議案審議経過情報

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項目 内容
議案提出者 浜口誠 君外五名
衆議院審議時会派態度
衆議院審議時賛成会派
衆議院審議時反対会派
議案受理年月日 2023-05-12
公布年月日

要項または提出時法律案

第二一一回
参第一一号
   自動車盗難対策等の推進に関する法律案
目次
 第一章 総則(第一条-第六条)
 第二章 基本的施策
  第一節 自動車盗難対策(第七条-第十五条)
  第二節 小売店舗における集団窃盗等の防止等に関する施策(第十六条)
  第三節 施策の推進に関する基本的事項の策定等(第十七条)
 附則
   第一章 総則
 (目的)
第一条 この法律は、自動車の盗難(以下「自動車盗難」という。)の防止等のためには、その盗取等の実態等を踏まえた多岐にわたる取組が必要であることに鑑み、自動車盗難の防止等のための取組に関し国及び地方公共団体が実施する対策(以下「自動車盗難対策」という。)についてその基本となる事項を定めるとともに、あわせて小売店舗における集団による窃盗等の自動車の窃盗等との類似性が認められる犯罪の防止等に関する施策について定めることにより、自動車盗難対策等を総合的に推進し、もって安全で安心して暮らせる社会の実現に寄与することを目的とする。
 (定義)
第二条 この法律において「自動車」とは、道路運送車両法(昭和二十六年法律第百八十五号)第二条第二項に規定する自動車をいう。
 (基本方針)
第三条 自動車盗難対策は、自動車の盗取が売却による利益を得るために行われることが通常であること、盗取した自動車につき、その盗取後直ちに、外周が塀等で囲まれ外部からその様子を容易に確認できない場所に運び込んで解体等を行い、国内での売却又は輸出を行う犯行が一般的であり、かつ、これらの一連の行為が組織的に行われていること等の実態に即して、適切かつ効果的に行われなければならない。
2 自動車盗難対策は、国民にとって自動車が日常生活及び社会生活における移動のための重要な交通手段であり、その盗難により大きな支障が生ずること、自動車又はその部品には代替性が乏しいものもあること等に鑑み、盗取された自動車(その部品を含む。以下「盗難自動車」という。)を早期に発見し、その取戻しを図るため、必要な取組が迅速に行われるようにするものでなければならない。
3 自動車盗難対策は、自動車の盗取及び盗難自動車の譲受け等に係る犯罪(以下「自動車窃盗等」という。)の取締り等に関する施策のほか、廃棄物の適正な処理に関する施策、自動車の取引に関する施策その他の多様な分野の施策を含むものであることに鑑み、これらの施策の間の有機的な連携が図られ、総合的に実施されなければならない。
4 小売店舗における集団による窃盗をはじめとして自動車窃盗等と目的、態様等において類似性が認められる犯罪(次章第二節において「小売店舗における集団窃盗等」という。)について、その防止等を図る上で自動車盗難対策に係る知見を活用してこれと同様の施策を講ずることが効果的であると認められる場合においては、その同様の施策が実施されなければならない。
 (国の責務)
第四条 国は、前条に定める基本方針(次条において「基本方針」という。)にのっとり、自動車盗難対策及び前条第四項の施策(以下この章において「自動車盗難対策等」という。)を総合的に策定し、及び実施する責務を有する。
 (地方公共団体の責務)
第五条 地方公共団体は、基本方針にのっとり、自動車盗難対策等に関し、国及び他の地方公共団体との連携を図りつつ、その地域の実情に応じた施策を策定し、及び実施する責務を有する。
 (法制上の措置等)
第六条 政府は、自動車盗難対策等を実施するため必要な法制上又は財政上の措置その他の措置を講じなければならない。
   第二章 基本的施策
    第一節 自動車盗難対策
 (自動車窃盗等の取締りの強化及び迅速化)
第七条 国及び都道府県は、自動車窃盗等の取締りの強化及び迅速化のため、次に掲げる施策その他の必要な施策を講ずるものとする。
 一 人工知能関連技術(官民データ活用推進基本法(平成二十八年法律第百三号)第二条第二項に規定する人工知能関連技術をいう。)を用いて自動車窃盗等の犯人及び盗難自動車を追跡する等の先端的な技術を用いた捜査を推進すること。
 二 捜査を行う人員を増員する等の捜査体制の見直しを行うこと。
 三 二以上の都道府県の区域にまたがる事案に迅速に対処するため、都道府県警察相互間の連携を強化すること。
 四 自動車盗難の被害者による届出の手続を簡素化することその他の方法により、自動車窃盗等に関する捜査に係る当該被害者の負担を軽減すること。
 五 自動車窃盗等の犯人が国外へ逃亡した場合に対応するため、国際刑事警察機構、外国の警察行政機関その他国際的な警察に関する関係機関との連携を強化すること。
 (違法な自動車の解体等が行われている場所の運営の抑止等)
第八条 国及び地方公共団体は、違法な自動車の解体又はその解体された物の保管(以下この項において「違法な自動車の解体等」という。)が行われている場所の運営を抑止するため、廃棄物の処理及び清掃に関する法律(昭和四十五年法律第百三十七号)その他の法令の適正な実施に関し、次に掲げる施策その他の必要な施策を講ずるものとする。
 一 違法な自動車の解体等が行われている疑いのある場所について、その所在地及び運営の実態を把握するために情報を収集し、及び調査すること。
 二 前号の場所に関し、立入検査を積極的に実施すること、外国語による指導及び助言を行うことができるようにすることその他指導及び監督を強化すること。
 三 違法な自動車の解体等が行われている場所の運営を抑止するための先進的な取組に関し、情報を収集し、整理し、及び提供すること。
2 国及び地方公共団体は、前項の法令の実施に当たり犯罪があると思料される場合における当該実施に係る機関と都道府県警察との連携を強化するため、必要な施策を講ずるものとする。
 (盗難自動車の流通の防止)
第九条 国及び地方公共団体は、盗難自動車の流通を防止するため、次に掲げる施策その他の必要な施策を講ずるものとする。
 一 使用済自動車の再資源化等に関する法律(平成十四年法律第八十七号)第二条第十一項に規定する引取業者、古物営業法(昭和二十四年法律第百八号)第二条第三項に規定する古物商、同条第五項に規定する古物競りあっせん業者その他一度使用された自動車(その部品を含む。第三号及び次条第一項第一号において同じ。)の引渡しを受け、又はそのあっせんを行う事業者に対し、当該引渡しを行おうとする者の本人確認を徹底するよう促すこと。
 二 デジタルプラットフォーム(特定デジタルプラットフォームの透明性及び公正性の向上に関する法律(令和二年法律第三十八号)第二条第一項に規定するデジタルプラットフォームをいう。以下この号において同じ。)において盗難自動車に係る取引が行われないようにするためにデジタルプラットフォームを提供する事業者が行う取組を促進すること。
 三 都道府県警察から自動車の流通に係る関係事業者に対して行う自動車盗難に関する情報の提供、当該関係事業者から都道府県警察に対して行う自動車窃盗等の疑いがあると思料される場合におけるその旨の通報その他の都道府県警察と当該関係事業者との間における自動車盗難に係る情報の提供を強化すること。
 (盗難自動車の輸出の防止)
第十条 国は、盗難自動車の輸出を防止するため、税関における取締りに関し、次に掲げる施策その他の必要な施策を講ずるものとする。
 一 道路運送車両法に定める輸出に関する証明書の確認を徹底すること、使用済自動車の再資源化等に関する法律の規定による解体に関する報告に係る情報を活用することその他の方法により、適正な手続を経た自動車の輸出であることを確認する措置を強化すること。
 二 大型のエックス線透視装置等の検査機器を活用すること、職員を増員すること等により盗難自動車の輸出の取締りに係る体制を強化すること。
2 国及び地方公共団体は、盗難自動車の輸出を防止するため、盗難自動車に関して都道府県警察が有する情報、道路運送車両法第四条に規定する自動車登録ファイルの記録その他の情報について、税関、港湾管理者(港湾法(昭和二十五年法律第二百十八号)第二条第一項に規定する港湾管理者をいう。)、港湾運送事業者(港湾運送事業法(昭和二十六年法律第百六十一号)第九条第一項に規定する港湾運送事業者をいう。)等に提供することその他の盗難自動車の輸出の取締りに係る関係機関等の連携の強化に必要な施策を講ずるものとする。
 (盗取された自動車の部品の流通の把握)
第十一条 国は、盗取された自動車の部品の流通の防止に資するため、道路運送車両法第五十八条第二項に規定する自動車検査証記録事項の見直しその他の当該部品の流通の把握に必要な施策を講ずるものとする。
 (輸出された盗難自動車の取戻しの支援)
第十二条 国は、輸出された盗難自動車の所有者への取戻しを支援するため、国の警察機関と国際刑事警察機構、外国の警察行政機関その他国際的な警察に関する関係機関との盗難自動車に係る情報の交換その他の国際的な連携の強化に必要な施策を講ずるものとする。
2 前項に定めるもののほか、国及び地方公共団体は、輸出された盗難自動車の所有者への取戻しを支援するため、国外において盗難自動車が発見された際の所有者への連絡に係る体制の強化その他の必要な施策を講ずるものとする。
 (自動車窃盗等の発生の防止に係る取組の推進)
第十三条 国及び地方公共団体は、自動車窃盗等の発生を防止するため、防犯のための装置を自動車に装着することの啓発その他自動車の所有者等に対する防犯に係る指導、防犯のための撮影機器の設置の推進その他の自動車の所有者等による取組を推進するために必要な施策を講ずるものとする。
2 前項に定めるもののほか、国及び地方公共団体は、自動車窃盗等の発生を防止するため、自動車の盗取の際にその原動機を動かすために使用される機器が一般に流通することの防止その他の必要な施策を講ずるものとする。
 (調査研究の推進)
第十四条 国は、自動車盗難の実態の調査、自動車窃盗等の捜査に活用し得る技術に関する研究、自動車に係る防犯のための装置及び防犯に係る性能の優れた自動車に関する研究その他の自動車盗難対策に関する調査研究を推進するために必要な施策を講ずるものとする。
 (関係者の連携協力に関する措置)
第十五条 国は、自動車盗難対策の効果的な推進を図るため、警察庁、財務省、経済産業省、国土交通省、環境省、外務省その他関係行政機関の職員、関係事業者等の関係者による協議の場を設けることその他の関係者の連携協力に関し必要な措置を講ずるものとする。
2 都道府県は、その地域の実情に応じて、当該地域における自動車盗難対策の効果的な推進を図るため、都道府県警察の職員その他関係地方公共団体の職員、関係行政機関の職員、関係事業者等の関係者による協議の場を設けることその他の関係者の連携協力に関し必要な措置を講ずるよう努めるものとする。
    第二節 小売店舗における集団窃盗等の防止等に関する施策
第十六条 国及び地方公共団体は、小売店舗における集団窃盗等の防止等を図るため、前節の規定により講ぜられる施策のうちこれと同様の施策を講ずることがその防止等にも効果的なものについて、その同様の施策を講ずるものとする。
    第三節 施策の推進に関する基本的事項の策定等
第十七条 国家公安委員会及び関係大臣は、前二節の規定により講ぜられる施策につき、それらの推進に関する目標、計画その他の基本的事項を定め、これを公表するものとする。
   附 則
 この法律は、公布の日から施行する。

     理 由
 自動車の盗難の防止等のためには、その盗取等の実態等を踏まえた多岐にわたる取組が必要であることに鑑み、自動車盗難対策についてその基本となる事項を定めるとともに、あわせて小売店舗における集団による窃盗等の自動車の窃盗等との類似性が認められる犯罪の防止等に関する施策について定めることにより、自動車盗難対策等を総合的に推進する必要がある。これが、この法律案を提出する理由である。