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プレスリリース
歴史的風致維持向上計画(2期)の認定について
農林水産省
鶴岡市、岐阜市、宇治市、堺市、津和野町、太宰府市の歴史まちづくり計画(第2期)について、歴史まちづくり法に基づき、3月29日付けで主務大臣(文部科学大臣、農林水産大臣、国土交通大臣)が認定しました。
今回の認定により、歴史まちづくり計画認定90都市のうち、第1期計画を完了し、第2期計画の取組を進める都市は36都市となります。
1.歴史まちづくり法とは
全国各地には、城や神社仏閣とその周辺の町家や武家屋敷等から成る市街地と、祭礼行事、民俗芸能、昔ながらの生業等の人々の伝統的な営みや活動とが一体となって、地域の個性とも言える歴史的な情緒や風情を醸し出すまちが多くあります。
歴史まちづくり法では、これらを地域固有の資産として捉え、ハード・ソフト両面の取組により維持向上を図り、地域の活性化や歴史・伝統文化の保存・継承を支援しています。
2.歴史まちづくり計画の概要
山形県鶴岡市
(1) 第1期計画の取組による成果
鶴岡市では、平成25年度から令和4年度(10年間)を計画期間とする第1期歴史まちづくり計画により、以下のような成果をあげています。
- 鶴岡公園内の広場整備や内堀周辺道路の無電柱化と美装化、羽黒山宿坊街の街なみ修景整備の支援、松ヶ岡開墾場周辺施設の整備等により、良好な景観の形成と街なみ環境が整備され、日本遺産認定にもつながりました。
- 多言語表示の総合案内版や散策休憩施設等の整備、国内外の交流や情報発信により、令和元年の外国人宿泊者数が平成25年に比べ4.7倍に増加しました。
羽黒山五重塔(国宝)と修験道・秋の峰入り
松ヶ岡開墾場(史跡)
(2) 第2期計画の概要
鶴岡市には、国宝や重要文化財等を含む中世から近代における文化財が数多く存在します。城下町の骨格が残り、史跡旧致道館などの歴史的建造物が融合した街なみが現存する鶴ヶ岡城下町地区、国宝羽黒山五重塔や宿坊街の街なみが残る羽黒手向地区、史跡松ヶ岡開墾場と往時の開墾精神が受け継がれている羽黒松ヶ岡地区で、各地域固有の歴史的風致が形成されています。
第2期計画では、第1期計画の評価と検証を行うとともに、引き続き、公共施設等の修景整備や支援、協議会の活動助成等による歴史的建造物の保存と活用を図るほか、歴史的・文化的資源を活かした歴史と魅力あるまちづくりの推進、豊かな自然、歴史、文化、景観を背景とした固有の歴史的風致の維持向上を図り、市民の歴史まちづくりへの理解醸成と国内外に向けた魅力発信をしてまいります。
鶴ヶ岡城下町地区荘内大祭の大名行列
羽黒手向地区と出羽三山参り
岐阜県岐阜市
(1) 第1期計画の取組による成果
岐阜市では、平成25年度から令和4年度(10年間)を計画期間とする第1期歴史まちづくり計画により、以下のような成果をあげています。
- 市民意識調査において、「織田信長ゆかりの岐阜城やぎふ長良川鵜飼文化などの観光資源の豊かなまちだと思いますか。」という設問に「思う」もしくは「どちらかといえば思う」と答えた人の割合が、平成25年度の49.9%から令和4年度は59.0%へ増加し、シビックプライド※の醸成が図られました。
- 織田信長が形作った城、町、川文化に関連する「史跡岐阜城跡」や「ぎふ長良川の鵜飼」などの保存や活用に関する取組みを進めてきたことにより、平成27年4月に「「信長公のおもてなし」が息づく戦国城下町・岐阜」が日本遺産第1号に認定されました。
※シビックプライド:都市に住んだり、働いたり、訪れたりする人が、その都市に対して持つ愛着や誇りのことで、都市をより良い場所にするために自分自身が関わっているという当事者意識に基づく自負心を指す。
「思う」もしくは「どちらかといえば思う」と答えた人の割合
49.9%(H25)⇒ 59.0%(R4)
ぎふ長良川の鵜飼
(2) 第2期計画の概要
岐阜市には、日本の歴史上の転換期に活躍した、斎藤道三や織田信長により築かれた城下町の町割りを始め、江戸後期から戦前に建てられた町家や神社仏閣が数多く残っています。
また、長良川や金華山に代表される美しい自然環境は多くの人の心を惹きつけています。そうした豊かな環境のもと、鵜匠と鵜が一体となって繰り広げられる「ぎふ長良川の鵜飼」、華麗、勇壮、賑やかな各地の祭りや渡し舟、更には伝統の技術を用いた岐阜提灯、岐阜和傘の生産など、地域固有の歴史及び伝統を反映した歴史的風致が形成されています。
第2期計画では、伝統的な活動の担い手不足などの課題に取り組むほか、第1期計画で進めた整備についても、市民の誇りにつながる本物志向の観光まちづくりに取り組んでいきます。
舟大工の育成(鵜舟の造船)
岐阜公園再整備イメージ
京都府宇治市
(1) 第1期計画の取組による成果
宇治市では、平成24年度から令和4年度(11年間)を計画期間とする第1期歴史まちづくり計画にもとづき、様々な事業を実施してきました。
第1期計画では、お茶と宇治のまち歴史公園(情報発信・観光交流施設及び史跡)の整備を実施し、令和3年8月に開園しました。その他、重要文化的景観保存事業などを実施し、まちづくり活動の活性化や宇治茶ブランドの価値の向上、探究的な学習の充実などの成果が得られました。
宇治橋から宇治川上流を望む
お茶と宇治のまち歴史公園
(2) 第2期計画の概要
宇治市では、宇治川河畔に平安の昔から平等院や宇治上神社をはじめとした社寺と山紫水明の自然美、また茶どころとして独特の発展を遂げてきたまちなみと茶園風景、そしてそこに住まう人々が守り伝えてきた祭礼をはじめとした営みにより、宇治ならではの風情を感じることのできる歴史的風致が形成されています。
第2期計画では、第1期計画での取組を引き続き実施するとともに、お茶と宇治のまち歴史公園を活用した情報発信とソフト事業を展開して宇治の魅力を発信し、未指定文化財については積極的な文化財指定等によりその保存を図ります。また、茶業をはじめとした伝統的な産業や行事の担い手を育成していく環境づくりを行い、宇治の歴史的風致を未来へとつなげるよう努めていきます。
本簀茶園
宇治のまちなみと大幣神事
大阪府堺市
(1) 第1期計画の取組による成果
堺市では、平成25年度から令和4年度(10年間)を計画期間とする第1期堺市歴史的風致維持向上計画により、以下のような成果をあげています。
- 歴史的風致の核となる、百舌鳥古墳群や井上関右衛門家住宅などの歴史的建造物の保存修理や周辺環境の修景等を進めた結果、百舌鳥・古市古墳群の世界遺産登録も追い風となり、本市への来訪者数が増加しました。
- 祭礼や行事、伝統産業、古墳での清掃活動などの歴史と伝統を反映した人々の活動への支援等が、本市の歴史に対する市民意識の醸成につながりました。
百舌鳥古墳群(仁徳天皇陵古墳および周辺)
(世界遺産構成資産・一部史跡)
井上関右衛門家住宅(鉄砲鍛冶屋敷)
(市指定有形文化財)
(2) 第2期計画の概要
堺市は、古代から始まる長い歴史のなかで、各時代に先進し様々な歴史・文化資源や茶の湯などの新しい文化を生み出し、今に受け継いでいます。また、伝統産業や祭礼など堺の歴史・文化を支えてきた地域の人々の活動は、本市の歴史・文化の重層的な発展を背景に歴史的建造物と周辺市街地が一体となり、堺の特徴ある歴史的風致を形成してきました。
第2期計画においては、第1期計画の取組により高まった歴史への関心を、堺固有の歴史的・文化的資源を訪れ、体感するような行動につなげるために、実際にそれらを見て、理解を深めるような情報発信や回遊のための取組が求められています。
本計画の実施により、市内外の人々が様々な時代を背景とした本市の歴史的風致を知り体感するたびに、新たな歴史への興味が得られるよう、歴史的風致のより一層の向上をめざします。
2月に南宗寺などで利休を偲ぶ利休忌
桜井神社拝殿(国宝)と上神谷のこおどり
島根県津和野町
(1) 第1期計画の取組による成果
津和野町では、平成25年度から令和4年度(10年間)を計画期間とする第1期歴史まちづくり計画により、以下のような成果をあげています。
- 藩校養老館保存修理事業において、津和野の近世から近代の歩みを特徴づける建造物と歴史文化の保存・継承とともに、代表的な街並み景観の保全が図られました。
- 津和野駅周辺整備事業において整備した津和野駅舎内には、街並み観光交流センターを設置し、来訪者へのスムーズな観光案内を行えるようになりました。
藩校養老館(県史跡)と殿町通り
津和野駅周辺
(2) 第2期計画の概要
津和野町では、近世において津和野藩が置かれ、わずか4万3千石の小藩でしたが、先人達は開明の気質を持って、産業や文化、人材を育ててきました。こうした歴史的風土の中で、鷲原八幡宮の流鏑馬や津和野弥栄神社の鷺舞、津和野踊、神楽などの伝統行事や民俗芸能が、城下町の風情を残す街並みや歴史的建造物などを舞台に継承されてきており、固有の歴史的風致が形成されています。
第2期計画では、歴史的風致を構成する建造物の保存・活用をはじめ、点在する歴史資産等を町民や来訪者が快適に周遊するための環境整備、地域の祭礼行事・伝統文化等の継承、町民の歴史文化に対する理解増進に資する事業に重点的に取り組み、歴史的風致の維持向上に関する課題の解消を目指してまいります。
鷲原八幡宮境内での流鏑馬神事
頭屋前(町民センター)で舞う鷺舞神事
福岡県太宰府市
(1) 第1期計画の取組による成果
太宰府市では、平成22年度から令和4年度(13年間)を計画期間とする第1期歴史まちづくり計画により、以下のような成果をあげています。
- 歴史的な建造物を歴史的風致形成建造物に指定し保存修理に助成をすることで、計画策定前は年間3件ずつ滅失していたが、策定後は年間1件ずつと抑制が図られました。
- 平成29年に市への来訪者が1000万人を超えるピークを迎え、歴まち計画認定直後の平成23年の700万人と比較して約1.5倍増加しました。
太宰府天満宮本殿(重要文化財)と飛梅
「令和」の人文字プロジェクトが行われた
太宰府跡(特別史跡)
(2) 第2期計画の概要
太宰府市では、重要文化財や史跡等を含む古代から近代の文化財が重層的に存在します。太宰府天満宮を中心とした門前町、太宰府跡や水城跡などの古代遺跡が並ぶ四王寺山山麓では、固有の風情を感じる歴史的風致が形成されています。
第2期計画では、引き続き、歴史的建造物の保存修理やその他の建造物の修景のほか「さいふまいり」の各所地や散策路、文化遺産周辺の環境整備を推進することで、各エリアの個性や魅力を向上させ、歴史的風致の維持及び向上を図っていきます。このことにより太宰府天満宮参道一極集中となっている来訪者の回遊性をさらに高め、滞在時間の延長に繋げます。
太宰府天満宮参道を通る神幸式の行列
小鳥居小路の恵比寿像と歴史的風致形成建造物
お問合せ先
農林水産省 農村振興局 農村政策部 農村計画課
担当者:野中、寺門
代表:03-3502-8111(内線5534)
ダイヤルイン:03-3502-6004
国土交通省 都市局 公園緑地・景観課 景観・歴史文化環境整備室
担当者:森井、植田、樋口
代表:03-5253-8111(内線32983、32986、32988)
ダイヤルイン:03-5253-8954
文化庁 文化資源活用課
担当:池野、杉本、河嵜、熊谷
代表:03-5253-4111(内線2415、2860)
ダイヤルイン:03-6734-2415