法務省・新着情報

法務大臣閣議後記者会見の概要

令和5年3月28日(火)

 今朝の閣議におきましては、法務省案件として、主意書に対する答弁書が1件ありました。
 続いて、私から3件報告があります。
 1件目は、「司法外交」閣僚フォーラムの開催についてです。
 法務省が本年7月6日と7日に東京で主催する「司法外交」閣僚フォーラムの開催まで、本日であとちょうど100日となりました。
 本年は、ASEANとの関係では、日ASEAN友好協力50周年という重要な節目に当たり、また、G7との関係では、我が国が議長国という地位にありますことから、国際社会に「司法外交」を展開し、「法の支配」や「基本的人権の尊重」といった普遍的価値を推進するまたとない機会であると考えています。
 「司法外交」閣僚フォーラムでは、「日ASEAN特別法務大臣会合」、「G7司法大臣会合」に加え、「ASEAN・G7法務大臣特別対話」という3つの重要な閣僚級会合を開催します。
 取り分け、「ASEAN・G7法務大臣特別対話」は、ASEANとG7双方の法務大臣等が一堂に会する史上初の会合となります。
 今般のロシアによるウクライナ侵略により、国際秩序が大きく揺らぐ中で、「法の支配」や「基本的人権の尊重」といった普遍的価値を共有する必要性はますます高まっています。
 ASEANとG7には、それぞれ、政治・経済・文化・社会といった各面において、これまで築き上げてきた土台があり、必ずしも一様でないこともあり得ると思われます。
 そのような中で、「ASEAN・G7法務大臣特別対話」では、アジア唯一のG7メンバー国であり、双方と確固たる信頼関係を築いてきた我が国が懸け橋となって、相互理解を促進し、普遍的価値の共有に向けてリーダーシップを発揮していきたいと考えています。
 2件目は、性的マイノリティに関する法務省の新たな取組についてです。
 本日、特設サイト「Myじんけん宣言・性的マイノリティ編」を開設いたします。
 この特設サイトは、性的マイノリティの方々に配慮した様々な取組を進めている企業等の皆様方に、その内容を公表していただくことにより、同様の取組を行う方々に参考としていただくとともに、一般の方々にも幅広く御覧いただくことで、多様性と包摂性のある社会の実現を目指すものです。
 既に令和3年7月から、企業等の方々が人権を尊重する行動をとることを宣言する投稿型のコンテンツとして、「Myじんけん宣言」をスタートさせていましたが、今回の特設サイトは、性的マイノリティに特化したサイトとなります。
 今回のサイトは、アドバンス版として立ち上げたものですが、早速趣旨に賛同して手を上げていただいた、サントリーホールディングス株式会社、積水ハウス株式会社、日本テレビホールディングス株式会社、株式会社みずほフィナンシャルグループの4社の取組が紹介されています。
 来年度、投稿型コンテンツとしての準備を整え、本格的な運用を開始する予定ですが、更に多くの企業等の皆様方から具体的な取組等を御紹介いただくことで、国民の皆様方にとって、このサイトが性的マイノリティの方々について理解を深めるきっかけとなることを願っています。
 報道機関の皆様におかれては、積極的な周知・広報への御協力をお願いします。
 3件目は、刑事施設等における被害者等の心情等の聴取・伝達制度についてです。
 昨年6月に成立した「刑法等の一部を改正する法律」によりまして、刑事施設及び少年院において、申出のあった被害者や御遺族の方々からその心情等を聴取し、矯正処遇・矯正教育にいかすほか、受刑者等に伝達するという制度が新たに導入され、本年12月までに施行されることになります。
 本制度は、受刑者等の矯正処遇や矯正教育において被害者の心情等をより直接的に反映し、被害者の立場や心情への配慮等を一層充実させるとともに、受刑者等の反省や悔悟の情を深めさせ、その改善更生等を効果的に図ろうとするものです。
 法務省では、同制度の施行に向けて、昨年6月に有識者を構成員とする「刑の執行段階等における被害者等の心情等の聴取・伝達制度に関する検討会」を立ち上げ、計4回にわたって構成員の皆様に御議論いただきました。
 今般、同検討会の結果報告書が取りまとめられましたので、本日、公表いたします。
 本制度は、これまで被害者等の方々と直接接する機会のあまりなかった矯正職員にとって新たな取組であり、本検討会では、被害者や御遺族の方々の事件に対する想いを始め、制度を形作る上で、様々な御示唆をいただいたものと承知しております。
 具体的には、被害者等の心情等の聴取・伝達の在り方、被害者等の心情等の矯正処遇等における考慮の在り方、被害者等に対する制度の周知の在り方、制度を担当する職員の育成の在り方などについて、それぞれの立場から貴重な御意見をいただきました。
 今後、本報告書において取りまとめられた有識者の方々の御意見を踏まえ、本制度の具体的な運用方法について更なる検討を進め、本年12月までの施行に向けて、万全を期してまいります。

技能実習制度に関する質疑について

【記者】
 先日、孤立出産をしたベトナム人元技能実習生の死体遺棄事件で最高裁が無罪判決を出しましたが、この件に絡めて伺います。弁護団などからは、事件の背景として技能実習生の孤立を指摘する声が上がっていますが、改めて、実習生への不当な扱いや孤立を防ぐために、法務省として取り組むべき課題についてお考えをお尋ねします。

【大臣】
 法務省としましては、これまでも、技能実習生について、日本人労働者と同様に、妊娠・出産等を理由とした解雇等不利益な取扱いをすることが禁止されていることですとか、妊娠・出産に関する権利や利用できる制度に関する情報について、多言語のリーフレットなどを通じて周知を行ってまいりました。
 しかしながら、昨年12月末に入管庁が公表した技能実習生に対するヒアリング調査の結果を見ますと、妊娠したら仕事をやめてもらうなどの発言を受けたことがある者や、利用できる制度や相談窓口を知らない者が一定数存在することが明らかになっています。
 技能実習生に対する妊娠・出産に関連した不適正な取扱いの防止はもちろんのことながら、特に、技能実習生に対する制度や支援策の更なる周知が今後の課題であると受け止めています。
 そこで、入管庁におきまして、昨年12月末には、改めて全国の監理団体等に対して注意喚起文を発出し、監理団体が実習実施者を監査する際に、監理団体自ら技能実習生に対して技能実習生手帳等を用いて妊娠・出産に関する制度や支援策を説明することなどを依頼することとしたほか、現在、妊娠・出産した技能実習生が適正に実習を継続することができるための方策として、技能実習中断後の再開手続の簡素化、そしてその周知などを検討しているところです。
 法務省としては、引き続き、厚生労働省や外国人技能実習機構と連携しながら、妊娠・出産した技能実習生への周知等を含めて、制度の適正化に努めるとともに、技能実習制度の在り方につきましては、有識者会議において様々な御意見を伺いながら、政府全体で丁寧に議論を進めていきたいと考えているところです。

(以上)

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