法務省・新着情報

法務大臣閣議後記者会見の概要

令和5年3月31日(金)

 今朝の閣議において、法務省案件として、主意書に対する答弁書が1件ありました。
 続いて、私から2件報告があります。
 1件目は、新たに始まる相続登記の申請義務化についてです。
 所有者不明土地の発生を予防するため、いよいよ来年、令和6年4月1日から、相続登記の申請が義務化されます。
 この新制度を国民の皆様に広く知っていただくため、私と小池百合子東京都知事が相続登記の申請義務化をテーマに対談した動画3本を、法務省ホームページで公開することとしました。
 今回の対談では、「相続登記の申請義務化で注意すべきポイントは何か」、「今のうちからできることは何か」などを私からお話ししていますので、一人でも多くの国民の皆様に御覧いただきたいと考えています。
 また、この問題について自治体の首長との対談動画は初めての試みですが、国民の皆様に影響が大きい相続登記の申請義務化を広く知っていただく周知広報には、自治体との連携が大変重要です。
 そこで、法務省では、引き続き、全国の自治体や関係機関とも更に連携を進め、相続登記の申請義務化のスタートまで残り1年となる今、新制度の円滑な施行に向けた環境整備やきめ細やかな情報発信に、一層力を入れてまいります。
 2件目は、法制審議会商法(船荷証券等関係)部会において取りまとめられた中間試案についてです。
 本日、法制審議会商法(船荷証券等関係)部会において取りまとめられた中間試案について、パブリックコメントの手続を開始しました。
 法務省におきましては、商取引において電子的な手段の利用が拡大していることに鑑み、船荷証券の電子化を可能とする法整備をすることが喫緊の課題であると考えられたことから、令和4年2月、法制審議会に対し、商法の船荷証券に関する規定等の見直しに関する諮問を行いました。
 これを受けて、部会におきまして、同年4月から調査審議が開始され、今月8日に中間試案が取りまとめられたものです。
 この試案は、国際的な動向を踏まえた上で、船荷証券の電子化のための具体的な規律の方向性を示すものです。
 パブリックコメントでは、この試案について、本年5月12日まで約40日の期間を定めて、意見を求めることとしており、国民各層から幅広い意見が寄せられることを期待しています。

犯罪被害者等への支援に関する質疑について

【記者】
 犯罪被害者支援について伺います。先日、少年犯罪被害当事者の会から大臣宛てに要望書が出されたかと思います。その中で、新設される「被害者等の心情等の聴取・伝達制度」の実効性を求める声がありましたが、この制度について、効果の検証を盛り込んでいくお考えはおありでしょうか。
 もう一点ですが、同じ要望書の中で、加害者からの損害賠償金の支払いの遅れが多くて、被害者側が自ら対応せざるを得ないとの指摘もありましたが、この点で、今後法務省として支援をしていくお考えはおありでしょうか。

【大臣】
 被害者等の心情等の聴取・伝達制度の具体的な運用につきましては、現在矯正局において検討中でありますが、矯正施設における処遇を通じまして、受刑者等ごとに被害者等の心情等を具体的に理解させて、謝罪や被害弁償等の具体的な行動を促す指導等を実施することによりまして、受刑者等が自身の責任を自覚し、被害者等に対する慰謝の念を深めさせるようにしていくことを考えているわけです。
 その上で、本施策の効果検証の在り方につきましては、一定の実績を蓄積した上で、その方法等も含めて具体的に検討していくことを、今考えております。
 それから、もう一つの御指摘の「損害賠償金の支払い」に関しましては、少年犯罪被害当事者の会から、損害賠償金を国が買い取る制度を創設してほしいと御要望をいただいているところです。
 これにつきましては、これまでも政府の会議体等において累次の検討がなされていると承知しておりまして、法務省としましては、団体の御要望を受け止めた上で、警察庁等と連携しながら、引き続き、犯罪被害者等に対する経済的支援の在り方を考えていきたいと考えています。

入管法改正法案に関する質疑について

【記者】
 入管に関連してお伺いします。かつて私の質問に対して、入管の支援団体BOND(バンド)の学生たちが面談の要請をしているということで、こちらがどうなったかということをお聞きしたいのと、毎週シットインデモをしています。是非伝えたいということを再三にわたって、昨日も集会の中で学生さんたちが参加されていました。そのことについて大臣のお考えをお聞かせください。

【大臣】
 まず、御指摘の団体の方々からの面会の申入れについてのお尋ねですが、御指摘の団体の要望書については、先般頂いておりますし、その御意見も含め、様々な御意見・御指摘は、その団体以外からもたくさん頂いておりますので、十分に耳を傾けながら今回の入管法改正案の検討を重ねてきたものですし、間もなく国会の審議が始まるということですので、まずは国会の審議等において丁寧に説明してまいりたいと思っています。現時点において、御指摘いただいた団体を含めて、個別の団体とお会いするということは考えていませんし、スケジュール的にもかなり厳しいものがあると思っています。

【記者】
 今の質問にも関連しますが、昨日、今言ったBOND(バンド)のメンバーを中心とした全国の大学生などが、入管法改正案の撤回と仮放免者への在留資格を求める要請書を、署名2万筆余りと一緒に提出しました。今、大臣が御覧になったと言っているのは、この要望書、署名内容のことでしょうか。それから、全国各地の19の弁護士会からも、一昨年の改正案と同じ趣旨の法案に反対する会長声明や意見書が相次いで出されています。この法案では入管収容も、難民認定制度も全く改善されないという趣旨は、先ほどのBOND(バンド)の要請書と弁護士会の要請書と共通しています。これらの署名や反対意見に対する大臣の受け止めを改めてお願いします。また、4月13日の衆議院本会議で、法案の趣旨を説明をして審議入りするという話もあります。3月7日に閣議決定された法案をそのまま審議入りさせるお考えでしょうか。その審議入りの日程も含めてお願いします。

【大臣】
 御指摘された昨日の要望書及び署名が提出された件につきましては、私は担当者から報告をきちんと受けています。
 まず、「一昨年の改正案と同じ趣旨の法案提出」と御指摘いただきましたけれど、私どもと見方が違うなと、私は御指摘はあたらないと思います。
 改正法案は、より一層人権を尊重しつつ、現行法下の課題を一体的に解決し、入管行政を取り巻く情勢にも適切に対応できる、バランスの取れた法案とするため、旧法案に対する様々な御指摘も真摯に受け止め、修正すべき点は修正したというものですので、是非御理解いただきたいなと思います。
 改正法案に対して、様々な御意見があることはもちろん承知していますけれども、その必要性について、国民の皆様の十分な御理解を得るべく、周知・広報に努めるとともに、これから国会審議が始まるでしょうから、国会審議等におきましても丁寧に説明を尽くして御理解いただきたいと考えています。
 国会の審議の日程のお話がありましたけれども、これは国会でお決めになることですので、政府の立場としてお答えするのは難しいと思います。

【記者】
 関連ですけれども、今回の新法を適用すると、送還忌避罪の対象となる方が、令和2年の統計でざっと3,226人いるということでした。中にはこどもさんたちが300人ほどいると聞いております。非常に人権にも配慮というお話をされていますけれど、支援者等々からは、3回目以上の難民申請で、かつ、やはりこどもさんたち、日本で長く育ったこどもさんたちの権利をしっかり認めてほしいということで、一体この法案を通したときに、この本当に3,226人全体を送還させたいというおつもりなのか、法案が通るとこの人たちが対象になるということなので、そこを御回答ください。

【大臣】
 一つ一つきちんと審査をしていく必要があると思いますので、全員どうかとかいう議論に対してはお答えすることが難しいわけですが、もちろん人権に最大限配慮しながら一つ一つの判断を固めていくということは当然のことだろうと思います。それは個別の事情によってですけれども。

(以上)

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