議案審議経過情報

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項目 内容
議案提出者 大塚耕平 君外二名
衆議院審議時会派態度
衆議院審議時賛成会派
衆議院審議時反対会派
議案受理年月日 2023-05-11
公布年月日

要項または提出時法律案

第二一一回
参第一〇号
   我が国の総合的な安全保障の確保を図るための土地の取得、利用及び管理の規制に関する施策の推進に関する法律案
目次
 第一章 総則(第一条-第四条)
 第二章 基本方針(第五条-第七条)
 第三章 推進計画(第八条)
 第四章 土地取得等問題対策推進本部(第九条-第十九条)
 附則
   第一章 総則
 (目的)
第一条 この法律は、我が国における土地の取得、利用及び管理をめぐる最近の状況に鑑み、我が国の総合的な安全保障の確保を図るため、我が国の安全保障に支障を及ぼすおそれのある土地の取得、利用及び管理の規制に関する施策について、その基本理念及び基本方針その他の基本となる事項を定めるとともに、土地取得等問題対策推進本部を設置することにより、これを総合的に推進することを目的とする。
 (基本理念)
第二条 土地は、国民生活及び経済活動の基盤であり、かつ、領土を構成するものであって、その取得、利用及び管理の在り方が我が国の安全保障に深く関わるものであることに鑑み、我が国の安全保障に支障を及ぼすおそれのある土地の取得、利用及び管理については、その実態を早急に把握し、その結果を踏まえ、安全保障上の課題を分析した上で、必要かつ適切な規制が行われるものとする。
2 我が国の安全保障に支障を及ぼすおそれのある土地の取得、利用及び管理の規制に関する施策は、我が国の安全保障が防衛及び外交の分野の施策のみならず、経済、科学技術、文化等の各分野の施策を総合的に講ずることによって確保されるものであることに鑑み、これらの各分野に係る土地の取得、利用及び管理の規制に関する施策についても我が国の安全保障の観点を踏まえて実施することにより、総合的に推進されるものとする。
3 我が国の安全保障に支障を及ぼすおそれのある土地の取得、利用及び管理の規制に関する施策を推進するに当たっては、我が国が締結する条約その他の国際約束に関して、その施策を推進する上で必要な整合性の確保を図るようにするものとする。
4 我が国の安全保障に支障を及ぼすおそれのある土地の取得、利用及び管理の規制に関する施策は、土地の用途及び機能、利用及び管理の形態等が多様であることを踏まえ、それぞれに応じた適切な規制が行われることを旨として推進されるものとする。
5 我が国の安全保障に支障を及ぼすおそれのある土地の取得、利用及び管理の規制に関する施策は、国の関係機関相互の密接な連携の下に推進されるものとする。
 (国の責務)
第三条 国は、前条の基本理念にのっとり、我が国の安全保障に支障を及ぼすおそれのある土地の取得、利用及び管理の規制に関する施策を総合的に策定し、及び実施する責務を有する。
 (法制上の措置等)
第四条 政府は、我が国の安全保障に支障を及ぼすおそれのある土地の取得、利用及び管理の規制に関する施策を実施するために必要な法制上又は外交上の措置その他の措置を講じなければならない。
   第二章 基本方針
 (実態調査の早急な実施)
第五条 政府は、我が国の安全保障に支障を及ぼすおそれのある土地の取得、利用及び管理の実態を把握するための調査を早急に行うものとする。
 (土地の取得等の規制の在り方の見直し)
第六条 政府は、前条の調査の結果を踏まえ、土地の用途及び機能、利用及び管理の形態等に応じ土地の取得、利用及び管理に係る我が国の安全保障上の課題を多角的に分析するとともに、諸外国における日本国民による土地の取得、利用及び管理の規制の状況を勘案した上で、土地の取得の規制をも含む必要な規制の在り方について検討を加え、土地基本法(平成元年法律第八十四号)、外国人土地法(大正十四年法律第四十二号)等の見直しを含む必要な措置を講ずるものとする。この場合においては、所有権その他の財産権の制限が必要な限度を超えることがないよう、留意するものとする。
 (条約等との整合性の確保を図る上で必要な外交的な取組)
第七条 政府は、前条の措置を講ずるに当たり、世界貿易機関を設立するマラケシュ協定附属書一Bのサービスの貿易に関する一般協定第十七条に定める内国民待遇その他関連する我が国が締結する条約その他の国際約束の定めと当該措置との整合性の確保を図る上で必要があるときは、所要の外交的な取組を行うものとする。
   第三章 推進計画
第八条 政府は、前章に定める基本方針に基づき、我が国の安全保障に支障を及ぼすおそれのある土地の取得、利用及び管理の規制に関する施策の推進に関する計画(以下「推進計画」という。)を定めなければならない。
2 内閣総理大臣は、推進計画の案につき閣議の決定を求めなければならない。
3 内閣総理大臣は、前項の規定による閣議の決定があったときは、遅滞なく、推進計画を公表しなければならない。
4 前二項の規定は、推進計画の変更について準用する。
   第四章 土地取得等問題対策推進本部
 (設置)
第九条 我が国の安全保障に支障を及ぼすおそれのある土地の取得、利用及び管理の規制に関する施策を総合的かつ集中的に推進するため、内閣に、土地取得等問題対策推進本部(以下「本部」という。)を置く。
 (所掌事務)
第十条 本部は、次に掲げる事務をつかさどる。
 一 推進計画の案の作成及び実施の推進に関すること。
 二 前号に掲げるもののほか、我が国の安全保障に支障を及ぼすおそれのある土地の取得、利用及び管理の規制に関する施策の推進に関する企画及び立案並びに総合調整に関すること。
 (組織)
第十一条 本部は、土地取得等問題対策推進本部長、土地取得等問題対策推進副本部長及び土地取得等問題対策推進本部員をもって組織する。
 (土地取得等問題対策推進本部長)
第十二条 本部の長は、土地取得等問題対策推進本部長(以下「本部長」という。)とし、内閣総理大臣をもって充てる。
2 本部長は、本部の事務を総括し、所部の職員を指揮監督する。
 (土地取得等問題対策推進副本部長)
第十三条 本部に、土地取得等問題対策推進副本部長(以下「副本部長」という。)を置き、国務大臣をもって充てる。
2 副本部長は、本部長の職務を助ける。
 (土地取得等問題対策推進本部員)
第十四条 本部に、土地取得等問題対策推進本部員(以下「本部員」という。)を置く。
2 本部員は、本部長及び副本部長以外の全ての国務大臣をもって充てる。
 (資料の提出その他の協力)
第十五条 本部は、その所掌事務を遂行するため必要があると認めるときは、関係行政機関、地方公共団体、独立行政法人(独立行政法人通則法(平成十一年法律第百三号)第二条第一項に規定する独立行政法人をいう。)及び地方独立行政法人(地方独立行政法人法(平成十五年法律第百十八号)第二条第一項に規定する地方独立行政法人をいう。)の長並びに特殊法人(法律により直接に設立された法人又は特別の法律により特別の設立行為をもって設立された法人であって、総務省設置法(平成十一年法律第九十一号)第四条第一項第八号の規定の適用を受けるものをいう。)の代表者に対して、資料の提出、意見の表明、説明その他必要な協力を求めることができる。
2 本部は、その所掌事務を遂行するため特に必要があると認めるときは、前項に規定する者以外の者に対しても、必要な協力を依頼することができる。
 (事務)
第十六条 本部に関する事務は、内閣官房において処理し、命を受けて内閣官房副長官補が掌理する。
 (設置期限)
第十七条 本部は、その設置の日から起算して五年を経過する日まで置かれるものとする。
 (主任の大臣)
第十八条 本部に係る事項については、内閣法(昭和二十二年法律第五号)にいう主任の大臣は、内閣総理大臣とする。
 (政令への委任)
第十九条 この法律に定めるもののほか、本部に関し必要な事項は、政令で定める。
   附 則
 この法律は、公布の日から施行する。

     理 由
 我が国における土地の取得、利用及び管理をめぐる最近の状況に鑑み、我が国の総合的な安全保障の確保を図るため、我が国の安全保障に支障を及ぼすおそれのある土地の取得、利用及び管理の規制に関する施策について、その基本理念及び基本方針その他の基本となる事項を定めるとともに、土地取得等問題対策推進本部を設置することにより、これを総合的に推進する必要がある。これが、この法律案を提出する理由である。