法務省・新着情報
法務大臣閣議後記者会見の概要
令和5年4月7日(金)
続いて、私から本年で第73回を迎えた「社会を明るくする運動」について報告があります。この運動は、「#(ハッシュタグ)生きづらさを生きていく。」のキャッチフレーズのもと、生きづらさを抱える人、立ち直りをしようとする人に寄り添い支える。「地域のチカラ」を広く発信してまいります。「社会を明るくする運動」は、安全で安心な明るい地域社会を築くための全国的な運動であり、毎年、内閣総理大臣よりメッセージを頂いております。今般、岸田総理から動画によるメッセージを頂きました。この動画の中で、岸田総理からは、この運動を通じて、包摂的な社会の実現を目指し、犯罪や非行の防止と立ち直り支援に取り組んでいくことなどに、言及していただいています。この動画は本日より法務省公式YouTubeチャンネル等にて、御覧いただけます。今後も「社会を明るくする運動」に注目していただき、御理解と御協力をお願いできたらと思います。
訴訟係属中の証拠映像が公開されたことに関する質疑について
名古屋入管での死亡事案について2点お尋ねします。昨日、ウィシュマ・サンダマリさんの収容中の映像が、御遺族とその弁護団によって公開されました。この映像は名古屋地裁で係属中の国家賠償請求の裁判の中で、国側が証拠として出された映像かと思うんですけれども、一方当事者によってこういった証拠が一般的に公開されたことについての所感をお聞かせください。
また、御遺族は、今回の改正案で姉の命を救うことはできないというふうに主張されているんですけれども、仮定の質問になって恐縮なんですが、改正案が成立して施行した後に、同様の事案が起きたとした場合に、施設内での死亡という結果を防ぎ得るとお考えかどうかお聞かせください。
【大臣】
まず前者の御質問ですれけど、もちろん報道は承知をしております。御指摘のビデオ映像は国が証拠として提出をし、これから裁判所において取り調べるということになっている、約5時間分のビデオ映像の一部を、原告側が勝手に編集をしてマスコミに提供して、公開したものであるというふうに承知をしております。訴訟係属中の個別案件ですので、法務大臣として所感を述べることは、司法への影響に鑑み、基本的には差し控えたいと思いますが、本件については皆さんにもよく考えていただけたらなと思います。
次に後者の御質問ですが、御指摘の名古屋事案につきましては、その調査報告書におきまして、「医療的対応のための体制整備や運用が不十分であった」、それから「被収容者の健康状態を的確に把握し、柔軟に仮放免を可能とすべきであった」、それから「職員の人権意識に問題があった」といった問題点等が指摘をされております。入管庁では、調査報告書で示された改善策を中心に、組織業務改革に取り組んできたところ、こうした取組により、常勤医師の確保などの医療体制の強化や、職員の意識改革の促進など、改革の効果が着実に現れています。加えて、今回の改正法案におきましては、例えば、「入管収容施設において、常勤医師を確保する上で支障となっている、民間医療機関と比較した待遇面での格差を是正するため、現行法における常勤医師の兼業要件を緩和し、柔軟な兼業を可能とする」、それから「全件収容主義と批判されている現行法を改め、監理措置を創設し、収容しないで退去強制手続を進めることができる仕組みとした上で、収容した場合であっても、3か月ごとに収容の要否を見直して不必要な収容を回避する」「体調不良者の健康状態を的確に把握して、柔軟な仮放免判断を可能とするため、健康上の理由での仮放免請求について、医師の意見を聴くなど、健康状態に十分配慮して仮放免判断に努めることとする」などの施策を今度の改正法案には盛り込んでいるところです。現在入管庁が取り組んでいる組織・業務改革に加えて、今回の改正法案により、これらの改革を徹底し、名古屋事案と同様の事案を防止することができると考えています。
【記者】
関連ですけれども、検察が公開した5時間の中には、いわゆる非常に問題視された、「鼻から牛乳」「わはははは」とか、「薬きまってるか」などの非常に問題だとされている入管側の発言等々が全く記録されていません。そういったところを意図的に5時間の映像に含んでいなかったかという点と、それから今回のことを非常に皆さん考えてもらいたいというお話ですけれど、検察側には、裁判官から出向している検事さんという方たちもいらっしゃいます。もともと2月から3月の上映といわれていた上映が、三者協議の中で6月21日と非常に遅くなりました。弁護士側は、ウィシュマさんの遺族の方も言っておりますけれども、収容した入管の職員が、相変わらず新たな法改正でも、収容、非収容を全て決めてしまうという意味で、今回の法案は再びウィシュマさんのような被害者を生むんじゃないかと懸念をしております。この点について、まず、「鼻から牛乳」などが削除されているんじゃないかという部分と、6月21日と遅くなった公開についてと、それから入管が一生懸命変えたというわりには、相変わらず入管の職員の権限が拡大する方向の改正になってしまっている。ここに疑義を申し立てているんですね。この点についてお願いいたします。
【大臣】
まず、先ほどのビデオに映っていないというところの御指摘につきましては、これは報告書ではきちんとしているわけですが、今回は、係争中ですので、個別事案における対応ですとか方針等について、私の方から詳細に明らかにすることは司法への影響がありますので、差し控えることが適切と考えていますが、その上で申し上げると、国が提出した約5時間分のビデオ映像は、証拠保全手続で再生された5時間分について裁判所から証拠として提出するように勧告を受け、国として証拠調べの必要性を認めて提出したもので、そして、この当該証拠保全手続で再生された約5時間分は、原告側からの意見を踏まえて、裁判所において判断されたもので、御指摘のような点は当たらないと思っております。引き続き法令に従い、我が方としては適切に対処してまいりたいと思います。
それから、残りの質問につきましては、繰り返しになるので、お答えしなくてもいいかなと思いますけど、御指摘の(今回公開された)5分のビデオ映像につきましては、国が証拠として提出し、これから裁判所において取調べを受けることになっている約5時間分のビデオ映像の一部を、原告側が勝手に編集をして、マスコミに提供したり、ネットに公開するなどしたものであると承知をしています。私からこれ以上のコメントは差し控えますが、こういう行為については皆さんも考えていただきたいなというふうに思っているところです。あと、法案と、我々が今までやってきた対応につきましては、先ほど詳しく申し上げましたので、繰り返しは避けたいなと思っております。
(以上)