議案審議経過情報

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項目 内容
議案提出者 大塚耕平 君外二名
衆議院審議時会派態度
衆議院審議時賛成会派
衆議院審議時反対会派
議案受理年月日 2023-02-17
公布年月日

要項または提出時法律案

第二一一回
参第四号
   総合的経済安全保障施策推進法案
 (目的)
第一条 この法律は、我が国の安全保障が、防衛、外交、経済、科学技術、文化等の各分野の施策を総合的に講ずることによって確保されるものであるとともに、国際情勢の複雑化、社会経済構造の変化等に伴い我が国の安全保障を確保するための経済分野の施策(以下「経済安全保障施策」という。)の推進が喫緊の課題となっていることに鑑み、経済安全保障施策の推進に関し、基本理念を定め、及び国の責務を明らかにするとともに、経済安全保障施策の基本となる事項を定めることにより、経済安全保障施策を総合的に推進し、もって我が国及び国民の安全の確保に資することを目的とする。
 (基本理念)
第二条 経済安全保障施策は、我が国の安全保障を確保する上で国際情勢の変化等があっても国民生活及び経済活動が維持されるようにすることが重要であることに鑑み、我が国の産業にとって重要な生産財(製品の製造又は加工に必要な原材料、部品その他の物品をいう。第五条第一号において同じ。)及び生産設備(製品の製造又は加工に使用する設備をいう。同号において同じ。)、エネルギー及び鉱物資源、食料、医薬品及び医療機器等の安定供給の確保、基幹インフラ事業(国民生活及び経済活動の基盤をなす事業であって、その機能が停止し、又は低下した場合に国民生活及び経済活動に多大な影響を及ぼすおそれが生ずるものをいう。第六条及び第七条において同じ。)の継続性の確保、国民生活及び経済活動の維持にとって重要なものとなり得る先端的な技術(第八条において「先端的技術」という。)に係る我が国の優位性の確保等のために効果的な施策が総合的に講ぜられることを旨として推進されなければならない。
2 経済安全保障施策は、事業者の事業活動及び経済成長に及ぼす影響に適切に配慮して推進されなければならない。
 (国の責務)
第三条 国は、前条の基本理念にのっとり、経済安全保障施策を総合的に策定し、及び実施する責務を有する。
 (法制上の措置等)
第四条 政府は、経済安全保障施策を実施するため、必要な法制上又は財政上の措置その他の措置を講じなければならない。
2 政府は、この法律の施行後速やかに前項の措置を講ずるとともに、毎年度、経済安全保障施策に係る諸課題についての分析を行い、その結果に基づき、必要な措置を講ずるものとする。
 (重要物資等の安定供給の確保)
第五条 国は、国民生活及び経済活動を維持するために重要な物資等(第七条及び第十一条において「重要物資等」という。)の安定供給を確保するため、次に掲げる施策その他の必要な施策を講ずるものとする。
 一 我が国の産業にとって重要な生産財及び生産設備の国内における生産等に係る体制の強化、当該生産財及び生産設備に係る資源の有効利用の促進その他の当該生産財及び生産設備の安定供給の確保に関する施策
 二 エネルギー自給率の向上、エネルギーの供給源の多様化、エネルギー資源及び鉱物資源の備蓄の確保その他のエネルギー及び鉱物資源の安定供給の確保に関する施策
 三 食料自給率の向上、農地及び水源地の確保、食料の備蓄の確保その他の食料の安定供給の確保に関する施策
 四 国内における医薬品及び医療機器の生産に係る開発力及び技術力並びに生産体制の強化、医薬品及び医療機器の円滑な流通の確保その他の医薬品及び医療機器の安定供給の確保に関する施策
 (基幹インフラ事業の継続性の確保)
第六条 国は、基幹インフラ事業の継続性を確保するため、基幹インフラ事業の用に供する重要な施設又は設備の更新又は修繕の促進、基幹インフラ事業の用に供する重要な情報システムのサイバーセキュリティ(サイバーセキュリティ基本法(平成二十六年法律第百四号)第二条に規定するサイバーセキュリティをいう。)の確保その他の必要な施策を講ずるものとする。
 (国民生活及び経済活動を維持するために必要な国内の人材の育成及び確保)
第七条 国は、重要物資等の供給に係る事業又は基幹インフラ事業に従事する労働者その他の国民生活及び経済活動を維持するために必要な国内の人材を育成し、及び確保するため、教育及び職業訓練の充実、適正な労働条件の確保その他の必要な施策を講ずるものとする。
 (先端的技術に係る我が国の優位性の確保)
第八条 国は、先端的技術に係る我が国の優位性を確保するため、先端的技術の研究開発及びその成果の活用の促進に関し、研究資金の確保、関係行政機関、事業者等の間における研究開発及びその成果の活用に係る連携の強化その他の必要な施策を講ずるものとする。
 (安全保障上重要な情報の漏えいの防止)
第九条 国は、事業者、研究機関等が保有する我が国の安全保障上重要な技術に関する情報その他の情報の漏えいを防止するため、次に掲げる施策その他の必要な施策を講ずるものとする。
 一 当該情報の国外への流出の規制
 二 当該情報を取り扱う者の適性について認証を行う制度の導入
 三 当該情報を有する事業者に対する国外からの投資の状況の把握及び当該投資の規制
 (国益の確保に資する国際環境の形成等)
第十条 国は、経済分野に関し、国益の確保に資する国際環境の形成を図るため、国際的な規格、規範等の整備への主体的な参画等、我が国と外国との貿易関係の強化、国外に向けた情報の発信、外交に係る体制の強化その他の必要な施策を講ずるものとする。
2 国は、経済活動における人権の尊重が国際的にも重要な課題となっていることに鑑み、経済活動に係る諸施策を講ずるに当たっては、人権に配慮して経済活動が行われるよう必要な措置を講ずるものとする。
 (情報の収集及び分析を行う体制の整備等)
第十一条 国は、経済安全保障施策を適正に策定し、及び実施するため、経済安全保障施策に係る情報の収集及び分析を行う体制を整備するとともに、この法律に基づいて講ずる国の施策の対象となる重要物資等、事業等の選定を公正に行う仕組みを整備するものとする。
 (その他の施策)
第十二条 第五条から前条までに定めるもののほか、国は、国際情勢、社会経済情勢等を踏まえつつ、必要な経済安全保障施策を講ずるものとする。
   附 則
 この法律は、公布の日から施行する。

     理 由
 我が国の安全保障が、防衛、外交、経済、科学技術、文化等の各分野の施策を総合的に講ずることによって確保されるものであるとともに、国際情勢の複雑化、社会経済構造の変化等に伴い経済安全保障施策の推進が喫緊の課題となっていることに鑑み、我が国及び国民の安全の確保に資するため、経済安全保障施策の推進に関し、基本理念を定め、及び国の責務を明らかにするとともに、経済安全保障施策の基本となる事項を定めることにより、経済安全保障施策を総合的に推進する必要がある。これが、この法律案を提出する理由である。