、行政官と研究者の意思疎通だけではなくて、研究者同士ですね、特に代表者以外の方々が自分ごととしてプロジェクトに関わっているのか、オーナーシップに関する課題というのを挙げているという傾向が見てとれました。チームマネジメントですね、そういったことへの課題というのもやはり今回も難しいということが見えてきております。
それから、得られたアウトカムやインパクトについてです。こちらは政策研究の中で知識の利用というような研究がありまして、そこでいろいろ様々な利用の観点から11の選択肢というものを設定いたしまして、回答いただきました。プロジェクト期間中、終了後、それぞれ聞いてございます。こちらがまとめたものになっておりまして、この下の表の中で緑が実施期間中に得られたもの、黄色が実施後に得られたもの、赤が両方で得られたものというふうになっております。
かいつまんで御紹介いたしますと、特に行政官に見られたことですけれども、研究者からも御意見いただきましたが、プロジェクトの実施期間中、つまり緑ですね、というのは、政策課題の言語化がとても進んだと。そういったことで、プロジェクトの成果が直ちに政策形成には貢献しないものの、プログラムを通して認識の共有が進み、長期的・間接的な政策形成への影響を実感したといったような、そういった傾向が見られてございます。研究者の側は、若手研究者の雇用ですね、ポスドクさん、あるいは学生のRAとしての関与みたいなことも得たということで、人材育成としても一定の意義があったというような結果が得られてございます。
一方、終了後に関しては、研究者にとってはやはり論文や書籍等、学術的成果としてまとめたということとともに、こちら、終了後に審議会ですとか事業の事業評価などで成果を活用していただく場面も出てきたということで、短期的・直接的な政策形成に活用したというような結果が得られてございます。また、新しい研究課題の発見ということで、第2フェーズのプロジェクトに結びつくとか、そういったようなものも見いだされているというふうになっております。
また、実施中・実施後両方あったのが、相手サイドですね、行政官であれば研究者、研究者であれば行政官というような相手サイドとのネットワーク・コネクションというのが特にあったということであったりとか、あるいは文科省さんの中でも、事業の関連する例えば大学の方々との関係形成がよりこのプロジェクトを通してできたといったような、そういった御意見もいただいております。また、個人の気づき・学びというところ、人材育成効果も見られているというところになってございます。
それから、プログラムの設計や運営に関する御意見ですね、様々な介入をしましたけれども、これは本当に個々に何が効果があったか、効果がなかったかということはかなり意見が分かれていて、統一的な見解はあまりなかったなというふうに思いました。
それから、第3フェーズに向けた御意見、こちらに示しておりますけれども、まとめておりますのはこちらですね、プログラムデザインやマネジメントの在り方についてやはりとても課題があるということで、特に事業運営委員会のほうでも議論させていただきましたけれども、今までのニーズ主導の考え方でやってきたものが、本当に研究者間のインセンティブ設計がなされているのかといったような御意見ですとか、あと、やはり「コレクティブインパクト」、書いてありますけれども、共創的なマネジメントの在り方ですね、そういったものをしっかり勉強した上で制度設計をすべきといったような御意見をいただいておりまして、第3フェーズの在り方、これからも含めて考えていく必要があるかなというふうに思ってございます。また、特にどういうふうにプロジェクトを立案していくのか、政策課題、育成・政策研究課題として設定をしていくかというところは改善が必要ということが確認できてございます。
プログラムの変遷、こういったことを踏まえまして、改めてSciREX、特に拠点を中心とした研究の変遷を少しこちらにまとめてございます。
最初は、旧重点課題プロジェクトと呼んでございますけれども、第5期の基本計画の下に、メタな課題から研究者が中心となってややシーズプッシュ、リニアモデル的に研究を実施して、これが政策形成にはなかなか結びつかないということで共進化プログラムが始まったという流れになっておりますけれども、こちらはそういう意味ではニーズプル、より具体的な政策課題に特化して共創型への転換を図ろうというふうにしたわけですが、やや短期的なものに終始しがちであるといったような、そういった傾向も見てとれております。
そういった中で第3フェーズ、一体どういう形でデザインをしていくのかというのは、今後も含めて検討していかなければいけないということで、論点としてどういうことが考えられるのか。例えばということで、プログラムそのものの目的・ねらいですね、特に期待されるアウトカムやインパクトをどこに焦点を置くのか。特に多様性があるということは見られましたので、その中でもどこに期待をしていくのかというのは、マネジメントする、あるいは評価をする上でも重要かなというふうに思います。
それから2点目として、政策研究課題の設定をどういうふうにやっていくのか。こちら、次の議事のほうでも少しトライアルをしておりますので、御紹介させていただきたいと思います。
最後、論点3つ目ですね、マネジメントのポイント、それからプログラムによる支援の在り方をどうしていくのかということで、選択肢だけのものに対して具体的にいろいろ課題が見えてきたものに対して、プログラム事務局、プログラム側がどういった対応を仕掛けをしていくのかですとか、担当課が明確ではない、あるいは府省横断的なプロジェクトというものを取り扱うのかどうか、どういうふうにやっていくのかということも一つの議論として(音途切れ)ことになってございます。
対応策の例ということで、こういったものに対してこういうことが考えられるというのを一覧で示してございますが、こちらを見ながら、もし御意見等あればいただければと思います。
私からは以上になります。

【有信主査】どうもありがとうございました。
ただいまの御報告に関して、御質問やコメントをぜひよろしくお願いしたいと思います。

【小野山企画官】有信先生、続いて資料1-2と1-3を説明した後に……。

【有信主査】ああ、ごめんなさい。1-3、引き続き説明ですね。すみません。1-2、1-3の説明、よろしくお願いします。

【小野山企画官】ありがとうございます。資料1-2、1-3については文部科学省のほうから説明させていただきます。
資料1-2につきましては、第2フェーズで実施してきました各プロジェクトの概要、取組というところをまとめております。
まず1つ目でございますけども、「研究開発プログラムの開発・評価に資するエビデンス構築の研究」ということで、こちら、政研大、林先生、文科省側が評価・研究開発法人支援室のプロジェクトでございます。この資料、1.と2.で資料をまとめておりまして、1.研究プロジェクトの現状ということで、特に下線を引かせていただいています政策というか、成果の部分、政策への貢献の部分、あとは2.のところで、昨年秋、アドバイザリー委員との意見交換をさせていただいたときの助言への対応というところを中心に御説明させていただきます。
まず、1.の成果のところとしましては、政府審議会として、具体的には科学技術・学術審議会ですけども、その中で実際、ナノテク委員会であったりとか研・評分科会のところで報告を行いまして、そこでいただいた意見とかをまたその成果の取りまとめに生かしているというところでございます。2.の助言への対応につきましては、分析対象としたプロジェクトの見直しを含めたところですね、こちら、効果が現れた部分と、データからは明確に効果が見えなかった部分というところを提示して議論したというところがございました。
続きまして、2つ目、「レジリエントな産業連携とイノベーション・システムのエビデンスの収集と分析」ということで、こちら、政研大、隅藏先生ほか先生方と、あと文科省側は産業連携・地域振興課というところのプロジェクトになります。こちら、成果としましては、行政官側で課室や省を超えた成果共有であったり、行政官側での日常的なところになりますけども、定常的なミーティングの開催やそれを継続したというところであったり、あと産学連携の実施状況調査、あとは政府系の二次利用データの活用とか、そういったところが進められたというところでございます。助言への対応としましては、こちら、他分野との違いというところに対しては、医療分野というところを具体的には比較を試みたというところでございますとか、あとは、一番下のところでございますけども、プレアワード、ポストアワード、あと研究戦略推進支援等のURAの業務でございますが、こちら、専念している「研究推進特化型」のURAについて分析を行って、そのURA等の配置や活用の有効性というところを確認したり提示したりというところを進めております。
続きまして、「科学技術・イノベーション政策の経済社会効果分析の政策形成プロセスへの実装」ということで、こちら、政研大、池内先生、黒田先生、あとは文科省側は研究開発戦略課のプロジェクトでございます。こちらは、具体的なところでは、JSTのCRDSの戦略プロポーザル、また、文科省における研究助成プログラムの目標・領域設定、あと評価のロジックチャート等々に活用されるということが期待されるというところで取組を進めてきているというところでございます。助言への対応につきましては、経済効果のための政府研究開発投資の議論にとどまらず、その中身、プロセスのところですね、本質的なイノベーションメカニズムの改善につながる研究となるような分析というところをアドバイスいただき、そこの部分について見直しを行ったというところでございます。
続きまして、「我が国の大学等による宇宙分野の人材育成支援活動のための国内枠組みと展開可能性」ということで、こちらは東京大学のQuentin先生をはじめの先生方、あとは文科省側としては宇宙開発利用課というところでのプロジェクトでございます。こちら、取組成果としましては、国際宇宙ステーションの日本実験棟「きぼう」の外交面での活用に関する提言というものがJAXAによって採用されたという点でございますとか、あとは、東京大学が中心となり、宇宙分野の国際連携の枠組みでありますけども、APRSAFというものがございまして、そこに宇宙法政策ワーキンググループというものを発足させて進めたというところでございます。あとは、助言への対応というところでございますけども、宇宙分野にとどまらず、ほかの分野における適用可能性について検討を行ったというところでございますとか、あとは、文部科学省の政策や取組に直接寄与する具体的な提言というところの検討というところを進めたところでございます。
続きまして、こちらも宇宙関係ですけども、「宇宙デブリ関連の国際ルール形成・標準化のための官民連携に関する研究」ということで、こちら、東大の鈴木先生ほか、あとは文科省側としては同じく宇宙開発利用課というところになってございます。こちら、取組の成果としましては、国連の決議に基づいて設置された作業部会ですね、そういったワーキングにおいて軌道上のリスクについて解説しまして、ベンチャーですが、アストロスケールというところにサービス調達等々で参画してもらうことによる取組の可能性と重要性等々について提案を行ったというようなところでございます。助言への対応としましては、各府省がこういった政策課題、文部科学省においてはデブリ除去技術の実証になりますけども、こういった共通の政策目標の実現に向けたアプローチというところを検討したというところでございます。
続きまして、「自然科学と文化芸術、人文学・社会科学の多様な連携の社会的価値の可視化と実践的手法」ということで、こちら、東京大学の城山先生、あとは金間先生ほか先生方と、文部科学省におきましては文化庁の企画調整課等が参加したプロジェクトでございます。こちら、具体的なテーマとしては、アートですね、美術館であったりとか自然史博物館といったものにおいて、各ステークホルダーとの連携構築といったものを取り組むというところでございますけれども、実際の取組成果としましては、研究会を実施して、欧米との比較評価の事例を基に我が国への適用を議論したというところでございます。こちら、具体的には、美術館と博物館を例に、ステークホルダーとの連携構築とか、そういった取組を検討し進めたというところでございますけども、その上で成果の一般化というところも念頭に議論してはどうかというところで進めてきたというところでございます。
続きまして、「『将来社会』を見据えた研究開発戦略の策定における官・学の共創」ということで、こちら、阪大の平川先生ほか、文科省側としては研究開発戦略課の戦略研究推進室というところが中心にプロジェクトを進めてございます。こちら、具体的に取組成果としましては、研究開発戦略策定の部分ですけれども、具体的には戦略推進事業ですね、戦略創造事業の基になるような戦略目標というような検討の中で検討用資料ということで展開されているようなところでございますとか、(音途切れ)。
長くなって恐縮ですけれども、続きまして、「児童生徒の心と体の健康の保持増進に向けた教育データの活用」というところで、こちらにつきましては、取組状況、成果としましては、今後の政策形成において自治体が有するデータの利活用が有効というような一つの事例というか、有効性を示すことができたというところの部分と、あとは、助言への対応としまして、ほかの社会経済要因が影響する可能性について文献調査であったりとか、投稿論文で考察を加えているところでございます。
続きまして、「イノベーション・エコシステムのハブ拠点が有する自立性・持続可能性に関する調査研究」ということで、こちら、九州大学、永田先生ほか、あと文科省側としましては産業連携・地域振興課というところでございます。こちら、取組と成果につきましては、具体的にはJSTのセンター・オブ・イノベーション(音途切れ)の事業でございますけども、そういったものの評価基準に項目が追加されたというところでございますとか、あとは終了プロジェクトについての調査等々を実施したというところでございます。こちらのほうは助言への対応ということで、研究の継続を担保しながら成果を事業化するというような連携の継続性であったりとか、あとは大学における人材供給、あと、産学の共同研究のようなキーアセットのところについても事業の持続可能性という視点を持ちながら最終成果の取りまとめに向けた分析を行ったというところでございます。
続きまして、「新型コロナウイルス感染症による暮らしへの影響分析」というところで、こちら、九州大学の諸賀先生ほか、文科省側としては高等教育企画課というところでございます。こちら、取組の状況と成果というところで、理想的な大学生活とコロナ禍での生活のギャップというところの充実度の影響であったり、そういった中で前向きに捉えて行動するように促進するというところが非常に重要だというような示唆を得たというところではございます。あと助言への対応ということで、作成した行為分解木の分析結果を抽象化していって新しい政策に結びつけるという観点ですね、行政側の意見をいろいろ聞いて今後進めていくというようなところも(音途切れ)というところで検討していくというところでございます。
こちら、最後になります。「博士等に関する情報基盤の充実・強化及び人材政策と大学院教育の改革に向けた事例研究」ということで、こちら、科学技術・学術政策研究所の須藤総務研究官ほか、あとは文科省側としては人材政策課のプロジェクトになります。取組の成果としましては、若手研究者支援事業等への立案に向けたロジックモデルであったりとか、各種審議会へのデータ引用等々、幅広く利活用されているいうところでございます。また、助言への対応ということで、論文、特許だけでなく、加えてキャリアについても焦点を当てて分析を行ったりとか、あとは、起業に関しても民間セクターに出た場合の満足度、収入分析等々も加えたというところでございます。
各プロジェクトの対応と成果みたいなところは以上になります。
続きまして、資料1-3のほうも説明させていただきます。資料1-2のほうは、各プロジェクトの個々の取組の状況・成果であったり助言への対応でございますけども、資料1-3は、そういった中で共通的にいただいたアドバイザリー委員からの御意見等々をまとめてございます。こちらのほう、次期共進化に向けた部分というところでいただいております。
こちら、まず最初、中段のところで、いろいろ取組を進めていかないと議論も進まないので、早く進めていくことということで、スケジュール的なところをしっかり確認しながら進めていくというところであったりとか、あとは、共進化自体が文科省だけでなく他省庁も交えた形で横展開するところも必要なのではないかというようなところでありますとか、あとは、下のほうですけども、行政側のほうの仮説や潜在的デマンドというところの掘り出しというか、深掘りみたいなものとか、そういったものが重要になってきているというようなところ。
あとは、ページを飛んでいただいて、こちらもテーマ設定というところで、中段のところでございますけども、大きな問題意識とか、例えば研究力の総体的低下とかイノベーション力の低下みたいなところの根底を考えていくところであったり、そういったところがテーマから次につながる疑問が出てくるようなものというところが理想的というような御意見をいただいております。
あと、最後のページですけども、行政側と意見交換、行政側が問題意識を持って、分析マインドや政策面、これはどちらかというと成果ではないですが、そういったところは重要なので、引き続き頑張ってほしいというところかと思いますけれども、そういった部分でありますとか、あとは、行政側と研究者側の進化という意味では、研究そのもののアウトプットよりも人を育てるという部分もあるというようなところを御意見いただいておりますので、まとめております。
説明、長くなりましたけど、以上で資料1-2と1-3の説明を終了したいと思います。

【有信主査】ありがとうございました。
それでは、これまでの説明に関して、御質問やコメント等ありましたらよろしくお願いします。特に小林先生、早めに御退出ということなので、御意見ありましたらどうぞ。よろしいですか。
それでは、どうぞ、田辺さん、顔が見えていますが。

【田辺委員】よろしいですか。

【有信主査】はい、どうぞ。

【田辺委員】どうも説明ありがとうございました。資料1の調査ですかね、安藤さんが話していただいたものについて質問なんですけど、スライドの8でアウトカム・インパクトの調査があったかと思うんですけども、その中に、特にないとかというのが15ですか、非常に大きい感じなんですね。これは終わった後かもしれませんけど、この15というのが、「特になし/わからない」というのがありましたよね。これは終了後なんですけども、43人中15人の人が「特になし/わからない」というのは多いと思うんですが、これ、行政側に多かったんですかねというか、ちょっとそこら辺を教えていただければと。

【安藤オブザーバー】おっしゃるとおりです。やはり行政官の方は、異動されてもう担当業務から外れてしまうと分からないという状況がございますので。あとやっぱり参加の状況を見ても、担当課室の担当として出ているんだけれども、会議には傍聴した形で、傍聴だけの参加という方も結構行政官の方は多かったので、そういった意味でも実質的に……。

【田辺委員】あ、なるほどね。

【安藤オブザーバー】はい、そういったような傾向はあるかなと思います。

【田辺委員】分かりました。だから、傍聴の形で参加した人はそういうような回答だったという理解でいいですかね。それ以外は非常にいろんな成果が出ているような感じがしました。
それと、ちょっと類似の点で資料1なんですけども、担当課室が明確でなかったという話と同時に、行政側がファシリテーターとかコミュニケーターが欲しかったというのも、これも何か行政側にプロジェクトのリーダーがいなかったんじゃないかと思うんですけど、そういう理解でよろしいですかということ。

【安藤オブザーバー】恐らくこれはプロジェクトによって違うのではないかなと私は思っておりまして、第1フェーズは特に担当課室としての取組というよりも、やっぱりその担当課の中でも本当に熱心に関わってくださる人が中心に動いていたというところがあるのではないかと思います。そうすると、中で何かをやろうとすると、課長補佐であったり課長さんであったりとか、そういった上司の方々に、あまりプロジェクト、例えばミーティングとかに出ていない方にしっかり説明をするということの工夫が必要であったりとか、そういう状況が必要であったり、研究者との間はどうしても時間感覚の違いというのがやっぱり自由コメントなんかでも多く出ておりまして、2年間という短いプロジェクトの中で、例えば最初にじっくり文献調査をしたいという研究者の方々と、本当に短期で動いていく担当課のニーズとか課題に対しての短期でこういうふうにやってほしいというようなスケジュール感というか、時間感覚の違いみたいなものも少し見てとれたかなというふうには思います。そういったところで調整ですね。

【田辺委員】上司との調整とか研究者の調整というのは、さっき言った問題意識を持った人がこの第1フェーズはいたはずなんですけど、その人ができなかったということなんですかね。

【安藤オブザーバー】頑張ってやっているけれども、自分だけでは不足している、そこも調整をしてくださる方がいるといいという、そういうふうに受け止めました。

【田辺委員】ああ、そういうことですか。はい、分かりました。ありがとうございます。以上、質問です。

【有信主査】ありがとうございました。
ほかに御質問等ありましたらどうぞ。特にありませんか。
1つ、私から、今の資料1の10ページだったかな、プロジェクトマネジメントを進める上で、必要がなかったり改善が必要なプログラム側の活動は何かという中で、割と目立つのが、「アドバイザリー委員との意見……」、これ、意見交換ですかね。これは「機能した」というのと「必要がない/改善が必要」というのが同じぐらいの数あるんだけど、これはどういうふうに理解すればいいんですかね。

【安藤オブザーバー】ありがとうございます。本当にこれは個々人によって違うということで、例えば、プロジェクトの進捗がなかなか進まないとか、研究者と行政官のコミュニケーションが打合せの頻度とかも含めて進まないというようなプロジェクトの中には、アドバイザリーとの意見交換をマイルストーン的に設定していただくと、そこに向けて動こうみたいな、そういったことにつながるので、そういった機会としてよかったというような御意見もあったかなと思う一方で、中にはやっぱりかなりもう政策研究を長らくやってこられた研究者の方々もいらっしゃいますし、御自身が専門であるということで、なかなか適した助言を得られないんじゃないかとか、あるいは、どちらかというとプログラム側の資料の出し方の問題として、前回のコメントに対してどう対応したかというような、そういったことのペーパーワークみたいなものというのは少し、無用というわけではないんですけれども、ペーパーワークとして少し削減できる部分もあるんじゃないかと、そういった……。

【有信主査】はい、ありがとうございました。確かにそういう形での答えの仕方というのは無駄かって思う人がいるということですよね。助言に対してどう対応したんですかって、そういう聞き方ではなくて、むしろ結果を見てもらえば分かるんじゃないのって、そんな感じですかね。

【安藤オブザーバー】そういったところもあるのではないかなとは思います。

【有信主査】ほかに御質問等ありましたらどうぞ。振り返りについて、今ぐらいの感じでよろしいですか。それでは、取りあえず一旦先に進んでみたいと思います。
それでは、議題の2で「共進化実現プログラム(第3フェーズ)に向けた取組と設計について」ということで、第3フェーズは令和5年度10月頃から令和7年度末の2年間半実施されるということで、前回委員会での委員の皆様方の御意見も踏まえて事務局でプログラムの方向性を検討しています。
それでは、事務局から、資料に基づいて、共進化実現プログラムの第3フェーズに向けた取組と設計についての報告をよろしくお願いします。

【安藤オブザーバー】SciREXセンターの安藤です。
まず、資料2-1について御説明をさせていただきます。
こちらは、SciREXセンターでARI、研究関心領域というものの略なんですけれども、こちらの取組、試行というもので実施をいたしまして、御紹介させていただきます。
その前提といたしまして、第3期に入ってからSciREX事業の取組を総括するとともに、事業終了後もEBPMの推進が図れるような仕組みの提案に向けて、SciREXセンターでは拠点間連携の取組の一環ということも含めて研究プロジェクトを発足いたしました。目的がそのプロジェクトは3つございまして、1つは、事業発足からもう10年たっておりますので、新たな文脈というのも出てきます。その中での「共進化」の有効な方法論やアプローチを再検討していくということです。それから2つ目、短期的な視点ということで、そういった知見を第3フェーズに生かしていこうというもの。そして3つ目が、長期的な視点で、事業終了後の在り方について検討していこうということで、最後は後の議事のほうで御説明・御紹介があるかと思いますけれども、今回の議事では、この真ん中の部分の特に共創型プロジェクトの発足プロセスの改善に向けた手法の開発・試行ということで御紹介をさせていただきたいと思います。
Area of Research Interest(研究関心領域)のリスト化試行ということで、先ほど、こちら、資料を出させていただきましたが、メタな政策課題と、あるいはサブというか、より具体的な政策課題、そういったものからそれぞれ出発した研究プロジェクトの発足とかトライアルみたいなことをSciREXでは実施をしてきたわけですけれども、第3フェーズ、特に政策研究課題、研究プロジェクトとして一体どういう課題をどういうプロセスを経て立ち上げていったらいいのか、よりよい政策課題の設定の在り方はどうあるべきかということを少し試行的にやるということで、どちらかというと、幾つかやり方あると思うんですけども、重点課題プロジェクト、メタから行く部分と、共進化のサブから行くもの、折衷というか、そういったよいところをお互い取り合って共創的にやっていくということが試行できないかということでトライアルをしてございます。
このARIというものはイギリスが取組をしているものになっておりまして、これは例えばBEISのリスト化して公開されているものですけれども、政府が行政府の中において研究関心領域としてこういうものがあるというのをリスト化して会話しているというものです。例えば、どういうプロジェクトタイトル、どういうテーマのものとして、政府、府省庁、省庁の中でどういうエビデンスニーズ、エビデンスギャップがあるのか、それを得るための、エビデンスを得るためのリサーチクエスチョンは何で、開始時期や、どれぐらいの期間をかけて実施すべきものか、それから、そういったことをエビデンスを生み出してくれる期待されるものへの要請事項みたいなものが一覧化されているということです。当然、1年間、シンクタンクに投げればいいようなものもあれば、5年間とかやや中長期に腰を据えて取り組むべきものとか、いろいろと様々なものがありますけれども、こういったものを各省庁で取組をしているという状況です。
これができるのは、チーフ・サイエンス・アドバイザーが各省庁にイギリスはいたり、あるいは各省庁にアナリストがいて、こういうEBPMというか、そういうエビデンスを生み出していくことに親和性のある人がたくさんいるからできているというようなこともありますというふうにも、調査においても分かってきておりますけれども、こういったものをワークショップなどもしながらまとめていって、研究者と行政とのコミュニケーションに使ったり、実際の委託やプロジェクトの発足に実用している、こういったような状況がございます。
ということで、これまで共進化プログラムの中では、文科省さんの中での省内ニーズを一覧化して、そこに研究者が提案をしていくというやり方だったんですけれども、よりよいリスト化の仕方として少しワークショップなども入れてできないか、そういったことを考えてみたというところもあります。
特にこれまでのSciREX事業で取り組んできたもの、どういったものがあったかといいますと、ここ、政策プロセスの大まかな輪になっておりますけれども、確かにいろいろ調査してみても、いわゆるプログラム評価の中で提携の中でエビデンスを生み出していくというようなことをやっていることに対して、SciREX事業はどちらかというと既に動いている事業の事後評価、インパクトやアウトカムを見ていこうというものですとか、あるいは戦略を考えるための部分ですね、議題設定の部分だけを取り組んでいくというようなことが結構プロジェクトの傾向としてありまして、政策の実験・実証をしていくし、エビデンスを生み出していく、そのための政策形成段階でのデザインから介入とかモニタリングを一緒にしていくというところがなかなか見えないとか、そういったようなことが検討する中で見えてきました。
では、いろんなそういった様々な部分で介入とか研究の関与の可能性がある中で、よりよい政策形成や実施、そういったところにアクセスできるような政策研究プロジェクトの発足というものに向けて、このARIというものを取り組んでいくということが有効ではないかですとか、実際にそういったものがプロジェクトの発足につながるのか、こういったことを考えて試行したということになってございます。
ARIの作成の意義ということですけれども、こちら、第2フェーズまでは、先ほども申し上げたように政策ニーズですね、省内のアンケートから募集をしてリスト化したものに研究者が提案してすり合わせをしていくというような、そういった流れだったところを、よりメタな政策課題であるとか政策研究の動向、あるいは、当然、省内の政策の担当課のニーズ、そういったことも踏まえながらしっかりポートフォリオを考えた上で、研究者とも対話をしながら共創していくというようなことができないかというところはトライアルしております。
実際のプロセスはこちらになっておりまして、昨年の8月頃までに省内ニーズをアンケートで募集していただいたり、CRDSさんにも協力をいただいて政策課題の進化等の情報を含めた俯瞰調査の結果を活用させていただいたりといったことで実施をしてございます。それをポートフォリオ化し、行政官を中心としたワークショップで課題の深掘りをし、そしてさらにそれを再整理した上で、研究者に、こういう関心があるか、そういったことに対して政策研究として何ができるかという情報を収集した上で、研究者と行政官の対話を通して課題を見つけていくというような、そういったプロセスを考えました。
実際、こちらは、省内アンケートはこういったフォーマットで実施をいたしました。ただ、第3フェーズに直接結びつくというような形で収集をしていたわけでもないということもあったかと思うんですけども、9件の回答状況になっておりまして、担当課室で出していただいたのは2件という結果になってございました。
研究・イノベーション学会、この分野、関連しておりますけども、そういったところのホットイシューを収集して、政策研究の動向みたいなところを少し調べてみたり、SciREXのサマーキャンプで教職員の方々に集まっていただいて、その方々が取り上げる課題としてどういうものがあるかみたいなことも少し議論してございます。
また、全体の課題を俯瞰するということでは、CRDSさんが昨年度は政策課題の俯瞰調査というものに取組をされておりまして、調査の途中段階でしたので、10領域ほど調査されていますけれども、途中段階の6領域については資料を御提供いただきまして、ある種の課題の全体観ですね、そういったものを把握するということで御協力をいただいてございます。
こういった情報をどういった形でポートフォリオ化、タグづけを分類しているかということで、中で議論をいたしました。どういう軸で整理をし得るかといったときにいろんな軸が考えられまして、大きくは、サブ、メガとありますけれども、先ほどもあったメガの政策課題、大きな政策課題と、担当個人が持っているサブのものであったりとか、そういったものがあるので、あまりメガ過ぎるとやはり漠然とした研究課題になってしまいますし、あまりサブ、具体化過ぎるとシンクタンクに投げればいいじゃないかという課題になりまして、共進化プロジェクトとかSciREXの研究プロジェクトとして取り上げるべきものは、ここのより真ん中辺の粒度の研究課題というのは、いかに政策ニーズとかそういったものを抽出するかというのが重要であるというような議論をしてございます。
こういった整理を一旦した上で、行政官を対象にしたワークショップを3回ほど開催させていただきました。その際、やっぱりアンケートではなかなか回答していただけない部分もありましたので、次のページに示していますこういうマトリックスを用いまして強制発想法で意見を出してもらう、そういったような取組をしております。横軸は、CRDSの調査の項目に沿った「政策領域」、縦軸に政策サイクルにおける4つの「政策の場面」というものを取ったような図になってございます。
こちらは、実際に3回のワークショップをやった後、シブデータのほうでリサーチクエスチョンに少し転換した形でどういったものが出てくるかというのを整理したものになっておりまして、最初のアンケートの9件よりは、やはり議論をするということで、かなり多くのものを出していただいたということになっております。こちらは領域を分けたりフェーズを分けたりするということで、一見、それぞれのセルを埋めるようにというふうに見えるんですけれども、実はこういうことを示すことによって、ここのまたぐもの、領域をまたぐものですとか担当課室をまたぐものに対する問題意識などもかなり多く御意見としては出してくださって、議論をかなり活発にしていただいたかなというふうに思っております。
それから、43件のリサーチクエスチョンを整理したんですけれども、それを2通りに整理するということをその後いたしました。1つはトップダウン的なものですね。このときは文科省さんと相談をいたしまして、学術審議会を締めくくるに当たっての濱口会長の所感を基にした、ペーパーを基にした整理というものをしたものに、それから、ボトムアップ的なものとして第3フェーズを意識した整理というものをしてございます。こちらがトップダウンの整理で、こちらは濱口ペーパーにあった5項目、それからその他も加えて、43件がどういうふうに分類ができるのかという、その整理をしております。
また、こちらは政策のフェーズですね。段階部分ですね。特に政策実施みたいな、実証みたいなところが少ないという振り返りもありましたけれども、そういったものがどうだということですとか、あるいは担当課室が明確な課題と、そうではない課題とというので分けるとどうなるみたいな、こういったポートフォリオを作成しております。こういったものはプログラムの採択、マネジメントをする際にも、何らかのポートフォリオを作った上でプロジェクトマネジメントしていくということがよくあるやり方ですけれども、どういったところに焦点を当てて採択をしたいか、マネジメントをしていくかということの参考になればというふうに思ってございます。
そしてその後、研究シーズの情報収集ということで、この43件のリサーチクエスチョンを、特にトップダウンのこの5つの中でも文科省さんとも相談をして3つに集約いたしまして、こちらに示している3つに対して、研究者に、テーマ、概要、関連する問いを示し、政策研究として関心のあるテーマはどれですかということですとか、課題として認識しているもの、そういったことを情報収集いたしまして、13名の方が情報提供いただきました。
寄せていただいた研究者の方と行政官の方にお集まりいただいて3月末に3回ほどオンラインでワークショップをいたしまして、それぞれのテーマに対して、テーマをめぐる課題を共に掘り下げていくというようなことをしていたということです。とにかくここの段階ではアイデアをたくさん出し合うということで、今回、その結果は示してございませんけれども、やはり対話をすることで多くいろいろ議論をいただいたと思います。その際にやはり課題の粒度ですね、どうしても短期的なものばかり出ないように、また、長期的なものだけですとなかなかSciREX事業にも合わない可能性もある、今の共進化には合わない可能性もあるということで、こういった3つの粒度についても意識して御意見をいただくというふうにしてございます。実際の結果がどうかというところは、今後、第3フェーズ、もし行政官の方あるいは研究者の方々が提案をいただく、ニーズを出していただく際に、今回のこの一連の議論がよいと思っていただければ、そこから関連するものが出てくるかもしれないというような、そういった状況になったものでして、今後どういうふうになっていくかというのを見守っていきたいなと思っております。また、こういった方法論開発をしてきましたけれども、当然、重複とか不要な、特に有効だと思うようなやり方というのもありますので、少しそういったことも検討して整理をしていきたいなと思っているところです。
私からは以上になります。

【有信主査】それでは、引き続き説明をよろしくお願いします。

【小野山企画官】資料2-2について文部科学省から説明させていただきます。こちら、共進化実現プログラム、次の第3フェーズに向けた案ということで資料をまとめております。
共進化第3フェーズですけども、先ほど来御説明していますように、令和5年度よりSciREX事業15年の最後の3年間という期間を使いましてプロジェクトを進めたいと考えております。第1フェーズ、第2フェーズを通して、アドバイザリーをはじめ関係者の各先生方からの御意見であったりとか先ほどの第1フェーズのアンケート調査等々も踏まえながら御意見をこの1ページ目にまとめております。成果こそ出ているかもしれないけども、必ずしも政策形成とかそういったところに直接効果や影響というところを与えているというところまでは言えないのではないかというようなお話であったりとか、あとEBPMというところも、具体的な実現手法等々、いま一度検討すべきところもあるのではないかというようなお話であったり、あと行政側の潜在的なデマンド不足であったり、テーマ設定の中で各課が中心に据えているような課題というようなところをしっかり見据えるべきなのではないかというようなお話であったりとか、あと行政官と研究者がコミュニケーションですね、第1フェーズ、第2フェーズ通じてできるところってかなり増えてきている部分ではございますけども、まだまだやっぱり課題もあるというようなところかと思います。あとは、共進化の成果、どこに持っていくかみたいなところの中で、やはり現在抱える問題や実施するプログラムの具体的提案ですね、そういったところができるとよいのではないかというようなお話であったりとか、あとは、文科省だけでなく他省庁も交えた形で横展開できることが望ましいというようなお話をいただいております。
そういった御意見を踏まえまして、次の方針(案)ということで、担当課というところと合意の上で、アウトプットが明確な政策課題というところを取り上げると。件数につきましては、先ほどアンケート等々でも出ていたり、第2フェーズの実施状況とかも見てみますと、事務局ですね、文部科学省政策科学推進室であったりSciREXセンターのほうももう少しプログラムの運営に当たって丁寧なサポートをしていくというところで、6件程度というところをめどに考えております。あとは、予算のほうも決して多いというわけではないですけども、少し御用意いたしておりますので、引き続きそういう補助を考えております。あと、今御説明したように、担当課のコミットが得られるような必要な調整というところ、こちらが3つ目の四角ですけども、そういった提案募集ですね、研究者側、あと行政官側の部分を、政策科学推進室、SciREXセンターを含め事務局がサポートして、いい課題を設定していくというようなところを考えております。
具体的なスケジュールのほうは次の次のページのほうにまとめておりまして、採択までのスケジュールの案でございますけども、4月、政策ニーズ、まず省内の募集であったり、今回、こちら、新しい試みを追加してございますけども、研究者側からの逆提案ということで、まず研究者からの発意で御提案いただくという部分を今回取り入れております。5月に入りまして、募集して集まった政策ニーズを整理した上で、こちら、また研究者の方々に提示をさせていただきまして、研究者の方々からはそれに対する研究というようなところをまた御提案いただくと。研究者側からすると2段階というような形を考えております。そういった中で出てきたアイデア、提案というものをすり合わせ、あとマッチングですね、作り込みをした上で、うまく設定できたものについて、7月、具体的な計画案をつくりまして、こちら、審査ということでアドバイザリー委員の先生方に書類・対面審査いただきまして選定をさせていただくと。で、最終的な計画の詰めというところを行った上で、秋口ですね、9月、10月頃には実質プロジェクトをスタートさせていきたいというようなところを今のところ案として考えております。
次、最後、採択後、これは従来に近い形でございますけど、年2回ぐらい、アドバイザリー委員からの意見をいただいたり、意見交換、あと座談会等々をやりながらプロジェクトを進めていきたいと考えております。
説明は一旦以上になります。

【有信主査】どうもありがとうございました。
ただいまの説明に関連して、御質問やコメントがありましたらよろしくお願いします。田辺さん、どうぞ。

【田辺委員】どうも。いや、基本的に私はこのやり方、研究者の逆提案とか、よく考えられていると思いますし、いいと思うんですが、ちょっと質問というか、方針の最初に「アウトプットが明確な政策課題を」って書いてありますよね。ここで言うアウトプットが明確だというのはどういう意味なのかというのがちょっと気になったんですけどね。要するに、この研究成果が2年間で明確に出てくるという意味なのか、いや、文科省といいますか、科学技術イノベーション政策の課題に役立つという意味なのか。このアウトプットというのは研究のアウトプットですよね、これは、今回の。そうすると、その「明確な」というのが、要するに研究なので、どういう成果が出てくるかというのはよく分からないかもしれないんですけども、ちょっと意図がどういうことなのかと質問させてください。

【有信主査】よろしくお願いします。

【小野山企画官】文部科学省から。すみません、「明確な」というところで、いろんなケースがあるとは思いますけども、身近なところで、審議会とかそういう検討の場の材料としてデータなり分析が提供されるであったりとか、あとは実際走っている事業、走り出そうとしている事業であれば、そこのフォローアップとか目標設定とかの議論に並走させて研究を進めていくというようなところで、どちらかというと、そういったところを意識しているというのは、やっぱり15年のSciREX事業終了後、もっといろんな方に活用してもらわなきゃいけないというところで、もちろん研究なので、うまくいくもの、うまくいかないものというのはあると思いますけども、もう少し外から明確な形で、SciREXってこういう取組、こういう活用があるよねというところを少しでも見せていければというところでこういった記載になっているところでございます。

【田辺委員】だからあれですよね、要するに明確な政策課題に対応する研究ですかね、それに必ず役立ちそうだということだと理解しましたが、何かアウトプット自体が、いや、私、思うのは、審議会にすぐ使おうと思ったら、それこそシンクタンクに頼んだほうが、いつまでに、どういうデータをとかというのはあると思うんですけども、やっぱり基礎研究の場合に一からデータを集めようとかまさに研究的にやろうとすると、ちょっとそこら辺が問題を把握するところで終わることもあるでしょうし、じゃあ具体的にどうしたらいいかという政策手段についてはまた別に考えなきゃいけないかもしれませんしね。だから、私は問題を明らかにする研究も重要だと思いますし、いや、政策手段というか、ツールを考えるのも重要だと思うんですけども、テーマによっては問題を明らかにするという意味で役立つものはすぐ政策課題に役立つ、ちょっとそこら辺もあるので、分野、タイプが幾つかあるんじゃないかという意味で、そういうのをうまくバランス、選んでいただければと思うんですね。
それと、イギリスの説明がさっきあったんですけども、ああいうふうに何年でこういうことを出してもらいたいというのがあればあると思うんですけど、それは必ずしも、イギリスもあんまり共進化は期待してなくて、もう政策がこういう問題あるから、この期間でやってください、この金額でというような感じがちょっとしたんですね。だから、共進化というからには、だからそこら辺が、行政側も明確な問題意識を持って積極的に取り組まないと、明確に政策課題に対応するアウトプットができるかどうかというのはやっぱり行政側に物すごい依存すると思うんですよね。という意味では共進化として取り組む意義はあると思いますけども、その点もよく考えて推進されるといいなと思いました。
以上です。すみません。

【有信主査】ありがとうございます。
ほかに御意見ありますか。

【長岡委員】では、長岡ですけども。

【有信主査】はい、どうぞ。

【長岡委員】すみません、今の田辺さんの意見ともかなり関係していると思いますけど、政策の科学のプログラムが長期的にインパクトを持てるような状況にしていくという観点から考えますと、拠点の整備がされて、この分野の研究をやっている人たちというのは増えてきたということは言えるんじゃないかと思うんですね。ただ、共進化ということを考えると、この事業を行っていらっしゃる文科省の行政官のほうも、研究への受け止めとか研究への参加というのはやっぱりこのプログラムの非常に大きな特徴で、それをどのように生かしていくのかという、先ほどのアンケート調査でも、もうあまり関係がないというふうに答えられた方も結構多いと思うんですけど、ただ、長期的に成果を活用していくという答えもあったと思うんですよね。ですから、そういう観点でどういうふうに工夫していくのかというところがすごく重要かなと。
それからもう一つは、これはEBPMという話をされたんですけど、やっぱりこれは極めて重要で、非常に大きなネックはやっぱりデータだと思うんですよね。今回、共進化のプログラムで、研究者のほうからの多分要望等もあって、いろんなデータの作成をただ単にやってこられたと思うんですよね。ですから、EBPMの基本はその事業に関連したデータをパネルデータというんですかね、経時的な形できちんと用意をしていく、構築をしていくということがやはり重要になっていて、そのデータ基盤といいますかね、政策の科学のためのデータ基盤を強化していくということと、人材のですね、それから研究者のカウンターパートに当たる行政官の研究吸収能力というか、活用能力というか、この3つができれば非常に長期的なインパクトが出てくるんじゃないかなと。今回のプログラムにあまりそういう発想はなくて、具体的なプロジェクトでもうとにかく成果を出してくださいという形になっているような点が少し懸念されるなというふうに私は思った次第です。多分、田辺委員の問題意識とかなり近いんじゃないかと思います。
以上です。

【有信主査】ありがとうございます。
何かコメントありますか、この件に関して。

【小野山企画官】文部科学省からです。ちょっと事業終了後を見据え過ぎていて、少し端的な案に見えているところはあるかと思います。おっしゃっていただいたとおり、いろんな観点ですね、ネットワーク、そういう知見とか手法の共有であったり、データをどう構築していったりとか、あとアウトプットをどう生かしていくかという部分では短期的なところもありますし、これ、参画していただいた研究者の先生方がよく言われるんですけども、やっぱり2年間とかというのはちょっと研究という意味では短かったりとか、そういう中で取り上げられる政策課題というのはやっぱり小さかったり、答えが近くに見えそうなものというのがあって、そこのフェーズがやっぱりちょっと合っていなかったというところはあって、今回3年間にはしているんですけど、他方で、それが3年間で本当に足りるのかというと、なかなか難しい面もあったりするとは思います。他方で、文科省、事業をどう考えていくかという観点で、見せ方みたいなところもちょっと今回意識させていただいてというところで、多分、いろんな観点を交えながら短期的なところとか中長期的なところ、そこにどういった取組をやって、見せて、御意見をもらいながら、中長期的なところをどうつなげていくかという、幾つか作り込みの中で多層性というか、重層的なところをうまく、今日いただいている御意見を踏まえて少し出していけるといいかなと思っています。
すみません、ちょっと抽象的な……。

【有信主査】いや、ありがとうございました。そういうことだと思うんですよね。ちょっと私の印象を言わせてもらうと、ここに書いてある表現は非常に微妙で、「アウトプットが明確な政策課題を6件程度取り上げる」と書いてあるんだけど、ここは多分、さっきの計画の中にあった、4月に政策側から課題を出すのと合わせて研究者側からの逆提案が出て、それを言わば議論する中で具体的に、今説明があったようにアウトプットが政策反映できるような形で創造できるようなものを取り上げていきたいという意図だと思うんだけど、さっきの長岡先生の提案の中にあったように、これに対して具体的にエビデンスのようなものを絡めさせていくという部分が必要かもしれないし、ARIのような視点ですかね、それをどういうふうにこういうものに絡ませていくかって、つまり、4月1か月でこれ全部検討するのはできるのかどうか、実はあんまりよく分からないんだけど、言わば政策側と研究側の逆提案と合わせる中で、そこに言わばエビデンスの形のものをどう絡めていって具体的なアウトプットを描いて進めていくかということのように私は理解したんですけどね。何かほかに考えていることがあれば、あるいはほかに御意見あれば、どうぞよろしくお願いします。多分、田辺さんの指摘はすごく重要なポイントだと思うんですけど。

【狩野委員】狩野です。よろしいでしょうか。

【有信主査】はい、どうぞ。

【狩野委員】手を挙げておられたけど、先にすみません。ずっと何を申し上げようかなと思って伺っていたんですけど、1つに、さっき安藤さんがお話しになった次のやり方として、いきなり問いのフェーズに行っていたんですけど、思ったのは、科学の素養をそこまで積んでいない方々においては、まず、うまくいっていないということの認識はきっとみんなあると思うんですよね。その「うまくいっていない」の内容というのは、思ったとおりじゃないという言い換えだと思うんですけど、私が例えば貴室の近傍で言えば、何だろう、人材政策課的なことで言うと、博士人材はもっと増えないと日本の学術の振興にならない気がするのに、何で増えないんだというか、増えないよなという文句がまずありますよね。で、その文句について、じゃあいつから増えていないのかとか、どうして増えていないのとか、どうやったら増えるのかとか、そういう問いがだんだん形成されると思うんですけど、その手前のうまくいっていないというところは多分それなりに一致できる、科学的なところに入らなくても。これをまず大事につかみ合った上で、じゃあ、研究としてはどんな問いで追いかけましょうかという、何か2段構えにしたほうがうまくいったりしないかなということはまず1つ思いました。
その中で、そういうのが、ですから政策的にニーズに当たるところの表現としてきっとあった上で、じゃあ、その中のどの問いに答えれば、資金を拠出する人も意味が分かる仮説あるいは検証された仮説が出てくるのか、それから、そういう意味でのアウトプットは明確になるのか、あるいは、同じニーズというか、文句というか、思いどおりじゃないことに対しても、例えば歴史的な観点で振り返るとかいう研究って、多分アウトプットは一種明確だけども、どうやって政策形成に役に立つのかよく分からないけれども、多分政策を今後どうするかを考えるに当たっては重要な情報かもしれないみたいなところで、より何かうまく整理ができないかなということをちょっと思って伺っておりました。
ですので、言いたかったことは、つまり、問いのフェーズにいきなり入ろうとするとなかなか厳しいと思う人もいるんじゃないかという、だんだん年を取っていろんな人生経験をしていましてそう思ってきたんですけど、それをその手前の段階で1回踏んで、それから合わせに行ってはどうかなという御提案になるのかなと思って申し上げてみました。

【有信主査】ありがとうございます。
奥和田さん、手が挙がっているんでしたっけ。これは誰だ。

【狩野委員】小寺先生ですかね。

【有信主査】あ、小寺先生か。失礼しました。小寺さん、どうぞ。

【小寺委員】どこで言おうかなと思ってずっと考えていたんですけど、狩野先生がやんわりと言われたので、ちょっと同じような話をしようかなと思って、意見を述べさせていただくと、先ほど1個前の2-1の資料にもあった、15ページとか17、18ページに書いてある部分というのは、何となく当たり前の課題が書いてあって、古いんですね。これは、大学にいる人間、それとか研究をやっている人間から見ると、とっくにもう何年も前から考えて議論していることで、これ、ここに答えがないから次の答えを探そうとしているんだと思うんですね。それは狩野先生が少し言われたようなところにも関係していて、政策論という、科学技術政策を議論していく、それをどうすればいいのかというのは、1つは、今もう国際社会の中にあって、国際関係の中で、例えばドクターコースの学生というのはどうするのか、そのキャリアパスとして、今、何か書いてあるのは、アカデミアのキャリアパスというよりも世界中でいうとほかのキャリアパスのほうが多いんですよね。そういうところにおいてどうやってキャリアパスをつくるのかというのもあるし、科学技術政策だけを見ても、今までやられていた科学技術政策というのは、どっちかというと日本国内を一つのテーブルの上にのせているんですけども、2-1の資料にもちょこちょこっとあるんですが、実は地方は地方のいろんな問題点があって、例えば、それは東京では当たり前かもしれないけど、京都、大阪ではもう違うっていう世界があるんですね。それは都会であっても一つのテーブルにはのらない。それはそうしたらどうなっているんだろう、過去どう動いて、それがどういうふうな時系列で変化してきて、いろんな施策をやったんだけども、どうなっているんだろうというのを時系列で見てないんです。これはいろんなプロジェクトのコメントのときにも言ったんですけども、そこを見ていかないといけないから、何となく書かれている課題、それから先ほどボトムアップで出てくるやつというのは、冒険をしてないんですね。一歩、二歩進んでいくためにはどうすればいいかということで、一番最初の資料の1にもあったところで、何か研究者と行政官が気づきましたというのが成果ですって言われると、それは違うよねってなっちゃうんだと思います。ですから、どうあるべきか、こういう政策論というのはどっちへ向いて行けばいいのかということをやっぱりきちんと議論して次のフェーズへ行ってほしいなと思います。イギリスの例が出ていましたけど、イギリスってヨーロッパで孤立してしまっていて、イギリスの例は例にならないんじゃないかなと、私はいろんなところの会議に出してもらっていて思います。
ちょっと取り留めない話ですけど、以上です。

【有信主査】ありがとうございました。
今のに関連して何か御意見ありますでしょうか。奥和田さん、どうぞ。

【奥和田委員】ありがとうございます。もしかしたら小寺先生の認識と私はちょっと近いところを感じたのかもしれないなと、今お話を伺っていて思いました。最後のところでちょっとまとめるという感じで、アウトプットが明確なものを選びたいとか、二、三年で短いということもありというフェーズ感があるんだと、そういうニュアンスがあるんだと思います。しかし、挙げられている問題自身、ぱっとやってぱっとアウトプットが出たら何か解決するという政策課題でもないと思うんですよね、いずれも。もちろんそれに取り組むことは重要なんですけども、二、三年やったらこれらが全部解決する、という解をそれぞれに求めるということは、所詮、無理な問題ばかりだと思うんです。もちろん、目指してはいただきたいんですけれど。このプロジェクトが「共進化プロジェクト」だというからには、「アウトプットが明確」ということの意味は、結論が二、三年たったら出るという意味ではなくて、各プログラムをやる過程において、行政側と研究者側双方がどういうふうに二、三年後に進化したいかということであり、そこがここで言う「アウトプットを明確にする」ということなのではないかなというふうに考えられます。「アウトプットが明確な」ということの意味合いは、お互いにこのプログラムによって何を進化をするか、最終的なところで、一、二年後に「こう進化しています」「こう進化したいです」という、そこを明らかに合意していただきたいなと思います。研究者と行政が同じ進化じゃなくてもいいと思うのですが、こちらは「こういう意味合いが分かればいい」、こちらは「こういうことが分かればいい」という、そういう進化だと思います。それがこのプログラムらしい、プログラムのテーマや目標の選び方ではないかなというふうに思います。だから、この「アウトプットが明確な」というところを少し意味合いを考え直していただいて、何か答えが簡単に得られればいいという、そういうのではない表現に変えていただいたほうがいいのではないかなという気がいたしました。

【有信主査】ありがとうございました。多分、このアウトプットという言葉から皆さん感じられているイメージが微妙にそれぞれずれているということもあるんだと思うんですね。
事務局サイド、何かコメントありますか、今まで出た意見で。小林先生、手が挙がっていますので、じゃあ先に小林先生、よろしくお願いします。

【小林委員】先ほどの小寺さんの御指摘の地域性の問題というのはつくづく感じているんですけども、ちょっとこれは余談ですが、今回もSciREXってほとんど実は東京なんですよね。東京以外のやつは、阪大、京大のやつと九州だけで、九州だって福岡ですから九州地区の中心であって、そういう意味でいうと、やっぱり地域性って実は全然反映していないという問題があって、東京でできる話と地方でできる話って全然違うので、そこはちょっと追加でサインを示しておきます。
それで、これから言いたいことはもっと簡単な話で、何となくやり方とか今されている論点整理もそうなんですけども、あまりにも各論からどんどん離れていって抽象化され過ぎていて、あんまり抽象化した議論では現実的な議論にならないんじゃないかなって気がするんですね。要するにケース・バイ・ケースでしょうという感じがしてしようがないんですけども、具体的な話にならないとこういう一律の抽象的な表現の中に収まらないんじゃないかなって気がしていて、何かもうちょっと別の整理の仕方がないかなと思って先ほどからずっと聞いていたんですけど、無理やり何か当てはめちゃっていますよね。でも、問題ってやっぱり違うはずなので、もうちょっと何か具体的なところに行ってからでないとこういう整理はできないんじゃないかなって気がしました。そういう意味ではとても難しいんじゃないかという予想があります。
以上です。

【有信主査】ありがとうございます。確かにそういう側面はあると思うんだけど、これ、具体的にどういうふうに進めていけばもう少し具体的なモーメントを入れていけるかという話ですかね。
文科省サイド、何か御意見ありますか。

【小野山企画官】  ありがとうございます。そうですね、我々も今日、いろいろ御意見をいただいていて、どう進めるかというのはまだちょっと整理しながらということではあると思いますけど、ただ、第1フェーズ、第2フェーズ、第1フェーズというのは本当にマッチングを四苦八苦やって、また進めたところで何か物別れになってそれぞれでプロジェクトが進んじゃったりとか、第2フェーズはそこからかなり改善をして、月1とか隔週、1週間、2週間に1回打合せをしながらみたいなところもあったところで少しずつ成果も出てきてという、まさに第3フェーズって、今御意見いただいたように、共進化のみならず科学技術をどう考えていくかみたいなところの中でコメントいただいていると思っています。
すみません、アウトプットのところについては、やっぱりここ、すごい重要なところで、もちろんSciREXとして見なきゃいけないみたいなところありつつも、やっぱり全体であったり中長期的なところ、逆にここ、小林委員がおっしゃったようなもう少し具体的なところというところは交えながら、全体整理しながら、じゃあ、ここの部分はこの共進化、でも、中長期的にはこういったところを見据えながらそれぞれ進むべき道しるべみたいなところをこの中で少しでも見いだしていくとか、それぞれがそれぞれそういった方向を見つけるための部分なり取組を試行的にまずやってみるとか、そういったところも含めてやっていけるといいのかなと思いつつ、ただ、4月、5月と具体的な提案をいただくので、そういった中でもう少し整理した上で御相談できるといいのかなと思いました。

【有信主査】ありがとうございます。多分、そうやっていかざるを得ないんだと思いますが、もう一つ、さっき問題提起をされた、私も今、地方にいるもので、小林先生の御指摘は非常に共感できるところはあるんだけど、例えばいろんな問題を議論するときの発想の根源が、東京で発想するのと地方で発想するのと必ずしも同じではないって、これ、小寺さんの御意見にもありましたけど、同じように、例えば東京で発想するのと世界で発想するのとは多分また違うという意味合いがあるんですよね。それは、さっきのイギリスでの取組の御紹介等々もありましたけど、その辺で感じる違和感というのはそういう部分があるんですね。だから、そういうものを多分いろいろ取り入れつつ議論をしていくんだろうと思いますけど、ただ、地域の発想というか、多様性という部分がそのまま世界につながっていくということを全部一緒に網かけようとすると、全体が極めて抽象的な話になってしまうというところがあるので、具体性を残しつつ、多様性を包含しつつ、具体的な我がほうで取るべき政策にうまくつながるような課題を議論していくというプロセスがうまく取れるかどうかだという気はするんですけどね。
すみません、私が勝手なことを言いましたけども、御意見ある方、ほかにいらっしゃれば。
それでは、今までそれぞれ様々な観点から、時間軸の話もありましたけど、御意見いただいたので、それを踏まえて、もうあんまり時間がない中で進めていくんだけど、多分、課題の提案と研究の逆提案なんかの議論をするときに今のような視点を入れながら議論していただければと思いますが、よろしいですかね。
それでは、引き続いて、議題3の「SciREX事業終了後に維持・発展すべき機能の検討について」ということで進めたいと思います。
すみません、時間が押してしまって申し訳ありませんが、ここからは非公開議題となりますので、事務局は傍聴者に退出いただくようよろしくお願いします。

【黒田係長】こちら事務局です。最初にアナウンスさせていただきましたとおり、ここからは非公開議題となります。傍聴者の方々はここで御退出いただけますと幸いです。こちらで確認して、まだお残りいただいている場合はこちらから退出させていただくこともございますので、あらかじめ御了承いただければと思います。
それでは、御退出のほどお願いいたします。
(傍聴者退出)

<【議題3,4】非公開議題>
「SciREX 事業終了後に維持・発展すべき機能の検討について」「その他」について意見交換を行った。

【有信主査】それでは、これで第18回の科学技術イノベーション政策における「政策のための科学」アドバイザリー委員会を終了します。私の不手際で時間が延びてしまって申し訳ありませんでした。
本日は御出席どうもありがとうございました。御退出いただければと思います。

                                                         ―― 了 ――

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