外務省・新着情報

冒頭発言

【林外務大臣】本日、私は、ここにおります武井副大臣と地方の魅力を世界に発信する「地方を世界へ」プロジェクト第3弾として、ここ岡山県に参りました。倉敷市では、9名の駐日大使と共に、長い歴史の中で築かれた魅力あふれた観光地や地元ならではの繊維の関連産業施設を視察いたしまして、改めて、その潜在力を感じさせていただきました。
 また、知事、倉敷市長、また地元経済界の皆様も交えて意見交換を行いまして、地方の魅力の発信、また、我が国の外交政策について議論を深めることができました。特に倉敷市は、本年4月にG7倉敷労働雇用大臣会合が予定されておりまして、こうした機会の活用を含めて、官民連携、そしてインバウンド需要の拡大等についての有意義な議論があったところでございます。
 そして、ここ岡山市では、先ほどまで、若者を含めた様々な分野でご活躍していらっしゃる皆様と車座対話を実施いたしまして、インバウンド拡大、また、農産品や日本の技術の海外展開等々について大変有意義なお話をすることができました。車座対話にご参加された方の中には、ウクライナ支援活動に取り組まれている方も参加されておりまして、私から、岡山県の皆様が避難民の受入れ等の支援活動、これに積極的に取り組まれていることに対しての感謝を申し上げました。
 日本政府は、ウクライナ避難民の我が国への受入れを進めておりまして、これまでに2200名以上のウクライナ避難民が日本に入国してきております。また、ウクライナ及び周辺国向けにこれまで総額約15億ドル支援してきております。政府としても、引き続き、国際社会と連携しながら、困難に直面するウクライナの人々に寄り添った支援を実施していきたいと考えております。今回の訪問を通じて伺いました地元の皆様の御知見、御意見、こうしたものを踏まえて、引き続き、私自身先頭に立って、官民で連携して、地域の活力、これを外交政策に活かすとともに、地方の魅力を世界に発信してインバウンド需要を喚起できればと思っております。私からは以上です。

質疑応答

【記者】今日視察した倉敷市では、大臣からも言及があったようにG7労働雇用大臣会合が開催される予定ですが、ロシアのウクライナ侵攻の長期化などを踏まえて、今年のG7サミット首脳会議や関係閣僚会議を通じて世界に何を発信されるか、お考えを伺います。
 そして、まもなくロシアの侵攻から1年になりますが、ウクライナから日本へ避難してきた人の避難生活の長期化が予測される中、新たな支援策などの検討状況について伺います。
また、同性婚をめぐる差別的な発言で荒井総理秘書官が更迭されましたが、今年G7サミットの開催国でもある日本の外務大臣として、今回の問題にどのように対応されるか、お考えを伺います。

【林外務大臣】はい、まず、G7労働雇用大臣会とのことでしたが、今日ですね、ロシアによるウクライナ侵略は、国際秩序を根幹から揺るがしておりまして、国際社会は歴史的な転換点にあると考えております。こうした中でですね、このG7、長野県軽井沢外相会合そしてG7広島サミットが開催されますが、力による一方的な現状変更の試みや、ロシアが行っているような核兵器による威嚇、その使用を断固として拒否し、法の支配に基づく国際秩序を守り抜くとのG7の強い意志をですね、力強く世界に示したいと思っております。
 また、労働雇用大臣会合ということで、G7が集まってそのテーマに基づいて会議をやっていただきます。今日非常に印象的でありましたのが、アイビースクエアに参りまして、この蔦が一面に生えておりましたが、これは当時の経営者が、労働者の環境、すなわち温度ですね、あまり寒くなりすぎないようにというような配慮から、そういうことをしていたということを聞きまして、そういう伝統が残って形を留めている、そういう場所でですね、労働雇用大臣会合をやれるということは素晴らしいことではないか、というふうに思わせていただきました。
 また、ウクライナ侵略一年ということでございます。ウクライナ及び周辺国において困難に直面するウクライナの人々に対する人道支援、これを重視し、ウクライナの人々に寄り添った支援を着実に実施してきております。その一環として、ウクライナから第三国に避難された方々の日本への受入れ、支援も関係省庁と緊密に連携しながら行っておりまして、先ほども述べたとおりですが、これまでに2200名以上のウクライナ避難民が日本に入国してきております。こうした避難民に対する支援については、累次ウクライナ政府からもですね、感謝の意が表されているところであります。外務省としては、日本への渡航を希望されるウクライナ避難民の方々の受入れ、これを迅速に進めるためにですね、避難民に対する情報の提供と発信を行うとともに、査証の申請書類を可能な限り簡素化いたしまして、迅速に審査、発給しておるところでございます。引き続き、G7を始めとする国際社会と連携をしながら、適切にニーズを把握して、避難民の方々を含めて困難に直面するウクライナの人々に寄り添った支援を実施していきたいと思っております。
 また、総理秘書官の発言についてでございますが、今お話があったその件については、昨日総理が述べておられることに尽きると考えております。総理も述べられましたとおり、政府の基本的な考え方は、多様性が尊重をされ、全ての方々の人権、あるいは尊厳、これを大切にして、生き生きとした人生を享受できる共生社会の実現に向けて、引き続き、様々な声を受け止めて、取り組んで参ります。こうしたことを改めて国の内外に対して、政府として丁寧に説明をしていく努力、これを続けていかなければならないと思っております。
 私としては、外務大臣の立場からですね、その職責をしっかりと果たして行きたいと考えております。

【記者】視察を終えてですね、岡山及び倉敷で印象というか、感想を教えてください。

【林外務大臣】はい、まず岡山ですが、先ほど申し上げたとおり、いろんな分野で活躍されている皆様から、日々の現場での御経験や思いを直接伺うことができまして、魅力を発信し続ける姿に素晴らしいなと思いましたし、岡山の確かな未来を感じることができたと思います。温かい気持ちに根ざした国際交流や文化活動、高度な技術、そして農業への挑戦、こういったものは大いに共感できるものであったと思います。
 また、倉敷ですが、伝統的な商家と洋風建築が調和する倉敷美観地区、晴れの国おかやまにふさわしい天気に恵まれまして、非常に美しい町並みを堪能することができました。また、繊維関連産業施設を視察し、長い歴史の中ですね、「和と洋が織りなす繊維のまち」倉敷が形作られてきたことを実感しました。また、干拓によってできてきたことから、塩が残っている土地で何を作るかの選択の中で、たとえば綿やい草を作り、その綿を元に繊維産業が興る、歴史的な裏付けの中で発展していったということです。
 同行された9名の大使にお願いしましたが、駐日大使を通じてですね、ご自身がご覧になった素晴らしい魅力を自らのSNSなどで、世界に発信していく、このことが非常に大事であり、有意義な機会になったと思います。

【記者】冒頭にも仰いましたが、G7労働雇用大臣会合で倉敷市はこれを足がかりとして、インバウンドの需要や国際会議の誘致につなげたい考えがありますが、そういった取り組みに対して、外務省として可能な支援はどのようなものがありますか。

【林外務大臣】今次訪問を通じまして、縷々申し上げましたように、倉敷と岡山は、自然、歴史、食、更には文化など豊富な観光資源があることを痛感しました。これに加えてですね、繊維関連産業を含め民間企業・団体が世界を舞台に活躍しておられまして、こうした点に強みを有していると感じました。外務省としても、このような強みを活かす形でですね、観光庁を始めとする関係省庁とも連携し、地方の魅力の発信、また査証緩和等を通じて、インバウンドの拡大や国際会議の誘致を後押ししていきたいなと思っております。

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